安心・安全な医薬品を世界に届けるグローバルサプライネットワークを提供
2020年8月31日
日本通運株式会社
安心・安全な医薬品を世界に届けるグローバルサプライネットワークを提供
日本通運株式会社(社長:齋藤充)は、GDP (医薬品の適正流通基準)の要求事項をハード、ソフト両面で実現し、より安心・安全な医薬品供給が可能な医薬品サプライチェーンネットワークを構築中であり、国内の核となる4拠点が順次稼働するほか、厳しい品質基準をクリアするため、日通独自で開発した医薬品専用車両を導入します。
また、医薬品サプライチェーンのグローバル化を踏まえ、世界の主要マーケットにGDPに準拠した拠点を展開し、グローバルレベルでのサプライネットワークを拡充していきます。
さらには、IoTやブロックチェーンといったデジタル技術を取り入れ、物流上の情報を一気通貫でとらえることにより、トレーサビリティや業務効率化をはじめとした、データドリブンでの業界全体のサプライチェーン最適化に貢献することを目指します。
【背景】
当社は、「日通グループ経営計画2023~非連続な成長“Dynamic Growth”」の「コア事業の成長戦略」における重点施策として、顧客(産業)軸、事業軸およびエリア軸の3つのアプローチの強化を掲げています。その中でも、いかに個々のお客様のニーズに合わせたサービスの最適化を実現するか、お客様を起点としてサービスを構想する“顧客(産業)軸”への注力を進めています。
陸上、海上、航空といったあらゆる輸送モードを駆使する総合力を活かしつつ、在庫管理を含めたお客様にとって最適な物流マネジメントを潜在的なニーズにも配慮したトータルサービスで提供することを目指しています。
当社が重点産業の1つとして掲げる医薬品産業は、世界の市場が2014~18年の5年間で年平均6.3%の成長率を遂げ、2018年の世界市場規模は約100兆円に上っており、19~23年も同3~6%で推移するとみられています。日本市場についても、市場規模は約10兆円で世界3位となっています。
医薬品は、輸送や保管の際に、厳密な温度管理やセキュリティ管理が求められる一方、医薬品市場のグローバル化に伴い、医薬品の偽造や盗難も大きな問題になっています。欧州では既に、医薬品の適正流通基準が法制化されており、北米でも2023年には法制化される動きがあります。医薬品サプライチェーンのグローバル化が進む中、日本でも2018年12月、厚生労働省から「日本版GDP」のガイドラインが発出されており、GDP導入に向けて、日本の製薬会社も対応を迫られています。
当社は、高い専門性と厳格な品質管理が求められる医薬品物流を担っていくため、2020年7月に医薬品事業部および医薬品物流品質保証室を新設し、オペレーション体制、人財育成および品質保証体制等を全社統一の基準で推進していくこととしました。
【安心・安全な医薬品供給が可能なグローバル医薬品サプライチェーンネットワーク】
~来春国内サービス開始、そしてグローバルへ~
① 国内でのサプライネットワーク構築
当社は、従来からの原材料・製品の輸出入拠点である、いわゆる“メディカルハブ”の成田国際空港、関西国際空港に加え、東日本、西日本、九州、富山に医薬品に特化した拠点を建設中です。
GDPに基づく品質管理に加え、医薬品供給のBCP(事業継続計画)に対応するとともに、従来、お客様ごとに実施されてきた倉庫での保管および輸送の共同化や、車両のラウンドユースによるトラックドライバー不足への対応、業務効率化が可能なプラットフォームを構築しており、2021年2月にサービスを開始します。
・新設倉庫の特長
PIC/S GDPを規範として日本版GDPガイドラインをクリアした医薬品専用倉庫が順次竣工します。
▶ 入荷エリア、保管エリア、出荷エリアを明確に区分し、安全・確実なオペレーションを確保(東日本拠点、西日本拠点)
▶ トラックドック、前室、シートシャッター、エアシャワー、エアカーテンを配置し、入出荷作業の際の防虫管理とセキュ リティを確保
▶ 定温、保冷の温度管理に加え、輸出入用の保税エリア、特殊医薬品エリアなどサプライチェーンのあらゆるニーズに対応
