農林水産業みらい基金 2017年度助成対象事業の決定について
わたくしたち農林水産業みらい基金は、このたび2017年度における助成対象事業を決定いたしました。 全国各地より計79件のご応募を頂き、頂いた申請について厳正な審査を行った結果、本年度の助成対象事業として合計9件(前年比±0件)・助成総額6億7,636万円を決定しました。
2017年12月11日
農林水産業みらい基金
農林水産業みらい基金 2017年度助成対象事業の決定について
本年度の助成対象事業として合計9件・助成総額6億7,636万円を決定
わたくしたち農林水産業みらい基金は、このたび2017年度における助成対象事業を決定いたしました。
農林水産業みらい基金では、「農林水産業と食と地域のくらしへの貢献」に向けて、「創意工夫にあふれた取組みで、直面する課題にチャレンジしている地域の農林水産業者へのいま一歩の後押し」を行うための助成活動を行っております。
2017年6月2日から7月31日まで一般公募を行いましたところ、全国各地より計79件のご応募を頂きました。多数のご応募を頂きましてありがとうございました。
今回、ご応募頂いた申請について厳正な審査を行った結果、本年度の助成対象事業として合計9件(前年比±0件)・助成総額6億7,636万円を決定しました*。
助成対象事業は別紙のとおりです。
今後、助成対象事業に対する資金助成とともにそれぞれの取組みを広く紹介して参ります。
来年度につきましても、募集要項の見直しを行いながら、農林水産業の発展に向けた助成事業を行ってまいりますので、今後ともよろしくお願いします。
以 上
*申請額ベースの金額であり、実際の助成金額と異なる場合があります。助成対象事業1件あたりの最大助成額は2億2,091万円、最小助成額は900万円です。
2017年度 助成決定事業
■助成先①(農業)
事業主体 農業生産法人 有限会社 伊盛牧場
プロジェクト名 草地再生プロジェクト
事業地 沖縄県 石垣市
・このプロジェクトは、石垣島での畜産や酪農経営に欠かせない牛の粗飼料の生産基盤となる草地を再生させることで、飼料の島内自給を進める取組みです。
・草地の更新には、粘性の高い島の土壌の特性から時間、労力、費用が嵩み作業が進まず、牧草の生産性低下を招くとともに、土壌が固くなり水の浸透性が悪化し、降雨時の鉄砲水の発生要因にもなっていました。
・そこで、このプロジェクトでは、県や市と連携し実証を進めてきた、「心土破砕技術」を用いた草地更新を島内で展開していきます。心土破砕は、従来のように草地圃場全面を耕起せず、鋤を掛ける要領で根切りを行う簡易更新手法であり、時間、労力、費用面で従来手法に比べ優れる一方、更新後は牧草の収量が増加することが確認されています。
・今回の事業では、本格的な展開に向けて、専門家の知見も活用しながら、必要機器の導入や、オペレーターの育成を行っていきます。
・これにより、牧草の自給率を高め、島内の牛飼養頭数の増頭を可能にするとともに、鉄砲水による隣接さとうきび畑の赤土の流出で、海中に生息する珊瑚に被害を及ぼすといった地域課題への解決も目指していきます。
■助成先②(農業)
事業主体 認定NPO法人 遠野山・里・暮らしネットワーク
プロジェクト名 インバウンドの流れを東北へ、被災地へ!!
事業地 岩手県 遠野市
・当法人は、遠野市でグリーンツーリズム活動に14年間取り組んできたNPO法人です。
・このプロジェクトは、食・農・手業などを体験できる「マヨヒガの郷(立ち寄り農家)」をはじめとするコンテンツの充実やワンストップ窓口「旅の産直」機能創設による国内外の送客の仕組みづくりを行うことで、都市農村交流をさらに一歩進めることを目指すとともに、農家の所得向上と生きがいづくりにつなげます。
・そして、県内の各種団体と広域に連携し、県南地区の被災地を対象としたメニュー・コンテンツづくりも計画するなど復興支援に向けた取組みも行っていきます。
・当法人が設立以来、地域活性化に取り組んできた経験から、いま一歩取組みを進め、「そこに暮らす人々の暮らしぶりが感動を呼ぶ」といった着眼点を新たに追加。この新しい日本のグリーンツーリズムの姿を実現させ、国内旅行の新たな文化づくり、東北へのインバウンドの流れづくりに取り組みます。
■助成先③(農業)
事業主体 ネットワーク大津 株式会社
プロジェクト名 水田や集落を守る大規模営農法人による自給飼料活用型TMR飼料供給プロジェクト
事業地 熊本県 菊池郡 大津町
・当社は地元12の集落営農組織を広域ネットワーク化し300ha以上の経営面積を有する県内最大級の集落営農法人であり、主食用米や大豆に加えて、近年では、飼料用米など牛の飼料原料の生産に取り組んでいます。
