ベクルリー(R)(レムデシビル)、 疾患の進行リスクが高いCOVID-19患者さんの入院リスクを有意に軽減
非入院患者へのベクルリー点滴静注早期使用の有効性を評価する試験最新データを IDWeek 2021で発表予定
2021年 9月24日
ギリアド・サイエンシズ株式会社
ベクルリー(R)(レムデシビル)、 疾患の進行リスクが高いCOVID-19患者さんの入院リスクを有意に軽減
ー非入院患者さんに対するベクルリー点滴静注の早期使用の有効性を評価する二重盲検プラセボ対照試験ー ー最新データを IDWeek 2021で発表予定 ー
2021年 9月22日、ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック: GILD、以下「ギリアド」)は本日、疾患の進行リスクが高い非入院患者さんにおけるCOVID-19治療を目的とした、3日間のベクルリー(R)(一般名:レムデシビル)点滴静注の有効性および安全性を評価する第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験において良好な結果が得られたことを発表しました。この最新データは、IDWeek 2021(米国感染症週間2021)バーチャル・カンファレンスにて発表される予定です。
本試験では562名の被験者をベクルリー投与群とプラセボ投与群に1対1の割合で無作為に割り付けました。解析の結果、ベクルリー投与群(0.7% [2/279])はプラセボ投与群(5.3% [15/283] p=0.008)に比べて、複合主要評価項目である28日目までの「COVID-19に起因する入院」または「原因を問わない死亡」のリスクを87%、統計的な有意差をもって減少させました。また、副次評価項目である28日目までの「COVID-19による医療機関の受診」または「原因を問わない死亡」のリスクについては、ベクルリー投与群(1.6%[4/246])はプラセボ投与群(8.3%[21/252] p=0.002)に比べて、81%減少したことが示されました。いずれの群においても、28日目までの観察期間で死亡例は認められませんでした。
本試験は、当時の疫学の変遷や新たな治療選択肢の登場により、登録目標を達成する前の2021年4月に中止されましたが、その後も登録された被験者のデータ収集は継続され、ベクルリーまたはプラセボへの割り付けは、治験医師および被験者に対して盲検化された状態を維持しました。本試験の結果は、COVID-19入院患者さんを対象としたACTT-1試験およびその他の臨床試験において、ベクルリーが入院患者さんの回復を有意に早め、疾患の進行リスクを減少させた良好な結果を補完するものです。
ベイラー大学メディカルセンターおよびベイラー・スコット&ホワイト・リサーチ・インスティテュートの心臓専門医であり治験責任医師であるロバート L. ゴットリーブ医学博士は以下のように述べています「抗ウイルス薬は、疾患の初期段階で使用することにより、最大限の効果を発揮します。昨年夏に示された臨床試験の結果では、酸素吸入を必要としないCOVID-19入院患者さんにおいても、レムデシビルの有用性が確認されました。今回の最新データは、レムデシビルにより、高リスク患者さんの症状が悪化する前に回復する、また医療機関で受診する必要がなくなることを促進させる可能性を示しています。」「新規のCOVID-19感染者の急増により入院患者数は激増し、既に過重な負担を強いられている医療システムへの需要はさらに高まっています。ベクルリーの名で商品化されているレムデシビルは、COVID-19による入院患者さんの治療において有効な抗ウイルス薬で、疾患の進行を抑えるために不可欠な治療薬です」
非入院患者さんにおけるベクルリーの3日間投与は現在開発段階で、用法・用量および投与期間の安全性および有効性は確立されておらず、いずれの地域においても規制当局からの承認は得られていません。米国においてベクルリーは、入院を必要とする成人および小児患者さん(12歳以上で体重40kg以上)に対するCOVID-19治療の適応を取得しています。なお米国においてベクルリーは、同薬剤またはその成分に対するアレルギーのある患者さんには禁忌です。米国でのベクルリーに関するその他の重要な安全性情報については、以下を参照してください。
本試験における安全性プロファイルはベクルリーとプラセボ間で類似しており、ベクルリーが投与された患者さんに最も多くみられた試験治療下での有害事象(TEAE)(5%以上)は、吐き気と頭痛でした。また、ベクルリー投与を受けた279名で、新たな安全性シグナルは認められませんでした。本試験では、59日目に1名の死亡が確認されましたが(プラセボ投与群)、28日目の主要評価項目までは、いずれの群においても死亡例はありませんでした。現在、ギリアドでは規制当局とのデータ共有を進めています。
ギリアドの最高医療責任者(CMO)であるマダッド・パーセイ(MD、PhD)は、以下のように述べています。「パンデミックが進展し続け、新たなウイルス変異が現れる中、ベクルリーは入院患者さんに対する標準的な抗ウイルス剤として、疾患の進行を抑制し、患者さんの回復を早める重要な役割を果たしています。」「私たちは、抗ウイルス薬を開発するリーダーとして、今回確認された試験結果を歓迎するとともに、自宅での投与が可能となる効果的で利便性の高い治療に対するアンメットニーズに応えるため、ベクルリーおよび新規経口抗ウイルス薬の開発に引き続き投資していきます」
