ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに、 ベクルリーのCOVID-19患者データの掲載を発表
症状が重症化しやすい基礎疾患を持つ患者さんに おいても、プラセボと比較し、一貫して高い有効性を確認
2021年12月27日
ギリアド・サイエンシズ株式会社
ギリアド、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに、 ベクルリーが高リスクのCOVID-19患者さんの入院リスクを有意に 軽減したことを示すデータが掲載されたことを発表
―サブグループ解析では、症状が重症化しやすい基礎疾患を持つ患者さんに おいても、プラセボと比較し、一貫して高い有効性を確認―
ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は2021年12月22日、疾患の進行リスクが高い非入院患者さんにおけるCOVID-19治療を目的とした、3日間のベクルリー(R)(一般名:レムデシビル)点滴静注の有効性および安全性を評価する第III相臨床試験の最終結果を発表しました。この結果は、同日、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)に掲載され、入院前を含む疾患の早期段階におけるベクルリーの使用に向けて、米国食品医薬品局(FDA)に提出されました。
無作為化二重盲検プラセボ対照試験において、ベクルリー投与群ではプラセボ投与群と比べて、複合主要評価項目である28日目までの「COVID-19に起因する入院」または「原因を問わない死亡」のリスクが87%減少し、複合副次評価項目である28日目までの「COVID-19による医療機関の受診」または「原因を問わない死亡」のリスクが81%減少しました。また、7 日目までの鼻咽頭のSARS-CoV-2ウイルス量にはベクルリー投与群とプラセボ投与群間で差が認められず、COVID-19 において上気道のウイルス量は治療成績を確実には予測し得ないことが示されました。本試験では、いずれの群においても28日目までに死亡例は認められませんでした。
本試験には、新たなサブグループ解析が含まれており、COVID-19の主な重症化リスク因子の種類にかかわらず、ベクルリーの一貫した有効性が示されました。糖尿病、肥満、高血圧などの合併症を持つ患者さんは、ベクルリーの投与により、28日目までのCOVID-19に起因する入院リスクが減少しました。また、がん、慢性肺疾患、心血管疾患の患者さんでのサブグループ解析では、プラセボ投与群においてCOVID-19に起因する入院が認められました。また、治療前あるいは治療初日にインフルエンザ患者報告アウトカム(FLU-PRO Plus)質問票を記入した患者さんを対象とした事後解析の結果、プラセボ群と比較して、ベクルリー群では14日目までに症状が緩和される確率が92%高い結果となりました。
ベイラー大学メディカルセンターおよびベイラー・スコット&ホワイト・リサーチ・インスティテュートの心臓専門医、そしてNEJMに掲載された論文の主執筆者であるロバート L. ゴットリーブ医学博士(Robert L. Gottlieb, MD, PhD)は、「これらのデータは、ベクルリーの3日間投与が患者さんの入院を回避させる重要な役割を担う可能性を示しています。私たちの病院では治療を必要とする患者さんをサポートする準備は整っていますが、疾患の進行リスクを軽減し、酸素補給を必要としない患者さんの自宅療養を可能にするためには、予防と早期段階での治療が望まれます。ベクルリーは、最前線で治療にあたる医療従事者がCOVID-19による入院患者さんの治療を効果的に治療するための信頼する治療手段であり、ベクルリーによる早期の抗ウイルス療法は、ワクチン接種を中心とした一時予防の取り組みに始まる一連の治療の延長線上にあると考えられます。ベクルリーのような抗ウイルス薬は、ウイルスの複製過程のさまざまな段階を標的とする複数の治療を組み合わせて投与することが一般的です。この点を考慮すると、新たな治療選択肢が可能となった場合、外来での点滴が可能な環境下では、短期間の静脈内投与が相補的な治療選択肢となる可能性があります」と述べています。
米国での、非入院患者さんに対するベクルリーの3日間投与による治療は現在開発段階で、用法・用量および投与期間の安全性および有効性は確立されておらず、規制当局からの承認は得られていません。米国においてベクルリーは、入院を必要とする成人および小児(12歳以上で体重40kg以上)患者さんのCOVID-19治療薬として適応を取得しています。なお米国においてベクルリーは、ベクルリーまたはその成分にアレルギーのある患者さんには禁忌です。米国でのベクルリーに関するその他の重要な安全性情報については、以下を参照してください。
