ミルクプロテインの継続摂取が、低~中強度の運動を実施した成人男女(60歳以上)の筋肉量増加を確認

6月10日 欧州栄養学会誌European Journal of Nutritionに論文掲載

meiji

株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)および国立大学法人帯広畜産大学(学長:奥田 潔)は、10分程度の低~中強度の運動トレーニング※1実施下における1日10 gのミルクプロテイン(乳たんぱく質)※2を含む飲料の継続摂取が、60歳以上の成人男女の筋肉量を増加させることを確認しました。

これまでもたんぱく質の継続摂取による筋肉量の増加を報告した研究事例はありましたが、いずれの研究においても摂取量が多く、日常生活での継続という点で課題がありました。

本研究では1日10 gという少量のミルクプロテインの摂取で、成人男女(60歳以上)の筋肉量が有意に増加することを確認しました。また6ヵ月間の継続率が97.5%を記録し、日常生活に取り入れやすい栄養戦略であることが示されました。

当研究成果は2020年6月10日に、栄養学分野において評価の高い国際科学雑誌European Journal of Nutrition(欧州栄養学会誌)に掲載されました。

 

論文内容

タイトル

Effects of low-dose milk protein supplementation following low-to-moderate intensity exercise training on muscle mass in healthy older adults: a randomized placebo-controlled trial

(低~中強度運動トレーニング後の低用量ミルクプロテイン(乳たんぱく質)の摂取が健康な成人男女(60歳以上)の筋肉量に与える影響:無作為化プラセボ対照試験)

 

概要

方法

① 北海道十勝地方に居住する健康な成人男女(60歳以上)122名に参加いただき、参加者をランダムに2つのグループに分けました(各グループ61名)。

・ミルクプロテイン10 gを含む飲料を摂取するグループ

・等エネルギーの炭水化物を含む飲料を摂取するグループ

② 6ヵ月間、参加者は毎日10分程度の低~中強度運動トレーニングを実施し、上記飲料を1日1本摂取しました。研究開始時と6ヵ月後に、参加者は体組成測定と体力テストを実施しました。

 

結果

① 122名中119名が最後まで当取り組みを継続できました(継続率97.5%)。
また、ミルクプロテインを含む飲料の6ヵ月間の平均摂取率は96.4%であり、“続けられる栄養”であることが示されました。

② 両グループにおいて体力指標が有意に向上しました。
体力指標の測定は、握力、膝伸展力、最大歩行速度、TUG※3タイム、椅子立ち座りタイム、腕立て伏せを行いました。

③ ミルクプロテインを含む飲料を摂取したグループのみ、除脂肪体重※4が有意に増加し、体脂肪量が有意に減少しました(図1)。除脂肪体重の増加はほとんどが筋肉量の増加に由来するため、1日10 gのミルクプロテインの継続摂取が、低~中強度運動を実施した成人男女(60歳以上)の筋肉量を増加させることが明らかになりました。

 

※1 低~中強度の運動トレーニング

自重を用いたトレーニングと1kgのソフトメディシンボールを用いたトレーニングを組み合わせた10分程度の運動トレーニングで、帯広畜産大学の村田准教授が考案したプログラムです。

※2 ミルクプロテイン

ミルクプロテインは、牛乳・乳製品に含まれる乳由来の良質なたんぱく質のことです。

このミルクプロテインを含む酸性タイプの飲料は、牛乳の良質なたんぱく質が素早く体内に吸収され、

筋肉の合成を強く促進することが確認されています(Nakayama K, Nutrients, 2017, 9(10): 1071)。

今回の試験ではこの酸性タイプのミルクプロテイン飲料を用い、このことが筋肉量の増加促進につながった可能性が考えられます。

※3 TUG

Timed Up & Go Test(TUG)は、椅子に腰かけた状態から立ち上がり、3m先の目印を回って、再び椅子に座るまでの時間を測定するテストです。

※4 除脂肪体重

体重から体脂肪量を差し引いた重量のことです。除脂肪体重のうち約70%が筋肉で、その他には骨や内臓、血液を含む水分が含まれています。

 

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