東京経済大学ニュ―ス Vol.11
2018年4月12日
東京経済大学
東京経済大学ニュ―ス Vol.11
東京経済大学ニュ―ス Vol.11
特集1 岡本英男東京経済大学新学長に聞く 新体制下で東京経済大学が目指すもの
特集2 スペシャル対談 AIのスペシャリスト西垣通×環境のスペシャリスト南川英樹 「文系のゼミ教育が目指すべきもの」
東京経済大学ニュ―ス Vol.11の内容を一部抜粋してお送りします。
すべての内容につきましては、添付のリリース全文ファイルをご覧ください。
※東京経済大学Webサイト:http://www.tku.ac.jp/
特集1
岡本英男東京経済大学新学長に聞く 新体制下で東京経済大学が目指すもの
岡本英男 (おかもとひでお) (東京経済大学新学長)
2018年4月1日付で、岡本英男経済学部教授が東京経済大学新学長に就任しました。2020年に迎える創立120周年に向けて「東経大チャレンジ2020」を掲げ、全学を挙げて学生の能力の最大化に努めているなか、岡本新学長の体制下で本学が目指すものについて話を聞きました。
●「アカデミズムに裏打ちされた実学」を武器に、独自の地位を築く
最大の目標は、社会から「東経大は教育力がある大学」という評価を確立することです。教養やアカデミズムを重要視した「アカデミズムに裏打ちされた実学」として大学全体を改革していこうと考えています。それは、社会での活躍に直結する実学だけではなく、人としての教養、すなわち自然科学や哲学、語学などを兼ね備えた、人としての幅を持った人材を育成したいということです。
なぜ「教育力」を前面に出すかと問われると、本学の教員の「研究力」は相当高いレベルにあると考えており、その「研究力」は「教育力」と密接に関係していると考えているからです。教員が真摯(しんし)に研究に向き合い情熱を持って学生と接することで、自然と学生たちも意欲的に学ぶことができるはずです。「東経大は教育力がある大学」を言葉にし、まずは教員・職員・学生に浸透させ、社会的にもそのような評価が得られるように働きかけていきたいと思っています。
●名実ともに多摩地域を代表する「誰もが認める存在感のある大学」へ
また東京経済大学は、大学としてグルーピングされたり、偏差値の序列や大学の規模感によって左右されない確固たる独自の地位を築き、「誰もが認める存在感のある大学」であるべきだと考えています。
その点で、もうひとつの目標は「名実ともに多摩地域を代表する大学」にすることです。狭い意味に聞こえがちですが、東京西部に位置し人口も多く経済活動領域も広い多摩地域には、一橋大学をはじめとする優良な名門大学が多数位置しており、その中でも武蔵野・多摩を代表する、誰からも評価される大学になりたいと思っています。さらに単に名前だけでなく実力も評価されるために、学生にきちんとした教育を提供し就職につながる大学であるべきと考えています。単に就職するということではなく、自分が選んだ就職先で10年20年と年月を重ねるうちに評価され尊敬される人材、長期にわたり活躍できる人材を輩出するということです。
本学は在学生約6500人規模の大学で、非常に地道で堅実な教育で確固たる地位を築いていると考えていますが、さらにその地位を強化し社会的に意義のある別格の存在感を放つ大学にしたいと考えています。
●「東経大70周年の精神」を忘れずに
1900年大倉商業学校の開校から数え、2020年に創立120周年を迎える東京経済大学ですが、その前年の2019年は東京経済大学となって70年目という節目の年でもあります。戦前は、大倉財閥が庇護(ひご)する赤坂の一等地にあり順調に発展してきましたが、1945年5月に赤坂の校舎が爆撃を受け国分寺に移転してきました。同時に大倉財閥が解体となり、無一文の中で大学に昇格するために当時の授業料に相当する額を学生たちが寄付することを学生大会で決議し教員たちもそれに協力、一致団結して大学に昇格させた活動こそが東京経済大学としての原点です。
様々な困難をチームで乗り越える一体感こそが東経大精神の原点だと考えています。今後、少子化などで大学の置かれた環境は必ずしも万全ではありませんが、少々の困難があってもただ生き残るのではなく「大学らしい大学」として存続することに意義があると考え、本学の原点を忘れないでいたいと思っています。
そして本学特有のリベラルな雰囲気こそ大学があるべき姿と考えています。これからは、そのような大学であること自体、希少価値になるのかもしれないと思っています。生き残るために何でもやればいいのではなく、高等教育機関としてふさわしい形で残っていく必要があるのではないでしょうか。
●さらに「地域に開かれた大学」へ
