慢性リンパ性白血病への化学療法を含まない併用レジメンとして、ベネトクラクスが米国FDAにより承認を発表
2019年5月28日
アッヴィ合同会社
アッヴィ、治療歴のない慢性リンパ性白血病に対する化学療法を含まない併用レジメンとして、ベネトクラクスが米国FDAにより承認されたことを発表
●FDAはReal-Time Oncology Reviewパイロットプログラムを適用し、承認申請を審査
●治療歴のない慢性リンパ性白血病に対する化学療法を含まない、一定投与期間の経口併用療法を検討する無作為化臨床試験として、ベネトクラクスとオビヌツズマブの併用療法を評価した第III相CLL14試験のデータに基づき承認を取得
●患者さんは12カ月以内に治療を完了、追跡調査28カ月の時点で大多数(87%)において疾患の悪化が認められず
●ベネトクラクスは2種類の血液がんの治療薬として、4つの承認および5つの画期的治療薬(ブレークスルー・セラピー)指定の取得を達成
イリノイ州ノースシカゴ、2019年5月15日(米国時間)-グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業であるアッヴィ(NYSE: ABBV)は、ベネトクラクスが、治療歴のない慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者さんに対するオビヌツズマブ(ガザイバ(R))との併用療法として、米国食品医薬品局(FDA) の承認を受けたことを発表しました1。この併用療法は、FDAにより画期的治療に指定され、Real-Time Oncology Review(RTOR)パイロットプログラム適用のもと早期にデータを提出することにより、正式な申請提出後、2カ月余りで承認取得となりました。
アッヴィのバイスチェアマン兼プレジデントのマイケル・セヴェリーノ医学博士(M.D)は次のように述べています。「今回のFDAの承認により、化学療法を含まない新しい併用療法の選択肢を患者さんに提供することが可能となり、CLL患者さんへのベネトクラクスの有用性が高まっていることが明らかに示されました。患者さんに12カ月の治療レジメンを実施したCLL14試験の結果が今回の承認の根拠となりました。本試験でベネトクラクスの投与を受けた患者さんの大多数において、2年後の時点でも疾患の進行は認められませんでした」
CLL14試験のデータは今後開催される医学会で発表され、本年度、医学誌に掲載される予定です。
CLL14試験の主導医師、ドイツのケルン大学病院内科部長兼総合腫瘍センター長、かつGerman CLL Study Group長のマイケル・ハレック医師は次のように述べています。「治療歴のないCLL患者さんは、初期治療として主に化学療法に頼らなければなりませんでした。ベネトクラクスの併用療法が承認されたことは、疾患の進行を伴わず生存期間を延長し、微小残存病変(MRD)陰性率を高め、 重要な点として、12カ月以内に治療を完了し、一定投与期間の化学療法を含まない治療を、治療歴のないCLL患者さんに新たな選択肢として提供できるようになることを意味します。このことは、治療歴のないCLL患者さんの病状を管理する点で大きな前進であり、CLL治療においてベネトクラクスが提供する有益性が高まっていることを、さらに裏付けるものとなりました」
CLL14試験では、独立審査委員会の評価による無増悪生存期間(治療開始から病勢進行または死亡に至るまでの期間)を、ベネトクラクスとオビヌツズマブの併用療法を受けた患者さんと、広く使用されている標準治療のクロラムブシルとオビヌツズマブの併用療法を受けた患者さんで比較した結果、ベネトクラクスとオビヌツズマブ併用療法群の無増悪生存期間がより優れていることが実証されました。中央値28カ月(範囲:0.1~36カ月)の追跡調査によると、ベネトクラクスとオビヌツズマブの併用療法群では、進行または死亡のリスクが、クロラムブシルとオビヌツズマブ併用療法群に比べて67%低下しました[ハザード比0.33、95%信頼区間(CI):0.22~0.51、P<0.0001]1。いずれの治療群においても、無増悪生存期間の中央値には到達しませんでした1。微小残存病変(MRD)陰性(血液または骨髄中の病変検出不能) を副次評価項目として評価しました。MRD陰性とは、高感度の分析方法を用いたときにCLL細胞が白血球10,000個中1個未満であることと定義しました。投与終了後3カ月時点のベネトクラクスとオビヌツズマブ併用療法群のMRD陰性率は、オビヌツズマブとクロラムブシル併用療法群と比較して、骨髄中(57%対17%、P<0.0001)および末梢血中(76%対35%、 P<0.0001)ともに高い結果となりました1。
