ウパダシチニブ、クローン病患者を対象とした第III相維持療法試験において1年時に臨床的寛解などを達成
2022年6月1日
アッヴィ合同会社
ウパダシチニブ、クローン病患者さんを対象とした第III相維持療法試験において1年時に臨床的寛解および内視鏡的改善を達成
- ウパダシチニブの寛解導入療法で臨床的改善を達成した中等症から重症のクローン病患者さんにおいて、52週時にプラセボ群と比較してウパダシチニブ(15 mgまたは30 mg)群で有意に高い割合の患者さんが臨床的寛解a,b、内視鏡的改善cおよび内視鏡的寛解dを達成
- 安全性に関する試験結果は、これまでに確認されているウパダシチニブの安全性プロファイルと概ね一致し、新たな安全性リスクは認められず
- ウパダシチニブはアッヴィが発見し、開発したJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤で、中等症から重症のクローン病およびその他複数の免疫介在性疾患に対する経口剤として開発中
イリノイ州ノースシカゴ、2022年5月11日(米国時間)—アッヴィ(NYSE: ABBV)は本日、既存治療または生物学的製剤で効果不十分または不耐容であった中等症から重症のクローン病の成人患者さんを対象としてウパダシチニブを評価する、第III相維持療法試験であるU-ENDURE試験の良好なトップライン結果を発表しました。1年(52週)時にプラセボ群と比較して、ウパダシチニブ群(15 mgまたは30 mg、1日1回)でより多くの患者さんが主要評価項目である内視鏡的改善および臨床的寛解、ならびに副次評価項目である内視鏡的寛解を達成しました1。クローン病に対するウパダシチニブの使用は保健当局により評価されていません。U-ENDURE維持療法試験の結果は、U-EXCEEDおよびU-EXCEL寛解導入試験の結果と併せて今後の承認申請に使用される予定です。
U-ENDURE維持療法試験では、U-EXCEED試験およびU-EXCEL試験においてウパダシチニブ45 mgを経口投与する12週間の寛解導入療法で効果がみられた患者さんを、ウパダシチニブ15 mg群、ウパダシチニブ30 mg群またはプラセボ群へ新たに無作為割付けしました。臨床的寛解はクローン病活動性指数(CDAI)または排便回数/腹痛スコア(SF/AP)に基づき評価しました。
52週時にCDAIに基づく臨床的寛解を達成した患者さんの割合は、ウパダシチニブ15 mg群および30 mg群で有意に高い結果となりました(それぞれ37%および48%に対し、プラセボ群では15%、p<0.0001)1。また、52週時にSF/APに基づく臨床的寛解を達成した患者さんの割合は、ウパダシチニブ15 mg群および30mg群でそれぞれ36%および46%であったのに対し、プラセボ群では14%でした(p<0.0001)1。52週時に内視鏡的改善を達成した患者さんは、ウパダシチニブ15 mg群および30 mg群でそれぞれ28%および40%であったのに対し、プラセボ群では7%でした(p<0.0001)1。さらに、内視鏡的寛解を達成した患者さんの割合は、ウパダシチニブ15 mg群および30 mg群でそれぞれ19%および29%であったのに対し、プラセボ群では5%でした(p<0.0001)1。ベースライン時にコルチコステロイドを服用していた患者さんのうち、52週時にコルチコステロイド不使用でのCDAIおよびSF/APに基づく臨床的寛解を達成した患者さんの割合は、ウパダシチニブ15 mg群および30 mg群でプラセボ群と比較して有意に高い結果となりました1。
アッヴィのsenior vice president, research and development兼chief scientific officerであるThomas Hudson M.D.は次のように述べています。「私たちは、日常生活に影響を及ぼす可能性のあるつらい症状と共に暮らすクローン病患者さんの支援に全力で取り組んでいます。今回の結果は、炎症性腸疾患の患者さんに新たな治療選択肢を提供する上で大きな前進ともいえます」
ホスピタル・クリニック・デ・バルセロナの内科学名誉教授兼IBDユニット長(Emeritus Professor of Medicine and the Chief of the IBD Unit at Hospital Clínic de Barcelona)で治験責任医師のJulian Panesは次のように述べています。「クローン病における症状緩和および腸粘膜の修復は、疾患の進行遅延と患者さんの生活の質の向上につながりうる重要な長期的治療目標と言われています。今回の結果は、これまで既存療法や生物学的製剤などの治療選択肢で症状の緩和がみられなかった患者さんにとっては特に大きな意味を持つであろう有望なものです」
52週時の有効性の結果ꝉ | |||
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プラセボ (n=165) | ウパダシチニブ15 mg (n=169) | ウパダシチニブ30 mg (n=168) |
臨床的寛解 (CDAIに基づく)a | 15% | 37%* | 48%* |
臨床的寛解 (SF/APに基づく)b | 14% | 36%* | 46%* |
内視鏡的改善c | 7% | 28%* | 40%* |
内視鏡的寛解d | 5% | 19%* | 29%* |
52週時の臨床的寛解(米国FDAの管轄地域ではCDAI、EU EMAの管轄地域ではSF/APに基づく)および内視鏡的改善の双方を主要評価項目(co-primary endpoints)としました。
