第 36 回「中堅企業経営者『景況感』意識調査」~世界 29 カ国同時調査~を発表
2019年下半期の前回調査より16ポイント減の大幅ダウン、新型コロナウイルスによる各国への影響が浮き彫りに
2020年7月16日
太陽グラントソントン は、2020年上半期(2020年5-6月 実施 )の 非上場企業を中心とする中堅企業経営者の意識調査の結果を公表した。この調査は、グラントソントン 主要 加盟国 が年に2回 実施する世界同時調査の一環である。
・世界29カ国の平均景況感は2019年下半期の前回調査より16ポイント減の大幅ダウン
・プラス成長はわずか2カ国のみ、新型コロナウイルスによる各国への影響が浮き彫りに
・日本の景況感は調査対象国中唯一の1桁台へと落ち込み、再び最下位
全調査対象国平均はマイナス16ポイントで過去最大の落ち幅
世界29カ国の中堅企業経営者に対して行った自国経済の今後一年の見通しに関する2020年上半期の調査結果は 、全調査対象国平均では前回の2019年下半期の調査2019年10月-11月実施 結果から 16ポイント下落の43を記録し 、 過去10年のうち最大の落ち込みを見せた 。 さらに 、 前回調査から 29ヵ国中27ヵ国がマイナスに転じ 、 うち半数以上は2桁マイナスを見せるなど 、 多くの業界の企業の経済活動に打撃を与える新型コロナウイルスの影響が世界中で色濃く表れる結果となった 。
米国は23 ポイント減、中国も下落するも減少幅は比較的小さい
日本・中国・米国・英国の4カ国においても、全調査対象国平均と同様に減少を見せた。ことに、米国においては前回調査比23ポイント減と激しい下落を記録し、近年低水準のまま推移していた英国も前回調査比 15ポイント減と厳しい結果となった。また、日本においては、調査対象国中唯一の景況感 1桁台を記録し、景況感の低さがひときわ目立つ結果となった。一方で、各国に先立って経済再開に踏み切った中国では、他調査対象国と同様に下落を経験したものの、前回調査比9ポイント減とその幅は比較的小さいものとなった。
今回の結果について太陽グラントソントン顧問中村毅夫は次のようにコメントしている 。
「中国発と言われるコロナ禍は瞬く間に世界に広がり、各国経済の様相を一変させた 。 このため IMF は 、4月の年次成長予測を僅か2カ月で大幅に下方改定することとなった 。 家計部門を直撃した急激な景気後退は 、 ロックダウン等緊急避難措置の解除につれて底打ちしようがその回復力は鈍く 、 目に見えない敵に対する生活防衛に走る人々は 、 懸案のワクチン開発と一般利用が始まるまで容易に愁眉を開くまい 。 各国の企業は 、 政策当局の迅速かつ思い切った財政 ・ 金融政策とこれに呼応した金融機関の支援融資により命脈を保っているが 、 こうした時間稼ぎは銀行のバランスシートの劣化とともに次第に限界に近づいていく 。 危機克服に向けて官民協調の実が問われる所以である 。」
【グラフ】日本、中国、米国、英国における景況感の推移
ランキング上位国も前回比で見るとポイント数は大きく下落
世界中で記録的な低水準を示す
今回の調査では、世界29カ国の景況感の平均は前回比-16ポイントの43%となり、全調査対象国のうち27カ国が悪化した。
<調査実施期間>
2020年上半期:2020年5月~6月(29カ国)
2019年下半期:2019年10月~11月(32カ国)
2019年上半期:2019年5月~6月(33カ国)
アジア太平洋地域平均は前回比-9ポイントの47% 、EU加盟国(7カ国)平均では-16ポイントの29%、BRICs平均では-14ポイントの58%と、地域や経済規模にかかわらず、広範囲で大きく下落した。
最も高い景況感はアラブ首長国連邦の69%であったが、これは過去10年での最上位国の数値と比較してみると最も低い記録であり、世界的な水準の大幅な下落が伺える結果であった。
下げ幅が大きかった国として、前回調査で大きく回復したギリシャが一転し、-32ポイントの下落をみせ37%となったほか、ブラジル、(40%、 前回比-29ポイント)、メキシコ(41% 、前回比-26ポイント)米国(50%、前回比-23ポイント)において激しい2桁下落が続いた。
ランキング下位では、調査対象国中唯一の1桁台を記録した日本に次いで、韓国(10%)、スウェーデン(13%)と、10%台の悲観的な結果が目立った。
