大鵬とセルヴィエ社 抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ(R)」に関する有望な国際共同試験結果をESMO-GIにて発表

大鵬薬品

大鵬薬品工業株式会社とセルヴィエ社は、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ(R)配合錠T15・T20」に関する、第Ⅲ相臨床試験および第Ⅱ相臨床試験の結果が、スペイン・バルセロナで開催された第20回世界消化器癌学会(ESMO 20th World Congress on Gastrointestinal Cancer、6月20~23日)で発表されたことをお知らせいたします。

2018年6月25日

大鵬薬品工業株式会社

大鵬とセルヴィエ社

抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ(R)」に関する

有望な2つの国際共同試験結果を

第20回世界消化器癌学会(ESMO-GI)にて発表

大鵬薬品工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林将之)とセルヴィエ社(本社:フランス・シュレーヌ、代表取締役社長:オリヴィエ・ローロ)は、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ配合錠T15・T20」* (以下「本剤」)に関する、第Ⅲ相臨床試験(TAGS試験)および第Ⅱ相臨床試験(TASCO-1試験)の結果が、スペイン・バルセロナで開催された第20回世界消化器癌学会(ESMO 20th World Congress on Gastrointestinal Cancer、6月20~23日)で発表されたことをお知らせいたします。

TAGS試験は、標準治療に不応となった既治療の切除不能胃がん患者において、本剤とプラセボの有効性と安全性を比較したものです。主要評価項目は全生存期間(Overall Survival:OS)でした。

本剤投与群のOSの中央値は5.7カ月、プラセボ投与群では3.6カ月でした(ハザード比:0.69)。本剤投与群の1年全生存率は21%、プラセボ投与群では13%でした。

また、主な副次評価項目である無増悪生存期間(Progression-Free Survival:PFS)において、本剤は増悪リスクを43%減少させました(ハザード比:0.57)。

グレード3以上の有害事象発現率は本剤投与群で80%、プラセボ投与群で58%でした。グレード3~4の血液毒性として、本剤投与群では好中球減少(38%)、白血球減少(21%)、貧血(19%)、リンパ球減少(19%)などが見られました。グレード3~4の好中球減少が発現した38%の患者のうち、6名(2%)が発熱性好中球減少症を発現しました。本試験において、安全性にかかわる新たな所見は観察されませんでした。

当発表の要旨は、以下よりご覧いただけます。

https://academic.oup.com/annonc/article/29/suppl_5/mdy208.001/5043314?searchresult=1

TASCO-1試験は、強力な化学療法が適さない未治療の進行・再発の結腸直腸がん患者において、標準療法(カペシタビンとベバシズマブの併用療法)に対する本剤とベバシズマブの併用療法の有効性をみたものです。

主要評価項目であるPFSの中央値は、本剤投与群が9.2カ月、標準療法群が7.8カ月でした。

本剤投与群の忍容性は良好で、最も多く見られた有害事象は消化器毒性と血液毒性でした。両群において、重篤な発熱性好中球減少症が3.9%の割合でみられました。

当発表の要旨は、以下よりご覧いただけます。

https://academic.oup.com/annonc/article/29/suppl_5/mdy149.021/5039386?searchresult=1

大鵬薬品とセルヴィエ社は、今後もがん治療において、患者さんや医療従事者により一層貢献できるよう努めてまいります。

*ロンサーフ配合錠T15・T20

一般名 : トリフルリジン・チピラシル塩酸塩

開発コード : TAS-102

TAGS試験について

TAGS試験(TAS-102 Gastric Study)は、無作為割付・二重盲検の国際共同第Ⅲ相臨床試験で、標準治療に不応となった切除不能胃がん患者においてロンサーフとベストサポーティブケア(BSC)、プラセボとBSCを比較したものです。本試験の主要評価項目はOS、副次評価項目はPFS、安全性と忍容性、QOL(Quality of Life)等です。本試験は、切除不能胃がんに対して少なくとも2レジメンの治療歴がある、18歳以上の500名を目標症例数とし、日本・北米・欧州・ロシア・トルコ等で507名の登録がありました。

本試験の詳細は、ClinicalTrials.govをご覧ください。

https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02500043

TASCO-1試験について

TASCO-1試験は、無作為割付の国際共同第Ⅱ相臨床試験で、強力な化学療法が適さない未治療の進行・再発の結腸直腸がん患者において、標準治療(カペシタビンとベバシズマブの併用療法)に対する本剤とベバシズマブの併用療法の有効性をみたものです。本試験の主要評価項目はPFS、副次評価項目はOS、病勢コントロール率等です。本試験は、18歳以上の150名を対象に欧州・ロシア・オーストラリア・ブラジルで実施しました。

