「学習療法」により、年間約20万円の介護費用削減効果

KUMON

2016年9月12日

株式会社公文教育研究会

「学習療法」により、年間約20万円の介護費用削減効果

~学習療法・脳の健康教室の社会的・費用対便益調査より~

公文教育研究会(代表取締役社長 池上 秀徳)は、経済産業省の平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業(ヘルスケアビジネス創出支援等)で「SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)調査事業」が採択され、認知症高齢者向けの非薬物療法「学習療法」導入施設、および認知症予防プログラム「脳の健康教室」で2015年11月まで調査を実施。その後も弊社独自に2016年6月末まで調査を継続し、慶應義塾大学の研究者に調査を依頼したところ、高齢者向けに効果的なケアやサービスを提供することによって、社会的・費用対便益があることが明らかになった。

※データにつきましては、添付のリリースPDFファイルにてご確認ください。

【調査で明らかになった社会的・費用対便益】

1.医学観点からの検証結果(慶應義塾大学 医学部 精神・神経科学教室 専任講師 佐渡充洋氏)

(1)「学習療法」実施群と実施しない対照群とでは、1年後、要介護度「1」近い差に

学習療法実施の認知症高齢者群は、要介護認定基準時間が1年後ほとんど変わらなかったのに対し、学習をしなかった対照群は悪化。

認知症高齢者の自立度を要介護認定基準時間の変化量で比較したところ、要介護度「1」近い差が出た。

(2)「学習療法」実施群は1年間で平均20万円近い介護費用の削減効果

介護保険の費用対便益分析を500回シミュレーション実施したところ、費用対便益が0円以上のプラスになる確率は約91%となり、1人あたり1年間で平均20万円近い節減効果が明らかになった。

2.社会学観点からの検証結果(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任講師 伊藤 健 氏)

今回の調査では、「学習療法」実施施設で1年間、健常高齢者向けの認知症予防プログラム「脳の健康教室」で半年間、脳機能等の客観的指標測定とアンケートによる主観的評価の分析を実施。

(1)「学習療法」導入により施設スタッフのコミュニケーションの質が改善、ケアの質の向上を実現する機会を提供していることが明らかに。

学習療法導入施設の職員に対し調査。90%以上の職員が学習療法による対象者の認知機能回復を感じ、ケアが容易になったことを実感。施設での学習者や同僚とのコミュニケーションを活性化していると回答。

この調査により、学習療法導入が、施設職員のやる気につながり、ケアの質の向上を実現していることが示唆された。

(2)認知症予防プログラム「脳の健康教室」に週1回5か月間通った結果、認知機能の維持・改善傾向が明らかに。

東北大学 川島隆太教授との共同研究で、「脳の健康教室」が認知機能の維持・改善効果はすでに実証されていたが、今回の調査事業においても、認知症及び軽度認知障害(MCI)の疑いのあるグループが、約半年の学習で認知機能改善効果が明らかに。

【今後の展望について】

2015年7月から始まった調査は、経済産業省の委託事業として2015年度内に終えなければならないという制約があったため、パイロット調査として実施。その後も2016年6月まで独自に調査を行ったところ、「学習療法」「脳の健康教室」をきっかけに効果的なケア・サービスを実践すると、予想以上の社会的・費用対便益が明らかになった。

今後は、今回実施できなかったランダマイズド調査、評価者のブラインド化による厳密な評価や、認知症予防領域での評価を、2年後には実施したいと考えている。

【ご参考】

◎学習療法

2001年、東北大学・川島隆太教授、福岡県の社会福祉法人・道海永寿会、KUMONによる共同研究で、認知症高齢者の脳機能の維持・改善に効果があることが科学的に実証された非薬物療法。

2016年7月現在、日本国内約1,600の高齢者施設で導入されている。

また、2014年から、アメリカでの展開を開始。2016年7月現在、アメリカの10州26施設で約270名の認知症高齢者が学習療法を行っている。

◎脳の健康教室

学習療法を応用して開発した認知症予防サービスプログラム。

2015年度41都道府県 約240市区町村 約470教室で開講。

主に自治体、NPO法人などが主催者となり、実際の教室運営は、地域のボランティアなどが担っている。

◎学習療法センター(代表:大竹洋司)

2004年7月設立。公文教育研究会の事業部門の1つとして、「学習療法」と「脳の健康教室」の2つの事業を展開している。

◎SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)とは

2010年にイギリスで開発された、新しい官民連携の社会的投資モデル。

https://www.fasid.or.jp/_files/activities/BBL207_Part1_PPT_SIB_140704.pdf

(参考資料:慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 伊藤健 特任講師)

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