電通総研、「シニア×働く」調査を実施

電通

 電通総研は、日本の今とこれからの働き方を研究・提言する、「□×働く」スタディーの「女性×働く」に続く第2弾として、「シニア×働く」調査を実施しました。本調査では、50代後半に就労経験のある60~69歳の2,600名の男女を対象に仕事や働くことへの意識や満足度を調査しました。

2015年7月2日

株式会社 電通

電通総研、「シニア×働く」調査を実施

●60代の「働きたい」人の3割は働いておらず、「働きたくない」人の4人に1人が働いている

●60代前半の平均手取月額は、男性24.9万円、女性11.9万円、60代後半は、男性18.8万円、女性11.1万円

 電通総研は、日本の今とこれからの働き方を研究・提言する、「□×働く」スタディーの「女性×働く」に続く第2弾として、「シニア×働く」調査を実施しました。超高齢社会が進行するなか、定年後もシニア層のスキルや経験を生かして働き続けられる社会づくりは極めて重要です。本調査では、50代後半に就労経験のある60~69歳の2,600名の男女を対象に仕事や働くことへの意識や満足度を調査しました。

 調査結果では、60代の半数以上が働きたいと思っているものの、その約3割が働いておらず、特に60代後半では働きたい人の約半数が働いていないことが分かりました。一方で、働きたくない60代の4人に1人が働いています。また、現在働いている人の働き方に対する満足度は高くなっていますが、シニア層は仕事に大きな期待をせず、「働けるだけで満足」という気持ちを持つ人もおよそ半数いることが分かりました。

 今後、シニア層がいつまでも元気で働き続けられる社会を構築していくためには、シニアの経験やスキルを生かせるような環境づくり、ワークシェアなど体力やライフスタイルに合った仕組みづくりを通じ、シニア自身の前向きな意欲と納得を得ることが重要であると考えられます。

 本調査の主な結果は以下のとおりです。

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1.定年退職後も仕事を継続する人が多数派に。定年退職経験者のうち、男性の約72%、女性の約55%が仕事を継続

2.60代後半の働き方は「アルバイト・パート」が主流に。男性の33.8%、女性の67.2%が「アルバイト・パート」

3.働くことを希望する60代男女の3割は働いていない。働きたくない人の4人に1人は働いている

4.働いている60代男女の7割は現在の働き方に「満足」だが、「働けるだけで満足」も半数と根強い

5.定年後の仕事イメージは、おおむねイメージどおり。想定外は手取り収入の少なさ1ヵ月の平均手取り収入額は、男性60代前半で24.9万円、60代後半で18.8万円。女性は60代前半で11.9万円、60代後半で11.1万円

6.給与は少なくても「のんびり働く」が理想の働き方

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<本調査に関する問い合わせ先>

株式会社電通 電通総研 ヒューマン・スタディーズ・グル-プ

              斉藤 TEL:03-6216-8458

-----------------------------【調査結果の詳細】---------------------------------

☆図表の参照など詳しくはPDFをご覧ください。

1. 定年退職後も仕事を継続する人が多数派に。定年退職経験者のうち、男性の約72%、女性の約55%が仕事を継続

(1)男性の約8割、女性の約4割が「定年退職」を経験

 50代後半に働いていた60代男女2,600名のうち、「定年退職」を経験した人は、男性の約8割、女性の約4割。定年退職年齢は男女とも平均60~61歳。

(2)男性定年退職者の約72%、女性の約55%は定年退職後も仕事を継続

 定年退職経験者に、定年後の仕事継続状況を聞いたところ、男性の約72%、女性の約55%が定年後も働くことを継続している。男性は60代前半・後半にかかわらず7割以上が定年後も仕事を継続し、男性にとっては、一回「定年」しても、働き続けることが常態化しつつある。また、定年後引き続き働いている人のうち、過半数(56.6%)が「再雇用契約をして同じ会社やグループ会社」で働いている。

2. 60代後半の働き方は「アルバイト・パート」が主流に。男性の33.8%、女性の67.2%が「アルバイト・バート」

(3) 60代後半になると「働いている」人は激減

 男性60代前半の約3割は「無職」であるが、60代後半には63.5%と無職率が倍増する。女性も同様に、「無職」は12.6%から22.3%に、「専業主婦」は32.8%から49.1%へと増加する。この結果、働いている女性の割合は60代前半の54.6%から60代後半の28.6%へとほぼ半減する。

