アダリムマブ、中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎の小児患者さんに対する治療薬としてFDAの承認を取得

アッヴィ

2021年3月22日

アッヴィ合同会社

アッヴィ、アダリムマブについて、中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎の小児患者さんに対する治療薬としてFDAの承認を取得

●アダリムマブは、中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する5歳以上の小児患者さんを対象とした、皮下投与による生物学的製剤[1]

●承認の根拠となった第III相ピボタル試験ENVISION I試験では、アダリムマブ高用量群で8週時に臨床的寛解が得られた患者さんの割合は60%、8週時に効果がみられた患者さんの45%が52週時に寛解を維持[1,2]

●アダリムマブは現在、米国で11の適応症に対する承認を取得しており、うち5つが小児患者さんを対象とした承認

 

イリノイ州ノースシカゴ、2021年2月24日(米国時間)—アッヴィ(NYSE: ABBV)は、中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する5歳以上の小児患者さんに対する治療薬として、アダリムマブが米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表しました。臨床試験では、アダリムマブによって8週時に臨床的寛解が得られ、また、8週時に改善が得られた患者さんでは52週時にも寛解が維持されていました1,2

 

アッヴィのバイスプレジデント兼米国免疫医学事業部長のブランディー・パッパラルドは次のように述べています。「潰瘍性大腸炎は、長期間にわたって小児患者さんに多様な影響を及ぼす可能性もありますが、小児患者さんの治療選択肢は限られています。本承認によって、アダリムマブは小児潰瘍性大腸炎患者さんを対象とした、自宅投与が可能な皮下投与による生物学的製剤となります。今回、アダリムマブに新たな適応症が追加されたことは、炎症性腸疾患の患者さんのために当社が行ってきた努力が結実したものであり、この疾患による患者さんの負担を軽減するという目標の実現を後押しするものです」

 

今回の承認は、第III相ピボタル試験であるENVISION I試験の結果に基づくものです。本試験においてアダリムマブは、主要評価項目である8週時のPartial Mayoスコア(PMS)に基づく臨床的寛解と、8週時に改善が得られた患者さんにおける1年(52週)時のFull Mayoスコア(FMS)に基づく臨床的寛解を達成しました1,2。臨床的寛解は、PMSまたはFMSが2点以下、かつ1点を超えるサブスコアがない場合と定義されていました1,2

 

Mount Sinai Health Systemの小児消化器科部長兼Mount Sinai Susan and Leonard Feinstein IBDセンター共同責任者であるマーラ・ダビンスキー医師*は次のように述べています。「潰瘍性大腸炎の症状・兆候は予測が難しい疾患であり、幅広い年代で発症しますが、特に小児にさまざまな形で影響を及ぼします。ENVISION I試験では、アダリムマブによって8週後という早い時点で臨床的改善が得られ、また8週時にPMSに基づく改善を達成した患者さんの多くが52週時にFMSに基づく臨床的寛解が認められました。一臨床医として、新たな治療選択肢が利用できるようになったことを嬉しく思います。また、このような良好な結果が得られたことは大きな励みとなり、小児患者さんとその介護者が潰瘍性大腸炎を管理するうえでアダリムマブが助けになることが期待されます」

 

潰瘍性大腸炎は、大腸の炎症を特徴とし、軽度から重度の便意切迫や便失禁のほか、体重減少、疲労などの症状が生じます3,4。潰瘍性大腸炎は現在でも、多くの患者さんでコントロールが困難な状態が続き、慢性的に継続する疾患であることから、より多くの治療選択肢が必要とされています3,4。中等症から重症の小児潰瘍性大腸炎では、成人と比較して病変が広範囲にあらわれる傾向があり、重篤な合併症を引き起こすことがあるため、依然として大きなアンメットニーズが存在します4,5

 

ENVISION IIII相試験について1,2,6

ENVISION I試験は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎(中央判定による内視鏡検査でFMSが6~12点、かつ内視鏡サブスコアが2~3点と定義)の小児患者さん(4~17歳)を対象に、アダリムマブを皮下投与したときの有効性、安全性および薬物動態を評価することを目的とした第III相、無作為化、二重盲検、多施設共同試験です。

 

