EY調査:世界の消費者はローカルおよびライブのエンターテインメント体験を追求
世界経済の大きな変化による高い不確実性の中で、消費者心理を独自視点で分析
■過去1年間に世界で最も多く購入されたエンターテインメント商品は、ローカルエンターテインメント(48%)およびライブエンターテインメント(46%)。
■Z世代より上の世代もテクノロジーを活用した体験を高く評価しているが、Z世代はサステナビリティをより重視。
■消費者が最も重視するのは費用と価格に見合った価値だが、それでも日本を含む多くの人がプレミアムオプションに追加費用を支払う意欲を示す。
EYは、世界の消費者の認識、態度、意向を調査した初の「メディア・エンターテインメント(M&E)動向調査」(Media & Entertainment Pulse Poll、以下本調査)を発表しました。本調査は、世界経済が大きく変化し、不確実性が高まっている中での消費者心理を独自の視点で捉えています。
調査項目には、クルーズ、テーマパーク、ローカルエンターテインメント、スポーツイベント、ライブエンターテインメント、カジノやリゾートなど、体験型エンターテインメントが含まれ、米国、英国、西欧、アジア太平洋地域の4,000人を超える消費者を対象に2025年4月に実施されました。
本調査の結果は、世界の消費者にとって実世界での体験は根強い人気があることを強く示しています。過去1年間に最も人気の高かったM&Eはローカルエンターテインメントとライブエンターテインメントで、それぞれ48%と46%の回答者が購入しました。さらに、調査に応じた21%が、今後1年間にそれらのアクティビティへの支出を増やす予定であると回答しています。また、地域差も大きく、米国の消費者は他地域の消費者と比較して今後12カ月以内にカジノを訪れる可能性が高く(世界平均の49%に対して66%)、アジア太平洋地域の消費者は他地域の消費者よりもテーマパークへの関心が高くなっています(世界平均の65%に対して74%)。
テクノロジーの役割についてさらなる洞察が得られており、年齢層の高い消費者を含むすべての消費者が、テクノロジーはエンターテインメント体験を向上させる重要な要素であると考えています。消費者が最も便利だと感じている3つのデジタル機能は、デジタルチケット、地図と道案内ツール、非接触型決済とチェックインシステムです。スピードと効率を求める若い世代にとって、テクノロジーはとりわけ不可欠です。Z世代の3分の2(66%)の消費者は、今後1年間でテーマパークのファストパスやプライオリティパスを購入する予定で、これは全消費者平均の59%を上回っています。
購入時の検討要素として、消費者がエンターテインメントアクティビティを選択する際に最も重視するのは、全体的なコストと価格に見合った価値があるか(59%)であることが分かりました。その一方、低所得者層の回答者は、高所得者層よりも価格を重視する傾向にありました。また、消費者は、楽しみを妨げる最大の要因としてコスト/費用の高さ(52%)を挙げており、人混みや待ち時間の長さ(ともに42%)を上回っています。さらに、年齢によっても興味深い違いが見られます。例えば、Z世代は清潔さを重視する(27%)と回答しており、これは消費者全体の回答(21%)を上回っています。
また、本調査で明らかになった重要な要素を下記のようにまとめました。
プレミアム商品およびサービスは人気が衰えず、その多くが期待を満たす
過去1年間に大型テーマパークを訪問したか、クルーズを利用した回答者のうち、約半数(49%)がアップグレードやプレミアムオプションを購入しており、カジノやリゾート、スポーツイベントを訪れた回答者の3分の1以上も同様にプレミアム商品を購入しています。ほぼすべての消費者は追加費用に見合う価値があったと感じており、テーマパークでアップグレードを購入した人の56%が期待通りであったと回答し、効率性を求める消費者のニーズが反映されています。アジア太平洋地域の消費者は、エンターテインメントのプレミアムパッケージを購入する傾向が世界平均を大きく上回っており、例えば、大型テーマパーク(世界平均49%に対し59%)、スポーツイベント(世界平均37%に対し42%)、ライブエンターテインメント(世界平均26%に対し37%)などでプレミアムパッケージを購入しています。
日本でもプレミアム体験への購入意欲は顕著
日本においても、こうしたプレミアム体験に対する高い購入意欲は顕著です。例えば、東京や大阪の大型テーマパークでは過去数年にわたりチケット価格の段階的な引き上げが行われていますが、いずれも来場者数はコロナ禍収束以降、維持・増加傾向となっています。また東京と大阪のいずれのテーマパークにおいてもプレミアムアクセスや有料優先入場パスといった追加料金による体験のアップグレードが導入されています。2025年7月に沖縄で開業したテーマパークでもアトラクションの予約や優先利用が可能なプレミアムパス、アトラクションに加えて園内のスパを楽しめるスパチケットが用意されており、消費者の効率性や特別感を求める志向が見て取れます。
