ベクルリー(R)(レムデシビル)、COVID-19の進行リスクが高い非入院患者の治療薬としてFDAより承認を取得
2022年1月28日
ギリアド・サイエンシズ株式会社
ベクルリー(R)(レムデシビル)、COVID-19の進行リスクが高い非入院患者さんの治療薬としてFDAより承認を取得
―ベクルリーがプラセボに比べ、入院リスクを87%有意に 低下させたことを示す第III相データに基づく承認―
―NIHガイドラインは、高リスクの非入院患者さんの治療にベクルリーを推奨―
―高リスクの非入院小児患者さんへの対象拡大を認める 小児の緊急使用許可(EUA)をFDAより取得―
ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は1月21日、米国食品医薬品局(FDA)が、入院または死亡を含むCOVID-19重症化リスクの高い非入院成人および青年患者さんの治療薬として、ベクルリー(R)(レムデシビル)の医薬品承認事項変更申請(sNDA)に対し、迅速承認したことを発表しました。今回の承認により、COVID-19による入院患者さんの標準的な治療に使われる抗ウイルス薬であるベクルリーの役割が拡大されます。適応拡大により、要件を満たす外来施設でベクルリーの3日間点滴静注が可能になります。また、FDAは疾患の進行リスクが高い12歳未満の非入院小児患者さんを治療対象に含めるため、ベクルリーの小児の緊急使用許可(EUA)を拡大しました。
これらのFDAの対応は、COVID-19症例の急増とオミクロン株による複数の抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体への感受性の低下を受けたものです。一方、ベクルリーは高度に保存されたウイルスのRNAポリメラーゼを標的としているため、これまでに確認された既存のSARS-CoV-2で懸念される変異株に対し活性を維持します。In vitro試験では、ベクルリーがオミクロン株に対する活性を維持することが示されています。これまでに確認された懸念される変異株において、ベクルリーが標的とするウイルスのRNAポリメラーゼ活性に影響を及ぼすような遺伝子変異は認められていません。
FDAのsNDA承認および小児に対するEUAの拡大、最近更新された国立衛生研究所(NIH)のCOVID-19治療ガイドラインの非入院下におけるベクルリーの推奨は、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験であるPINETREE試験の結果に基づいています。この試験では、疾患の進行リスクが高い非入院患者さんを対象に、COVID-19治療における3日間のベクルリー点滴静注の有効性と安全性を評価しました。本試験では562名の被験者がベクルリー投与群とプラセボ投与群に1対1の割合で無作為に割り付けられました。解析の結果、ベクルリー投与群(0.7% [2/279])はプラセボ投与群(5.3% [15/283] p=0.008)に比べて、複合主要評価項目である28日目までの「COVID-19に起因する入院」または「原因を問わない死亡」のリスクを87%、統計学的な有意差をもって減少させました。また、いずれの投与群においても、28日目までに死亡例は認められませんでした。本試験の安全性プロファイルは、さまざまな外来環境においてベクルリーとプラセボ間で類似しており、ベクルリーを投与された患者さんに最も多くみられた治験下での有害事象(TEAE)(5%以上)は、吐き気と頭痛でした。
ギリアドの会長兼チーフ・エグゼクティブ・オフィサーのダニエル・オデイ(Daniel O’Day)は、次のように述べています。「レムデシビルは現在、世界で1,000万人以上のCOVID-19患者さんの治療に役立てられており、パンデミックによる負担の軽減に引き続き重要な役割を果たしています。最新のデータによると、レムデシビルはCOVID-19による入院患者さんだけでなく、COVID-19感染症の初期段階においても効果があることが分かりました。当社はさまざまな状況において、より多くの患者さんの治療に貢献できるよう、引き続きレムデシビルの開発とともに経口治験薬の開発も進めてまいります。経口薬については、レムデシビルと同じ抗ウイルス作用機序に基づいており、COVID-19経口抗ウイルス薬であるGS-5245の第I相試験が現在進行しています」