8週目までは、いずれの用量群とも0週時に2.4 mg/kg(最大160 mg)、2週時に1.2 mg/kg(最大80 mg)、4週および6週時に0.6 mg/kg(最大40 mg)を投与しました。高用量群では、1週時にも2.4 mg/kg(最大160 mg)を投与しました。8~52週目は、二重盲検下でプラセボまたはアダリムマブ0.6 mg/kg(最大40 mg)を2週に1回または週1回投与しました。本試験の主要評価項目は、8週時のPMSに基づく臨床的寛解(PMSが2点以下、かつ1点を超えるサブスコアなしと定義)、および8週時にPMSに基づく臨床的寛解を達成した患者さんにおける52週時のMayoスコアに基づく臨床的寛解(Mayoスコアが2点以下、かつ1点を超えるサブスコアなしと定義)でした。

 

試験の結果、8週間の導入期終了時点でPMSに基づく臨床的寛解を達成した患者さんの割合は、アダリムマブ高用量群で60%(47名中28名)、低用量群で43%(30名中13名)でした。8週時にPMSに基づく改善が認められた患者さんのうち、52週時点でFMSに基づく寛解が維持されていた患者さんの割合は、高用量群で45%(31名中14名)、低用量群で29%(31名中9名)、プラセボ群で33%(12名中4名)でした。なお、プラセボ群は患者さんが少ないため、プラセボ群のデータを十分に解釈することはできません。

 

承認されたアダリムマブの用法・用量は、以下に示すように小児患者さんの体重に基づいて決定されます1

 

小児の体重

推奨用量

 

115日目

29日目以降

20 kg(44ポンド)以上40 kg(88ポンド)未満

1日目:80 mg

8日目:40 mg

15日目:40 mg

40 mgを2週に1回

または

20 mgを週1回

40 kg(88ポンド)以上

1日目:160 mg(1回で投与または連続する2日に分けて投与)

8日目:80 mg

15日目:80 mg

80 mgを2週に1回

または

40 mgを週1回

 

18歳になった時点でアダリムマブによる治療で十分にコントロールされている患者さんについては、小児に対する推奨用量を継続することが推奨されます。

 

ENVISION I試験では、アダリムマブに関して新たな安全性リスクは認められませんでした1,2。本試験のアダリムマブ投与期間中に、22.6%の患者さんで重篤な有害事象が発現しました1,2。導入期および維持期に特に多く報告された治験薬投与中の有害事象(5%以上)は、頭痛および潰瘍性大腸炎の悪化でした6。本試験では、死亡、悪性腫瘍、活動性結核、脱髄疾患は認められませんでした1,2

 

本試験の詳細はwww.clinicaltrials.gov(NCT02065557)でご確認いただけます。

 

* マーラ・ダビンスキー医師は、アッヴィの顧問・アドバイザーです。

 

米国におけるアダリムマブについて

効能効果

アダリムマブは下記疾患に使用される医療用医薬品です。

 

・下記疾患の徴候・症状の軽減:

○中等症または重症の関節リウマチ(RA)の成人患者さんにおいて、単独で、またはメトトレキサート等の他の薬剤と併用して使用します。骨および関節の損傷進展を防止し、日常生活機能を改善できる可能性があります。

○中等症または重症の多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎(JIAの2歳以下の小児患者さんにおいて、単独で、またはメトトレキサートと併用して使用します。

○関節症性乾癬(PsA)の成人患者さんにおいて、単独で、または他の薬剤と併用して使用します。骨および関節の損傷進展を防止し、日常生活機能を改善できる可能性があります。

○強直性脊椎炎(AS)の成人患者さんの治療。

○中等症または重症の化膿性汗腺炎(HS)の12歳以上の患者さんの治療。

・中等症または重症のクローン病(CD)の成人患者さんおよび6歳以上の小児患者さんの治療。

・中等症または重症の潰瘍性大腸炎(UC)の成人患者さんおよび5歳以上の小児患者さんの治療。抗TNF製剤で効果が得られなくなった、または抗TNF製剤を使用できない患者さんにおいてアダリムマブが有効であるかどうかは不明です。

・中等症または重症の慢性局面型乾癬(Ps)の成人患者さんのうち、全身療法または光線療法が適応であり、主治医により他の全身療法に比べアダリムマブによる治療が適切であると判断された患者さんの治療。

・非感染性の中間部(目の中間部)、後部(目の後部)または汎(目のすべての部分)ぶどう膜炎(UV)の成人患者さんおよび2歳以上の小児患者さんの治療。

 

アダリムマブに関する重要な安全性情報

 

アダリムマブについて認識しておくべき最も重要な情報はどのようなものでしょうか?