ꝉ 有効性の評価は最初の502名の患者さんが52週に到達してから実施されました。
* プラセボに対する統計学的有意差が認められました(p<0.0001)。
a 臨床的寛解(CDAIに基づく)は、CDAIが150未満の場合と定義しました。
b 臨床的寛解(SF/APに基づく)は、非常に軟らかい便または水様便の1日の平均回数が2.8回以下かつ1日の平均腹痛スコアが1.0以下であり、かついずれにもベースラインからの悪化が認められない場合と定義しました。
c 内視鏡的改善は、中央判定による簡易版クローン病内視鏡スコア(SES-CD)がベースラインから50%超低下(ベースラインSES-CDが4であった患者さんはベースラインから2ポイント以上低下)した場合と定義しました。
d 内視鏡的寛解は、中央判定によるSES-CDが4以下でかつベースラインから2ポイント以上低下し、かついずれの評価項目のサブスコアも1を超えない場合と定義しました。
ウパダシチニブ(15 mgまたは30 mg)の安全性に関する結果は、クローン病を対象とした第III相寛解導入試験で確認された安全性プロファイル、およびこれまでに確認されたウパダシチニブの安全性プロファイルと概ね一致していました。試験を通して死亡の報告はなく、新たな安全性のリスクも認められませんでした。
合計673名の患者さんが12週間にわたるウパダシチニブの寛解導入療法を完了して臨床的改善を示し、プラセボ対照維持療法期間中に1回以上治験薬の投与を受けました。ウパダシチニブ群で最も多く認められた有害事象は、クローン病の悪化、関節痛および発熱でした1。100患者年あたりの重篤な有害事象および重篤な感染症イベントの発現率は、プラセボ群で37.4/8.4、ウパダシチニブ15 mg群で25.0/6.1、ウパダシチニブ30 mg群で21.0/7.8でした。本試験では悪性腫瘍[非黒色腫皮膚癌(NMSC)を除く]の発現が報告されており、ウパダシチニブ15 mg群の1例、ウパダシチニブ30 mg群の2例に認められました。プラセボ群では悪性腫瘍の報告はありませんでした1。ウパダシチニブ15 mg群およびプラセボ群では血栓性イベントと判定された例は報告されませんでしたが、ウパダシチニブ30 mg群では肝静脈血栓症と判定された例が1例報告されました1。主要心血管イベント(MACE)と判定された例はいずれの投与群でも報告されませんでした1。消化管穿孔と判定された例がウパダシチニブ15 mg群、ウパダシチニブ30 mg群、プラセボ群でそれぞれ1例報告されました1。
第III相U-ENDURE試験は、U-EXCEEDまたはU-EXCEL寛解導入療法試験においてウパダシチニブの寛解導入療法で効果がみられた中等症から重症のクローン病患者さんを対象に、ウパダシチニブの維持療法の有効性および安全性をプラセボと比較評価することを目的として実施しました。U-ENDURE試験の維持療法期間の詳細な結果は、学会や査読誌にて公表する予定です。クローン病に対するウパダシチニブの使用は承認されておらず、その安全性および有効性は規制当局によって評価されていません。
クローン病について
クローン病は、胃腸管(消化器)に炎症が起きることにより、持続的な下痢や腹痛をきたす慢性全身性疾患です2,3。進行性の疾患であり、多くの患者さんにおいて時間経過とともに悪化し、外科手術などの緊急治療を要する合併症が発現することもあります2,3。クローン病の徴候・症状は予測できないため、患者さんにとって身体面だけでなく精神面、経済面でも大きな負担となることがあります2。
U-ENDURE試験について
U-ENDURE試験は、中等症から重症のクローン病の成人患者さんを対象に、ウパダシチニブ15 mgおよび30 mgの有効性および安全性を評価することを目的とした第III相、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照維持療法および長期継続投与試験です。U-ENDURE試験には、U-EXCEEDおよびU-EXCEL試験において12週間の寛解導入療法で効果がみられた患者さんが参加しました。U-ENDURE試験では、二重盲検やプラセボ対照といった要素を採用したほか、プラセボまたは継続投与(ウパダシチニブ30 mgをさらに12週間投与)で改善がみられた寛解導入試験の患者さんが参加しました。試験期間中に効果減弱がみられた患者さんは、レスキュー治療としてウパダシチニブ30 mgの投与を受けることができました。
本試験で設定された主要評価項目および副次評価項目は、米国食品医薬品局(FDA)とEU欧州医薬品庁(EMA)の管轄地域でわずかに異なっております。主要評価項目は52週時の臨床的寛解(米国FDAの管轄地域ではCDAI、EU EMAの管轄地域では非常に軟らかい便または水様便の1日の平均回数および1日の平均腹痛スコアを指標とするSF/APに基づく)および内視鏡的改善(SES-CDに基づく)の達成としました。詳細は、www.clinicaltrials.gov (NCT03345823)をご覧ください。
クローン病を対象としたウパダシチニブの第III相試験プログラムについて14,19,20
ウパダシチニブの国際共同第III相試験プログラムは、寛解導入療法試験2試験および維持療法試験1試験から構成され、中等症から重症のクローン病患者さん計1,000名以上を対象に、ウパダシチニブの有効性、安全性および忍容性を評価しています。これらの試験の詳細は、www.clinicaltrials.gov (NCT03345836、NCT03345849、NCT03345823)をご覧ください。