地域連携や社会貢献にはもっと取り組むべきだと考えています。構想段階ではありますが、4学部と教養科目が一体になって多摩地域を研究するプロジェクトを行いたいと思っています。地域経済や社会保障、社会福祉などの経済系、地域研究、中小企業研究などの経営系、社会学などのコミュニケーション系、タウンづくり、行政などの法学系といった研究分野を大いに活用し、地域に関しては東経大が一番「研究力」があると言われるようになりたいと願っています。長期的に広い意味で多摩に関わり、最終的には政策提言まで行い、それを担う人材も輩出できるということが理想だと考えています。国分寺市や市民団体と連携を密にし、今までの関係を保守するだけでなく新しい面も積極的に築いていきたいと思っています。
特集2
スペシャル対談 AIのスペシャリスト西垣通×環境のスペシャリスト南川英樹
「文系のゼミ教育が目指すべきもの」
2020年に創立120周年を迎える本学では、記念事業の一環として特設サイトを設置し、各分野で活躍する本学教員のスペシャル対談を企画しています。その第一弾として、人工知能の研究者である西垣通コミュニケーション学部教授と元環境事務次官の南川英樹経済学部客員教授が、それぞれの経験を基に、文系教育に求められることについての対談を掲載予定です。
西垣(にしがき) 通(とおる) (コミュニケーション学部教授)
日立製作所でOS・ネットワーク・データベースの研究に携わった後、東京大学で博士号を取得したAI研究の第一人者。最近の著書に「ネット社会の『正義』とは何か 集合知と新しい民主主義」(角川選書)、「ビッグデータと人工知能」(中公新書)などがある。
南川(みなみかわ)秀樹(ひでき) (経済学部元客員教授)
環境省で自然環境局長、地球環境局長、官房長、地球環境審議官、環境事務次官を経て、一般財団法人日本環境衛生センター理事長を務める。
AI時代の「文系」「理系」
「AIに仕事が奪われる」という予測は、常識となりつつあります。様々な捉え方はありますが、AIが社会に欠かせない重要なパーツになり、AIを支えるテクノロジーが巨大な産業になろうとしているのは間違いないでしょう。誰もがこれまで以上にテクノロジーを意識せざるを得ない今、「文系」「理系」の垣根はどう変わっていくのでしょうか。
●日本ほど「文系」「理系」の壁が厚い国はない
――西垣先生はAI研究が専門で小説も書かれていて、南川先生は環境という文理の境目が曖昧な専門ということで、お二人ともかなり文理融合的だと感じるのですが、「文系」「理系」という分け方についてどう思われますか?
西垣 私の印象ですが、先進国の中で日本ほど「文系」「理系」の間の壁が厚い国はないのではないでしょうか。例えば学際的な国際会議に出た場合、欧米からの出席者はリベラルアーツのベースを持っていて文理両方の見識がある人が多いのです。ところが、日本にはとても少ない。
これから日本が世界をリードする役割を果たすために、これは非常に大きな欠点となります。既に開拓されている分野なら、「文系」「理系」をそれぞれ専門に勉強していれば十分だと思いますが、根本的に新しいものを作るのであれば、両方について見識がなければなりません。つまり「文系」「理系」という分け方は、よくないと考えています。
南川 私も同感です。「文系」「理系」という分け方、ひいては「この人は、この分野の専門家である」というレッテルを貼って分けすぎるのはよくない。
18世紀半ば、イギリスは産業革命で世界をリードしました。技術革新の背景にはニュートンの数学やアダムスミスの経済学があったのですが、その頃の研究者には「文系」「理系」というくくりはなかったのです。研究者たちは様々な分野の研究を頭の中で融合させて、世の中に出し、それが産業革命を起こした。
西垣 産業革命のときと同様、いま脚光を浴びているロボットやAIなどの最先端分野について考えると、それらの理論や応用は必ず文系と理系の両分野にまたがっていくはずです。
●文系が武器にすべきものは「大局観」
――日本は専門を決めすぎるところがある、と。特に今の日本の学生は就活があるので、「ひとつ専門を決めてアピールポイントにしたい」という気持ちがあるかもしれませんね。
西垣 様々な分野をカバーして多角的に物事を考える視野の広さは、科学技術の発展に不可欠なのですけどね。「文系」「理系」の融合の必要性はとても高いのに、残念ながら日本の教育制度では高校の時に両者を分けてしまう。
南川 あえて「文系」「理系」を分けるのであれば、「文系」の強みを発揮できるようにしなければなりません。いま教えている学生たちには「大局観」を持てるようになってほしいと考えています。
――「大局観」というと、将棋で状況把握や形勢判断をする力のことですよね。
南川 社会全体を見据えて判断する力や、苦しい時に乗り切っていけるような心理的なタフネスなどの広い意味ですね。