本試験では、非入院環境下におけるベクルリーとプラセボの安全性プロファイルは類似しており、ベクルリーが投与された患者さんに最も多くみられた試験治療下での有害事象(5%以上)は、吐き気と頭痛でした。盲検下で実施された本試験で治験責任医師が治験薬に関連すると判断した有害事象は、ベクルリー投与群では12%、プラセボ投与群では9%の患者さんに認められました。重篤な有害事象の発現は、プラセボ投与群の7%と比較して、ベクルリー投与群では2%で、ベクルリー投与群でより少ない結果でした。また、ベクルリーを投与された279名に、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。本試験では59日目に1名の死亡(プラセボ投与群)が確認されましたが、28日目までの主要評価項目の観察期間では、いずれの群においても死亡例はありませんでした。
ギリアドのチーフ・メディカル・オフィサー(CMO)であるマダッド・パーセイ博士(Merdad Parsey, MD, PhD)は、次のように述べています。「今回の結果は、ベクルリーの高い有効性をさらに示しており、ベクルリーのCOVID-19治療における重要な役割を支持するものであることをうれしく思います。またベクルリーが入院中の患者さんに対する標準的な抗ウイルス薬として疾患の進行を抑制し、患者さんの回復を早めることに貢献し続けていることを誇りに思います。今回の試験で得られた有望なデータは、COVID-19に対しベクルリーと同じ抗ウイルス作用のメカニズムに基づくベスト・イン・クラスになり得る経口治療薬の開発を追求する上で、私たちにとって大きな励みとなります」
本論文の執筆者らは、3日間のベクルリー点滴静注で示されたの有効性は単回投与の中和モノクローナル抗体(nmAb)療法の単回投与の臨床試験で認められた有効性と質的に類似していることから、この治療法で承認された場合、疾患の進行リスクの高い非入院患者さんに対するCOVID-19治療において、もう一つの重要な選択肢となり得ると述べています。また、疾患の早期段階における直接作用型抗ウイルス剤を含む治療法を併用することで、最もリスクの高い患者さんにおいて相乗効果を発揮する可能性があるとしています。
ベクルリーは、直接作用型の抗ウイルス剤であり、室温で凍結保存して出荷することができ、長時間の点滴を必要としません。ベクルリーは、高度に保存されたウイルスのRNA依存性ポリメラーゼを標的としているため、これまでに確認された既存のSARS-CoV-2の懸念される変異株(VOC)に対しても有効性を示しています。
ギリアドは、腎機能障害のある患者さん、小児、妊婦など、アンメット・メディカル・ニーズが引き続き存在している入院患者さんを対象に、ベクルリーの有効性や安全性を評価する試験を継続するとともに、外部スポンサーによる試験も支援しています。またギリアドは、COVID-19の非入院患者さんに対する新規経口治療薬の開発も進めており、今月初めに米国食品医薬品局(FDA)に新薬臨床試験開始申請書(IND)を提出しました。
ベクルリー点滴静注試験(GS-US-540-9012)について
GS-US-540-9012(PINETREE)試験は、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、疾患の進行リスクが高いCOVID-19非入院患者さんにおいて、3日間のベクルリー点滴静注が入院率や全死亡率を低下させる可能性を含む有効性や安全性を評価しました。本試験の主要評価項目は、28日目までの「COVID-19に起因する入院」または「原因を問わない死亡」の複合評価とし、副次評価項目は、28日目までの「COVID-19による医療機関の受診」または「原因を問わない死亡」としました。
本試験では1,264名の患者さんを登録し、無作為化二重盲検により半数にベクルリー、残りの半数にプラセボが投与されるよう計画されました。ギリアドは、COVID-19の感染状況や患者さんの登録状況などを考慮し、2021年4月に試験を中止しました。その時点で584名が試験に登録されており、その後も本試験の盲検化は継続され、登録者は最後の来院までプロトコルに従いフォローアップされ、試験を終了しました。