ギリアドは腎機能障害のある患者さん、小児、妊婦など、アンメットニーズが引き続き存在する入院患者さんを対象に、ベクルリーの有効性や安全性の試験を継続するとともに、多くの外部スポンサーによる試験にも支援しています。またギリアドは、COVID-19による非入院患者さんに対する新規経口治療の開発を進めており、来年初頭までに米国食品医薬品局(FDA)に治験届(IND)を提出することを目指しています。
非入院患者対象 ベクルリー点滴静注試験(GS-US-540-9012)について
GS-US-540-9012(PINETREE)試験は、第3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、疾患の進行リスクが高いCOVID-19非入院患者さんにおいて、3日間のベクルリー 点滴静注が入院率や全死亡率を低下させる可能性を含む有効性や安全性を評価しました。本試験の主要評価項目は、28日目までの「COVID-19に起因する入院」または「原因を問わない死亡」の複合評価とし、副次評価項目は、28日目までの「COVID-19による医療機関の受診」または「原因を問わない死亡」としました。
本試験では1,264名の被験者を登録し、無作為化二重盲検により半数がベクルリー、残りの半数がプラセボを投与するよう計画されました。ギリアドは、COVID-19の感染状況や患者さんのニーズの変化を考慮し、2021年4月に試験の中止を決定しました。その時点で584名が試験に登録されており、その後も本試験の盲検化は継続され、登録者は最後の来院までプロトコルに従いフォローアップされ、試験を終了しました。
本試験は、COVID-19と診断された患者さんのうち、併存疾患や年齢により疾患の進行リスクが高く、かつ入院していない患者さんに対して、ベクルリーが果たす役割を評価するために実施されました。本試験の登録者は、肥満、高血圧、糖尿病などの一般的な併存疾病があり、そのうち3分の1は60歳以上でした。本試験には、治療開始の4日以内に陽性の診断を受け、症状が出てから7日間以内の患者さんが登録されました。
ベクルリーについて
ベクルリー(レムデシビル)は、ギリアドの10年以上にわたる抗ウイルス研究の成果を基に創薬されたヌクレオチド誘導体です。ベクルリーは、COVID-19による入院患者さんの標準的な治療に使われる抗ウイルス薬で、現在、米国ではCOVID-19による入院患者さんの半数以上がベクルリーによる治療を受けています。また、COVID-19の治療薬として米国を含む世界約50カ国で承認または緊急使用が認められており、ボランタリー・ライセンスを結んだ後発品企業で製造されたジェネリック薬のレムデシビルは、127の中低所得国に提供されています。ベクルリーおよびジェネリック薬のレムデシビルは、世界で700万人以上の患者さんに提供されています。ベクルリーは、エボラ出血熱、SARS、マールブルグ熱、MERSなどの複数の新興ウイルス病原体に対して、in vitroおよびin vivoの動物モデルを用いた試験の双方で広範な抗ウイルス活性が認められています。
ベクルリーは、細胞内のウイルスのRNAポリメラーゼを標的として、SARS-CoV-2のウイルスの複製を直接阻害するヌクレオチド誘導体です。体内に入ったベクルリーは、活性代謝物であるレムデシビル三リン酸に変化し、ウイルスのRNAに取り込まれて宿主細胞内でのウイルス複製を停止させます。ウイルスのRNAポリメラーゼを大きく変化させた変異株はいまのところ確認されておらず、既知の変異ウイルスはすべて、ウイルスの外表面にあるSARS-CoV-2スパイクタンパク質の異なる位置に変異があり、抗SARS-CoV-2抗体の親和性を低下させる原因となっています。
ベクルリーの抗ウイルス活性については、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロンを含む懸念される変異株(VOC:variant of concern)およびSARS-CoV-2の1つである注目すべき変異株(VOI:variant of interest)に対する検討がされました。その結果、ベクルリーが現在確認されているSARS-CoV-2ウイルスの変異株に対しても有効であることが示唆されています。
米国でのベクルリーの適応症
米国におけるベクルリー (R) (レムデシビル100mg注射剤)の適応症は、成人および小児(年齢12歳以上で体重40 kg以 上)の入院患者に対するCOVID-19治療です。ベクルリーの投与は、病院もしくは入院治療と同等の急性期治療を提供できる医療施設で行ってください。
米国でのベクルリーに関する重要な安全性情報
禁忌
ベクルリーは、同薬剤またはその成分に対して臨床上問題となる過敏症の既往歴 のある患者には、投与しないでください。
警告および使用上の注意