▶ 保管エリアにおいては、温度を24時間総合監視
▶ 災害等に備えた、免震構造(一部除く)および非常用発電設備の設置
▶ 自動化設備導入による庫内オペレーションの高度化
・医薬品専用車両の特長
GDPが要求する厳しい品質基準に応えるため、自社による医薬品専用車両を導入します。車両に搭載された設備は、日通独自に検討を重ねて開発した世界最高基準の仕様とします。
▶ 各種セキュリティシステムによる安全・確実なオペレーションの担保
▶ 複数温度帯に対応した空調設備を完備し、夏季および冬季の厳しい環境下でのバリデーション実施済車両
▶ 温度管理に加え、輸送中の動態管理を含めた温度監視システム
② グローバルレベルへの拡充
海外においては、当社のグローバルネットワークを駆使し、インフラとフォワーディング機能を連携させ、医薬品物流要求事項に適合したグローバルレベルで安全性を保証する物流ネットワークの構築を進めています。
具体的には、海外の医薬品主要拠点にGDPに準拠したCFSの建設を推進しており、新薬メーカーが集積する欧州ではロンドン、ミラノで、また、ジェネリックを中心として高い市場成長を示しているインドでGDP認証済みCFSを開設済みであり、世界最大のマーケットである米国においても、シカゴでGDP認証を取得しました。さらに、欧米における更なる拠点の拡充に加え、医療サービスが充実しつつあるアジア各国においてもGDP認証取得を計画しています。
今後も、M&Aを含め世界各地の主要マーケットの保管配送ロジスティクスを視野にネットワークを拡充してまいります。
・CFS
海外フォワーディング拠点をネットワークで配置
▶ GDP認証を取得した設備と発送から到着までのエンドtoエンドで一貫した品質のオペレーションを構築
▶ 現地に品質保証チームを配置し、本社の医薬品物流品質保証室と連携して、グローバルでの品質管理システムを構築
・M&Aによるロジスティクスネットワークの展開
米国において医薬品産業向け物流事業で確固たる地位を有する事業者を子会社化し、同国内を当社の医薬品グローバルサプライネットワークでカバーしました。
引き続き、非連続な成長を実現するため、欧州およびアジア域内の物流ネットワークをスピード感を持って展開すべく検討していきます。
③ データドリブンでサプライチェーンを高度化
当社は、医薬品をはじめとした各産業軸に対し、サプライチェーン全体の最適化を図るソリューションを提供するべく、2020年4月にデジタルプラットフォーム戦略室を新設しました。
医薬品産業に向けては、温度管理をはじめとした物流情報をEnd-to-Endにつなぐ、IoTデバイスとブロックチェーンを活用したデジタルプラットフォームを構築中であり、物流情報を活用して、商流におけるサービスの展開も計画しています。
また、このデジタルプラットフォームは、オープン化により関係者が共同利用できるよう業界関係者と検討を進めています。
・ロジスティクスプラットフォーム
物の動きと物流品質のトレーサビリティを実現するため、インテル社との連携によりIoTプラットフォームを構築
・センシングデバイス
物流情報を管理できるIoTデバイスを開発
・商流プラットフォーム
物流上のトレーサビリティデータを活用したサービス提供
▶ トレーサビリティ提供サービスを2021年4月に開始予定
▶ その他のサービスとして、在庫最適化、決済機能、アセットの共有化機能を実装予定
▶ 将来オープンプラットフォーム(業界横断コンソーシアム)を企図した取り組み
当社は、社会的使命である、物流を通して社会発展の原動力になること、物流を通じて新たな価値を作るため、グローバル医薬品サプライネットワークを医薬品業界のお客様へサービスを提供していきます。
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社
- 所在地 東京都
- 業種 陸運業
- URL https://www.nipponexpress-holdings.com/ja/
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