CLL14試験で認められた有害事象(AE) は、ベネトクラクスとオビヌツズマブ各単剤の既知の安全性プロファイルと 一致しました。ベネトクラクスとオビヌツズマブの併用投与を受けた患者さんの49%に重篤な副作用(AR)が報告され、 最も多く報告された副作用は、発熱性好中球減少症および肺炎でした(それぞれ5%)。グレードを問わず最も多く発現した副作用(15%以上)は、好中球減少症(60%)、下痢(28%)、疲労(21%)、悪心(19%)、貧血(17%)および上気道感染(17%)でした1。
経口BCL-2阻害剤のベネトクラクスは、5つ目の画期的治療薬の指定をFDAより取得しました2,3,4,5,6。
ベネトクラクスは、アッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。
慢性リンパ性白血病について
CLLは一般に進行が遅い骨髄および血液のがんで、Bリンパ球と呼ばれる白血球ががん化して異常に増殖します7。米国においてCLLは、毎年新たに診断される白血病症例の20,000例以上を占めます7。
CLL14試験について
前向き多施設共同非盲検無作為化第III相CLL14試験は、German CLL Study Group(DCLLSG)との綿密な共同の下で、併存疾患があり[累積疾患評価尺度(CIRS)のスコアが6超またはクレアチニンクリアランスが70 mL/min未満]、治療歴のないCLL患者さんを対象にベネトクラクスとオビヌツズマブ併用レジメン(n=216)の有効性および安全性を、オビヌツズマブとクロラムブシル併用レジメン(n=216)との比較により評価しました。ベネトクラクスとオビヌツズマブ併用療法では、ベネトクラクスの12カ月一定期間の投与とオビヌツズマブの6サイクルの投与を併用しました。本試験では432例の患者さんが登録され、これらの患者さんはいずれも、International Workshop on Chronic Lymphocytic Leukemia(iwCLL)の規準に従った、治療歴のない患者さんでした。独立審査委員会(IRC)の評価による無増悪生存期間(PFS)を有効性の評価項目としました1,8。
重要な副次評価項目は、末梢血中および骨髄中のMRD陰性、奏効率および完全奏効率、完全奏効例での末梢血中および骨髄中のMRD陰性、ならびに全生存期間でした8。
ベネトクラクス錠(米国)について
ベネトクラクスは、B細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質に対し、選択的に結合および阻害するファーストインクラスの薬剤です。いくつかの血液がんでは、BCL-2がアポトーシスと呼ばれるがん細胞の自然死または自己破壊の過程を阻止します。ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質を標的とし、がん細胞で失われたアポトーシスの過程を回復させる作用があります1。
ベネトクラクスは、アッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。これら数社の共同でBCL-2研究に取り組んでおり、ベネトクラクスは種々の血液がんおよび他のがんを対象に複数の臨床試験で現在評価されています。ベネトクラクスは、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫(MM)、非ホジキンリンパ腫(NHL)および骨髄異形成症候群(MDS)など、他の数種類の血液がんに対する治療薬としても研究が進められています9,10,11,12,13。
2016年4月、米国FDAは、1つ以上のレジメン治療歴がありFDAが承認した検査法で染色体17p欠失が認められたCLL患者さんの治療薬として、ベネトクラクスの迅速承認を初めて認めました14。FDAは奏効率に基づき、この適応症を迅速承認しました14。2018年6月にはMURANO試験の結果に基づき、ベネトクラクスは染色体17p欠失の有無を問わず、1つ以上のレジメン治療歴があるCLL患者さんまたはSLL患者さんに対する治療薬として承認されました1。2018年11月には、ベネトクラクスは新たに急性骨髄性白血病(AML)と診断された成人患者さんのうち、75歳以上または標準的な化学療法を妨げる医学的状態にある患者さんに対するアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビンとの併用療法として承認されました15。
ベネトクラクスは、米国を含め50を超える国で承認されています。アッヴィとロシュ社は現在、治療を必要とする、さらに多くの適格な患者さんにベネトクラクスを提供するため世界中の規制当局と協力しています。