●過敏症(注入に伴う反応とアナフィラキシー反応を含む):ベクルリーの投与中および投与後に、注入に伴う反応やアナフィラキシー反応などの過敏症の発生が報告され ています。ベクルリーの投与中および投与後は、過敏症反応の有無について注意深く観察してください。低血圧、高血圧、頻脈、徐脈、低酸素症、発熱、呼吸困難、喘 鳴、血管浮腫、発疹、悪心、発汗や戦慄などの症状が現れることがあります。点滴速 度を下げると(点滴時間は最長で120分)、これらの反応が予防できる可能性があります。重度の点滴関連反応が現れた場合は、直ちにベクルリーの投与を中止し、適切な治療を行ってください(「禁忌」を参照)。
●トランスアミナーゼ上昇のリスク:健常被験者や、ベクルリー投与を受けたCOVID-19患者にトランスアミナーゼの上昇が認められています。COVID-19の臨床所見としてもトランスアミナーゼ上昇が報告されています。全ての患者について、肝機能検査を行ってください(「用量および用法」を参照)。ALTが施設基準値上限(ULN)の10 倍を超える場合には、ベクルリーの投与中止を考慮してください。ALT上昇に伴い肝臓の炎症を示す症状・徴候が認められた場合 はベクルリーの投与を中止してください。
●クロロキン・ヒドロキシクロロキンとの併用時の抗ウイルス活性低下リスク: ベクル リーとリン酸クロロキンまたはヒドロキシクロロキン硫酸塩との併用については、細胞培養で拮抗作用が認められ、ベクルリーの抗ウイルス活性が低下する可能性があることから、併用は推奨しません。
副作用
●発現率が高かった有害事象(発現率5%以上)は、悪心でした。
●発現率が高かった検査値異常(グレード別のない発現率5%以上)は、ALT上昇 とAST 上昇でした。
薬物相互作用
ベクルリーと併用薬の薬物相互作用を検討するヒトを対象とした試験は、行われていません。
用法および用量
●用量:成人患者および12歳以上で体重40 kg以上の小児患者: 1日目に200 mg、2 日目以降は1日1回100 mgを30~120分かけて点滴静注します。
●投与期間:侵襲的機械的人工呼吸および/または膜型肺による体外酸素加法 (ECMO)を必要としない患者:5日間。臨床的改善がみられない場合は、最長 で5日間延長することができます(総投与期間:10日間)。侵襲的機械的人工呼吸および/または膜型肺による体外酸素加法(ECMO)を必要とする患者:10日間
●投与前および投与中の検査:ベクルリーの投与開始前はeGFR、肝機能検査、プロトロンビン時間の検査を行い、投与期間中も必要に応じて行ってください。
●腎機能障害:eGFRが30 mL/分未満の患者には、ベクルリーの投与は推奨しません。
●調製と投与:添付文書をご覧ください。
妊婦、授乳婦への投与
●妊婦:妊娠中のベクルリーの使用に関するヒトのデータは、十分に得られていません。COVID-19で入院中の妊婦は、重篤な合併症と死亡のリスクが高い状態にありま す。ベクルリーの妊婦への使用は、期待される有益性が妊婦と胎児で考えられる危険 性を上回る場合のみに限定してください。
●授乳婦:ベクルリーの乳汁中への移行は不明です。COVID-19患者の授乳については、乳児へのウイルス曝露を避けるための臨床ガイドラインを参照してください。
ギリアド・サイエンシズについて
ギリアドは、すべての人々にとってより健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。ギリアドはHIV、ウイルス性肝炎、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。
ギリアドの将来予想に関する記述
本プレスリリースは、1995年米国民事証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予測に関する記述」に該当し、ベクルリーに関連して現在進行中の試験や今後行われる臨床試験または研究で良好でない結果が得られない可能性があるほか、ギリアドがこれらの臨床試験や研究を予定通りに完了することができない、または中止に至る可能性もあります。これらのリスク、不確定要素、およびその他の要因については、米国証券取引委員会に提出されたギリアドの2021年6月30日を末日とする四半期報告書 (フォーム10-Q)に詳細に記載されています。これらのリスク、不確定要素、およびその他の要因により、実際の結果が「将来予想に関する記述」で言及されている内容と大きく異なる可能性があります。歴史的事実以外のすべての記述は、「将来予想に関する記述」とみなされる可能性があり、将来の業績を保証するものではありませんので、依拠しないようご注意ください。「将来予想に関する記述」はすべて、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドは将来予想に関する記述を更新する義務を負いません。
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 ギリアド・サイエンシズ株式会社
- 所在地 東京都
- 業種 医薬品
- URL https://www.gilead.co.jp/
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