「ラジオ聴取」に関する意識・実態調査
生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研では、このたび、ローカルラジオ局へのコンテンツ提供開始に伴い、15歳~69歳の男女500名を対象として、「ラジオ聴取」に関する意識・実態調査をおこないました。
2015/6/30
トレンド総研
10~60代の「ラジオ聴取」実態を調査
“じっくり聴く”スマホの10代、“ながら聴き”カーラジオの50・60代
差が出た聴取形態と、変わらない「ラジオならではの魅力」
10~20代のラジオ聴取後の行動に見る、今後の可能性
生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研(東京都渋谷区、URL:http://www.trendsoken.com/)では、このたび、ローカルラジオ局へのコンテンツ提供開始に伴い、15歳~69歳の男女500名を対象として、「ラジオ聴取」に関する意識・実態調査をおこないました。
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■ レポートサマリー
【主な調査結果】
[1.ラジオ聴取の実態]
・ラジオ聴取デバイスとしては、10代~20代のスマートフォン利用率の高さが顕著。外出先ではカーラジオ利用者が多数。
・ラジオを聴く目的は、「作業中などのBGM代わり」「気分転換のため」「音楽を聴くため」などエンタメコンテンツ寄りに。
・ラジオを聴くシーン1位は「自宅でくつろいでいるとき」。運転中(移動中)の“ながら聴取”も多数。
[2.ラジオ聴取の変化と可能性]
・ラジオアプリが登場した5年前と比べて、約3人に1人がラジオを聴く時間・ラジオに接する機会が「増えた」と回答。
・はがき・メール送付、プレゼント応募、SNS投稿など、10~20代はラジオ聴取中・聴取後に何らかの行動を起こす傾向に。
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1.ラジオ聴取の実態: 10~20代はスマホ利用者が多数、カーラジオも健在
◆ 若年層に多い“スマホ聴取”、10代と20代でも利用率の差は約2倍に
今回の調査は、月に1回以上ラジオを聴く人を対象としました。聴取頻度の内訳としては、「ほぼ毎日」(28%)、「週に4~5回程度」(19%)、「週に2~3回程度」(19%)、「週に1回程度」(21%)、「1ヶ月に1回程度」(13%)の割合です。
まず、ラジオを聴くデバイス、方法について調査をおこないました。スマートフォンの急速な普及と、2010年頃から台頭し始めたネットラジオサービスやアプリなどの影響もあり、ラジオを聴くデバイスは過去数年の間に大きく変化していると想定されます。今回の調査では特に、こうした新しい形式のラジオ聴取に焦点を当てています。
普段使用しているデバイスを、「自宅」と「外出先」それぞれでの聴取に分けて聞いたところ、「自宅」で最も多かったのは「ラジオ(据え置き型)」(34%)、次いで「パソコン(ネットラジオ利用)」(22%)、「ラジオ(携帯型)」(17%)と、パソコンを除いては、昔からある、従来型の視聴方法が取り入れられている傾向が見られました。 反対に、「スマートフォン(ラジオアプリ利用)」での聴取は、10代が圧倒的に多く、20代と比較しても2倍の使用率になっています。
「外出先」では、半数超が「カーラジオ」(57%)による聴取で、それに続いたのが「スマートフォン(ラジオアプリ利用)」(18%)、「ラジオ(携帯タイプ)」(11%)、「スマートフォン(ネットラジオ利用)」(9%)でした。50代、60代は「カーラジオ」の使用率がともに7割に上っています。
ただし、ポータブル性が重視される外出先においては、日常的に持ち歩いていると想定されるスマートフォンの使用率の高さが目立ちます。ここでも、10代は「スマートフォン(ラジオアプリ利用)」使用者が48%と、他年代と2倍程度の差がつき、「スマートフォン(ネットラジオ利用)」に関しても使用率は全年代トップの結果に。「カーラジオ・カーオーディオ」での聴取は車の所有率との関係もありますが、新しいデバイスでのラジオ聴取は、10代を中心として、若年層の間で着実に根付きつつあると言えます。
