TAS-102進行・再発の結腸・直腸がん患者を対象とする アジア臨床第Ⅲ相試験で全生存期間を有意に延長

大鵬薬品

大鵬薬品工業株式会社は、経口ヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤TAS-102に関して、アジアにおける進行・再発の結腸・直腸がん患者を対象とした臨床第Ⅲ相試験の速報結果が得られましたので、お知らせします。

2016年4月1日

大鵬薬品工業株式会社

TAS-102進行・再発の結腸・直腸がん患者を対象とする

アジア臨床第Ⅲ相試験で全生存期間を有意に延長

---アジア諸国での早期申請を目指す---

大鵬薬品工業株式会社(本社:東京、代表取締役社長:小林 将之)は、経口ヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤TAS-102(日本での製品名:「ロンサーフ(R)配合錠T15・T20」、一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩、以下「本剤」)に関して、アジア(中国、韓国、タイ)における進行・再発の結腸・直腸がん患者を対象とした臨床第Ⅲ相試験(試験名:TERRA)の速報結果が得られましたので、お知らせします。

本試験では、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん患者において、主要評価項目である全生存期間を有意に延長する結果が得られました。TAS-102の忍容性は概ね良好で、報告された副作用は過去の試験と同様でした。

なお、本試験の結果の詳細は、今後、国際的な学術集会にて公表する予定です。

大鵬薬品は、今後、アジア諸国での早期申請を目指し準備を進めてまいります。

【TERRA試験について】

本試験は、無作為割付・二重盲検・プラセボ対照の臨床第Ⅲ相試験で、中国、韓国、タイの3カ国から406名の患者登録がありました。対象は少なくとも2種類以上の標準化学療法(フッ化ピリミジン系薬剤、イリノテカン、オキサリプラチン)に不応となった治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん患者です。TAS-102の有効性を検証することを目的に、患者さんをTAS-102投与群又はプラセボ投与群にランダムに割り付けました。主要評価項目は全生存期間です。本試験は、Shanghai Tianyou Hospital/Fudan University Shanghai Cancer CenterのJin Li先生(中国)と、Asan Medical Centerの Tae Won Kim先生(韓国)、 Chulalongkorn University & The King Chulalongkorn Memorial HospitalのVirote Sriuranpong先生(タイ)の3名の研究代表者の主導により実施されました。

【進行・再発の結腸・直腸がんについて】

結腸・直腸がんの罹患率はアジアにおいて増加傾向にあり、死亡率も肺がん、肝がん、胃がんに続いて4番目に高いがんです。2012年にはアジアで33万1600人が結腸・直腸がんにより死亡したと報告されています(i)。

【TAS-102「ロンサーフ」について】

本剤は、トリフルリジン(FTD)とチピラシル塩酸塩(TPI)を配合した経口のヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤で、フルオロピリミジンとは異なる作用機序を有しています。FTDはDNAの複製時にチミジンの代わりにDNA鎖に取り込まれ、DNAの機能障害を引き起こして抗腫瘍効果を発揮すると推測されています。TPI はFTDの分解に関与するチミジンホスホリラーゼ(TP)を阻害し、FTDの血中濃度を維持します。

本剤は、日本では「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の適応症で大鵬薬品が販売、米国では「フルオロピリミジン療法、オキサリプラチン療法、イリノテカン療法や抗VEGF抗体療法、およびRAS野生型の場合は抗EGFR抗体療法の治療歴があり、遠隔転移を有する結腸・直腸癌」の適応症で、大鵬薬品の米国子会社である大鵬オンコロジー社が販売しています(ii,iii)。

また、2015年6月、大鵬薬品はフランスのセルヴィエ社と欧州・その他地域(北米・アジア以外)における本剤の開発および商業化に関するライセンス契約を締結しました。本契約に基づき、セルヴィエ社は欧州・その他地域において、TAS-102の開発と商業化を進めています。本剤は2016年2月25日に欧州医薬品庁(European Medicines Agency:EMA)の医薬品委員会(Committee for Medicinal Products for Human Use:CHMP)より、「フルオロピリミジン療法、オキサリプラチン療法、イリノテカン療法や抗VEGF抗体療法、および抗EGFR抗体療法を含む既存治療の施行後、またはこれらの治療法が適応とならない、遠隔転移を有する成人の結腸・直腸癌」を対象に承認勧告を受領した後、欧州委員会にて現在審議中です(iv)。

(i) WHO International Agency for Research on Cancer. GLOBOCAN2012. Colorectal cancer: estimated incidence, mortality and prevalence worldwide in 2012. http://globocan.iarc.fr/old/summary_table_pop-html.asp?selection=7967&title=Asia&sex=0&type=1&window=1&sort=2&submit=%A0Execute%A0   

(Accessed March 16th, 2016)

(ii)  FDA News Release. FDA approves new oral medication to treat patients with advanced colorectal cancer. 22 September 2015. Available at: http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm463650.htm Accessed March 2016

(iii)  Taiho Pharmaceutical News Release. Taiho's Lonsurf(R) (trifluridine and tipiracil hydrochloride) Tablets Approved in Japan for Treatment in Advanced Metastatic Colorectal Cancer. Available at: http://www.taiho.co.jp/english/news/20140324.html Accessed March 2016

(iv)  Committee for Medicinal Products for Human Use (CHMP) Summary of opinion. http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Summary_of_opinion_-_Initial_authorisation/human/003897/WC500202369.pdf

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