本試験の詳細は、ClinicalTrials.govをご覧ください。

https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02743221

胃がんについて

胃がんは世界で5番目に多いがんであり、死亡数は肺がん、肝がんに続きがんの中で3番目に多く、年間約72.3万人が亡くなっていると推定されています1。日本においては、胃がんは最も多いがんであり、死亡数は肺がん、大腸がんに続き3番目に多く、年間およそ4.5万人が亡くなっています2。

近年、胃がんに対する治療成績の向上が目覚ましく、生存期間が過去10年間で飛躍的に延長されました。しかし、がんが進行すると多くの合併症を併発するため、強力な化学療法が実施できず、使用できる薬剤が制限される場合があります。切除不能胃がんに対する治療後期での生存期間延長や症状緩和は課題であり、新たな治療薬剤の選択肢を増やすことは重要と考えられています。現在、切除不能胃がんの3次標準治療として、日本ではニボルマブとイリノテカンが推奨されています。

結腸直腸がんについて

結腸直腸がんは世界で3番目に多いがんであり、2012年には約140万人が新たに結腸直腸がんと診断されています3。死亡数は肺がん、肝がん、胃がんに続き4番目に多く、年間69万人超が亡くなっています4。日本においては罹患数・死亡数ともに2番目に多いがんであり、年間およそ5万人が亡くなっています2。

進行・再発の結腸直腸がんにおいては、5年生存率は平均約11%にとどまっており5、新たな治療法が望まれています。進行・再発の結腸直腸がんの標準療法には、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカンのほか、VEGF、EGFRなどを標的とする分子標的治療等があります。

ロンサーフについて

本剤は、トリフルリジン(FTD)とチピラシル塩酸塩(TPI)を配合することにより薬剤の効果を維持できるよう設計した経口のヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤で、従来のフルオロピリミジンとは異なる作用機序を有しています。

FTDはDNAの複製時にチミジンの代わりにDNA鎖に取り込まれ、DNAの機能障害を引き起こして抗腫瘍効果を発揮すると推測されています。TPI はFTDの分解に関与するチミジンホスホリラーゼ(TP)を阻害し、FTDの血中濃度を維持します。

本剤は、日本では「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の適応症で大鵬薬品が販売、米国では「フルオロピリミジン療法、オキサリプラチン療法、イリノテカン療法や抗VEGF抗体療法、およびRAS野生型の場合は抗EGFR抗体療法の治療歴があり、遠隔転移を有する結腸・直腸癌」の適応症で、大鵬薬品の米国子会社である大鵬オンコロジー社が販売しています。

2015年6月、大鵬薬品とセルヴィエ社は本剤の共同開発および商業化に関するライセンス契約を締結しました。本契約に基づき、セルヴィエ社は欧州・その他地域(北米・日本/アジアを除く)において、本剤の共同開発と商業化を進めています。日本以外のアジアでは、韓国、台湾において、それぞれ提携先である第一薬品株式会社、台湾東洋薬品工業株式会社が、本剤の商業化に向けて準備を進めています。

本剤は2018年5月現在、進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として世界50カ国・地域で承認されています。

セルヴィエ社について

セルヴィエ社は、フランスのシュレーヌに本社を置く研究開発型の非上場製薬会社です。世界148カ国で積極的に事業を展開し2017年の売上高が41.52億ユーロに達するセルヴィエ社は、世界中に21,600名の従業員を有しています。セルヴィエ社は後発薬を除く売上高の25%を研究開発費に投資しております。セルヴィエ社の成長は、循環器領域、免疫炎症領域、中枢神経領域、がん領域、糖尿病領域の5領域におけるイノベーションの追求および高品質な後発薬により支えられています。

がん領域で中心的な存在になるのがセルヴィエ社の長期戦略です。現在、胃がん、肺がん、その他固形がん、種々のリンパ腫、白血病などを対象に9つの化合物を開発中です。患者さんの生活を変えるような薬剤をお届けするために、これらの化合物の開発を世界中の複数のパートナーとともに進めており、細胞毒性や、プロアポトーシス、分子標的、免疫・細胞治療といった、がんの様々な異なる治療法をカバーしています。

セルヴィエ社の詳細は、同社ホームページをご覧ください。

www.servier.com

1. Ferlay J, Soerjomataram I, Dikshit R, et al. Int J Cancer. 2015;136:E359-86.

2. 国立がん研究センター がん情報サービス 「最新がん統計」https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html Last accessed June 2018

3.  World Health Organisation. Globocan (2012), colorectal cancer. Available at: http://globocan.iarc.fr/Pages/fact_sheets_cancer.aspx?cancer=colorectal Last accessed June 2018

4.  Cancer Research UK. Worldwide cancer statistics. Available at: http://www.cancerresearchuk.org/health-professional/cancer-statistics/worldwide-cancer/mortality#heading-One Last accessed June 2018

5.  American Cancer Society. Survival Rates for Colorectal Cancer, by Stage. Available at: https://www.cancer.org/cancer/colon-rectal-cancer/detection-diagnosis-staging/survival-rates.html Last accessed June 2018

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