マーク・ウェバーが現役を引退し、ポルシェの特別アドバイザーに就任
ポルシェAGのLMP1 ワークスドライバーであるマーク・ウェバーは、FIA世界耐久選手権(WEC)の2016年シーズン終了と同時にプロフェッショナルレーシングドライバーを引退し、ポルシェの特別アドバイザーとなります。
2016/10/14
ポルシェAG
マーク・ウェバーが現役を引退し、ポルシェの特別アドバイザーに就任
ポルシェAG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:Dr. オリバー・ブルーメ)のLMP1 ワークスドライバーであるマーク・ウェバーは、FIA世界耐久選手権(WEC)の2016年シーズン終了と同時にプロフェッショナルレーシングドライバーを引退し、ポルシェの特別アドバイザーとなります。
11月19日に行われるバーレーン6時間がオーストラリア出身の現役世界チャンピオンにとってワークスドライバーとして最後の仕事になります。F1グランプリで9回の優勝経験を持つ彼には次なるキャリアが待ち受けています。40歳になるマーク・ウェバーは、彼自身のモータースポーツにおける豊富な経験を生かすために、国際モータースポーツイベントにおけるコンサルタントとして、シュトゥットガルトのスポーツカーメーカーに貢献することになっています。
この活動には、世界中にいる数多くの将来のプロフェッショナルドライバーの新しい才能を探し、トレーニングすることも含まれています。ウェバーは伝説的ラリードライバーであるヴァルター・レアル(69)とともに二人目の特別アドバイザーとなります。この両名はともにモータースポーツで多大な成功を収めており、ポルシェとの強い信頼関係を築いています。
ポルシェAGの社長、オリバー・ブルーメは、「マーク・ウェバーはスポーツマンシップ、耐久力、率直さ、成功へ向けての集中力などポルシェを代表するに相応しいものをすべて兼ね備えています。彼は常に人の話に耳を傾けて熟考する成熟した大人です。マークのWECにおける素晴らしいパフォーマンスに感謝すると同時に、ポルシェが彼との密接な関係を今後も続けられることを嬉しく思います」。
LMP1担当の副社長であるフリッツ・エッツィンガーは、彼の引退を惜しんでいます。「すでにLMP1プログラムの重要な開発段階においてマークは経験をフルに生かして我々チームの強化に貢献し、一員として溶け込んでいます。ドライバーとしても彼は実にフェアな精神の持ち主であり、サイドバイサイドのバトルでも一切臆することはありません。その一方で戦略をよく理解し、チームの利益を優先してくれました。この絶妙なバランスが耐久レースドライバーとして貴重な存在でした。ティモ・ベルンハルト/ブレンドン・ハートレーとともに2015年のドライバー選手権を獲得したことは、その意味で当然の帰結だったといえるでしょう。彼のパフォーマンスによって、私達は2016年もマニュファクチュアラー/ドライバーいずれの選手権を獲得したいと考えています」。
現時点でポルシェチームは両選手権においてトップの地位にいます。マニュファクチュアラー選手権で238ポイントリードしています(アウディ=185、トヨタ=137ポイント)。ロメイン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブ組はアウディのリーダーチームを37.5ポイント上回っています。残りレースは3戦です。
「私は居るべきところに到達したのです」マーク・ウェバーはこう述べます。「ポルシェは常に私が最も愛するブランドであり、私自身にも馴染んでいます。エレガントでありながらパフォーマンスに優れ、しかも控えめなとも言える911はまさに生きる伝統です」。彼はこう続けます「私は本当のハイスピードやダウンフォース、そしてバトルの世界から離れることを寂しく思いますが、衰える前に現役を去るつもりでいましたし、次に控えている新しい任務を楽しみにしています」。