西垣 大事ですね、「大局観」。世間では、文系は理系に比べ専門性が弱いと言われます。しかし、専門を極めすぎることの弊害もあります。
南川 文系の人間には柔軟性が必要ですよね。それに多少の図々しさと、あまり細かいところにだけ固執しないこと。文系だから、理系だからというところにも固執すべきではないですね。文系でも苦手意識を持たずに、ベーシックな科学の知識は持たなければ。
西垣 文系の人間は理系の詳細な専門知識は知らなくてもいいんです。しかし、技術をうまく使うためには、基本的なことを知っておかなくてはならない。
文理融合というのは、文系の人間と理系の人間が仲良くすればよいということではありません。理系は文系に、文系は理系に興味を持ち、相互に交流していくことが重要です。
●技術だけでは足りない、現実的な問題解決のために
――基礎的な研究を応用して、社会に導入する段階で文理融合的な考え方が必要になるように感じます。
南川 私が取り組んできた環境問題においても、文理融合的な考え方が必要でした。ゴミ問題を解決するにしても、ゴミ処理の技術の他に経済的な手法が必要になります。新しい技術が出てきたときにも、その技術のネックはどこにあるか、それを使って何をブレークスルーできるか、と考えるためには文理融合していないと解決策が出ないんです。
しかも、環境はワールドワイドな問題です。地球の環境というものは世界全人民の共有地的なものですから、誰かが我慢すればよいわけではなく、みんなが少しずつ約束を守ることで初めてコントロールできる。社会の動きに左右されることなので、環境問題を解決へ導くためには、新しい技術と広い視野の両方が必要ですね。
――確かに世界全体の問題を解決するとなると、人の気持ちや損得も無視できない課題です。こういった現実に向き合う時に「大局観」が問われますね。
西垣 AIの世界でも、テクノロジー自体だけでなく倫理観が問われています。いまから30年ほど経てば、AIが人間よりも賢くなる「技術的特異点」が訪れるという極端な意見さえあるのですから。
人間の補助を行うAIロボットが当たり前になり、社会に影響を及ぼすようになった時、私たち人間は倫理的主体としてどうあるべきか。社会的正義についても考え直さなくてはならないでしょう。
南川 何が正義かは、とても難しい問題ですよね。今では当たり前になり、便利なものとして受け入れられているGoogleストリートビューも、以前はプライバシーにおいて賛否両論ありました。
人間が生きて行く上で、物事との距離感は非常に大事ですから、何でもテクノロジーの発展に任せるのはよくないですね。
西垣 AIが活躍するためのデータ集めも、どこまでやっていいかという大問題がありますね。先端テクノロジーには必ず良い面と悪い面があるので、その中身について基礎的な見識を身につけて、上手な使い方について考える必要がある。文系の教育目標のひとつかもしれません。
※このインタビュー記事は、東京経済大学120周年記念サイトで近日中公開予定。
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■東経大インフォメーション
◇Information 1
大学進学を考える高校生に向けた学部選びの指南書「ガクブック」
時代に合わせリニューアルした改訂版を無料配布
東京経済大学では、大学進学を意識し始めたものの大学や学部選びに迷う高校生と保護者、高校の教員などを対象とする大学・学部選びガイド「ガクブック」第5版の無料配布を始めました。
この冊子は、高校の教育現場や相談会で日頃から高校生と接している東京経済大学の広報課・入試課スタッフが「ホームルームや進路指導で使えるガイドを」とアイデアを出し、2006年に「学びガイドブック」として制作し、2010年7月に現在のガクブックとなりました。以来12年半、進路相談会や高校内での説明会、大学への直接の資料請求を通じて、約3万冊が受験生や関係者のもとに届けられました。
宣伝色を払拭(ふっしょく)し、イラストや分かりやすい事例紹介を交えるなど、進路選択をする高校生の目線でストーリーを展開している点が「ガクブック」の特徴です。大学の広告や特色を記したパンフレット、情報誌など情報があふれる中、志望校や学部を選ぶ上での基準やヒントが分かりやすく書かれた指南書として使ってもらうため、この冊子には、様々な工夫を行っています。
監修はコピーライター出身の関沢(せきざわ)英彦(ひでひこ)東京経済大学名誉教授。発刊当初はメジャーではなかったVRやドローン、AIなどの科学技術が進歩したことを受け、時代に合わせリニューアルを行いました。大学入試制度が変わろうとしている中、高校生の進路選択にますます欠かせない存在になることを願っています。
「ガクブック」第5版
第一章 大学に行く意味は?
