BJTに関するCan-do statements調査研究の結果を公表
2018年11月16日
公益財団法人 日本漢字能力検定協会
外国人人材の活用指標となるBJTに関するCan-do statements調査研究の結果を公表
公益財団法人 日本漢字能力検定協会(本部:京都市東山区/代表理事:髙坂節三/以下、漢検協会)は、日本語能力育成活動の一環として、主に日本語を第一言語としない方を対象とした「BJTビジネス日本語能力テスト(以下、BJT)」を主催しています。また、公益社団法人 日本語教育学会(事務局:東京都千代田区/会長:石井恵理子)は、日本語を第一言語としない方に対する日本語教育の学術研究を促進する事業を行っています。
優秀な外国人人材が求められている昨今、日本のビジネス現場で必要となる日本語能力についての指標が強く求められています。そこで漢検協会は、外国人人材がビジネス現場で具体的に何ができるのかをBJTのレベルと結びつけて具体的に示すことを目的に、BJTに関するCan-do statements(*1)調査研究を日本語教育学会に委託していました。このたびその報告書がまとまりましたので公表いたします。
《BJTとは》
BJTは、ビジネス場面で必要とされる日本語コミュニケーション能力を測定するテストです。言葉によるコミュニケーションだけでなく、文章や図表、写真など、与えられたすべての情報を用いて、日本語を理解、運用し、ビジネス上の課題に対して適切に対応する力を測定します。出題は合計で80問あり、「聴解」「聴読解」「読解」の3つのセクションで構成されています。
BJTのテスト結果はIRT(項目応答理論)(*2)に基づいた統計処理により0~800点で採点され、J5~J1+の6段階のレベルで評価されます。テスト結果は、入国審査における「在留資格認定証明書交付申請」の際に資格認定の資料としても活用されています。
BJTは、1996年に独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)が実施を始め、2009年に漢検協会が事業を継承しました。2018年11月現在、国内24都市・海外17カ国・1地域、CBT方式で実施しています。
TOPIC① J2レベル(420~529点)は、「社内」の情報を「受容する」能力を持つ
J2レベルを取得した受験者は、「上司から出された自分の担当業務に関する指示が理解できる。」「社内で出されたお知らせや、回覧されている文書、仕事の指示を書いたメモの内容が2、3分読んで理解できる。」といった、社内で伝えられる情報を聴いたり読んだりして理解できる能力を持つことが分かりました。
TOPIC② J1レベル(530~599点)は、「社内」「社外」の情報を「受容する」能力を持つ
J1レベルを取得した受験者は、「会議や打合せで報告を聴き、何が重要なポイントなのかが理解できる。」「社外の人と数回やりとりした文書やメールを全部読んで、新しく決まったこと、変更があったことは何かがわかる。」といった、社内だけでなく社外を飛び交う情報も聴いたり読んだりして理解できる能力を持つことが分かりました。
TOPIC③ J1+レベル(600~800点)は、「社内」「社外」の情報を「受容・産出する」複合能力を持つ
J1+レベルを取得した受験者は、「営業などの業務で社外の会社を訪問したときや社外の会議で集めた情報をまとめて、社内の人に報告することができる。」といった「聴く」「話す」を複合した能力、「苦情や問い合わせのメールや文書が来たときに、相手の気持ちを考えながら、丁寧な返事を書くことができる。」といった「読む」「書く」を複合した能力を持つことが分かりました。
以上のように、J2、J1、J1+とレベルが上がるにつれ、「『社内』から『社内・社外』のコミュニケーション」、「『読む』『聴く』といった受容する力から『聴いて話す』『読んで書く』といった複合的な力」というように、ビジネスコミュニケーション能力が上がっていることが確認できました。
この調査研究報告をテーマに、シンポジウムを開催します
漢検協会と日本語教育学会の共催で、この調査研究報告をテーマとしたシンポジウムを開催します。東京(1月)、京都(2月)の2回、開催する予定です。詳細は決定次第、漢検協会HP等で公表いたします。
*1…ある場面において、現実の行動が「できる」 か「できない」かを、自己評価あるいは他者評価により回答させる質問紙調査のこと。受験者が現実場面でどれだけの言語運用能力があるかを示すために利用される。
*2…統計的テスト理論。
(参考)
BJTビジネス日本語能力テストに関するCan-do statements調査研究
▼調査の趣旨
BJT受験者の得点解釈の指標を、ビジネス日本語Can-do statementsを用いて提示する。
▼調査・公表の目的
受験者や企業人事、大学・専門学校、日本語教育に携わる方々への学習・指導の励みになる情報、保有資格を積極的に活用するための情報を開示する。
▼調査研究時期
2017年6月~2018年8月。
▼調査対象
2018年2月~5月にBJTを受験し、J2(420点)以上の得点を取得した受験者593名。
▼分析対象
上記受験者のうち、属性の職業項目において「会社員・公務員」と選択した240名。
▼分析方法
統計的手法を用いて、記述統計、分散分析および多重比較、相関分析等を行った。
▼調査項目
・BJTの得点
・属性(職業、業種、職種、日系企業での勤務期間)
・Can-do項目(別紙参照)
分析を行うためのCan-doの選定にあたっては、葦原恭子氏が2014年に開発したCan-do項目を参照し、(1)レベル差、(2)汎用性、(3)関連性、(4)具体性、(5)社内/社外という5つの観点を満たすものを優先するなどし、最終的に「聴く」「読む」「書く」「話す」の4技能における24のCan-doを分析用とした。
▼調査方法
受験時にアンケートを実施。上記24のCan-doについて、①ほとんどできない、②あまりできない、③ある程度できる、④だいたいできる、⑤問題なくできる、の5段階で自己評価してもらった。
(別紙)
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 公益財団法人日本漢字能力検定協会
- 所在地 京都府
- 業種 教育サービス
- URL https://www.kanken.or.jp/
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