リアルタイムで聴くことが多いと想定されるラジオですが、使用デバイスの多様化も手伝って、ネットラジオ、ポッドキャストなど、聴取方法についても幅は広がっていると言えます。そこで、普段どのようにラジオを聴いているかを聞くと、「ラジオ局・番組の放送をリアルタイムで聴く」(91%)が圧倒的に多く、「ラジオ局・番組の放送を録音して聴く」はわずか7%。「【無料】のラジオアプリ(スマートデバイス用)でリアルタイムで聴く」(11%)、「ラジオ局・番組をインターネット経由でリアルタイムで聴く」(11%)と、アプリ経由、ネットラジオにおいてもリアルタイムでの聴取が多くなっています。
なお、有料の方法に関しては利用率が非常に低く、「【有料】のオンデマンド配信・ポッドキャストで聴く」(0.8%」)、「【有料】のラジオアプリ(スマートデバイス用)でリアルタイムで聴く」(0.8%)という結果に。例えば動画や音楽などは、インターネット経由で有料でのコンテンツ視聴も認知されつつありますが、ラジオというメディア、あるいはコンテンツに対しては、課金をするという発想自体が、まだほとんどの人の間で持たれていないのかもしれません。
◆ 50代は“ながら聴取”、10代は“じっくり聴取”?年代別に見るラジオシーンの変化
続いて、ラジオを聴いている理由や目的について、ラジオ聴取シーンと時間帯とともに調査をおこないました。
【ラジオを聴く理由・目的】
ラジオを聴く理由、目的に関してはほぼ横並びで、「作業中などのBGM代わりとして」(38%)、「気分転換のため」(37%)、「情報収集のため」(36%)、「音楽を聴くため」(33%)などが上位に。「習慣として」(20%)を理由に挙げた人は全体的にやや少なく、60代では14%にとどまりました。10代は「特定の好きなアーティスト・タレントなどの番組を聴くため」が全体(10%)と比べて3倍の30%に上った他、20代ではBGMとしての利用や音楽を聴くためなど、エンターテインメントとしての利用が全体と比べて高率になりました。
【ラジオを聴くシーン】
最も多かったのは、「自宅でくつろいでいるとき」(45%)で、中でも10代(64%)、30代(50%)は全体と比べてこの傾向が強くありました。特定の好きなアーティスト・タレントなどの番組が目的でラジオを聴いている層が多いことからも、聴きたい番組を自宅でしっかり、集中して聴いている様子がうかがえます。次いで、「通勤・通学・移動中(車・運転中)」(43%)も多く、50代は58%と半数以上の人が運転をしながらの“ながら聴取”をしているようです。50代は自宅でくつろいでいるときの聴取率が全年代を通して最も低く(29%)、「仕事中・勉強中(自宅以外・外出先で)」に聴いている人が比較的多いことからも、ラジオはこの年代にとっては、主に“ながらメディア”として活用されていると言えます。男女別に見ると、女性の“ながら聴取”としては、「家事をしながら」(女性 30%・男性 6%)が多く、特徴的な結果となりました。
【ラジオを聴く時間帯】
主な聴取時間については、平日と休日に分けて調査をおこないました。平日で多かったのは、全体としては「6~8時」(27%)、「8~10時」(24%)で、その後日中の時間帯はほぼ同率、夜の時間帯で聴取率が若干下がるのは、20時以降のタイミングでした。出勤前の時間帯を中心としてラジオを聴いていることが読み取れますが、10代は「6~8時」(38%)以降、午後の時間帯は大きく聴取率が落ち込み、学校から帰宅した後だと想定される、「18~20時」(26%)のタイミングで再度大きく聴取率が上がります。20代は1日の中でのピークは「20~22時」(29%)で、遅い時間になるほど聴取率が上がる傾向が見られました。逆に、50~60代は、時間が遅いほど聴取率が顕著に下がっています。