(4) 働いている女性60代の約7割が「アルバイト・パート」。男性も60代後半になると働いている人の約3割が「アルバイト・パート」

 60代男女に現在の職業について聞いたところ、性別や年齢(60代前半と後半)で大きく異なっている。

 男性60代前半は、働いている人のうち「正社員」が46.7%で最も多く、以下「契約社員・嘱託社員」(31.7%)、「アルバイト・パートタイム」(14.0%)が続く。しかし60代後半になると、「正社員」は約2割(21.1%)、「契約社員・嘱託社員」は27.0%になり、「アルバイト・パートタイム」が33.8%となる。

 一方、女性は60代前半・後半での変化はあまりみられず、働いている人の約7割弱(67.1%)が「アルバイト・パート」である。

(5) 60代後半になると仕事選びは「自分の健康」や「時間的ゆとり」を重視

 60代後半まで働き続けている男女に、60代前半の仕事を選ぶときに重視したこと、60代後半の仕事を選ぶときに重視したことを聞いてみたところ、男性60代前半は、半数以上の人が「これまでに培った自分の経験の活用」を重視して仕事を選んでいるが、60代後半になると「自分の健康」「最低限の収入」「時間的ゆとり」を重視するようになる。

 女性は、60代前半・後半ともに、「最低限の収入の確保」「自分の健康」「これまでに培った経験の活用」「仕事と自分の生活のバランス」を重視するが、60代後半になると「最低限の収入確保」「自分の健康」「時間的ゆとり」を重視する人が増える。

3. 働くことを希望する60代男女の3割は働いていない。働きたくない人の4人に1人は働いている

(6) 60代前半男女の約6割、60代後半男女約5割が「働きたい」

 「現在、働きたい」と思っているかどうかでは、男性の57.2%、女性の54.0%が「働きたい」と回答している。性年代別にみると、男女とも60代前半は「働きたい」が約6割。60代後半になると「働きたい」人が減少し、「働きたくない」人が増加する。特に女性60代後半は「働きたくない」が過半数(51.7%)となる。

(7) 働きたい理由。60代前半は「お金」のため、男性60代後半は「健康維持のため」、女性60代後半は「社会や人とのつながりを実感するため」

 働きたいと思っている人の理由としては、男性では、60代前半は「家計・生計のため」が62.3%と最も多くなっている。以下、「元気なうちは働くのが当たり前だから」(47.7%) 「健康維持のため」(43.0%)が続くが、いずれも4割台にとどまる。

 60代後半になると、「家計・生計のため」は41.3%に減少し、「健康維持のため」が51.4%、「元気なうちは働くのが当たり前だから」(50.0%)が増加する。男性60代前半は「お金」のため、60代後半は「健康」のために働きたいと思っている。

 女性は、60代前半は「自由になるお金を得るため」(50.5%)が最も多く、「家計・生計のため」(46.6%)が続く。60代前半は女性も男性同様、「お金」のために働きたいと思っている。60代後半になると、「社会や人とのつながりが実感できるから」(49.0%)、「健康維持のため」(43.3%)、「働くことが好きだから」(38.2%)が増加する。なお、男性60代後半では「働くことが好きだから」は24.0%にとどまる。

(8)「働きたい」人の約3割は働いておらず、「働きたくない」人の4人に1人が働いている」

 就労希望と就業状況をみてみると、「働きたい」と思っている60代男女の65.6%は

希望どおり働いているが、34.4%は「働きたい」と思っているものの「働いていない」。

 また、「現在働きたくない」と思っている人の4人に1人は働いている。

 60代前半・後半に分けてみてみると、男性60代前半で「働きたくない」人のうち、約半数(47.6%)が「働いている」。一方、「働きたい」と希望しつつも働いていない人の割合は、男性60代前半は15.1%であるが、60代後半は42.2%となる。男性60代後半で希望どおりに働けていない様子がうかがえる。

 女性は「働きたい」と希望しつつも「働いていない」人は60代前半が31.4%、60代後半が54.1%。60代後半では半数を超える。シニア女性の働く場が限られていることがうかがえる。

4. 働いている60代男女の7割は現在の働き方に「満足」だが、「働けるだけで満足」も半数と根強い

(9)働いている60代は男女とも約7割が現在の仕事に「満足」

 現在、働いている人に、働き方への満足度を聞いたところ、男女ともに「満足している」は1割台だが、「どちらかといえば満足」が5~6割おり、両者を合わせると、男女ともに約7割が「満足」していることになる。特に、男性60代後半は「満足している」(20.6%)、「どちらかといえば満足している」(54.8%)を合わせると75.4%となり、4人に3人が現在の働き方に満足していることになる。60代後半は、女性も同様に満足度が高く、満足計が73.7%になっている。