米国におけるベクルリーの適応症は、入院しているかまたは非入院で入院や死亡を含むCOVID-19重症化リスクの高い成人および小児患者さん(年齢12歳以上、体重40 kg以上)におけるCOVID-19の治療です。ベクルリーは、EUAに基づき、体重3.5 kg以上40 kg未満あるいは12歳未満で体重が3.5 kg以上の小児患者さんへの使用が追加承認されました。ベクルリーは同製剤またはその成分に対してアレルギーのある患者さんには禁忌です。その他の重要な安全性情報については、以下を参照してください。
ベクルリーの適応拡大においては、疾患の進行リスクが高く、SARS-CoV-2感染が確認された非入院成人および小児患者さん(12歳以上、体重40 kg以上)に対し、入院を回避するため、3日間の投与が推奨されています。人工呼吸器やECMOを使用していない入院患者さんの場合、5日間の投与が推奨され、必要に応じて計10日間まで延長できます。人工呼吸器やECMOを必要とする重症患者さんの場合は、10日間の投与とされています。
米国におけるベクルリーの流通に関する最新情報
ギリアドは、2020年10月にFDAから承認を取得して以降、入院患者さんの治療における米国および世界全体におけるベクルリーに対する需要を滞りなく満たしてきました。今後、ギリアドは、流通業者と協力し、非入院施設における製品の使用に関する情報提供を含め、要件を満たす外来施設でベクルリーの使用を可能にし、現在のCOVID-19症例の急増による早期治療の需要に応えていきます。COVID-19の重症化リスクが最も高い患者さんの治療を優先する国立衛生研究所(NIH)のCOVID-19治療ガイドラインの推奨に従い、入院環境での使用における継続的な供給を確保し続けると同時に、外来施設への供給を拡大することが我々のゴールです。段階的なアプローチを採用し、まずはベクルリー投与経験のある病院の外来施設から開始し、その後要件を満たすその他外来施設へと供給を進めていきます。
ベクルリーについて
ベクルリー(レムデシビル)は、ギリアドの10年以上にわたる抗ウイルス研究の成果を基に創薬されたヌクレオチド誘導体です。ベクルリーは、COVID-19による入院患者さんの標準治療として使われる抗ウイルス薬で、現在、米国ではCOVID-19による入院患者さんの半数以上がベクルリーによる治療を受けています。ベクルリーは、疾患の重症度にかかわらず、疾患の進行を抑え、入院患者さんの早期回復を可能にすることにより、限られた病院のリソースを確保し、医療システムのコストを削減することができます。
また、COVID-19の治療薬として世界約50カ国で承認または緊急使用が認められています。現在までにベクルリーおよびジェネリック薬のレムデシビルは、ボランタリー・ライセンスを通じて提供された127の低中所得国における700万人を含め、世界で1,000万人以上の患者さんに提供されています。これらのボランタリー・ライセンスは、レムデシビルへの幅広い患者アクセスを可能にするというギリアドのコミットメントを反映し、ロイヤリティ・フリーで提供されています。
米国でのベクルリーの適応症
米国におけるベクルリー(R)(レムデシビル100 mg注射剤)の適応症は、SARS-CoV-2ウイルス検査の結果が陽性であった、次の成人および小児(年齢12歳以上で体重40 kg以上)患者さんに対するCOVID-19治療となります。
・入院している
・あるいは、入院しておらず、軽度から中等度のCOVID-19であり、入院や死亡を含むCOVID-19重症化リスクが高い
ベクルリーは、必ず医療従事者が重度のインフュージョンリアクションや過敏性反応(アナフィラキシーなど)をすぐに治療でき、必要に応じて緊急医療システム(EMS)を行える環境で投与してください。ベクルリーは必ず静脈投与してください。ベクルリーは同製剤またはその成分に対してアレルギーのある患者さんには禁忌です。詳細については、www.gilead.comに掲載されている米国の添付文書(完全版)をご覧ください。
米国での小児患者を対象としたベクルリーの緊急使用に関する重要情報