本試験は、COVID-19と診断された患者さんのうち、併存疾患や年齢により疾患の進行リスクが高く、かつ入院していない患者さんに対して、ベクルリーが果たす役割を評価するために実施されました。本試験の登録者は、肥満、高血圧、糖尿病などの一般的な併存疾病があり、そのうち3分の1は60歳以上でした。本試験には、治療開始前の4日以内に陽性の診断を受け、症状が出てから7日間以内の患者さんが登録されました。
ベクルリーについて
ベクルリー(レムデシビル)は、ギリアドの10年以上にわたる抗ウイルス研究の成果を基に創薬されたヌクレオチド誘導体です。ベクルリーは、COVID-19による入院患者さんの標準的な治療に使われる抗ウイルス薬で、現在、米国ではCOVID-19による入院患者さんの半数以上がベクルリーによる治療を受けています。ベクルリーは、疾患の重症度にかかわらず、疾患の進行を抑え、入院患者さんの早期回復を可能にすることにより、限られた病院のリソースを確保し、医療システムのコストを削減することができます。
ベクルリーは細胞内のウイルスのRNAポリメラーゼを標的とし、SARS-CoV-2のウイルスの複製を直接阻害します。体内に入ったベクルリーは、活性代謝物であるレムデシビル三リン酸に変化し、ウイルスのRNAに取り込まれて宿主細胞内でのウイルス複製を停止させます。世界中で新たなSARS-CoV-2の懸念される変異株(VOC)が出現しており、ギリアドはウイルスに対するベクルリーの有効性の継続的な評価を行っています。オミクロン株の遺伝子情報の初期分析において、ベクルリーはこの変異株に対して引き続き有効であることが示されています。ギリアドは、この分析結果を確認するためのin vitro試験を進める予定です。現在までのところ、既知の懸念されている変異株(VOC)の中に、ベクルリーが標的とするウイルスのRNAポリメラーゼ活性に影響を及ぼすような遺伝子変異は確認されていません。ベクルリーの抗ウイルス活性については、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロンを含むSARS-CoV-2の変異株に対し、in vitro試験が行われました。オミクロン株のウイルスRNAポリメラーゼがこれらの変異株のものと類似していることから、これらの試験結果は、オミクロン株を含む現在確認されている既知のSARS-CoV-2ウイルス変異株に対して、ベクルリーが引き続き有効であることを示唆しています。
ベクルリーは、世界約50カ国で承認または緊急使用が認められています。現在までに、ベクルリーとジェネリックのレムデシビルは、ボランタリー・ライセンスを締結した後発品企業を通じて127の低中所得国の650万人に提供されています。ベクルリーおよびジェネリックのレムデシビルは、世界で900万人の患者さんに提供されています。これらのボランタリーライセンスは、レムデシビルへの幅広い患者アクセスを可能にするというギリアドのコミットメントを反映し、ロイヤリティ・フリーで提供されています。
米国でのベクルリーの適応症
米国におけるベクルリー(R)(レムデシビル100mg注射剤)の適応症は、成人および小児(年齢12歳以上で体重40 kg以 上)の入院患者に対するCOVID-19治療です。ベクルリーの投与は、病院もしくは入院治療と同等の急性期治療を提供できる医療施設で行ってください。ベクルリーは同薬剤またはその成分に対してアレルギーのある患者には禁忌となっています。詳細については、www.gilead.comに掲載されている米国の完全版添付文書をご覧ください。
米国でのベクルリーに関する重要な安全性情報
禁忌
ベクルリーは、同薬剤またはその成分に対して臨床上問題となる過敏症の既往歴 のある患者には、投与しないでください。
警告および使用上の注意
過敏症(注入に伴う反応とアナフィラキシー反応を含む):ベクルリーの投与中および投与後に、注入に伴う反応やアナフィラキシー反応などの過敏症の発生が報告され ています。ベクルリーの投与中および投与後は、過敏症反応の有無について注意深く観察してください。低血圧、高血圧、頻脈、徐脈、低酸素症、発熱、呼吸困難、喘 鳴、血管浮腫、発疹、吐き気、発汗や戦慄などの症状が現れることがあります。点滴速 度を下げると(点滴時間は最長で120分)、これらの反応が予防できる可能性があります。重度の点滴関連反応が現れた場合は、直ちにベクルリーの投与を中止し、適切な治療を行ってください(「禁忌」を参照)。
