家庭で計測したバイタルデータを活用し、医療機関での早期治療介入を実現

~「在宅における心不全ICTモニタリングプロジェクト」実証調査が終了~

オムロン ヘルスケア株式会社(本社所在地:京都府向日市、代表取締役社長:岡田 歩、以下オムロンヘルスケア)と、京都府立医科大学大学院医学研究科 循環器内科学 教授 的場聖明が率いる研究グループが行う経済産業省令和6年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業としての実証調査事業「在宅における心不全ICT*1モニタリングプロジェクト(以下本プロジェクト)」が終了しましたのでお知らせします。

*1 Information and Communication Technology(情報通信技術)

本プロジェクトは、ICTを活用して心不全患者の増悪を未然に防ぐことを目的とした実証調査です。心不全患者はオムロンヘルスケアの心電計付き上腕式血圧計や通信機能付き体重計を用いて家庭で計測したバイタルデータを、スマートフォン健康管理アプリ「OMRON connect(オムロンコネクト)」を介して医療機関と共有します。共有されたデータから医療従事者が患者の状態を把握して必要に応じて適宜介入することが心不全の増悪防止に寄与するかどうかを検証しました。

 

本プロジェクトでは、看護スタッフ(看護師、循環器認定看護師、心不全療養指導士)が、家庭で心不全患者が測定した日々のバイタルデータの変化を確認して、心不全の増悪が疑われる場合には患者に電話で連絡をして受診を促しました。その結果、21名の心不全患者のうち11名で心不全増悪の兆候を捉えることができ早期治療介入につなげることができました。また、3ヵ月間における測定継続維持率は90%以上と高く、家庭でのバイタルデータを活用した診療への満足度も86%の人が「満足度は高い」と回答しました。

 

詳しい調査結果については、2025年10月10日(金)~12日(日)に開催される第29回日本心不全学会学術集会において( https://jhfs2025.jp/ )、京都府立医科大学大学院医学研究科より公表されます。

 

日本における心不全患者数は120万人を超え、2030年には130万人まで増加すると推定されています。また、心不全患者の約25%は退院後1年以内に再入院するというデータもあり、心不全増悪を防ぐための家庭での継続的な生活管理が重要な疾患です。一方で、患者は家庭で測定したバイタルデータを手書きで記録していることも多く、定期的な通院時の確認だけでは、心不全増悪の予兆やバイタルデータの変化を早期に把握し治療介入することが難しいものでした。

 

今回の実証実験では、患者の日々の心不全診療にICTと家庭で測定したバイタルデータを活用することで、心不全の増悪低減と医療費の効率化が期待できることがわかりました。今後、オムロンヘルスケアと京都府立医科大学大学院医学研究科は、今回の検証モデルをベースとした心不全モニタリングサービスの全国規模での社会実装を目指し、心不全患者における再入院率および死亡率の低減を実現していきます。

 

京都府立医科大学大学院医学研究科 循環器内科学 教授 的場聖明のコメント

私たちは2022年より心不全患者のPHR*2を活用して、慢性心不全患者に対する遠隔モニタリングサービスのパイロットⅠの検証を進めてきました。パイロットⅡとなる今回の検証では、患者さんが家庭で測定する血圧や体重、心電図の記録のモニタリングに加えて医療従事者によるフォローアップを行い、心不全治療における医学的な有用性と治療モデルとしての経済性や拡張性を検証しました。その結果、患者さんのQoLの向上や臨床アウトカムの向上(心不全増悪の低減)への有用性を確認できました。一方で、今後に向けてモニタリングや受診勧奨を行う看護師のリソース確保やオペレーションの工夫といった課題も見えてきました。今後はさらなる検証を重ねていき、心不全治療における有用な治療モデルとしての社会実装を目指していきます。

*2 Personal Health Record(個人の健康や医療に関する情報を生涯にわたって管理するための記録)

 

〈参考〉

・経済産業省 ヘルスケア産業課ホームページ
令和6年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業(医療機関におけるPHR利活用推進等に向けた実証調査事業)報告書https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/r6_iryou_houkokusho.pdf

 

・本プロジェクト開始時のプレスリリース

「在宅における心不全ICTモニタリングプロジェクト」が経済産業省「ヘルスケア産業基盤高度化推進事業」に採択

京都府立医科大学

https://www.kpu-m.ac.jp/doc/news/2024/20240724.html

オムロン ヘルスケア株式会社

https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2024/0724.html

 

 

本プロジェクトで使用した機器

1.心電計付き上腕式血圧計 HCR-7800T

主な特長

・日本初の心電計付き上腕式血圧計

・血圧測定と一緒に心電図を記録

・スマートフォン健康管理アプリ「OMRON connect(オムロンコネクト)」で心電図波形を解析、心房細動の可能性をお知らせ

・記録結果を保存、PDF等で結果を出力できる

※本製品は医師や医療関係者の指示により購入できる特定保守管理医療機器です

※医療機器承認番号:30400BZX00028000

URL: https://store.healthcare.omron.co.jp/item/HCR_7800T.html

 


HCR-7800T 本体

アプリ画面イメージ(心房細動の可能性を表示)

 

2.通信機能付き体重計 HN‐300T2

主な特長

・Bluetooth®通信で測定データをスマートフォン健康管理アプリ「OMRON connect(オムロンコネクト)」に自動転送

・日々の体重変化をグラフで確認できる(オムロンコネクトを使用時)

・他のオムロンコネクト対応機器の測定データと一元管理(オムロンコネクトを使用時)

・測定結果が見やすい大型表示

URL: https://store.healthcare.omron.co.jp/category/2/HN_300T2_JTW.html

 

HN‐300T2本体

 

京都心不全ネットワークについて

2019年8月に発足した、京都府における心不全予後改善を目的として、繰り返す心不全増悪を防ぎ地域全体で共通の心不全指導を目指す官民学共同の取り組み。

代表者
的場聖明 教授(京都府立医科大学大学院医学研究科 循環器内科学)

参画医療機関(病院のみ掲示)

京都府立医科大学附属病院、京都第一赤十字病院、京都第二赤十字病院、京都市立病院、地域医療機能推進機構 京都鞍馬口医療センター、洛和会音羽病院、亀岡市立病院、京都中部医療センター、京都府立医科大学附属北部医療センター、舞鶴共済病院、岡本記念病院、市立福知山市民病院、康生会武田病院、洛和会丸太町病院、西陣病院、済生会京都府病院、洛西ニュータウン病院、田辺中央病院、京都民医連中央病院、きづ川病院、山城総合医療センター、京丹後市立弥栄病院、綾部市立病院、医仁会武田病院(順不同)

 

 

 

 

 

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