木材を鉄骨の被覆材に使用した木鋼ハイブリッド耐火柱「Dkitto-Column」を開発

●樹種の制限なく、1.5時間耐火を実現

大和ハウス工業

2025年3月27日

大和ハウス工業株式会社

代表取締役社長 芳井敬一

大阪市北区梅田3-3-5

 大和ハウス工業株式会社(本社:大阪市、社長:芳井敬一)は、事務所など9階建てまでの建築物に採用できる木鋼ハイブリッド耐火柱「Dkitto-Column(ディキットコラム)」を開発し、1.5時間耐火大臣認定を取得しました。

 当社は、3月28日より「Dkitto-Column」を搭載した環境配慮型事務所商品を全国で販売していきます。

 

 

Dkitto-Column 木鋼ハイブリッド耐火柱「Dkitto-Columnを採用した建物イメージ

 

 当社グループでは、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた新たな重点領域の一つとして、温室効果ガスの固定化や森林資源循環などに貢献できる「木造・木質建築事業」を掲げ、2023年10月より非住宅の木造化・木質化を推進するプロジェクト「Future with Wood(フューチャー・ウィズ・ウッド)」を発足し、官民連携の木材利用や木質化の技術開発などの取り組みを加速させています。

 このたび当社は、「Future with Wood」の一環として、事務所など9階建てまでの中高層建築物に採用できる、木材を被覆材に使用した鉄骨部材「Dkitto-Column」を開発しました。「Dkitto-Column」は、耐火被覆に使用する木材の樹種に制限がなく、1.5時間耐火を実現できるとともに、CO2排出量削減に貢献できます。

 今後も当社は、環境等に配慮した木材の利用により、社会や地域における脱炭素化、森林資源の循環利用に貢献し、カーボンニュートラルはもとより、自然環境と調和した社会の実現を目指します。

 

 

1.樹種に縛られることなく1.5時間耐火を実現

 「Dkitto-Column」は、木材や網入強化せっこうボードを被覆材として使用し、1.5時間耐火を実現した耐火柱です。燃え代層(断熱性能の高い炭化層)として45 mmの木材と、燃え止まり層(耐火材層)として15mmの網入強化せっこうボードを2枚張りにし、耐火性能を強化しています。1.5時間耐火を実現することで、最高 9階建てまでの建築物で採用することができます。当社が建築した事務所(※1)の9割以上が9階建て以下となっているため、木のぬくもりを感じられる空間を演出したいお客さまへのご提案を可能とします。

 また、樹種に縛られることなく、木材を選択することもできます。そのため、地域産材利用など、お客さまのニーズに合わせた対応が可能となります。

※1. 2023年度の建築実績

 

2.CO排出量削減に貢献

 「Dkitto-Column」は、軽量で高強度の鋼材と炭素固定効果がある木材を採用しているため、従来の柱材(※2)と比較(※3)して、1本あたりの部材製造時に生じる二酸化炭素排出量を117kg削減(※4)できます。これは、杉の木(50年生)8本分の年間の吸収量に相当します。

 今後、自社施設での導入を始めとして、お客さまの事務所建築に提案することで、CO2排出量削減に貢献していきます。

※2. 構造躯体「鉄骨造柱」と耐火被覆材「吹付けロックウール」、下地材「軽量鉄骨ならびに石膏ボード」、仕上げ材「ビニルクロス」で構成する柱材のこと

※3. 9階建ての1階に使用する柱に要求される1.5時間耐火性能を満たすための従来の柱材と、「Dkitto-Column」による比較。従来の柱は柱高さ3m、柱外角寸法815mmで、「Dkitto-Column」は柱高さ3m、柱外角寸法710mmのもの

※4. 設計仕様により削減幅は異なる

 

東京都「環境性能向上支援事業」を活用

 「Dkitto-Column」を搭載した環境配慮型事務所は、東京都「環境性能向上支援事業」を活用して開発した商品です。

 東京都では脱炭素社会に向けて、都民一人ひとりができることから「H(電力を減らす)T(つくる)T(ためる)」アクションを始める取り組みを推進しています。その中で、東京都は2025年4月、中小規模新築建物(延床面積2,000㎡未満)の断熱・省エネ性の確保や再生可能エネルギーの利用、ZEV(ゼロエミッション車)の普及促進を図るため、大手ハウスメーカーなどにソーラーカーポート含む太陽光発電設備やV2H(※5)充放電設備の設置を義務付ける「建築物環境報告書制度」を開始します。そして、当該制度を推進するため、高い環境性能を有する中小規模特定建築物の開発や改良などに関して、その経費の一部を助成することで事業者を積極的に後押しする「環境性能向上支援事業」を実施しています。当社は、この「環境性能向上支援事業」を活用して、木質化技術の耐火性能検証を推進し、1.5時間耐火構造の「Dkitto-Column」を搭載した9階建てまでの環境配慮型事務所を開発することができました。

 今後、当社は「Dkitto-Column」を採用した環境配慮型事務所商品の販売を通じて、東京都の「HTT」アクションへ貢献するとともに、脱炭素社会の実現を目指します。

※5.電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーに蓄えられた電力を家庭用電源として活用するシステム

 


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