トランスアミナーゼ上昇のリスク:健常被験者や、ベクルリー投与を受けたCOVID-19患者にトランスアミナーゼの上昇が認められています。COVID-19の臨床所見としてもトランスアミナーゼ上昇が報告されています。全ての患者について、肝機能検査を行ってください(「用量および用法」を参照)。ALTが施設基準値上限(ULN)の10倍を超える場合には、ベクルリーの投与中止を考慮してください。ALT上昇に伴い肝臓の炎症を示す症状・徴候が認められた場合 はベクルリーの投与を中止してください。
クロロキン・ヒドロキシクロロキンとの併用時の抗ウイルス活性低下リスク: ベクルリーとリン酸クロロキンまたはヒドロキシクロロキン硫酸塩との併用については、細胞培養で拮抗作用が認められ、ベクルリーの抗ウイルス活性が低下する可能性があることから、併用は推奨しません。
副作用
発現率が高かった有害事象(全グレードにおいて発現率 5%以上)は、吐き気でした。
発現率が高かった検査値異常(全グレードにおいて発現率 5%以上)は、ALT上昇とAST上昇でした。
薬物相互作用
ベクルリーと併用薬の薬物相互作用を検討するヒトを対象とした試験は行われておりません。
用法および用量
用量:成人患者および 12 歳以上で体重 40 kg 以上の小児患者: 1 日目に 200 mg、2日目以降は 1 日 1 回 100 mg を 30~120 分かけて点滴静注します。
投与期間:侵襲的機械的人工呼吸および/または膜型肺による体外酸素加法
(ECMO)を必要としない患者:5 日間。臨床的改善がみられない場合は、最長 で 5日間延長することができます(総投与期間:10 日間)。侵襲的機械的人工呼吸および/または膜型肺による体外酸素加法(ECMO)を必要とする患者:10 日間投与前および投与中の検査:ベクルリーの投与開始前は eGFR、肝機能検査、プロトロンビン時間の検査を行い、投与期間中も必要に応じて行ってください。
腎機能障害:eGFR が 30 mL/分未満の患者さんには、ベクルリーの投与は推奨しません。
調製と投与:添付文書をご覧ください。
妊婦、授乳婦への投与
妊婦:妊娠中のベクルリーの使用に関するヒトのデータは、十分に得られていません。COVID-19で入院中の妊婦は、重篤な合併症と死亡のリスクが高い状態にあります。ベクルリーの妊婦への使用は、期待される有益性が妊婦と胎児で考えられる危険性を上回る場合のみに限定してください。
授乳婦:ベクルリーの乳汁中への移行は不明です。COVID-19患者の授乳については、乳児へのウイルス曝露を避けるための臨床ガイドラインを参照してください。
ギリアド・サイエンシズについて
ギリアドは、すべての人々にとってより健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。ギリアドはHIV、ウイルス性肝炎、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。
ギリアドの将来予想に関する記述
本プレスリリースには、1995年米国私募証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)に規定される「将来予想関する記述」に該当し、これには、リスク、不確実性およびその他の要因が含まれます。これらの要因には、非入院患者に対するベクルリーの静脈内使用に関する補完的新薬申請のFDA承認を含め、ギリアドが規制当局の承認を適時に、または全く受けられない可能性、および承認時、その使用に重大な制限が課される可能性があります。また、ベクルリーに関する進行中の臨床試験や追加の臨床試験で好ましくない結果が出る可能性もあります。これらのリスク、不確実性およびその他の要因は、米国証券取引委員会(SEC)に提出されたギリアドの2021年9月30日に終了した四半期のForm 10-Qの四半期報告書に詳細に記載されています。これらのリスク、不確実性およびその他の要因により、実際の結果が「将来予測に関する記述」で言及されている内容と大きく異なる可能性があります。歴史的事実以外のすべての記述は、「将来予想に関する記述」とみなされる可能性があり、将来の業績を保証するものではありませんので、依拠しないようご注意ください。「将来予想に関する記述」はすべて、ギリアドが現在入手できる情報に基づくものであり、ギリアドは将来予想に関する記述を更新する義務を負いません。
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 ギリアド・サイエンシズ株式会社
- 所在地 東京都
- 業種 医薬品
- URL https://www.gilead.co.jp/
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