米国食品医薬品局(FDA)は、SARS-CoV-2ウイルス直接検査の結果が陽性となった、体重3.5 kg以上、40 kg未満または12歳未満で体重3.5 kg以上の小児患者さんに対して、次の条件を満たす者を対象としたCOVID-19の治療薬としてベクルリーの緊急使用を認める緊急使用許可(EUA)を発出しました。
・入院している
・あるいは、入院しておらず、軽度から中等度のCOVID-19であり、入院や死亡を含むCOVID-19重症化リスクが高い
ベクルリーは、FDAより上記に対する緊急使用に係る許可を得ていますが、上記の使用に対するFDAの承認は取得していません。ベクルリーは、許可が早期に終了または取り消されない限り、緊急使用許可を正当化する状況が続く間使用は許可されます。
EUAより小児患者さんに対して認められているベクルリーの用法・用量は、凍結乾燥粉末として供給される「ベクルリー点滴静注用100 mg」に限られています。体重3.5 kg以上、40 kg未満または12歳未満で体重3.5 kg以上の小児患者を対象とした用法・用量の規定を含め、認められたベクルリーの使用法に関する情報については、こちらに掲載したFact Sheet for Healthcare Providersをご覧下さい。
米国におけるベクルリーに関する重要な安全性情報
禁忌
ベクルリー製剤またはそのいずれかの成分に対して臨床上問題となる過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。
警告および使用上の注意
・過敏症(注入に伴う反応とアナフィラキシー反応を含む):ベクルリーの投与中および投与後に、注入に伴う反応やアナフィラキシー反応などの過敏症の発生が報告されています。また、そのほとんどが1時間以内に発現しています。投与中は患者をモニタリングし、臨床的に適切となるよう投与完了から少なくとも1時間は過敏症の徴候や症状がないか観察します。低血圧、高血圧、頻脈、徐脈、低酸素症、発熱、呼吸困難、喘鳴、血管浮腫、発疹、吐き気、発汗や振戦などの症状が現れることがあります。点滴速度を下げると(点滴時間は最長で120分)、これらの反応が予防できる可能性があります。投与に伴う重度の過敏症が発現した場合、直ちにベルクリーの投与を中止し、適切な治療を開始して下さい(「禁忌」を参照)。
・トランスアミナーゼ上昇リスク:健常被験者や、ベルクリーを投与されたCOVID-19患者にトランスアミナーゼの上昇が認められています。COVID-19の臨床初見としてもトランスアミナーゼ上昇が報告されています。全ての患者について、肝機能検査を行ってください(「用法・用量」を参照)。ALTが施設基準値上限(ULN)の10倍を超える場合、ベクルリーの投与中止を検討してください。ALT上昇に伴い肝臓の炎症を示す症状・徴候が認められた場合はベクルリーの投与を中止してください。
・クロロキン・ヒドロキシクロロキンとの併用時の抗ウイルス活性低下リスク:ベクルリーとリン酸クロロキンまたはヒドロキシクロロキン硫酸塩との併用については、細胞培養で拮抗作用が認められ、ベクルリーの抗ウイルス活性が低下する可能性があることから、併用は推奨しません。
副作用
・発現率が高かった有害事象(全グレードにおいて発現率5%以上)は吐き気でした。
・発現率が高かった検査値異常(全グレードにおいて発現率5%以上)は、ALT上昇とAST上昇でした。
薬物相互作用
・ベクルリーと併用薬の薬物相互作用を検討するヒトを対象とした試験は行われていません。
用法および用量
・用量:成人患者および12歳以上で体重40 kg以上の小児患者: 1日目に200 mg、2日目以降は1日1回100 mgを点滴静注します。COVID-19の徴候があると診断された場合、早急にベクルリーの投与する必要があります。
・投与期間:
o 侵襲的機械的人工呼吸および/またはECMOを必要とする入院患者の場合、推奨投与期間は合計10日間です。
o 侵襲的人工呼吸管理および/またはECMOを必要としない入院患者の場合、推奨投与期間は5日間です。臨床的改善が認められない場合、投与期間をさらに5日間まで延長でき、投与日数の合計は最高で10日間です。
o 軽度から中等度のCOVID-19と診断され、入院または死亡を含むCOVID-19重症化リスクの高い非入院患者の場合、推奨投与期間は合計で3日間です。