第二章 学部選び物語
第三章 学部選びのチェック&チェック
第四章 学部選びのよくある質問集!
※「ガクブック」は、東京経済大学Webサイトよりお申し込みいただけます。
◇Information 2
2018年度入試結果 今年度も一般入試が好調。4年連続で志願者増
2018年度一般入試前期、センター利用入試前期の志願者数(表1一般入試+表2センター入試の合計)は12,196名と前年より169名増え、4年連続で志願者を伸ばしました。
特に2017年4月にスタートしたキャリアデザインプログラムでは、一般入試前期(表1下部)で25名の募集枠に対し243名が志願する高倍率(5.2~9.9)を記録。経済学部、経営学部も安定的に志願者を集めました。
またAD・推進等の入試も2017年度と比較して、150名増の1,229名の志願があり、着実に志願者が増加しています。3月に実施した後期入試では経済学部、経営学部が20倍を超える倍率となりました。最終的には全入試合計で14,815名の志願者でした。
今年度の入試は18歳人口が減少に転じることもあり、前年を下回る予想もありましたが、受験生一人ひとりに「大学の良さ」を丁寧に訴求し続けたことが、志願者増につながったひとつの要因と考えています。
◇Information 3
国分寺市立「cocobunjiプラザ」開館 記念イベントに本学学生と教員が協力
本学が所在する国分寺市にある、JR中央線国分寺駅の北口再開発事業が進み、2018年4月に再開発ビルが誕生しました。同ビルは1~4階が商業フロアとなり、5階フロアには国分寺市の公益フロア「cocobunji(ココブンジ)プラザ」がオープン。
4月4日(水)には開館記念イベントとして、地域に関連する研究を行っているゼミや国分寺市内でボランティア活動を展開するサークルなどが「こくスマ!(国分寺スマイル)」と題し、不用品オークション+リサイクルマーケット、ライブなど市民に向けた様々な取り組みを行ったほか、本学教員がコーディネーターを務め、地域活性化をテーマとした市民向け講座も開講しました。
リサイクルマーケットの様子
「こくベジ」は、国分寺の農業と野菜の魅力をPRする取り組み。多くの方が地場野菜に関心を示してくれました。
◇Information 4
大倉記念学芸振興会・学術講演会 ~国家と地図~
2018年5月12日(土)、星埜(ほしの)由(よし)尚(ひさ)先生(東京地学協会副会長、元国土地理院院長)による学術講演会「国家と地図」を開催します。わが国における地図作成の歴史・技術の変遷について国絵図、伊能図、近代の地形図などを例にとった説明から、国家・国民にとって地図がいかなるものなのか、ご理解を深めていただけます。
講師 星埜由尚 (ほしのよしひさ) 氏
(東京地学協会副会長・元国土地理院院長)
1946年東京生まれ。東京大学理学部(地理学)卒業後、同大学理学系研究科博士課程満期退学。建設省国土地理院長退官後、日本地図センター専務理事、地図協会理事長等を歴任。伊能忠敬研究会特別顧問。専門は、地理学、地図学。著書に『伊能忠敬』(山川出版社)ほかがある。現在、公益社団法人 東京地学協会副会長、公益社団法人 日本測量協会顧問
日 時 :2018年5月12日(土) 15:00開演 (開場/14:30)
会 場 :東京経済大学 国分寺キャンパス 2号館B301教室(予定)
(東京都国分寺市南町1-7-34) ※会場変更の場合があります。
参 加 費 :無料
定 員 :先着400名(申込順に入場券を発送いたします)
※定員に達し次第、申込受付終了となります。あらかじめご了承ください。
申し込み :下記URLの申込フォームから参加申込ができます。
http://www.tku.ac.jp/contact/cgi_ookura/form.cgi
問い合わせ先:広報課 TEL:042‐328-7724/FAX:042-328-7768/Eメール:pr@s.tku.ac.jp
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