調査対象国の大半が大幅に落ち込む一方で、改善を示したのは、ナイジェリア(64%、前回比+5ポイント)とマレーシア(45%、前回比+12ポイント)のわずか2カ国のみであった。
日本企業の新型コロナウイルスによる影響
過半数の企業が売上高・営業利益の減少を認識
日本の中堅企業に、新型コロナウイルスが自社の経営に与えた影響を前年同期比で尋ねたところ、およそ6割もの企業が売上高・営業利益の減少を認識していることが明らかになった。
一方、コストへの影響については、半数以上が大きな影響はないと回答した。
【グラフ】日本企業の新型コロナウィルスによる影響(売上高、営業利益、コスト)
また、現時点で大きく影響を受けている項目については、「渡航および移動制限による出張や営業活動への影響」(56%)との回答が最も多く、次いで「営業活動や製造の停止による売上高および受注の減少」(47%)となり、様々な活動の自粛を強いられた企業の厳しい現状が伺える結果であった。
今後の経営面での影響については、「国内消費の低迷」(49%)が、次に「人材採用および確保の難しさ」(45%)が多く挙げられた。
さらに、今後政府に期待する対応に関しては、「減税や補助金などの景気対策」(57%)が最も多く、次いで「労働者の雇用維持のための支援」(48%)となり、国全体の活性化につながる抜本的な支援を求める声が多かった。
【グラフ】日本企業の新型コロナウィルスによる影響(実際の影響、今後の経営面で受けるであろう影響、政府への期待)
各国における新型コロナウイルスによる影響と復旧に向けた対応
新型コロナウイルスが自社の経営に与えた影響に関する質問について、調査対象各国の回答を見てみると、収益に関しては、減収を見込んでいる企業の割合が調査対象国全体で65%以上にものぼり、そのうち「1%~9%減少」、次いで「10%~19%減少」と回答した企業が一番多かった。日本・中国・米国・英国の4カ国においても、概ね全調査対象国平均と同様の回答割合を見せたものの、増加を見込む企業の割合については、日本ではわずか4.3%であったのに対し、中国は19.5%、米国は24.4%、英国は20.5%と、中・米・英は調査対象国平均より高い水準であった。
現状での資金面での対応能力を尋ねたところ、4カ国とも「既存の資金のみを使って事業を継続することはできるが、コスト削減/構造改革は必須となる」と回答した割合が最も多く占めた。(表B)
各国の企業が講じた対策や計画については、回答にばらつきが多く、調査対象国平均を見ると「政府の助成金」が32.9%と最も多かった。(表C)
事業の運営面において計画または講じられた施策については、中国を除く4カ国すべての国で「在宅勤務、リモート勤務、フレックス勤務の実施」が最も多く、中堅企業においても政府による外出制限等の政策のため在宅勤務を余儀なくされたことが伺える結果となった。(表D)
また、今後の市場回復に備えた計画については、調査対象国平均、米国、英国で「将来の職場の安全性の確保」との回答が最も多く、米国、英国においては過半数を占めた。一方で、中国での最多回答は「優先する製品およびサービスの選定」(52.1%)、日本では「人材とリーダーシップに関する課題への対応」(29.3%)となった。(表E)さらに、今後の事業戦略で改定が求められると思う分野については、中国・米国・英国では「テクノロジーの活用とデジタルトランスフォーメーション」と回答した割合が最も多く、テクノロジーの重要性への認識が一層高まったことが伺える結果であった。日本においては、「危機管理プロセスの改善」(43.1%)が最も多かった。(表F)
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■中堅企業経営者の意識調査 実施概要
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実施期間:2020年5月~6月
参加国数:29カ国
(アジア太平洋地域) 日本、オーストラリア、中国、インド、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、 フィリピン、韓国、ベトナム