休日もおおむね平日と同様の傾向ではあるものの、仕事が基本的にはないことから、朝の時間帯に関しては聴取率が下がっています。ただし、休日は「聴かない」と答えている人も2割程度おり、通勤や通学、仕事や勉強中といった、平日ならではのシーンでしか聴かない人も一定数いることがうかがえます。
2.ラジオ聴取の変化と可能性: “アクティブに”ラジオを聴く10~20代
◆ ラジオ聴取時間&接点、約3人に1人が「増えた」と回答…ラジオアプリの影響が明らかに
これまでの調査から見るに、ラジオの聴き方としてはピンポイントに気になる番組を聴いたり、音楽を聴いたりと、情報収集よりもエンターテインメント的な側面が濃くなっていることがうかがえます。実際に、よく聴くラジオ番組のジャンルとしても、最多は「トーク番組」(51%)、「音楽番組」(51%)が同率で、「ニュース・報道番組」(45%)は3位となりました。具体的には、「好きなアーティストの素の部分が垣間見られるところが良い。ブログやTwitterなどのSNSよりも、CDリリースの裏話や深い話が聞けて楽しい」(女性・19歳)、「アーティストのリリース前の楽曲が聴けたり、プライベートな話やドラマ、ライブなどに関する裏話があったり、くだらない話があったりと盛りだくさんで、トータルで満足できる番組が印象に残っている」(男性・39歳)などのコメントも多く集まりました。
ラジオを取り巻く環境は年々変化していますが、中でも近年、大きなターニングポイントとなったのは、パソコンやスマートフォン経由でのラジオ聴取の実現、さらに、その利便性を高めたスマートフォンなどのラジオアプリの登場だと言えるでしょう。これらのサービスは、ラジオというメディアの体験を大きく変え、さらには新たなリスナーを獲得するきっかけになったと考えられます。今や国内で代表的なラジオサービスとなったIPサイマルラジオサービス「radiko.jp」は、2010年に登場し、今年で5周年を迎えます。そこで、インターネットラジオやラジオアプリが登場し始めた5年前と、日本国内で本格的なスマートフォンが登場し始めた10年前とを比較して、ラジオを聴く時間やラジオに接する機会が変化しているかどうかを調査しました。
その結果、「変わらない」と答えた人が多かったものの、10年程度前(2005年頃)と比較すると29%、5年程度前(2010年頃)と比較すると30%と、いずれも約3人に1人が「増えた」と回答しています。20代は特に増えている人が多く見られ、10年前と比較して46%、5年前と比較して50%が「増えた」と回答しており、ここ数年の中で新規にラジオを聴き始めた人もいると想定されます。様々な要因があるものの、スマートフォンの普及やラジオアプリの登場によって、ラジオと接する機会が相対的に増え、これまでラジオを聴いてこなかった層が興味関心を抱くきっかけになっていることは想像に難くありません。
◆ はがき・メール送付、情報収集、SNS投稿、…“アクティブに”ラジオを聴く10~20代
最後に、ラジオを聴いている最中と、ラジオを聴いた後の行動について調査をおこないました。はがきやメールを送ったり、ラジオで流れていた情報に関して調べたり、SNSで投稿したりなど、ラジオを聴いている最中、あるいは聴いた後に何らかの行動をとっている人は、ラジオを聴いている最中は28%、ラジオを聴いた後は33%と、双方、約3人に1人。聴いている最中の行動としては、「友人・知人との話のネタにする」(32%)、「プレゼント・キャンペーンに応募する」(32%)、「番組にはがき・メールを送る」(30%)や、「紹介された商品・サービスについて調べる」(30%)が上位に並びました。
聴いた後の行動に関しては、「友人・知人との話のネタにする」(56%)が最も多く、「紹介された商品・サービスについて調べる」(38%)、「プレゼント・キャンペーンに応募する」(20%)、「番組にはがき・メールを送る」(20%)などが続いています。