マーク・ウェバーはプロフェッショナルドライバーから引退する必要性はまったくありませんでした。彼のラップタイムは今もトップクラスにあり、その経験は他に得難いものでチームメイトとも非常に良好な関係を築いています。ウェバーはF1で成功を収めた後も何をすべきか知っていました。「F1からLMP1への挑戦はまったく新しい経験でしたが、それは私にとってちょうど良いタイミングでもありました。ティモやブレンドンと1台のマシーンをシェアすることによって特別なものが生まれるプロセスは忘れがたいものです。バーレーンで最後に919ハイブリッドに乗り込むときには複雑な感情になるかもしれませんが、今はただ残るレースのすべての瞬間を心からエンジョイしようと考えています。」
勇敢なオーストラリア:マーク・ウェバー・ストーリー
1991年以降、マーク・ウェバーの生活すべてはレースに捧げられました。カート、フォーミュラ フォード、F3、F3000、そしてF1では215戦に出場し、9回の優勝と42回の表彰台を経験するという素晴らしい成績を収めました。2013年、彼はポルシェワークスチームに所属し、ティモ・ベルンハルトやブレンドン・ハートレーととともに919ハイブリッド・ルマン・プロトタイプで激しい戦いを繰り広げ、2015年には早くもFIA世界耐久選手権チャンピオンを獲得しました。高い人気を持つオーストラリア人にとって2016年は変化の年となりました。初夏には長年のパートナーであるアンと結婚し、8月27日には40歳を迎え、そして2016年シーズンの終了とともにプロフェッショナルレーシングドライバーから引退し、ポルシェの特別アドバイザーという新しい責務を負うことになります。
ウェバーは率直な人間であり、自分自身に素直な人間です。自伝「Aussie Grit(オーストラリアの勇気):私のF1への旅」は2015年に出版され、自身のキャリアについて深い洞察をしています。彼は19歳の時、ニュー・サウスウェールズのクエアンベヤンにある家を出て明確な道へ向けて走り始めました。レーシングドライバーとしてのキャリアを積むべくイギリスに移住したのです。当時はスポンサーを持たないその他大勢のドライバーのひとりでしたが、彼には生来の才能がありました。彼は権威あるブランズハッチのフォーミュラ・フォード・フェスティバルのF3とF3000で優勝し招聘を受けたメルセデスのスポーツカープログラムから参戦した1999年シーズンのル・マン24時間は、ひとつのハイライトとなりました。
ウェバーの乗るマシーンとチームは最有力候補でしたが、車のエアロダイナミクスは極めて敏感で予選だけでなくウォームアップセッションでもバックフリップを起こしました。彼はこのドラマティックな2回のクラッシュでも無傷で生還しましたが、キャリアは終わるかのように見えました。しかしこれがきっかけとなって彼はベネトンのテストドライブに参加することになり、わずかな期間で、2001年のリザーブドライバーの座を手に入れたのです。
ウェバーのF1デビューは記憶に残るものでした。2002年、彼は戦闘力の劣るミナルディのステアリングを握りホームレースであるメルボルングランプリにおいて5位でフィニッシュしたのです。2005年には当時のBMWウィリアムズF1チームで初めての表彰台を獲得し、参戦131 戦目にあたる2009年のドイツグランプリにおいて、レッドブルレーシングで初勝利を飾りました。また2010年、2012年にはモナコグランプリで優勝を遂げています。
年齢を重ね成熟したウェバーが15年ぶりにサルテサーキットへ戻ったのは2014年のことでした。数々のトラブルに見舞われた1999年の思い出は過ぎ去ったかのようでしたが、一方で勝利への欲望が彼を飲み込もうとしていました。残り2時間、2位を走っているときに起きたパワートレインが発する異音が夢を打ち砕いたのです。再びティモ・ベルンハルト/ブレンドン・ハートレーと組んで919ハイブリッドで臨んだ2015年にはレース序盤1/3をリードしていましたが、ペナルティによって順位を下げてしまいました。このトリオは猛チャージを繰り広げ2位を獲得しました。そして2016年はウォーターポンプのトラブルが、ウェバーとチームメイトの優勝を阻むことになりました。
