軍事組織に対する文民統制と市民の信頼の因果関係を検証
2024年6月4日
早稲田大学
発表のポイント
軍事組織への市民の信頼と当該組織に対する文民統制の因果関係について、仮想シナリオを用いたオンライン・サーベイ実験を通じて検証しました。
この実験において、武力紛争下で軍事組織が文民統制から逸脱したという内容の仮想シナリオを提示された参加者は、当該組織への信頼を有意に失うことが確認できました。
ただし、こうした文民統制違反が信頼にもたらす影響の大きさは文脈依存的であり、非遵守の方向性(恣意的な行動、行動停止)、統制に関与する主体(首相、立法府)、そして実験参加者の属性(党派性)によって顕著な差異が検出されました。
民主主義の必要条件である「軍事組織による文民統制※の遵守」は、軍事組織に対する市民の信頼を規定する重要な要因であると考えられてきました。しかし、この主張は実証的根拠を欠いており、その分析枠組みも十分に整備されていませんでした。そこで、早稲田大学政治経済学術院 現代政治経済研究所の篠本創(しのもと そう)次席研究員による本研究では、改めて理論的整理を行った上で、仮想シナリオを用いたオンライン・サーベイ実験を日本で実施し、その因果関係を検証しました。その結果、武力紛争下で軍事組織が文民統制から逸脱したという仮想シナリオを見せられた実験参加者は、当該組織への信頼を有意に失うことが確認されました。ただし、こうした影響の大きさは、非遵守の方向性(恣意的な行動、行動停止)、統制に関与する主体(首相、立法府)、そして実験参加者の属性(党派性)によって顕著な差異が検出され、文脈依存的であることも明らかになりました。
本研究成果は、2024年5月16日にSage Journals発行の『Journal of Peace Research』誌にオンライン掲載されました。
論文情報
雑誌名:Journal of Peace Research
論文名:Does the military lose public confidence without compliance with civilian control? Experimental evidence from Japan
執筆者名(所属機関名):Sou Shinomoto(早稲田大学現代政治経済研究所/日本学術振興会)
掲載日時(現地時間):2024年5月16日
掲載URL:https://doi.org/10.1177/00223433241231849
DOI:10.1177/00223433241231849
本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。
このプレスリリースには、報道機関向けの情報があります。
プレス会員登録を行うと、広報担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など、報道機関だけに公開する情報が閲覧できるようになります。
このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 早稲田大学
- 所在地 東京都
- 業種 大学
- URL https://www.waseda.jp/top/
過去に配信したプレスリリース
日本の子ども達の体水分状態はやや不足気味
7/4 14:00
早稲田大学、外部型TLO「株式会社早稲田大学TLO」を設立
7/4 12:00
ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡、133億光年かなたの星団を捉える
7/4 11:00
ポリエステル衣類の放射線照射発光を発見、陽子線ビームの画像化にも成功
7/3 11:00
試行錯誤で学んだことで起きてしまう判断のバイアスは世界共通
6/28 11:00
下水を用いる感染症対策の経済価値
6/27 14:00
尿に極微量含まれる子宮頸がんウイルスタンパク質の検出に成功
6/25 14:00
音楽ライブの観客が「同期」するメカニズム
6/20 14:00
文理融合で社会実装 言語教育のAI活用を支える言語テスト妥当性研究の真髄
6/6 14:00