「ラジオの内容などについてSNSに投稿する」人も一定数おり、10~20代はSNSの投稿者が特に多い結果となりました。10~20代は全体的に行動率が高く、ラジオを聴くことが何らかのアクションにつながっていることが分かります。
デジタルネイティブ、ソーシャルネイティブなこれらの世代にとって、メールやWeb検索など、デジタルでの行動は当たり前であり、SNSも非常に身近なツールのひとつです。テレビを観ながらSNSに投稿したり、パソコンで動画などのコンテンツを閲覧しながらSNSに投稿したりと、自分たちが受け取った“情報”やそれに対しての感想などを発信するという行動自体が、日常に根付いているために自然に行われています。また、SNSのようなツールを通じて、有名人やメディアとコミュニケーションをとることも珍しくありません。好きなアーティストなどの番組を目的としてラジオを聴いている傾向にあることを鑑みても、10~20代の行動率が高いのは必然的だったと言え、ただ聴くだけでなく、何らかの行動を伴って、ラジオというメディアをアクティブに受け止めている結果だとも言えます。
新しい形態のラジオサービスの登場などがきっかけとなり、ラジオ聴取の実態は変化していると言えますが、一方で、まだ爆発的にリスナーが増える状況には至っていません。ただし、今後も引き続き、デバイスやサービスの進化など、ラジオを取り巻く環境が変化し続けていくことは間違いないでしょう。同時に、番組独自のスマートフォンアプリの開発や、番組の企画、イベントの開催など、ラジオ局各社による、特に若年層の獲得に向けての積極的な取り組みも感じられるようになりました。ラジオを身近に感じてもらうことや、将来的なリスナーの“育成”を視野に入れて、小中学校生などを対象としたラジオ局での職業体験を実施するなどの動きもあり、様々に広がりが見られます。
今回の調査でラジオの魅力を聞いたところ、「テレビとはまた違い、タレントを身近に感じる。昔、自分のはがきが読まれたのが良い思い出」(50歳・女性)や、「他のメディアに比べて身近に感じられて、一緒に話に“入っている”ような雰囲気が良い」(35歳・女性)といったコメントが、ラジオ聴取暦が長い年代からだけでなく、「中学生の頃、部活のことで悩んでいたときに、地元の若者向けラジオ番組に相談を投稿したところ、親身になってとりあげてもらい、たくさんの他のリスナーからもアドバイスをもらったので勇気が出た」(18歳・男性)と、若年層からも多く見られました。また、「まだ聴いたことがない自分好みの曲を紹介してくれるDJやパーソナリティの存在が大きい。こういう存在を見つけると、ラジオが音楽好きにとってたまらないメディアであることを再認識できる」(44歳・男性)と、ラジオの魅力を改めて実感した声も目立ちました。
発信者をパーソナリティ、受信者をリスナーと呼ぶラジオならではの“文化”は、ラジオだからこそ演出できる距離感、身近さの表れでもあると言えます。コメントにも見られたように、ラジオならではの魅力は年代を問わず実感されており、そこにスマートフォンアプリやSNSといった要素が組み合わさることで、今後、新たな進化が期待できることが、改めて明らかになった結果と言えるでしょう。
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[調査概要]
・調査期間:2015年6月12日~6月14日
・調査方法:インターネット調査
・調査実施機関:楽天リサーチ株式会社
・調査対象:15~69歳 男女 500名
※性別に均等割付
※15~19歳 50名/20~29歳 100名/30~39歳 100名/40~49歳 100名/50~59歳 100名/60~69歳 50名
※スクリーニング調査において、「月に1回以上ラジオを聴く」と回答した方
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- 名称 トレンド総研
- 所在地 東京都
- 業種 広告・広報
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