使用および重要な安全性情報(米国)
使用
ベネトクラクスは、以下を適応として使用する処方薬です。
• 成人の慢性リンパ性白血病(CLL)患者さんまたは小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者さん
• 以下に該当する初発の急性骨髄性白血病(AML)成人患者さんに対するアザシチジン、
デシタビンまたは低用量シタラビンとの併用療法
o 75歳以上、または
o AML以外に、標準的な化学療法を妨げる医学的状態にある
ベネトクラクスの小児に対する安全性および有効性は明らかになっていません。
重要な安全性情報
ベネトクラクスについて認識しておくべき最も重要な情報とはどのようなものでしょうか。
ベネトクラクスは重篤な副作用を引き起こす可能性があります。以下に例を示します。
腫瘍崩壊症候群(TLS)
TLSはがん細胞が短時間に崩壊することにより起こります。TLSは腎不全を引き起こし、透析治療が必要となる可能性があるほか、死に至ることもあります。担当の医療従事者は、ベネトクラクスの投与開始前に検査を行い、TLSになるリスクがあるかを調べます。TLSになるリスクを低減させるため、ベネトクラクスの投与開始前と投与中に他の薬剤が投与されます。補液の静脈内(IV)投与が必要になることもあります。TLSの有無を調べるため、担当の医療従事者はベネトクラクスの投与開始時と投与中に血液検査を行います。予約したとおりに血液検査を受けることが重要です。ベネトクラクス投与中に、発熱、悪寒、悪心、嘔吐、錯乱、息切れ、痙攣発作、不整脈、暗色尿、混濁尿、異常な疲労、筋肉痛、関節痛など、TLSの症状があらわれた場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。
TLSになるリスクを低減させるため、ベネトクラクスの投与中は水分を多くとること。ベネトクラクス初回投与の2日前から毎日コップ6〜8杯(合計で約56オンス)の水を飲み始め、初回投与当日や用量が増量されたときも毎回飲んでください。副作用が認められた場合、担当の医療従事者はベネトクラクスの投与を延期したり、用量を減らしたり、投与を中止したりすることがあります。
ベネトクラクスを服用すべきでないのは、どのような患者さんですか。
ベネトクラクスの服用を開始し、徐々に増量している間はTLSが増えるリスクがあるため、特定の薬剤を服用しないでください。
• 処方薬、市販薬、ビタミン剤、ハーブサプリメントなど、服用している薬剤をすべて担当の医療従事者に伝えてください。ベネトクラクスと他剤が互いに影響し合い、重篤な副作用を引き起こすおそれがあります。
• 担当の医療従事者に相談せず、ベネトクラクス投与中に新たな薬剤の服用を開始しないでください。
ベネトクラクスを服用する前に、あなたの医学的情報をすべて担当の医療従事者に伝えてください。例えば、次のような場合です。
• 腎障害がある。
• 塩分または電解質(カリウム、リン、カルシウムなど)に問題がある。
• 血中の尿酸値が高い、または痛風の既往歴がある。
• ワクチン接種を予定している。ベネトクラクスの投与前、投与中または投与後は担当の医療従事者が接種を認めるまで「生ワクチン」は接種しないでください。予防接種またはワクチンの種類について不確かな場合は、担当の医療従事者にお尋ねください。ベネトクラクス投与中は、このようなワクチンを安全に接種できない、または接種しても効果が得られないことがあります。
• 妊娠している、または妊娠を計画している場合、ベネトクラクスは胎児に害を及ぼすおそれがあります。妊娠可能な場合、担当の医療従事者はベネトクラクス投与開始前に妊娠検査を行います。ベネトクラクス投与期間中と最終投与後30日間は効果的な避妊を行ってください。妊娠した、または妊娠したと思われる場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。
• 授乳中または授乳を計画している場合、ベネトクラクスが母乳に移行するかどうかは不明です。ベネトクラクス投与期間中は授乳しないでください。
ベネトクラクス服用中は、どのようなことを避けるべきですか。
ベネトクラクスを服用している間は、グレープフルーツジュースを飲まないこと。また、グレープフルーツ、セビリヤオレンジ(マーマレードに使用されることが多い)またはスターフルーツを食べないこと。これらの製品や産物は血中のベネトクラクスの量を増加させる可能性があります。
ベネトクラクスの副作用は、どのようなものですか。
ベネトクラクスは重篤な副作用を引き起こすおそれがあります。例えば、次のような副作用です。