・このプロジェクトは、作付した飼料用米等を用いて当社自らがTMR飼料(混合飼料)を製造し、県内有数の畜産地帯である当地域の畜産農家への供給を行うことで、持続可能な水田の維持と畜産自給飼料基盤の構築を目指していきます。
・今回の事業では、熊本地震による影響も克服しながら、飼料製造プラントを設置し、ノウハウの積み上げも行っていきます。
・県やJA、畜産農家とも協働し、地域一体となった耕畜連携により、主食米生産での所得確保に厳しさの増す稲作経営と海外飼料に依存し飼料コスト高に圧迫される畜産経営の課題解決に取り組んでいきます。
■助成先④(林業)
事業主体 株式会社 浄法寺漆産業
プロジェクト名 1000年後の未来へ繋げる、漆採取のイノベーションによる漆生産の効率化
事業地 岩手県 一関市
・当社は、岩手県で漆苗木生産から漆の採取、精製、漆器販売まで一貫して手がけています。このプロジェクトは、新技術を用いた漆採取と、新たな漆産地づくりを行う事業です。
・現在、国内で使用される漆の約98%は中国からの輸入であり、国産は僅か2%程度となっており、うち7割が岩手県で生産されています。こうしたなか、国宝・重要文化財建造物の修理修復について、国産漆を原則として使用する方針が国から示され、現状の生産体制では需要に対応できないといった状況が生じています。
・そこで、このプロジェクトでは、県・市などの行政や地域関係者、大学教授と連携し、漆採取にあたって、新たに「衝撃波破砕技術」を導入し生産性を高めるとともに、伝統的な漆生産地である岩手県二戸市浄法寺地区に加えて、一関市大東地区を拠点に植栽地を集団化し、苗木の生産、植栽を進め、新たな漆産地づくりを目指します。
・衝撃波破砕法を活用した漆採取では、人の手による漆掻きと比べて採取量が増加し、かつ濃度の高い漆採取がなされる実証結果も出ています。今後は、新技術の本格展開による漆採取量の増加を図るとともに、苗木の生産・植栽を進めることで、漆の計画的・安定的な生産による漆産業の復活を目指していきます。
■助成先⑤(林業)
事業主体 登米町森林組合
プロジェクト名 山がみえるサプライチェーンマネジメント・プラットフォームの構築~東日本大震災からの創造的再興~
事業地 宮城県 登米市
・このプロジェクトは、森林現況・素材・施業情報を一元管理できる統合システムを構築し森林GIS(地理情報システム)と連動させた地元産出木材のトレーサビリティの確立と、広葉樹の商品開発・販売強化による広葉樹林の更新を進める取組みです。
・当組合のある登米市では、市有林約3,800haについて、持続可能な森林管理の国際基準である森林管理協議会の認証(FSC-FM認証)を取得済みです。当組合自身も、森林からの産出木材に未認証材が混入しない管理態勢を構築し、同協議会から加工・流通過程の国際認証(FSC-CoC認証)を既に取得しています。
・こうしたなか、今回のプロジェクトは、素材流通にかかるデータの一元管理化といった流通管理態勢のさらなる高度化と、登米市産木材の価値向上、省力化により、森林所有者の手取り向上も目指しています。
・また、当組合では震災後、ナラ材を学童机用天板として開発し、市内の全小中学校へ配置する取組みを行ってきました。今後、広葉樹を活用した商品開発・販売強化に取り組むことで、原発事故の影響で地元広葉樹が椎茸原木として使用できない状況を打破すべく、広葉樹林の更新を進め、原木椎茸生産の本格再開を目指します。
■助成先⑥(林業)
事業主体 松阪飯南森林組合
プロジェクト名 地域雇用拡大に向けた原木、菌床きのこ一貫生産システムの構築
事業地 三重県 松阪市
・当組合は、管内山林の森林施業(林業を行ううえで必要な作業)に加え、菌床栽培用オガ粉の製造販売とシイタケを中心とするきのこ菌床の販売を手掛けてきました。
・今回のプロジェクトは、市場ニーズの高いきのこ菌床事業を強化するとともに、菌床生産に必要となる広葉樹原木の確保に向けて、計画的な広葉樹造成に取り組みます。
・当組合ではこれまで、GISを活用したゾーニングを行い、管内山林の森林経営計画の策定とそれに基づく施業を進めてきました。その一方で、管内の山林は、原木価格の低迷や後継者不足から、伐採後に再造林がなされず未植栽地が増加している状況にあります。
・こうした状況を打破し再造林に繋げるために、広葉樹の出口対策としてきのこ菌床事業を強化するとともに、未植栽地への広葉樹の植栽を進め、山林の循環を主眼とする原木・菌床きのこ一貫システムの構築に取り組んでいきます。この取組みにより、地域林業の活性化を目指すとともに、地域山林の再生や新たな雇用創出を目指します。
■助成先⑦(水産業)
事業主体 一般社団法人 浦戸夢の愛ランド
プロジェクト名 ふるさと愛ランド~牡蠣養殖の後継者育成~
事業地 宮城県 塩竈市
