酒好きほぼ100人に聞くアンケート「酒飲みのミカタ」 10月に減税で安くなったらビールを買いますか?

10月の酒税率改正ではビールは減税、新ジャンルは増税、RTDは据え置き。市場はどう動く?

酒文化研究所

酒好きほぼ100人に聞く「酒飲みのミカタ」。9月度のテーマは「10月に減税で安くなったらビールを買いますか?」です。10月1日からビール類の酒税率が改正され、ビールの酒税は350mlあたり7円下がり、反対に新ジャンルは10円上がります。そこで今回は、ビール類ユーザーに酒税率が改正された後、どんなビール類を選ぶかをお聞きしました。

 

■350mlでビールは7円減税、新ジャンルは10円増税

最初に今回の酒税率改正の内容を確認します。対象となる酒類はビール類と清酒・ワインです。下表に示したように今後6年かけて、これらの酒類の税率格差をなくしていきます。

 

なかでも注目されるのはビール類の動向です。現在はビール、発泡酒、新ジャンルと、同種の製品でありながら 3 つの税率が存在しています。今回の改正では 350ml あたりでビールは 7 円引き下げられ、反対に新ジャンルは 10 円引き上げられます(発泡酒は据え置き)。ビールと新ジャンルの価格差が縮まることで、構成比がどう変化するのかに関心が集まっています。

 

また、2016年以降2桁増で成長しているRTD(Ready to drink:缶入りのチューハイやハイボールなど)の税率は2006年まで据え置かれ、現在は同じ税率の新ジャンルと今回で10円、最終的に20円の税額差が発生するようになります。値上がりする新ジャンルからRTDへの需要のシフトが、どの範囲でどの程度発生するかも注目されています。

 

巣籠り消費もあり堅調な 新ジャンル 。 10月の税率改正で は 増税とな るため消費動向が注目される

 

なお、税改正の影響は主として家庭用市場で発生します。業務用で提供されるビール類はほとんどがビールであり、増税となる新ジャンルは多くが家庭用だからです。また、清酒とワインは増減税額が小さく、消費への影響はごく一部に限られます。

 

■増税前の買いだめは新ジャンルユーザーの33%

今回の調査は回答者から「ビール類を週に 1 回以上自宅で飲む方」を選抜し「ビール類ユーザー」を対象に集計しました。ビール類の飲酒頻度は「毎日飲む」が 43% と最多で、「週に 4~5 日」が 22% と続き両者で 65% を占めます。一度に飲む量は 350ml 缶で「 1 缶程度」が 43% 、「1~2缶」が 30% と、晩酌のスターターとしてビール類を飲むという方が多いようですが、「 3 缶以上」という方も 11% います。

 

よく飲むビール類は「ビール」が最多の87%、2位は「新ジャンル」50%、「プレミアムビール」44%、「発泡酒」43%と、ビールだけ、新ジャンルだけというよりも、さまざまなビール類を併飲している様子が窺えます。さらにもっともよく飲むものを一つ選んでもらうと「ビール(クラフトビール・プレミアムビール・ビールの計)」が43%、「新ジャンル」38%、「発泡酒(発泡酒と機能性ビールの計)」19%と、おおむね4:4:2の割合です。

 

 量販店の店頭には増税の告知も散見される。9月下旬の連休から大規模な仮需が発生しそうだ

 

ではまず10月に1缶10円増税される新ジャンルを増税前に買いだめするかどうかから見ていきましょう。ビール類ユーザー全体では18%が「買いだめする」と回答し、「買いだめしない」という方と同数です。しかし、主として新ジャンルを飲んでいる人では,「買いだめする」が33%にのぼり「買いだめしない」の25%を大きく上回りました。発泡酒ユーザーでも「買いだめする」は21%あります。

 

 ちなみに昨秋、消費税率が8%から10%に引き上げられた際、ビール類の買いだめをしたか聞いた質問では「買いだめした」が全体で16%、新ジャンルユーザーで21%です。今回は新ジャンルユーザーを中心に、消費税率引き上げ時以上の規模で買いだめが発生すると予想されます。

 

この違いは増税幅の大きいことに起因すると思われます。現在新ジャンルは量販店で350ml1ケースが2400円前後(税抜き)で販売されています。消費税率が2%上がった時値上げ額は約50円でしたが、今回は240円とほぼ1割の値上げとなるのです。

消費税率が引きあげられる直前、昨年9月は新ジャンルの課税数量(メーカー出荷)も家計調査の消費支出も、前年同月比2割増でした。新ジャンルの増税の告知が徹底されると、買いだめする新ジャンルユーザーは消費税率アップの時の1.5倍、仮需の規模は平年9月の3~4割増になる可能性があります。

 

■新ジャンルユーザーの約3割が「減税でビールが増える」

  では10月にビールの税率が引き下げられるとビール類の消費はどのように変わるのでしょうか? 増減税があっても選択は「変わらない」とした者がビール類ユーザー全体の78%を占めました。減税となる「ビールが増える」は17%です。ビール類ではありませんが税率が変わらず、新ジャンルとの価格差が広がる「RTDが増える」が5%です。

 

 

ビールの 350ml 缶の実勢価格は量販店で約 200 円(税抜き)です。今回の減税はひと缶あたりわずか 7 円ですが、それでもビールが増えるという人が 17% にのぼることからは、発泡酒や新ジャンルのユーザーの「ビールを飲みたい」という気持ちの強さが窺われます。「ビールが増える」と回答した人は新ジャンルユーザーでは 27% 、発泡酒ユーザーの 38% もありました。

 

 10月に減税されるビール。6年後のビール類の税率一本化に向けて主要メーカーはブランドの強化と市場拡大を狙う

 

■新ジャンルからRTDへの流出は限定的

そしてビール類から RTD への流出はごく限られたものになりそうです。今回の増税で新ジャン  ルと RTD の価格差は、 350ml 缶で 10 円から 20 円に広がります。現在の量販店での実勢価格は RTD が約 110 円(税抜き)、新ジャンルが約 120 円(〃)ですから、 20 円の差は決して小さくありません。

 

しかし「 RTD が増える」という回答はビール類ユーザー全体の 5% 、新ジャンルユーザーでも 13% にすぎませんでした。そしておそらく、新ジャンルから RTD に完全に切り替えるのではなく、併飲しながら RTD の飲用頻度が上がるという変化が大勢と思われます。これまで新ジャンルが 6 缶に RTD が 1 缶混じっていた方の選択が、 RTD が 2 缶に増えるというケースです。

 

レモンサワー人気の高まりもありRTDは2016年から2桁増が続く。勢いはさらに加速するのか?

 

また、新ジャンルからRTDへの流出は中期的に見るとすでに落ち着いています。現在は焼酎や清酒のユーザーがRTDを併飲する例が増えており、現在のビール類ユーザーはビールの味が好きで飲み続けるビールロイヤルな方々です。酒税率の改正によってビール類とRTDの飲まれかたが大きく変わることはないのではないでしょうか。■

 

【調査概要】

調査時期:2020/9/4~9/9

調査方法:インターネットによる自記入式アンケート

サンプル数:126人(ビール類を週に1回以上飲む人)

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