親の教育が子どもの生存に大きな助けと新たな研究

Institute for Health Metrics and Evaluation

AsiaNet 90047 (1326)

 

【シアトル2021年6月11日PR Newswire=共同通信JBN】

*父母の教育に関する数少ない調査で両方の保護的効果が判明

 

ワシントン大学医学部のInstitute for Health Metrics and Evaluation(IHME、保健指標評価研究所)(https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)00534-1/fulltext )とCentre for Global Health Inequalities Research(CHAIN、国際保健不平等研究センター)の研究者らによる新たな研究調査で、親の教育年数の長さが子どもの死の危険の大幅な軽減に関係することが分かった。

 

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研究によると、母親の教育の1年は5歳未満の子どもの死の危険を3%縮小、教育を12年間受けた母の子どもは、教育を受けない母の子どもに比べて5歳未満で死亡する可能性が30%以上小さい。父親の教育の12年間は教育なしの父親に比べて子どもの5歳未満死亡率を17%縮小した。

 

研究報告主執筆者のHunter York氏は「この研究調査は地域と時間の全体にわたって教育の明白な効果が一貫しており、非常に興味深い。この事実は原因を示すものではなく、喫煙など下級教育と相関関係がある行動の影響を超えた関係、あるいは親の教育水準に関係なく子どもの生存率向上を目指す無料の家族計画のような政策介入を指し示す。これらは教育と子どもの健康の関係に影響を与える重要な手段だが、研究結果は教育自体の有益な効果を示している」と語った。

 

研究者らは、母親の教育よりもはるかに調査が不十分だった父親の教育に関するさらなる調査の重要性を強調した。

 

上級執筆者の1人Emmanuela Gakidou教授は「母親の教育の調整後であっても、父親の教育はまだ重要だ。研究の大半は母親の教育年数だけを調べたが、両親のつながりの理解と分析は不可欠で、子どもの生存への父親の教育の影響を無視することはできない」と述べた。

 

92カ国の300件を超える研究が分析に含まれ、300万件以上の出生が把握された。親の学校教育の保護効果は子どもの年齢が上がるにつれて強まるが、5歳未満の各年齢グループで際立っていることが分かった。

 

*新生児(0-27日)の死亡リスクは母親の教育年数の1年増加ごとに1.5%ずつ縮小した。父親の教育年数増では1年当たり1.1%縮小した。

 

*乳児(1-11カ月)の死亡リスクは母親の教育年数増1年ごとに3.7%、父親の教育年数増は各1.8%の縮小だった。

 

*小児(1-4歳)の死亡リスクは母親の教育年数増1年ごとに4.4%、父親の教育年数増は各2.2%の縮小だった。

 

この関連は全地域で、財産や収入、配偶者の教育水準、子どもの性別の調整後に有効だった。

 

CHAINの指導者Terje Andreas Eikemo教授は「子どもの死亡率をさらに下げる必要があり、教育への投資がこれを達成するカギとなるかもしれない。教育を子どもの生存の世界的な決定要素として国際的政策課題にする時だ」と語った。

 

重要なことに、研究では子どもの生存に対する教育年数増加の影響が、初等、中等、第3期の各教育レベルで同じだったことが分かり、初等教育だけの重視は5歳未満の死亡数を減らし、子どもに最良の生存チャンスを与える機会を逃すことを示している。

 

主執筆者の1人Kam Sripada氏は「世代を超えても、教育と保健はつながっている。上質の学校教育への普遍的アクセスは、現世代の能力発揮の支援と次世代の生存、成長促進の両方のために、最初期から上級教育までの優先事項でなければならない」と述べた。

 

この研究調査はNorwegian Research Council(ノルウェー研究評議会)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、Rockefeller Foundation-Boston University Commission on Social Determinants, Data, and Decision Making(3-D Commission、社会的決定要素、データ、意思決定に関するロックフェラー財団・ボストン大学委員会)が資金提供した。

 

▽問い合わせ先

media@healthdata.org

 

▽Institute for Health Metrics and Evaluation

Institute for Health Metrics and Evaluation(IHME、保健指標評価研究所)はワシントン大学医学部の独立系国際保健研究機関で、世界で最も重要な保健問題について厳格かつ比較可能な測定を提供、それらへの対処戦略を評価している。IHMEは透明性の確保に努めており、政策立案者が国民の健康増進のため、十分な情報に基づくリソースの配分を決定する際に必要なエビデンスを得られるようこれらの情報の幅広い利用を可能にしている。

 

ソース:Institute for Health Metrics and Evaluation

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