清華大学気候変動研究院とアジア開発銀行が共同で、アジアにおける自然に基づく優れたソリューションの実行を呼び掛け

清華大学気候変動・持続可能開発研究院

 

今回のサイドイベントは、世界中から主な専門家を引き付けた

 

AsiaNet 99155 (3140)

 

【モントリオール2022年12月9日PR Newswire=共同通信JBN】エジプトで開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)は、モントリオールで開催された国連生物多様性条約第15回締結国会議(CBD COP15)が開催される3週間前に閉幕した。気候変動と生物多様性に関する国連条約のアジェンダは、ますます相互に交わることが多くなっている。これは、この2つの問題の関連性と統合的な解決策の必要性に関する理解の高まりを反映するものである。

 

Institute of Climate Change and Sustainable Development at Tsinghua University(ICCSD、清華大学気候変動・持続可能開発研究院)とアジア開発銀行(ADB)は共同で、CBD COP 15においてアジア全域にわたる自然に基づく優れたソリューションの実行を呼びかけた。

 

ICCSDのC+NbS責任者でGlobal Alliance of Universities on Climate(GAUC、気候変動に関する世界大学連合)事務局長のWANG Binbin博士は、「カーボンニュートラルへの道筋は、社会全体に関連する体系的な革命である。そのため、カーボンニュートラルは気候変動の先にあるものであり、自然に基づくソリューション(NbS、Nature-based Solutions)はカーボンシンクだけにとどまるべきではない」と述べた。

 

今年3月の国連環境総会で定義されたNbSとは、「社会、経済、環境の課題に効果的かつ適応的に対処し、同時に人間の幸福やエコシステムのサービス、回復力、生物多様性のメリットをもたらす、自然または改変された陸上・淡水・沿岸・海洋生態系の保護、保全、回復、持続的利用、管理のための行動」を指す。

 

ICCSDとADBが共催するサイドイベントは自然の「カーボンニュートラルの未来に向けた革新的な道筋」をテーマに、自然の可能性、とりわけ気候変動の観点からの天然資源の持続可能な利用に関し、さらなる探求を奨励することが目的である。

 

WANG博士は「気候の専門家としての私の考えでは、再生可能エネルギーはすべて自然資源から生まれる。そのため、再生可能エネルギーがネットゼロの未来に向けたソリューションであることに同意するならば、それはこの観点から見ると自然に基づくソリューションということになる。われわれは、相乗効果や統合的な視点を促すべきである」と強調した。

 

気候変動への対応に自然の力を活用するため、ICCSDは400以上のグローバルパートナーと共にC+NbSプラットフォームを運用し、中国とニュージーランドがNbS連合のリーダーとして招待されたニューヨークでの国連気候行動サミット直後の2019年から、世界的な事例に関する追跡調査を実施した。この研究では、300のグローバル事例から成るデータベースを構築し、IUCN世界標準を参考に、国連の持続可能な開発目標(SDGs)である生態文明の指針を考慮した評価基準を策定した。

 

WANG博士は「われわれは、昆明でのCBD COP15の第1段階で発表された推奨事例としてデータベースから28の適切なケースを選択し、6つの主要なスクリーニング指標と3つの詳細な評価特性を結論付けた。次のステップとして、研究対象を地域レベルに絞り込み、それによってより的確に最先端かつ模範的な実用事例を見出していく」と明らかにした。

 

ICCSDはさらにADBと協力し、アジア全域のNbSの実態をより深く分析するためのアジアNbSデータベースを構築する。アジアで関連する事業を実施しているすべての組織は、2023年3月31日までに iccsd@tsinghua.edu.cn に事例を提出することができる。調査結果は、ドバイで開催されるCOP28にて発表される予定である。

 

このサイドイベントは、ICCSDとADBの戦略的パートナーシップの始まりを意味していた。ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)、世界経済フォーラム、ClientEarthの代表者とGAUCのグローバルユース大使は、この会議で本分野の研究と実践的な進展について意見を交換した。

 

ICCSDのLI Zhengプレジデントは、「ADBのアジアにおける強力な支援とネットワークにより、カーボンニュートラルの未来に向けたより革新的なソリューションを探ることができると確信している」と述べた。

 

ADBの環境テーマ委員会のZHANG Qingfeng議長は「気候変動、生物多様性の損失、食糧不安など、アジア太平洋地域が直面している緊急的な危機に対処する上で、自然はその鍵であると考えられている」と述べた。また、ZHANG氏によると、ADBは自然の潜在力を引き出すため、スタンフォード大学とも提携している。

 

ソース:The Institute of Climate Change and Sustainable Development, Tsinghua

 

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