世界初、神戸大学とウシオ電機が障害なく人体の紫外線殺菌に成功

ウシオ

神戸大学とウシオ電機が、紅斑などの発生により従来は難しいとされていた紫外線殺菌の直接照射に成功。手術中の術野消毒や殺菌、食品工場や空港での感染除去など、紫外線殺菌・消毒の応用に大きな可能性が示された。

2018年11月14日

神戸大学、ウシオ電機

世界初、神戸大学とウシオ電機が人体正常皮膚への紫外線直接照射で障害なく常在菌の殺菌に成功

神戸大学 大学院 医学研究科 外科系講座 整形外科学 黒田教授グループと、ウシオ電機株式会社は、世界で初めて、500mJ/㎝2の222nm UVC紫外線を人体正常皮膚に直接照射し、急性障害である紅斑の発生なく常在菌を殺菌することに成功しました。

従来、多剤耐性の殺菌においては、UVC紫外線のうち主に254nmが用いられてきましたが、人体に直接照射すると10mJ/cm2程度で皮膚の急性傷害の指標の皮膚が赤くなる日焼け反応(紅斑) が現れるため、人体への直接照射は難しいとされて来ました。

しかし、今回照射した222nmの場合、500mJ/cm2という高い照射量でも皮膚に急性障害が発生しないことが臨床試験で確認され、医療および非医療分野における紫外線殺菌・消毒の応用に大きな可能性があることが示されました。

【試験方法】

 この臨床試験は、神戸大学医学部とウシオ電機の共同研究の一環で行われたもので、狭帯域スペクトル紫外線技術を活用しています。20名の健常者ボランティアの背中部10mm x 10mm領域に対し、ウシオ製222nm照射装置(開発名:SafeZone UVC®)を用いて、各50、100、200、300、400、500mJ/cm2照射し、24時間後に紅斑の有無を確認しました。その結果、20名全員において紅斑が確認されませんでした。

その後、同背中部40mm x 40mmに対し、500mJ/cm2を照射し、照射前、5分後、30分後のそれぞれで皮膚常在菌の数を測定(スワブ面積は20mm x 40mm)した結果、照射前、照射5分後、30分でそれぞれ、7.21個、0.05個、0.79個と殺菌効果が確認されました。

なお、この試験結果は第41回骨・関節感染症学会(大阪)、第33回日本整形外科学会基礎学術集会(奈良)、39th International Society of Orthopaedic Surgery and Traumatology, Orthopaedic World Congress in Montreal、Canada で発表されました。

【今後の展開について】

ウシオは現在、医療および非医療分野において、今回使用した222nm照射装置(開発名:SafeZone UVC®)の製品化に向け皮膚の慢性障害(皮膚がん)や目の急性、慢性障害などに対する安全性の研究・確認を国内外の研究機関と進めています。

医療分野においては、引き続き神戸大学と研究を進め、整形外科手術中の術野消毒や殺菌を、非医療分野では病院、老人ホーム、食品工場、空港、飛行機、旅客船などでの感染除去、紫外線手指消毒などを視野に商品化を目指し、「光」による安心・安全な社会の実現に貢献していきます。

なお、当技術について、11月20日(水)~22(木)東京ビックサイトで開催される「トイレ・バス・キッチン空間・設備フェア」において、開発品とパネル展示いたします(5ホール 5C-05/ウシオ電機ブース)。

【参考】

技術紹介Webサイト:ウシオの環境衛生ソリューション「殺菌/感染防止」

https://clean.ushio.com/ja/infection_prevention/

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皮膚への紫外線照射イメージ

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