(10)「自分の経験や能力を生かされている」が満足理由。ただし、「働けるだけで満足」という気持ちも根強い

 「満足」だと思う人にその理由を聞いたところ、60代前半男性では「自分の経験が生かせているから」や「自分の能力が生かされているから」が上位に挙がっているが、60代後半になると「働けるだけで満足だと思うから」と思う人が多くなっている。

 女性では、60代前半後半ともに、「働けるだけで満足だと思うから」が高くなっている。シニア層は働く場所や仕事内容が限られているため、「仕事があるだけで満足」という気持ちが根強くなっているようだ。

5. 定年後の仕事イメージは、おおむねイメージどおり。想定外は手取り収入の少なさ。1ヵ月の平均手取り収入額は、男性60代前半で24.9万円、60代後半で18.8万円。女性は60代前半で11.9万円、60代後半で11.1万円

(11)定年後の仕事については男性の約6割、女性の約7割が定年前のイメージとギャップなし

 現在の仕事について、定年前の予想とのギャップについて聞いたところ、「ギャップあり」と回答したのは、男性37.5%、女性29.9%。男性の6割強(62.5%)、女性の約7割(70.1%)が「ギャップなし」(想像していたとおり)と思っている。

 ちなみに「ギャップあり」が最も多いのは男性60代前半(39.6%)である。

(12) 仕事の楽しさ・やりがい・若い人との関係性、1日の忙しさは想定どおり。想定外は休みがとりやすいこと・手取り収入の少なさ

 現状の働き方などについて、定年前に思い描いていたイメージに合致しているかどうかを聞いたところ、仕事の楽しさ、やりがい、若い人たちとの関係性、1日の忙しさについては、「イメージどおり」が5割を超え、半数以上の人がイメージどおりと思っている。一方、イメージどおりでないと感じていることは、「休みがとりやすいこと」「手取り収入が少ないこと」。

 ちなみに現在の給与について、60代前半は52.7%が「もっともらってもよい」と考えており、妥当だとする人は45.2%にとどまる。60代後半になると、「妥当」が57.7%となり、「もっともらってもよい」が39.6%になる。

 なお、今回の調査対象者の現在の手取り収入(1ヵ月)の平均額は、男性60代前半で24.9万円、60代後半で18.8万円。女性は60代前半で11.9万円、60代後半で11.1万円。

6. 給与は少なくても「のんびり働く」が理想の働き方

(13)男性は専門能力を生かして働くこと。女性はパートタイムで比較的自由に働く こと。男女とも「のんびり働く」ことが理想

 理想の働き方を聞いてみると、男性は60代前半・後半ともに「今まで培ってきた専門能力や知識を生かして働く」こと。以下、「給与は少ないけれどものんびり働く」こと、「自分の趣味を生かした職業につく」ことが上位に挙がった。

 一方、女性では、60代前半後半ともに、「パートタイムで比較的自由に働く」こと、「給与は少ないけれどものんびり働く」ことが上位に挙がっている。男性では今まで培った能力を生かしたいと思う人がいるものの、男女とも「のんびり働く」ことを理想としている。

(14) 60歳以降働き続けるために必要なことは「お金」「体力」「気力」

 60歳以降も働き続けるために必要なことを聞いたところ、男性は60代前半・後半に限らず、「給与が下がってもゆとりをもって暮らせるために資金・資産」が最も多く、その他、「今以上に元気な体力」「仕事以外に打ち込める趣味やスポーツ」が上位に挙がった。稼ぐというよりも、ゆとりを持って働き、仕事以外の何かを楽しむことがよい働き方をするために必要なことだと考えている。

 一方、女性は、60代前半・後半ともに「今以上に元気な体力」がトップに挙がり、半数以上の人が「体力」が必要だと思っている。体力以外では、女性は60代前半は「給与が下がってもゆとりをもって暮らせるために資金・資産」「今以上に強い気力」が続く。60代後半になると「気力」が「お金」を上回る。

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■「シニア×働く」調査 調査概要

・調査対象 : 50代後半に就労経験のある60~69歳 2,600名(サンプルの構成はPDFをご覧ください)

・調査対象エリア:首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)、関西圏(京都府、大阪府、兵庫県)、中京圏(岐阜県、愛知県、三重県)

・調査時期 : 2015年3月21日(土)~25日(水)

・調査手法 : インターネット調査

・調査会社 : 株式会社 ビデオリサーチ        

以 上

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