・このプロジェクトは、浦戸諸島の一つである桂島で、震災や高齢化により担い手が減少する牡蠣養殖業を存続させ、新たな後継者育成を行う取組みです。
・当法人は、島内の過疎化、高齢化が東日本大震災の影響で加速するなか、漁業体験ツーリズムの実施や全国のボランティアと協働した海岸整備活動などにより交流人口の増加を図るなど、島内活性化に向けた取組みをこれまで行ってきました。
・こうしたなか、島内の主要産業の一つである牡蠣養殖業は、震災後生産者が減少しており、島内の現役生産者や引退した元生産者など関係者と協力し、後継者の確保、育成を目指すものです。既に男性1名が桂島に移住し、昨年から牡蠣養殖見習いを開始しており、今後も新たな担い手確保に向けた誘致活動を行いながら、後継者育成を目指していきます。
・震災により全国の漁村に先駆けて、担い手の減少といった課題が顕在化している離島の漁村において、生業(なりわい)の持続に向け取り組むとともに、島内全体の地域活性化を目指しています。
■助成先⑧(水産業)
事業主体 株式会社 オクター
プロジェクト名 川釣りの定番、遊漁券オンラインアプリ『FISHPASS』
事業地 福井県 全域
・当社は、内水面漁協が釣り人に販売する遊漁券のオンライン販売、GPS機能を応用させた釣り人の監視、防災機能や情報受発信機能を備えたアプリを実用化し販売する事業に取り組んでいます。
・これまで渓流釣りなど河川で釣りを行う場合、釣り人は、河川を管理する内水面漁協の事務所や地元商店など販売窓口まで出向き、紙の遊漁券を購入する方法しかなく、釣り人にとって不便であり、遊漁券を購入せず釣りを行うケースも見受けられました。
・その一方、内水面漁協では、管轄河川の整備や安全面も含めた釣り人の監視業務に労力を割かれるなかで、釣り人の減少もあり収入は減少、厳しい経営環境にあります。
・こうしたなか、このプロジェクトは、実証段階で効果も示されている遊漁券オンラインアプリ「FISHPASS」の県内外の内水面漁協への導入、本格展開へと押し上げる取組みです。
・単なるオンライン販売に留まらず、購入者位置情報をGPS機能の応用技術により把握することで、漁協による釣り人の監視業務が大幅に効率化されるとともに、釣り人への河川の増水情報の発信といった防災機能も提供。釣り人のいる近隣宿泊施設や飲食店の広告を発信することで利用者が増加するといった地域経済の底上げにもつながるなど、幅広い効果の発揮を目指します。
■助成先⑨(水産業)
事業主体 有限会社 土佐佐賀産直出荷組合
プロジェクト名 「つくる・つながる・つたえる」資源活用モデル事業
事業地 高知県 幡多郡 黒潮町
・当社は、代表者をはじめ従業員の大半を女性が占める水産加工会社です。
・これまで、黒潮町の定置網で獲れる海産物を中心に、女性目線の商品開発と、化学調味料・食品添加物・保存料は一切使用しない、手作業のみの丁寧な加工による製品化を行い、付加価値の高い商品販売を行ってきました。
・このプロジェクトは、これまでの取組みをさらに進めるべく、需要に対応する加工能力の向上に取り組みます。当社は地元定置網組合などから豊漁時の買取りや未利用魚の活用について相談されることも多く、原料販売先としての地域の信頼も厚いなか、ボトルネックとなっていた冷凍冷蔵設備の整備により、生産者の所得向上といった地域水産業への貢献につなげます。
・これに加えて、農家・漁師・料理に自信のある女性・ネットスキルを有する若者・学生など、
“人財”を融合させた「土佐黒潮フィッシュガールLABO」を開設し、さらなる商品開発と地元商品の全国への発信を行っていくことも目指します。
・定置網組合など水産団体や行政、高知大学と連携するなど、地域漁業と密に手を携え、地域との調和を大切にした取組みのもと、市場性の高い事業モデルの構築と、安定的な地域活性化に取り組んでいきます。
2017年度申請・助成件数
件数 (前年度) (前年比)
助成申請受付<合計> 79件 47件 +32
産業別 農業 46件 31件 +15
林業 18件 9件 +9
水産業 15件 7件 +8
地域別 北海道・東北 23件 14件 +9
関東・甲信越 16件 13件 +3
東海・北陸・近畿 12件 6件 +6
中国・四国 8件 9件 △1
九州・沖縄 20件 5件 +15
助成対象事業合計 9件 9件 ±0
以 上
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 一般社団法人農林水産業みらい基金
- 所在地 東京都
- 業種 各種団体
- URL https://www.miraikikin.org/
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