アダリムマブの有益性と危険性について担当医と話し合ってください。アダリムマブは抗TNF製剤であり、免疫系が感染症に対抗する能力を低下させる可能性がある薬剤です。何らかの感染症が認められる場合は、担当医が認めない限り、アダリムマブの使用を開始しないでください。

・アダリムマブを使用した患者さんにおいて、結核や、ウイルス、真菌、細菌が全身に広がった感染症など、重篤な感染症の発生が報告されており、死亡に至った場合もあります。アダリムマブの投与開始前には必ず結核の検査を行い、投与中はたとえ検査結果が陰性であっても結核の徴候・症状がみられないか注意深く確認する必要があります。結核発症のリスクがあると医師が判断した場合は、抗結核薬を投与します。

・がんについて。アダリムマブを含む抗TNF製剤を使⽤している成人および小児患者さんにおいては、リンパ腫などのがんの発症リスクが高まる可能性があります。抗TNF製剤を使用している小児、青年および若年成人の患者さんでまれながんの症例が報告されています。肝脾T細胞リンパ腫と呼ばれるまれながんが発現した患者さんも報告されており、多くの場合死亡に至っています。アダリムマブを含む抗TNF製剤を使用している患者さんにおいては、2種類の皮膚がん(基底細胞がんおよび扁平上皮がん)の発症リスクが高まる可能性があります。これらのがんは治療すれば通常生命を脅かすことはありません。治らないこぶや傷口がある場合は、担当医に伝えてください。

 

アダリムマブの使用開始前にどのようなことを担当医に伝えるべきですか?

次のような場合も含め、あなたの健康状態に関するあらゆることを担当医に伝えてください。

・感染症にかかっている、感染症の治療を受けている、または感染症の症状がある場合。

・多くの感染症にかかっている、または再発する感染症がある場合。

・糖尿病にかかっている場合。

・結核に感染している、結核患者さんと緊密に接触している、あるいは結核に感染するリスクが高い場所で生まれた、在住していた、または旅行したことがある場合。

・例えば、ヒストプラスマ症、コクシジオイデス症、ブラストミセス症などの特定の真菌感染症にかかるリスクが高い地域(オハイオ川流域、ミシシッピ川流域など)に在住している、または在住していた場合。アダリムマブを使用している場合は、これらの感染症にかかったり、これらの感染症が重症になったりすることがあります。このような地域に住んでいたことがあるか不確かな場合は、担当医にお尋ねください。

・B型肝炎にかかっている、またはB型肝炎にかかったことがある場合。

・大手術を受ける予定がある場合。

・がんにかかっている、またはがんにかかったことがある場合。

・しびれ感またはピリピリ感がある、あるいは多発性硬化症、ギラン・バレー症候群などの神経系疾患にかかっている場合。

・心不全にかかっている、または心不全にかかったことがある場合。

・最近ワクチンを接種した、またはワクチン接種を予定している場合。アダリムマブを使用する患者さんは、生ワクチン以外であれば、ワクチンを接種してもかまいません。小児患者さんはアダリムマブの使用開始前にすべてのワクチン接種を済ませておいてください。

・ゴム、ラテックスまたはアダリムマブの成分に対するアレルギーがある場合。

・妊娠している、妊娠を計画している、授乳中である、または授乳を予定している場合。

・出産し、妊娠中にアダリムマブを使用していた場合。お子さんが何らかのワクチン接種を受ける前に、お子さんの担当医に伝えてください。

 

また、服用中の薬剤すべてを担当医に伝えてください。アダリムマブとオレンシア(R)(アバタセプト)、KINERET(R)(アナキンラ)、レミケード(R)(インフリキシマブ)、エンブレル(R)(エタネルセプト)、シムジア(R)(セルトリズマブ ペゴル)またはシンポニー(R)(ゴリムマブ)を併用することはできません。リツキサン(R)(リツキシマブ)、イムラン(R)(アザチオプリン)またはPURINETHOL(R)(メルカプトプリン、6-MP)を使用したことがある場合は、担当医に伝えてください。

 

アダリムマブの使用開始後にどのようなことに気をつけるべきですか?

