【SDGs】焼却埋設される自動車プラスチック部品のリサイクル資源化が可能。小型破砕洗浄機の開発開始
【SDGsの推進】自動車のプラスチック部品は多くが焼却や埋設されているのが現状です。このたび産学連携で開発に取り組む小型破砕洗浄機はリサイクル業界では初となる試みで、小規模な自動車リサイクル業者では処理できず「廃車ガラ」として処理されていたプラスチック部品のリサイクル資源化が可能となります
2018年8月27日
金沢工業大学
石川から世界へーSDGs推進の取り組み
産学連携による次世代型シュレッダー装置の開発がスタート。
焼却、埋設されてきた自動車プラスチック部品のリサイクル資源化が可能に。
自動車リサイクル事業を展開する会宝産業株式会社(石川県金沢市)を幹事企業とし、株式会社アール・トーヨー(長崎県長崎市)、株式会社福山セコ(広島県福山市)、株式会社桃太郎部品(岡山県岡山市)らは、産業機械の設計・制御を手がける株式会社リバーヘッドシステムズ(石川県金沢市)、金沢工業大学と連携し、このたび破砕・粉砕・洗浄が一体化した小型破砕洗浄機の開発に連携して取り組むことになりました。
リサイクル業界では初となる試みで、これまで小規模な自動車リサイクル業者では処理できず「廃車ガラ」としてシュレッダー処理されていたプラスチック部品のリサイクル資源化が可能となります。
近年、プラスチックのリサイクルは世界的に関心が高まっていますが、自動車のプラスチック部品は多くが焼却や埋設されているのが現状です。
当開発グループでは当装置の開発を通じて自動車産業における「次世代循環型解体ビジネス」の世界展開を目指しています。
【本取り組みの背景-SDGsの取り組み】
会宝産業株式会社は事業方針として「地球規模における資源循環型社会の一翼を担う」ことを掲げ、中古自動車部品を世界86カ国へ輸出しています。新興国の現地政府に対する自動車リサイクル政策の立案サポートを行うほか、リサイクル工場設備、生産工程、リサイクル技術・経営のノウハウの3点を総合した自動車リサイクルシステムを各国に提供することで、国連全加盟国が合意したSDGsの、特に「12.つくる責任 つかう責任」の達成に貢献しています。
2017年にはその活動が評価され、金沢工業大学平本督太郎 SDGs推進センター長が中心となって進めている「SDGsビジネス・アワード」を受賞しています
一方、金沢工業大学ではSDGsに関する各種の取り組みが評価され、内閣総理大臣を推進本部長とする第1回「ジャパンSDGsアワード」SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞を昨年12月に受賞。SDGsの推進に全学で取り組んでいます。
【小型破砕洗浄機開発の必要性】
日本国内で廃車になる中古車は年間約350万台とも言われています。そしてそのほとんどが国内に約2500ある解体業者により解体され、鉄くず、プラスチックくず、使える部品として仕分けられています。廃車部品の中でもフロントバンパー、リアバンパーといった外装部品や、ダッシュボードやドアトリムなどの内装部品は大きくかさばり、保管や可搬に難があるという理由で、シュレッダー業者やプレスせん断処理業者の大型シュレッダーにより廃車ガラとして処理され、ASR(Automobile Shredder Residue)と呼ばれるミックスプラスチックとして焼却や埋設されているのが現状です。
こうした背景から自動車リサイクル事業におけるSDGsの推進を世界規模で加速させるために考え出されたのが破砕・粉砕・洗浄一体化小型破砕洗浄機でした。企画構想は会宝産業株式会社(代表取締役社長 近藤高行)が行い、同業の株式会社アール・トーヨー、株式会社福山セコ、株式会社桃太郎部品と連携して取組みを進めます。設計製作は株式会社リバーヘッドシステムズ(代表取締役社長 川﨑恵字)が担当、金沢工業大学からはロボティクス学科土居隆宏准教授が技術アドバイザーとして参画しています。
当破砕洗浄機は効率的に破砕、洗浄することでポリプロピレンやSABS樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニール、ポリエチレン等、再利用可能な樹脂の選別を行うことができます。またフォークリフトでの運搬も可能で、小規模な自動車リサイクル業者でも導入できるため、これまで小規模な自動車リサイクル業者では処理できず「廃車ガラ」としてシュレッダー処理されていた部品のリサイクル資源化が可能となります。さらにネットワークを介してクラウドでデータが管理されているので、どの車両のどのプラスチック素材をどれだけ回収したかがわかり、より確実な再生プラスチックの生産が可能となっています。
またこれまでは再生事業者までの輸送コストが高く事業の採算性が取れないことや、再生事業者からみると中小の解体事業者からの受け入れは供給や品質の確保の面での不安から、リスクを加味した買取価格とならざるをえないという課題もありました。
これに対して、当破砕洗浄機ではクラウドでデータ管理が可能で、解体業者が共同納入することで輸送コストが削減でき、また共同による価格契約の締結も可能となるため、採算性の向上に期待ができるようになります。
*この取り組みは「自動車解体業者が連携した自動車プラスチック素材再資源化促進事業」として、全国中小企業団体中央会の「平成29年度補正 ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」の助成対象にも採択されています。
新興国では使用済み自動車は適切な処理をされず廃棄されている(ナイジェリア)
SDGsが掲げる「12.つくる責任 つかう責任」は地球規模での喫緊の課題
焼却、埋設されてきた「廃車ガラ」のリサイクル資源化を目指す
収集・解体のスキル向上のため海外からの研修生も広く受け入れている
「SDGsビジネス・アワード」授賞式
金沢工業大学平本督太郎 SDGs推進センター長(左)と
会宝産業株式会社 近藤高行代表取締役社長(右)
自動車産業における「次世代循環型解体ビジネス」の世界展開を目指す
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 学校法人金沢工業大学
- 所在地 石川県
- 業種 大学
- URL https://www.kanazawa-it.ac.jp/
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