(EU加盟国) フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、スペイン、スウェーデン
(北中南米) 米国、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ
(アフリカ) 南アフリカ、ナイジェリア
(その他)英国、トルコ、ロシア、アラブ首長国連邦
調査対象:約10,000名の世界の中堅企業ビジネスリーダー、または経営トップ
日本からは従業員数100名以上1,000名未満の全国の中堅・中小企業(上場および非上場)から232社の意志決定権を持つ経営層が回答した。
調査について:質問表を各言語に翻訳し、オンラインおよび電話で行い、調査会社Dynata(旧社名:Research Now)がデータの取りまとめを行った。
分析手法:景況感について、各国の全回答数のうち「非常に楽観的」または「やや楽観的」と回答した社数の割合を当該国の景況感とする。 (単位:)
※2019年上半期以前に実施した本調査では、 (楽観的と答えた人のパーセンテージ)-(悲観的と答えた人のパーセンテージ)として算出するバランス統計手法 DI(Diffusion Index)を用いていたが、2019年下半期調査結果およびそれに含まれる2019年上半期以前の数値に関してはDIを使用せず、上記の割合(単位:)にて統一表記した。
利用上の注意:調査結果の数値は、表章単位未満の位で四捨五入しているため、総数と内訳の合計は必ずしも一致しない。
Grant Thorntonは、1992年にヨーロッパの中堅・中小企業に関する年次調査「European Business Survey」を開始。2002年から、日本を含むヨーロッパ以外の中堅・中小企業を調査対象に加えた「International Business Report」 (IBR)として年次調査を実施。2010年11月~12月調査以降は、調査対象を中堅企業経営者とし、四半期ごとに調査結果を公表、2018年からは半期ごとに調査・結果公表を行っている。
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■太陽グラントソントン
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所在地:東京都港区元赤坂1-2-7 赤坂Kタワー18F
代 表:梶川 融(公認会計士)
グループ会社:太陽有限責任監査法人、太陽グラントソントン税理士法人、太陽グラントソントン・アドバイザーズ株式会社、太陽グラントソントン株式会社、太陽グラントソントン社会保険労務士法人、太陽グラントソントン・アカウンティングサービス株式会社
URL:https://www.grantthornton.jp/
太陽グラントソントンが提供する事業領域:
太陽グラントソントンは、Grant Thorntonの加盟事務所として世界水準の会計コンサルティング業務を提供します。 監査・保証業務、IPOサービス、内部統制、M&Aトランザクションサービス、IFRS アドバイザリーサービス、国際/国内税務、移転価格税制コンサルティング、事業承継、財団法人支援、外資系企業に対するコーポレート サービス、労働法務コンサルティング、海外進出支援、財務・業務管理システム導入・運用コンサルティング
Grant Thornton:
監査・保証業務、税務関連業務、アドバイザリーサービスを提供している相互に独立した会計事務所およびコンサルティング会社から構成される世界有数の国際組織です。それぞれに独立した世界各地のメンバーファームが、成長への潜在的な能力の扉を開くビジネスパートナーとして、ダイナミックな組織にサービスを提供しています。
世界140カ国以上、56,000人以上の従業員が、クライアント、そして私たちが住み働く地域社会に対して、変化をもたらすサービスの提供に重点的に取り組んでいます。
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- 所在地 東京都
- 業種 その他サービス業
- URL http://www.grantthornton.jp/
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