アダリムマブは次のような重篤な副作用を引き起こすおそれがあります

 

・重篤な感染症。結核やウイルス、真菌または細菌によって引き起こされる感染症などです。結核に伴う症状には、咳嗽、微熱、体重減少、体脂肪および筋肉の減少などがあります。

・B型肝炎ウイルスキャリアの患者さんにおけるB型肝炎。症状には、筋肉痛、疲労感、暗色尿、皮膚や目が黄色く見える、食欲減退または食欲がない、嘔吐、灰白色便、発熱、悪寒、胃不快感、皮疹などがあります。

・アレルギー反応。重篤なアレルギー反応の症状には、蕁麻疹、呼吸困難、顔面、目、唇または口の腫れなどがあります。

・神経系障害。徴候・症状には、しびれ感またはピリピリ感、視覚に関する問題、腕または脚の脱力、浮動性めまいなどがあります。

・血液障害(感染症に対抗したり、出血を止めたりすることができる血球の減少)。症状は、熱が下がらない、内出血や出血がおきやすい、とても青白い顔をしているなどです。

・心不全(新たな発症または悪化)。症状には、息切れ、足首または脚の腫脹、急激な体重増加などがあります。

・ループス様症候群などの免疫反応。症状には、胸部不快感または胸痛が治らない、息切れ、関節痛、日光に当たると悪化する頬または腕の発疹などがあります。

・肝障害。症状には、疲労感、皮膚や目が黄色く見える、食欲不振または嘔吐、胃(腹部)の右側の痛みなどがあります。これらの障害によって肝不全や死亡に至るおそれがあります。

・乾癬(新たな発症または悪化)。症状には、落屑性の赤い斑点、膿が詰まって盛り上がったこぶなどがあります。

 

上記の症状が一つでもあらわれた場合は、すぐに担当医に連絡するか診察を受けてください。

 

アダリムマブで多く報告されている副作用は、注射部位反応(疼痛、発赤、発疹、腫脹、そう痒、内出⾎)、上気道感染(副鼻腔感染)、頭痛、発疹、悪心などです。予想されるアダリムマブの副作用はこれがすべてではありません。気になる副作用や治らない副作用がある場合は、担当医に伝えてください。

 

感染症にかかった場合、または感染症の症状がある場合は、すぐに担当医に伝えてください。

・熱、発汗または悪寒

・筋肉痛

・咳嗽

・息切れ

・血液の混じった痰

・体重減少

・皮膚の熱感、発赤もしくは疼痛、または身体部位の痛み

・下痢または胃痛

・排尿時の灼熱感

・通常より頻繁な排尿

・疲労感

 

アダリムマブは皮下注射により投与します。

 

以上がアダリムマブについて認識しておくべき最も重要な情報です。詳しい情報については、担当の医療従事者にご相談ください。処方薬の副作用をFDAに報告することが奨励されています。http://www.fda.gov/medwatch をご覧いただくか、1-800-FDA-1088にお電話ください。

 

薬剤の支払いが難しい場合は、アッヴィがお手伝いできるかもしれません。詳細については、AbbVie.com/myAbbVieAssist ご参照ください。

 

こちらから、詳細な処方情報および服薬ガイドについてご参照ください。

 

世界各国で処方情報は異なります。完全な情報は各国の製品表示をご参照ください。

 

消化器領域におけるアッヴィについて

潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患(IBD)の領域を大きく発展させるため、アッヴィは強固な臨床試験プログラムを実施し、最先端の研究に取り組んでいます。革新と学習、そして適応を通して、IBDによる患者さんの負担をなくし、患者さんの生活を長期にわたって改善していくことを目指しています。消化管領域におけるアッヴィについて、詳細はこちらをご覧ください。

 

アッヴィについて

アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製と提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。患者さん一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、神経疾患、アイケア、ウイルス、ウイメンズヘルス、消化器疾患、さらにアラガンエステティクスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.com をご覧ください。Twitterアカウント@abbvieFacebookLinkedInInstagramでも情報を公開しています。

 

 

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