住友理工とライラックファーマが新たなマイクロ流路装置を共同開発

~第36回日本DDS学会学術集会に出展~

住友理工

 住友理工株式会社(本社:名古屋市中村区、代表取締役 執行役員社長:清水和志)とライラックファーマ株式会社(本社:札幌市北区、代表取締役:須佐太樹)は共同で、新しい「マイクロ流路装置(脂質ナノ粒子製造ツール)」を開発しましたので、お知らせいたします。

 

 (1)マイクロ流路チップ・カートリッジ
(2)送液装置(開発品) 

 

 本製品は、脂質ナノ粒子を形成するマイクロ流路チップ(1)とマイクロ流路チップに原料液を供給する送液装置(2)がセットになっています。流路チップについては粒径がそろった高品質の粒子を再現性高く製造できるライラックファーマ独自のマイクロ流路「iLiNP®(アイリンプ)」と同形状の流路を採用しています。高品質の脂質ナノ粒子を簡単に試作できる研究用機器として、8月28、29日に開催される「第36回日本DDS学会学術集会」に出展します(企業展示はオンライン)。

※    脂質ナノ粒子(リポソーム):脂質を主成分とした膜を持つ球形の小胞。栄養素や医薬品を内封することができ、それらを壊さず患部などに送り届けるための輸送カプセルとして利用される。

※    DDS:Drug Delivery System(ドラッグデリバリーシステム)。体内での薬物分布を制御することで、薬物の効果を最大限に高め、副作用を最小限に抑えることを目的とした技術のこと。

 

 ライラックファーマは、医薬品を開発するための北海道大学発ベンチャーとして2016年に設立。iLiNP®は北海道大学大学院工学研究院の渡慶次学教授、真栄城正寿助教らが開発し、ライラックファーマが技術導入した独自の流路形状を持つマイクロ流路のことです。脂質ナノ粒子は原料となる脂質溶液を水で希釈し、脂質を水中で自己集合させることで作られますが、iLiNPでは流れてくる脂質溶液と水をマイクロ流路内の微小空間で一体化させ、最適な希釈状態を常に作り出せるように流路形状を工夫しています。その結果、タンク内で撹拌しながら希釈する従来製法よりも粒径がそろった高品質の脂質ナノ粒子を再現性高く作り出すことができるのが特長です。また、総流量や各溶液の流量比率を変えることで希釈状態を変えることができ、その結果として製造する粒子の大きさを変えることも容易です。

 


 

 

参考(ライラックファーマWEBサイト):

http://www.lilacpharma.com/proprietary_technology/proprietary_technology_2/

 

 脂質ナノ粒子は10~200nmのきわめて小さな球体の内部にさまざまな薬剤を封入することが可能です。カプセル化により体内の分解酵素などから薬剤を守ることで、人体の隅々に確実に薬剤を届けることができるため、患部への集積、薬剤効果の持続や副作用の低減などの効果が認められています。また、従来にない新しく画期的な希少疾患治療薬やワクチン開発などでも使われ始めているほか、医薬以外の分野でも、薬剤の物性改善や性能付与を目的として、高品質の脂質ナノ粒子を簡便に再現性高く製造する技術のニーズが高まっています。

 

 当社は1970年代より、自動車内部のワイヤーハーネスの先端に装着し、防水の役割を担う「シール材」として、シリコーンゴムを原料とする「コネクタシール」などを開発・販売してきました。この精密ゴム成型技術を生かして、マイクロ流路チップの製造・販売を開始し、2019年より、ライラックファーマとの共同開発がスタートしました。

 今回の開発品であるマイクロ流路チップ(1)は、当社の高分子材料技術(材料配合・微細加工)を生かし、高透明シリコーンによる製品化を実現。従来のガラス製や樹脂製のチップと比較すると、依頼に応じた形状の製品を、コストを抑えてスピーディに供給することが可能となりました。 

 また、新たに開発したマイクロ流路チップを多くの研究者に簡便にご使用いただけるように、本マイクロ流路チップに合わせて送液装置(2)を開発。ポート一体型のカートリッジにしたチップを装置にセットするだけで、簡単に、人為的なミスを発生させることなく、さまざまな配合の脂質ナノ粒子を短時間で試作できるようになります。

 

 住友理工は、長年にわたって培ってきた技術を生かし、バイオ・メディカル領域に向けた事業展開を加速していく予定です。今後も幅広くライフサイエンス研究機関との連携を深め、マイクロ流路チップをはじめとした製品開発を支援していきます。これによって、人・社会・地球の安全・快適・環境に貢献する企業への成長を目指します。

 

<ライラックファーマ株式会社>

医薬品を開発するための北海道大学発ベンチャーとして2016年に設立。2018年にDDS技術導入の一環として、脂質ナノ粒子製造用マイクロ流路デバイス「iLiNP®」技術を北海道大学より導入し、現在は医薬にこだわらず幅広い分野の企業と、iLiNP®を用いた新しいナノ粒子製剤開発を進めている。

所在地:       札幌市北区北21条西12丁目北海道大学構内

北海道産学官協働センター (コラボほっかいどう) Cルーム

資本金:       1,410万円

代表者:       代表取締役 須佐太樹(すさ もとき)

設立:          2016年4月18日

事業内容:    医薬品、化粧品などの研究開発および調査・コンサルティングなど

 

<展示会概要>

展示会名: 第36回日本DDS学会学術集会

会期:    8月28日(金)~29日(土)

会場:   オンラインおよびオンサイト会場(神戸学院大学)     

学会URL: http://www.procomu.jp/dds2020/

 

今冬から予約販売を開始予定です。装置価格は未定。

 

<ご購入・技術に関するお問い合わせ>

住友理工株式会社 新商品開発センター

(〒485-8550 愛知県小牧市東三丁目1番地)

0568-77-2199

受付時間:9:00~17:00(土・日・祝日・GW・夏期休暇・年末年始を除く)

Email:tri-health-contact@jp.sumitomoriko.com

 

以 上

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

プレスリリース添付画像

送液装置(開発品)

マイクロ流路チップ

マイクロ流路チップ・カートリッジ

マイクロ流路説明1

マイクロ流路説明2

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