加齢黄斑変性治療薬候補「エミクススタト塩酸塩」の臨床第2b/3相試験、 最終被験者来院(LPLV)を完了

窪田製薬HD

2016年4月19日

アキュセラ・インク(Acucela Inc.)

(コード番号 4589 東証マザーズ)

加齢黄斑変性治療薬候補「エミクススタト塩酸塩」の臨床第2b/3相試験、 最終被験者来院(LPLV)を完了

 失明や視力低下をまねく眼疾患に対する治療、または疾患の進行を遅らせる革新的な治療薬・医療技術の探索および開発に取り組むアキュセラ・インク(本社:米国シアトル、会長、社長兼最高経営責任者:窪田良、以下「当社」)は、視覚サイクルモジュレーション技術に基づき開発した「エミクススタト塩酸塩」(以下、「エミクススタト」)の臨床第2b/3相試験(SEATTLE試験)の最終被験者の来院(LPLV)を終えたことをお知らせいたします。

 臨床第2b/3相試験(SEATTLE試験)は、地図状萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性に罹患する患者様508名を対象に実施してまいりました。主要評価項目は、エミクススタト投与群とプラセボ投与群との地図状萎縮進行遅延効果の比較で、副次評価項目には、安全性と忍容性、最高矯正視力の変化、ウェット型加齢黄斑変性の症状である脈絡膜新生血管生成に対する抑制効果が含まれます。この度、臨床第2b/3相試験(SEATTLE試験)における最後の登録被験者が24ヶ月の投与期間を完了し、最終来院を終えました。主要評価項目達成に関する評価となるトップラインデータにつきましては、今年6月に公表する予定に変更はございません。

 眼科医であり、当社会長、社長兼最高経営責任者の窪田良博士は次のように述べています。「エミクススタトを開発するマイルストーンにおいて、臨床第2b/3相試験の進捗についてご報告ができたことをとても喜ばしく思います。被験者としてご協力くださった患者様ならびに関係者の皆様に心から感謝しております。トップラインデータを報告できる日を楽しみにしております。」

尚、本件は2016年3月9日に開示された2016年12月期の業績予想には織り込み済みであり、業績予想に与える影響はございません。

                                 以上

◆エミクススタト塩酸塩について

 網膜には脳に映像を認識させるために光を電気信号に変える働きをする「視覚サイクル」と呼ばれる仕組みがあります。この視覚サイクルは明るい光や強い光に曝露されると有害副産物を生成します。これが長期にわたり消化されないまま蓄積されると、視覚サイクルの働きに支障をきたすだけではなく、網膜が損傷され、視力低下あるいは失明に至ると考えられています。

 エミクススタトは、この視覚サイクルに不可欠な酵素であるRPE65を抑制することで、視覚サイクル内のビタミンAの代謝率を低下させます。これにより、A2E(ビタミンA由来の有害副産物)産生が低下するので、網膜の健康維持に有用であると理論づけられています。エミクススタトは経口投与可能な非レチノイド系の低分子化合物です。新規化合物であり、視覚サイクルモジュレーションとしては世界で初めての薬剤候補です。非臨床試験において、エミクススタトは、有害副産物の蓄積、光障害によりおこる網膜変性、新生血管の増生のすべてを軽減することが証明されています。

 エミクススタトは当社と大塚製薬株式会社(以下、「大塚製薬」)が共同開発しており、米国においては共同販売し、日本を含むアジア、太平洋、中東、および北アフリカの一部は大塚製薬が独占販売権を保有し、欧州、南米、アフリカにおいては当社が独占販売権を保有しています。当社のエミクススタトは、地図状萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性に対する治療薬候補としてFDA(米国食品医薬品局)よりファストトラック認定を受けています。

 当社は、ウェット型加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、スターガート病などへエミクススタトの適応拡大を検討しています。

◆SEATTLE 試験(The Safety and Efficacy Assessment Treatment Trials of Emixustat Hydrochloride study)について

 SEATTLE 試験はエミクススタトの有効性と安全性をプラセボと比較する臨床第2b/3相試験であり、地図状萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性患者を対象とする無作為化二重盲検用量範囲探索試験です。本試験では508名の被験者がエミクススタト2.5mg、5mg、10mgまたはプラセボ投与群に割り当てられ、24ヶ月間にわたり1日1回の経口投与を行いました。有効性における主要評価項目は、眼底自家蛍光画像の測定を用いた、検査眼における萎縮病変総面積のベースラインからの変化の平均値です。副次的評価項目は、ベースラインから最高矯正視力変化の平均値と、その検査眼における脈絡膜新生血管の生成に対する抑制作用も含まれます。安全性と忍容性については、眼ならびに他の臓器で発現する有害事象、重篤な有害事象、眼科検査所見、バイタルサイン、身体検査所見、心電図所見、そして研究室での分析の結果により評価されます。

◆加齢黄斑変性について

 加齢黄斑変性とは、中心視力の低下を引き起こし、深刻なケースにおいては失明にいたる網膜疾患です。加齢黄斑変性には視機能の重要な役割を有する網膜の中心部(黄斑)の視細胞が損傷し萎縮するドライ型と脈絡膜新生血管を伴うウェット型があります。いずれも初期はドライ型を発症し、ドライ型のまま進行して地図状萎縮を引き起こすか、ウェット型へ移行します。最近では、ドライ型とウェット型が併発する症例も確認されています。現在、ウェット型の薬剤としては、眼内注射を用いた治療法がありますが、ドライ型にはFDAの承認を受け上市されている薬剤が存在しないため、アンメット・メディカル・ニーズとして対応が求められています。加齢黄斑変性は、米国においては50歳以上の中途失明の主要原因であり、世界で1億3500万人が罹患していると報告されています*1。

*1: Market Scope, The Global Retinal Pharmaceuticals & Biologic Market, 2015

◆アキュセラ・インク(Acucela Inc.)について

 アキュセラは、臨床開発段階の眼科医療ソリューション・カンパニーです。失明や視力低下をまねく眼疾患に対する治療、または疾患の進行を遅らせる革新的な治療薬・医療技術の探索および開発に取り組んでいます。当社独自の視覚サイクルモジュレーション技術に基づく地図状萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性の治療薬候補「エミクススタト塩酸塩」の共同開発を大塚製薬株式会社と進めております。アキュセラは、2016年に白内障や老視(老眼)の薬物治療を目的としたラノステロールの研究開発、ならびに、網膜色素変性症における視機能再生を目指すオプトジェネティクスに基づく遺伝子療法の開発を開始しました。

(ウェブサイト:http://www.acucela.jp

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