アクティブトレッド技術が日本ゴム協会賞を受賞

~路面状況の変化に応じてタイヤ性能を変化させる新技術~

住友ゴム工業

発行:2025年5月20日

 

アクティブトレッド技術が日本ゴム協会賞を受賞 ~路面状況の変化に応じてタイヤ性能を変化させる新技術~

 

 住友ゴム工業()(社長:山本悟)は、路面状況の変化に応じてタイヤ性能を変化させる新しい材料技術であるアクティブトレッド技術において、「第37回日本ゴム協会賞」を受賞しました。

 

 日本ゴム協会賞※1は、ゴムならびにその周辺領域における科学、技術またはその産業分野の発展に寄与し、その功績が著名なゴム協会会員に対し授与されるものです。

 5月19日に機械振興会館(東京都港区)で開催された授賞式には、材料開発本部 材料企画部長 馬渕 貴裕らが出席しました。

 今回受賞したアクティブトレッド技術は、路面状況の変化に応じてタイヤ性能を変化させる新しい材料技術で、2023年の「JAPAN MOBILITY SHOW」で初公開しました。そして2024年10月に当技術の一部を搭載した次世代オールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER(シンクロウェザー)」を発売し、実用化しました。

 「SYNCHRO WEATHER」は水と温度に反応し、路面状況に合わせてゴム自ら性質が変化します。これにより、ドライ、ウエット、雪上、氷上といったあらゆる路面で高い性能を発揮します。

 当社では今後、アクティブトレッド技術の進化に加え、摩耗抑制技術や経年劣化抑制技術と融合させることを目指しています。これからも当社のPurposeである「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる。」を実現する、高性能で環境負荷の少ないタイヤ開発に取り組んでまいります。

 

授賞式の様子

(左から材料企画部 富崎 由佳理 主査、日本ゴム協会 網野 直也 会長、

材料企画部 馬渕 貴裕 部長、安田 理恵 課長代理)

 

  

アクティブトレッド技術搭載第一弾商品 「SYNCHRO WEATHER」

 

■アクティブトレッド技術 概要

 晴れの日、雨の日、雪の日のように、天候によって路面環境は変化します。この変化に対して一つのタイヤ(ゴム)で安全に走行するには限界があります。雨の日の濡れた路面や、雪が降るような低温の凍結路面では滑りやすいという“常識”を覆すことへの挑戦がアクティブトレッド技術開発です。すなわち、アクティブトレッドとは、路面環境の変化に応じてタイヤ性能を変化させる材料技術です。例えば、路面環境変化の要因である“水”や“低温”に応答してゴムが軟らかくなります(図1)。

 

図1:アクティブトレッド応答イメージ図

 

 水に応答させる技術では、雨の日のブレーキ距離を晴れの日と同等にすることを目標としました。そのためにタイヤ用ゴム配合内へイオン結合を導入しました。イオン結合は水分子と接触することで解離し、ゴムを軟らかくさせました。それによって、ウェット路面においてゴム物性が変化し、ドライ路面と同等のブレーキ距離となることをコンセプトタイヤで実証しました(図2)。

 

図2:水応答性ゴム材料の仕組みとタイヤでの実車ブレーキ試験結果

 

 温度に応答させる技術では、低温ほど軟らかくなる材料の開発を目標としました(図3)。その目標を達成することで、降雪地域での季節に応じたタイヤ交換を減らすことができ、オフシーズンタイヤの保管場所確保や交換の手間を無くすことができます。現在、低温時の方が高温時よりも軟らかくなるゲル材料※2およびそのメカニズムを大学と共同研究しています。今後、研究および開発をさらに進め、タイヤ用ゴムへ応用していきます。

図3:ゴム硬さの温度依存性

 

 当社は2023年3月に、タイヤ事業における独自のサーキュラーエコノミー構想「TOWANOWA(トワノワ)」※3を発表しました。「TOWANOWA」はバリューチェーン上の5つのプロセスからなる「サステナブルリング」と各プロセスから収集したビッグデータを連携させる「データリング」で構成されており、二つのリング間でデータを共有・活用することで新たな価値提供を目指します。

 「TOWANOWA」の「材料開発・調達」プロセスにおいて、アクティブトレッド技術の開発で得られたデータを活用することで、より高機能で高品質なタイヤの開発を推進します。「TOWANOWA」を通じ、住友ゴムはESG経営の推進を更に加速させ、2050年のカーボンニュートラルの実現と持続可能な社会の発展に貢献していきます。

 

<ご参考>

あらゆる路面にシンクロする次世代オールシーズンタイヤを新発売~水や温度に反応し路面状態に合わせてゴム自ら性質が変化する新技術「アクティブトレッド」搭載第一弾商品~(ニュースリリース発行:2024年7月22日) https://www.srigroup.co.jp/newsrelease/2024/sri/2024_058.html

 

 

※1 日本ゴム協会の賞制度についてhttps://www.srij.or.jp/newsite/about/awards/pdf/award22101308.pdf

※2 参考文献:Nonoyama et al., Adv. Mater. 2020, 32, 1905878

※3 タイヤ事業におけるサーキュラーエコノミー構想「TOWANOWA(トワノワ)を策定(ニュースリリース発行:2023年3月8日)

https://www.srigroup.co.jp/newsrelease/2023/sri/2023_018.html

 

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