世代により異なる購入動機
エンターテインメント体験を購入する主な感情的動機について質問したところ、ほとんどの消費者は、「喜びや興奮を求めている」(62%)、「大切な人と充実した時間を過ごしたい」(55%)と回答。一方で、若い世代(Z世代とミレニアル世代)は、上の世代に比べて「メンタルヘルスの向上」を挙げる傾向が強い結果となりました(世界平均23%に対し、Z世代は32%、ミレニアル世代は27%)。
若い消費者ほどサステナブルな要素に追加費用を支払う傾向
エンターテインメント体験を購入する際、消費者が最も追加費用を支払ってもよいと考えるサステナビリティに関する取り組みは、地元産の食材(69%)と、地域社会への貢献(67%)でした。そして、他の世代に比べて若い世代は、すべてのサステナビリティに関する取り組みに対して26%以上のさらなる追加費用を支払うことに前向きであるという結果が得られました。これらの取り組みには、カーボンオフセット(世界平均12%に対し、Z世代28%、ミレニアル世代16%)、低カーボンフットプリント(世界平均11%に対し、Z世代25%、ミレニアル世代15%)、節水の取り組み(世界平均11%に対し、Z世代23%、ミレニアル世代15%)などが含まれます。一般的に若い消費者は経済的余裕が最も少ないグループに属していることを考慮すると、若い消費者がサステナビリティに関する取り組みに追加費用を支払う意欲があるという点は、注目に値します。
EYグローバルおよびEY Americasメディア・エンターテインメント(M&E)セクターリーダーのJavi Borgesのコメント:
「本調査により、世界経済と地政学的混乱が続く中でも、没入型のライブエンターテインメント体験に対する消費者の欲求はかつてないほど強く、さらに高まる可能性があることが明らかになりました。こうした体験を提供する事業者にとって、この堅調な需要は大きなチャンスとなります。ただし、その恩恵を最大限に得るには、消費者のさまざまな動機や好みを理解し、高まる期待に応えるためにテクノロジーを効果的に活用するなど、適切に戦略を調整する必要があります」
EYストラテジー・アンド・コンサルティング テクノロジー・メディア&エンターテインメント・テレコムセクター パートナー 久保田 一輝のコメント:
「日本には、アニメやアーティストが世界的に通用する強みがありますが、それを収益性のある体験に昇華する仕組みが弱い状況です。そのため、今後は知的財産(IP)の世界観を活かした空間設計やデータ連携など、上流からの再設計が求められます。また、人口減の影響を受けながらも、アジアを中心としたインバウンド需要には伸びしろがあるものの、継続的に日本のコンテンツが選ばれるためには新規性や独自性のあるユニークな体験価値の提供がカギとなります。
海外では、IPを長期的に活用するエンタメビジネスが確立されています。一方、日本では短期収益を前提としたテレビ・映画型モデルが主流であり、大胆な投資や長期回収を見据えたIP全体を見据えたビジネスの視点や投資が不足しています。一部体験型コンテンツで成功例はあるものの、収益の反復性や都市展開の仕組みが弱いのも事実です。
一方、バーチャルライブやLED撮影技術など世界水準の技術が日本にはあります。ただ、既存IPの活用は物語再現にとどまり、ローリスク・ローリターン型の慣習が根強く残っています。こうしたことから、役割分担型の進行を改善し、全体を統合してビジネス化するプロデュース力を向上させることが、日本のエンタメ産業の成長を後押しするでしょう」
調査に関するレポートの全文はこちらをご覧ください。
調査方法:
EYは、過去12カ月以内にクルーズ、テーマパーク、コンサート、スポーツイベントなどのメディア・エンターテインメント体験を購入した18歳から65歳の世界の消費者4,000人を対象に10分間の定量調査を実施し、統計的に有意なデータを収集しました。調査対象者となった消費者は、米国の1,000人、英国の1,000人、西欧の1,000人(フランス、スペイン、イタリア、ドイツ、スイス、フィンランド、スウェーデン、ノルウェーで均等に配分)、アジア太平洋の1,000人(日本、中国、韓国、オーストラリアで均等に配分)が含まれます。統計的有意性は95%の信頼区間で計算されており、全体的な誤差の範囲は±1.5ポイントです。
※本ニュースリリースは、2025年5月7日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
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このプレスリリースを配信した企業・団体

- 名称 EY Japan株式会社
- 所在地 東京都
- 業種 企業向けサービス
- URL https://www.eyjapan.jp/index.html
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