「口から食べる」ことを支援する取り組み GOKURI®を活用して栄養ゼリーの物性と摂取しやすさの関係を確認
GOKURI®を活用した高齢者向けの食育活動も実施中
のみ込みにくさを抱える高齢者などへ「口から食べる」ことを支援する取り組み 「GOKURI®」を活用して栄養ゼリーの物性と摂取しやすさの関係を確認 ~「GOKURI®」を活用した高齢者向けの食育活動も実施中~
株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、国立長寿医療研究センター(理事長:荒井 秀典)、PLIMES株式会社(代表取締役社長:鈴木 健嗣)と共同で、頸部聴診音と喫食動画の同時記録・嚥下音解析システムを有する「GOKURI®※1」を活用し、半固形状の栄養ゼリー(以下、半固形状ゼリー)の物性の違いが、口に取り込んでから嚥下開始までの時間(以下、口腔保持時間)に関係すること、および嚥下音から算出した嚥下時間のばらつきに影響することを確認しました。本研究成果を2025年2月14日~2月15日に開催された第40回日本栄養治療学会学術集会にて発表しました。
また当社は「GOKURI®」を活用した高齢者向けの食育活動も実施しています。嚥下機能低下を防ぐための情報を伝えることで、いつまでも健康な食生活が送れるよう支援してまいります。
※1:PLIMES株式会社が開発した摂食嚥下モニタリングサービスです。「GOKURI®」の解析システムとネックバンドがクラウド上で連動し、人工知能(AI)が嚥下を定量化します。ネックバンドに内蔵されている接触型センサーで測定した頸部からの音に基づき、嚥下音をモニタリングします(特許第6903368号)。
https://www.gokuri.com/products
【研究成果の概要】
・「GOKURI®」を活用して、半固形状ゼリーの物性の違いに対して、人が口に取り込み、咀嚼し、嚥下するという一連の行為に及ぼす影響を、定量的に評価できることが明らかになりました。
・半固形状ゼリー2種類(嚥下調整食2-1※2)において、かたくてまとまりがあるものは、やわらかくて広がりやすいものより舌を動かす様子が認められ、口腔保持時間が長くなり、一口量を安定して嚥下できることを確認しました。
・食品の物性が異なることで、物性としてのまとまりの良さが咀嚼を促すことなど、口腔内の簡単な操作の度合いが変わることが考えられます。
【研究成果の活用】
口から食べることは生命維持のための栄養・水分補給だけでなく、本来的な欲求に基づく行為であることから、精神面の安定にもつながり、「生きる力」となります。「食べること・のみ込むこと」は外から見て様子がわからない運動です。そのため日常の様子を簡単に、また体に負担をかけずに測る手段は限られています。しかしながら、のみ込む力を測る簡易検査として、水を飲む簡単な検査の重要性も示されつつあります。このような情勢に合わせ、今後さらに日常の生活の中で食べる食品の物性と摂食嚥下機能との関係について理解を深めることで、のみ込みにくさを抱える高齢者についての科学的な知見を確立し、フレイル予防などの商品開発や嚥下調整食を代表とする口腔内の簡単な動きでも喉に残りにくく、誤嚥しにくい食品特徴の評価を推進してまいります。
【研究の目的】
咀嚼機能や嚥下機能の低下により通常の食事を食べるのが困難になると、のみ込みやすいように、かたさ、とろみの程度、まとまりやすさなどを調整した「嚥下調整食」が提供されます。このような食事は、嚥下調整食分類2021によって分類されていますが、同じ分類の中でも食事ごとに物性の特徴があります。そこで同じ分類に属する半固形状ゼリーの摂食嚥下運動をモニタリングし、半固形状ゼリーの物性の特徴の理解と、開発に資する基礎的知見の獲得を目的としました。
【研究概要】
のみ込みに関する基礎疾患のない75歳以上の男女14名を対象に、物性が異なる2種類の半固形状ゼリーを摂取していただき、口腔保持時間および嚥下時間を確認しました。
口演内容
【タイトル】
半固形流動食の摂取しやすさに及ぼす物性の影響
【方法】
・嚥下機能低下をきたす基礎疾患のない75歳以上の健常成人14名(男7人女7人)を対象者としました。
・かたさ※3の値が大きく、まとまりや広がりに関連する指標のLine Spread Test値※4(以下、LST値)が小さい食品Pと、かたさの値が小さくLST値が大きい食品Qを準備しました。(食品P、Qは嚥下調整食分類2021の分類コード2-1に属する半固形状ゼリー)
・「GOKURI®」ネックバンドを装着して、食品1種類につき一口あたり5gを5口連続摂取しました。5口分の食べ始めから食べ終わりまで継続的にモニタリングしました。 食品Pを先に摂取する群と食品Qを先に摂取する群にわけてランダム化して実施しました。
【結果】
・一口あたりの口腔保持時間は食品Pの方が有意に長いことがわかりました(図1)
・一口あたりの嚥下時間は食品Pと食品Qに有意な差はありませんでしたが、個人ごとのばらつきは食品Pの方が有意に小さいことがわかりました(p=0.003、図2)。
・一口あたりの嚥下回数は、食品Pは全員1回でしたが、食品Qは2回嚥下する方がいました。
【考察】
・食品Pは食品Qに比べてまとまりがあり、咀嚼が促され、口腔保持時間が長くなったと考えられました。
・物性としてのまとまりの良さと、それによって咀嚼が促されたことが、嚥下時間の個人ごとのばらつきの小ささに寄与している可能性が考えられました。
口から食べることを支援する「GOKURI®」を活用した食育の取り組みについて
当社は嚥下のメカニズムを研究し、嚥下レベルに合わせた食品開発に取り組むとともに、高齢者の方を対象に、嚥下機能低下を防ぐための情報を伝える食育の活動を行っています。測定希望者には「GOKURI®」を用いて嚥下の様子を測定することで、ご自身の嚥下レベルを知る機会を提供し、「口から食べること」の大切さを改めて認識していただくとともに、いつまでも健康な食生活が送れるよう支援してまいります。
<セミナー内容>
・加齢による嚥下機能低下の理由を解説。
・舌・喉も筋肉であるため、鍛えることで嚥下機能向上が可能であることを説明。
・唾液腺マッサージの紹介と実践、当社グミかみごたえチャートの紹介と試食を実施。
・セミナーの前後で希望者へ「GOKURI®」を使用して嚥下機能を測定。
詳細:https://www.meiji.co.jp/meiji-shokuiku/meiiku_back/pdf/vol16.pdf
<実績>
2023年7月よりスタート
2023年度12回・体験者約150名
2024年度26回・体験者約150名(2025年3月1日時点)
※2:国内の病院・施設・在宅医療および福祉関係者が共通して使用できる統一基準として日本摂食嚥下リハビリテーション学会によって嚥下調整食分類2021が作成されました。本研究の食品分類コードは「2-1(均質でなめらかで、べたつかず、まとまりやすいもの)」に分類されます。
※3:食品のかたさ、歯ごたえ、弾力性、粘りといった食感を数値化できるテクスチャー測定装置にて測定します。
※4:シートの上に置いた筒状リングに食品を入れ、リングを垂直に持ち上げた時の食品の広がり距離を測定します。LST値が小さいほど、まとまりの良い物性といえます。
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このプレスリリースを配信した企業・団体

- 名称 株式会社 明治
- 所在地 東京都
- 業種 食料品
- URL https://www.meiji.co.jp/
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