・投与前および投与中の検査:ベクルリーの投与開始前はeGFR、肝機能検査、プロトロビン時間の検査を行い、投与期間中も必要に応じて行ってください。
・腎機能障害:eGFRが30 mL/分未満の患者には、ベクルリーの投与は推奨しません。
・調製と投与:完全版の添付文書をご参照下さい。
妊婦および授乳婦への投与
・妊婦:妊婦レジストリは確立されています。妊娠中のベクルリーの使用に関するヒトのデータは十分に得られていません。COVID-19は、子癇前症、子癇、早産、前期破水、静脈血栓塞栓性疾患、胎児死亡などの母体や胎児の有害転帰と関連しています。
・授乳婦:ベクルリーが乳汁中へ移行するかは不明です。COVID-19患者の授乳については、乳児へのウイルス曝露を避けるための臨床ガイドラインを参照してください。
有害事象報告
EUAによりベクルリーを使用する場合、医療提供者および/またはその指名を受けた者には、ベクルリーと関連する可能性がある全ての重篤な有害事象や投与過誤を、医療提供者がその事象を認識した日から7暦日以内にFDA MedWatchへ報告する義務があります。また、承認済みの適応症でベクルリーを使用した場合に発生した有害事象も医療提供者が報告するよう奨励されています。MedWatchへの有害事象報告は、FDAの専用サイト(www.fda.gov/medwatch)から送信しても、電話(1-800-FDA-1088)で行っても構いません。
ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズは、すべての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社はHIV、ウイルス性肝炎、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。
将来予測に関する記述
本プレスリリースは、1995年米国民事証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスクや不確定要素などの要因を含む場合があり、具体的には以下がそれに当たります:
ギリアドが有するベルクリーの供給/流通の効果的な管理能力、米国の入院していない患者におけるベクルリーの使用、ベクルリーを用いた進行中の、または追加の臨床試験から得られた結果が好ましくない可能性、ギリアドが有する、ベクルリー、GS-5245に加え、その他開発中の経口投与する化合物の臨床試験を含め、現在見込まれる日程内に臨床試験を開始、進行、完了する能力、またはそれらが全くできない可能性、ベクルリーに対する追加承認を含め、ギリアドが有する、遅滞なく規制当局による承認を受ける能力、または承認が受けられない可能性、さらに、たとえ承認されたとしてもその使用に関して重大な制約が課されるリスク、医師がベクルリーの処方にベネフィットがないと判断するリスク、および上述のいずれかの背景となる前提。
これらのリスクやその他のリスク、不確定要素や要因については、米国証券取引委員会に提出している、2021年9月30日を期末とするギリアド社四半期報告書(フォーム10-Q)で詳細に説明しています。これらのリスク、不確定要素、その他の要因により、実際の結果が「将来予想に関する記述」と著しく異なったものとなる可能性があります。歴史的事実以外の全ての記述は、「将来予想に関する記述」とみなして下さい。このような「将来予想に関する記述」はリスクや不確実性を伴う将来の業績を保証するものではありませんので、これに過度に依拠しないようご注意下さい。「将来予想に関する記述」は全て、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドでは「将来予想に関する記述」を更新する義務を負うことはなく、更新する意向もありません。
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 ギリアド・サイエンシズ株式会社
- 所在地 東京都
- 業種 医薬品
- URL https://www.gilead.co.jp/
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