• 白血球数低値(好中球減少症):白血球数低値はベネトクラクスでよくみられますが、重度になることもあります。担当の医療従事者は、血球数を調べるためベネトクラクス投与期間中に血液検査を行います。
• 感染症:ベネトクラクス投与期間中に死亡に至った肺炎や血液感染(敗血症)などの重篤な感染症が報告されています。担当の医療従事者が綿密な観察を行い、ベネトクラクス投与期間中に発熱などの感染の徴候が認められた場合は直ちに治療を行います。
ベネトクラクスを服用している間に発熱や感染の徴候がみられる場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。
CLL患者さんまたはSLL患者さんにベネトクラクスをオビヌツズマブまたはリツキシマブと併用したとき、もしくは単剤で投与したときの主な副作用は、白血球数低値、血小板数低値、赤血球数低値、下痢、悪心、上気道感染、咳嗽、筋肉痛、関節痛、疲労、腕、脚、手および足の腫脹などです。
AML患者さんにベネトクラクスとアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビンをそれぞれ併用したときの主な副作用は、白血球数低値、悪心、下痢、血小板数低値、便秘、白血球数低値を 伴う発熱、赤血球数低値、血液の感染、発疹、浮動性めまい、低血圧、発熱、腕、脚、手および足 の腫脹、嘔吐、疲労、息切れ、出血、肺の感染、胃(腹部)の痛み、筋肉または背部の痛み、咳嗽、 ならびに咽喉痛などです。
ベネトクラクスにより、男性の受精能に問題が生じることがあります。子どもをもうける能力に影響を及ぼす可能性があります。受精能について心配な場合は、担当の医療従事者にご相談ください。
上記は、ベネトクラクスによって生じる可能性がある副作用をすべて示したものではありません。
詳細については、担当の医療従事者か薬剤師にお尋ねください。
処方薬の副作用をFDAに報告することが推奨されています。
ウェブサイトhttp://www.fda.gov/medwatchにアクセスするか、1-800-FDA-1088に電話してください。
薬剤の購入が経済的に難しい場合は、www.pparx.orgに問い合わせて支援を受けてください。
米国でのベネトクラクスの処方情報(投薬ガイドを含む)の全⽂はこちらでご確認いただけます。
世界各国で処方情報はさまざまです。完全な情報は各国の添付文書を参照してください。
がん分野におけるアッヴィについて
アッヴィでは、当社が持つ生物学の中心分野における深い知識を、最先端の技術と独自に組み合わせ、科学者、臨床専門家、同業企業、支援団体、患者さんなどのパートナーと協力し、がん治療に変革をもたらす医薬品の発見と開発に努めています。当社は、⼀部の非常に消耗性の高い広範囲ながんの治療法において、革新的な進歩を実現することに重点を置いています。また、患者さんが当社のがん治療薬を使用できるようソリューションの探求にも取り組んでいます。2015年にPharmacyclics社を、2016年にはStemcentrx社を買収し、現在アッヴィのがん分野のポートフォリオは研究開発と共同研究により、市販されている医薬品と複数の新規分子を含むパイプラインで 構成されています。それらは20種類を超える、異なる型の腫瘍について、200件以上の臨床試験において世界中で評価されています。詳細については、http://www.abbvie.com/oncologyをご覧ください。
アッヴィについて
アッヴィは、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。世界で最も複雑かつ深刻な疾患に対する、革新的な先進治療薬の開発を行っています。その専門知識、献身的な社員、イノベーション実現に向けた独自の手法を通じて、免疫疾患、がん、ウイルスおよび神経疾患の4つの主要治療領域での治療を大きく向上させることをミッションに掲げています。世界中の人々が持つ健康上の課題への解決策を進歩させるため、75カ国以上の国でアッヴィ社員が日々取り組んでいます。アッヴィの詳細については、www.abbvie.com をご覧ください。Twitterアカウント@abbvie、Facebook、LinkedInやInstagramでも情報を公開しています。
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- 所在地 東京都
- 業種 医薬品
- URL http://www.abbvie.co.jp/
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