最大の栄光は2015年11月、バーレーンの感動的なフィナーレでした。マシーンの両方のスロットルレバーが壊れ、フルスロットルに固定する必要に迫られました。919はたぐいまれなエンジニアリング技術と超人的なドライバーの感覚によってフィニッシュすることができました。タイトル獲得は大きな賭けでした。「ティモ、ブレンドンと共にポルシェを駆って私にとって初のワールドチャンピオンを獲得したことは最高の経験でした」ウェバーはこの偉大な成績について語るとき、チームメイトの名を挙げないことはありません。
彼とポルシェの密接な関係は決して新しいものではありません。ティーンエイジャーのころ彼は友人から911を借りたことに始まり、初めて購入したポルシェはターボモデルでした。現在の彼のコレクションは918スパイダーや911R、GT3RS、911GT2RS、911GT3RS4.0、1954年型356カブリオレ、そして1974年型2.7カレラとなっています。
データ
誕生日: 1976年8月27日
出身地: クエアンベヤン(オーストラリア)
国籍: オーストラリア
居住地: バッキンガムシャー(イギリス)
身長/体重: 1.83 m/76 kg
婚姻区分: 既婚(アン夫人)
趣味: スポーツ全般、マウンテンバイク、ヘリコプター操縦
ウェブサイト: www.markwebber.com
Twitter: @AussieGrit
キャリア
2016 ポルシェ ワークスドライバー(WEC LMP1クラス)
ニュルブルクリンク、メキシコシティ、オースティンで優勝
2015 ポルシェ ワークスドライバー(WEC LMP1クラス)
ドライバー選手権優勝(ベルンハルト/ハートレーと共に)
4勝(ニュルブルクリンク、オースティン、富士、上海)
ポールポジション3回、ル・マン24時間2位
2014 ポルシェ ワークスドライバー(WEC LMP1クラス)
シルバーストーン、富士、バーレーンで3位サンパウロでポールポジション獲得
2013 F1世界選手権 年間ランキング3位(インフィニティレッドブル レーシング)
2012 F1世界選手権 年間ランキング6位(レッドブル レーシング)モナコ、シルバーストーンで優勝
2011 F1世界選手権 年間ランキング3位(レッドブル レーシング)サンパウロで優勝s
2010 F1世界選手権 年間ランキング3位(レッドブル レーシング)バルセロナ、モナコ、シルバーストーン、
ブダペストで優勝
2009 F1世界選手権 年間ランキング4位(レッドブル レーシング)ニュルブルクリンク、、サンパウロで優勝
2008 F1世界選手権 年間ランキング11位(レッドブル レーシング)
2007 F1世界選手権 年間ランキング12位(レッドブル レーシング)
2006 F1世界選手権 年間ランキング14位(ウィリアムズF1チーム)
2005 F1世界選手権 年間ランキング14位(BMWウィリアムズF1チーム)
2004 F1世界選手権 年間ランキング13位(ジャガーレーシング)
2003 F1世界選手権 年間ランキング10位(ジャガーレーシング)
2002 F1世界選手権 年間ランキング16位(KL ミナルディ アジアテック)
2001 F3000 年間ランキング2位(3勝)ベネトンルノーF1テストドライバー
2000 F3000 年間ランキング3位(EFR/アロウズ、1勝)アロウズF1テストドライバー
1999 FIA GT 選手権(AMG メルセデス、ル・マン24時間を持って離脱)
1998 FIA GT 選手権年間ランキング2位(AMG メルセデス、 5 勝)
1997 イギリスF3 年間ランキング4位 (1勝)
1996 イギリス フォーミュラーフォード 年間ランキング2位 (4勝)
ブランズハッチでのFフォードフィスティバルで優勝
1995 オーストラリア Fフォード 年間ランキング4位
ブランズハッチでのFフォードフィスティバルで3位
1994 オーストラリア Fフォード でデビュー
1991-1993 レーシングカート
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 ポルシェジャパン株式会社
- 所在地 東京都
- 業種 輸送用機器
- URL http://www.porsche.com/japan/jp/
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