ビジネス日本語を学ぶ外国人の今
2020年9月16日
公益財団法人 日本漢字能力検定協会
ビジネス日本語を学ぶ外国人の今
-コロナ禍においてもBJT受験者は前年並みに(4~8月前年比100.2%)-
公益財団法人 日本漢字能力検定協会(本部:京都市東山区/代表理事:髙坂節三/以下、漢検協会)は、日本語能力育成活動の一環として、企業の国際化支援と外国人ビジネスパーソンの日本語学習支援を目的に、ビジネス場面での日本語コミュニケーション能力を総合的に測定する「BJTビジネス日本語能力テスト(以下、BJT)」を主催しています。
新型コロナウイルスの感染が国内で拡大して以降、多くの外国人が日本を離れました。6月の入国者数は2,555人、出国者数は15,470人となり、出国者数が入国者数を12,915人上回りました(※1)。一方、BJTを受験する外国人は、3~4月に一度前年比6~7割まで落ち込んだものの、5月は前年比139.4%を記録し、5月から8月の受験者数累計は前年比105.8%と、前年並みになりました(資料1)。BJTの受験状況より、コロナ禍にあっても一定数の外国人がビジネス日本語の習得を目指しておられることがわかりました。漢検協会は引き続き、皆さまの日本語学習を支援してまいります。
※1 出入国在留管理庁 出入国管理統計(速報値)より
コロナ前の受験状況とコロナ禍での受験状況(資料1・2)
2019年度の受験者数は4,758人、前年比117.1%と増加しました。コロナウイルスの影響が数値に現れはじめたのは、今年の2月。2019年4月から2020年1月までの受験者数は4,174人となり、前年同時期の3,309人から126.1%もの伸びを記録しましたが、2月は前年比97.4%(-9人)、3月は同60.2%(-161人)、4月は同63.3%(-76人)と減少に転じました。
これは中国全土のテストセンターがコロナウイルス感染拡大の影響を受け、1月から閉鎖され、日本国内の一部と複数の国のテストセンターが閉鎖されたことが主な要因と考えられます。
2020年5月に各国のテストセンターが再開されると、受験者数は前年比139.4%、244人まで増加しました。2020年4月から8月の受験者数累計は前年の100.2%と、ほぼ前年並みになりました。
受験者数の内訳(受験する国・地域別)(資料3)
2019年度の志願者数5,042人のうち受験者の内訳を見ると、全体の66.1%は日本国内で受験しています。2019年度は日本の次に中国(9.1%)・そしてベトナム(8.6%)・台湾(6.9%)の順でしたが、2020年度は8月末時点で、日本(58.7%)の次に台湾(15.4%)、そして中国(9.0%)・ベトナム(6.1%)と続き、台湾での受験者数の割合が増加しています。
コロナ禍でも堅調な理由
BJTは、CBT(Computer Based Testing)方式で実施しています。集合型ではなく、各自がブースで受験できることから、各国にて非常事態宣言や外出禁止が解除された後、比較的早期に受験者数が回復したと考えられます。
また、BJTは在留資格認定の要件となっている数少ない試験です。就職活動を行う本邦大学卒業者を対象とする「在留資格(特定活動)」や「在留資格(留学)」等で日本語能力指標に採用されています。このことから、コロナ禍にあっても、日本での就職や留学を希望している外国人がビジネス日本語の学習を継続し、BJT受験しているのではないかと考えられます。
<資料>
1.BJTビジネス日本語能力テスト 2018年度~2020年度※2 月別受験者数
※2:2020年度は4月~8月の暫定数値
2.BJTビジネス日本語能力テスト 2018年度~2020年度※2 受験者数(日本国内・海外)※3
※3:受験したテストセンター所在地から算出
3. BJTビジネス日本語能力テスト 2018年度~2020年度 受験者数(国・地域別)※3
※4:インドネシア・ミャンマー・インド・アメリカ・メキシコ・ブラジル・フランス・イギリス・ドイツ・イタリア
4.2019年度 BJTビジネス日本語能力テスト 結果の概要
※5:レベル詳細は以下
BJTとは
BJTは、ビジネス場面で必要とされる日本語コミュニケーション能力を測定するテストです。1996年に独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)が開始し、2009年に漢検協会が事業を継承しました。
言葉によるコミュニケーションだけでなく、文章や図表、写真など、与えられたすべての情報を用いて、日本語を理解、運用し、ビジネス上の課題に対して適切に対応する力を測定します。出題は合計で80問あり、「聴解」「聴読解」「読解」の3つのセクションで構成されています。
BJTのテスト結果はIRT(項目応答理論)に基づいた統計処理により0~800点で採点され、J5~J1+の6段階のレベルで評価されます。
2017年4月に現在のCBT(Computer Based Testing)方式に移行。2020年9月現在、国内34都市・海外18カ国・1地域にて実施しています。PBT(Paper Based Testing)方式で実施していた頃は年2回しか受験機会がありませんでしたが、現在は受験者の都合に合わせて受験日時と会場を自由に選ぶことができます(受験可能日時はテストセンターの営業日時に準じます)。
在留資格認定の要件
●「在留資格認定証明書交付申請」に日本語能力の証明としてBJTスコアを明記できます
(300点以上でJLPTのN5以上)
●「留学生の就職支援に係る『特定活動』の要件(本邦大学卒業者)」に認定されています
(480点以上でJLPTのN1と同等)
●「高度人材ポイント制」において、BJTスコア480点以上で15ポイント(JLPTのN1と同等)、
400点以上で10ポイント(JLPTのN2と同等)が付与されます
その他、大学における単位認定や留学支援の要件としても活用されています。
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 公益財団法人日本漢字能力検定協会
- 所在地 京都府
- 業種 教育サービス
- URL https://www.kanken.or.jp/
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