ウパダシチニブについて
アッヴィの科学者が発見し、開発したウパダシチニブは、複数の免疫介在性炎症性疾患を対象に研究が進められているヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤です7-14。酵素および細胞を用いた分析系において、ウパダシチニブはJAK-2、JAK-3およびTYK-2と比較してJAK-1に対し強い阻害活性を示すことが確認されています14。特定のJAK酵素の阻害が治療効果にどのような意義を持つのかについては現時点ではわかっていません。
関節リウマチ、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、体軸性脊椎関節炎、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎、巨細胞性動脈炎、高安動脈炎および尋常性白斑を対象とするウパダシチニブの第III相試験が進行中です7-14。ウパダシチニブのクローン病に対する使用について規制当局の承認はされておらず、その安全性および有効性は評価されていません。
世界各国で処方情報は異なります。完全な情報は、各国の製品表示をご参照ください。
消化器領域におけるアッヴィについて
潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患(IBD)の領域を大きく発展させるため、アッヴィは強固な臨床試験プログラムを実施し、最先端の研究に取り組んでいます。革新と学習、そして適応を通して、IBDによる患者さんの負担をなくし、患者さんの生活を長期にわたって改善していくことを目指しています。消化管領域におけるアッヴィについて、詳細はこちらをご覧ください。
アッヴィについて
アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製と提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。患者さん一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、神経疾患、アイケア、ウイルス、ウイメンズヘルス、消化器疾患、さらにアラガンエステティクスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.com をご覧ください。Twitterアカウント@abbvie、Facebook、Instagram、YouTubeやLinkedInでも情報を公開しています。
1.AbbVie. Data on File: ABVRRTI73939
2.The Facts about Inflammatory Bowel Diseases. Crohn's & Colitis Foundation of America. 2014. Available at: https://www.crohnscolitisfoundation.org/sites/default/files/2019-02/Updated%20IBD%20Factbook.pdf. Accessed on January 11, 2022.
3.Crohn's disease. Symptoms and Causes. Mayo Clinic. 2022. Available at: https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/crohns-disease/symptoms-causes/syc-20353304. Accessed on January 11, 2022.
4.A Study of the Efficacy and Safety of Upadacitinib (ABT-494) in Participants With Moderately to Severely Active Crohn's Disease Who Have Inadequately Responded to or Are Intolerant to Conventional and/or Biologic Therapies. ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03345849. Accessed on January 11, 2022.
5.A Study of the Efficacy and Safety of Upadacitinib (ABT-494) in Participants With Moderately to Severely Active Crohn's Disease Who Have Inadequately Responded to or Are Intolerant to Biologic Therapy. ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03345836. Accessed on January 11, 2022.
6.A Maintenance and Long-Term Extension Study of the Efficacy and Safety of Upadacitinib (ABT-494) in Participants With Crohn's Disease Who Completed the Studies M14-431 or M14-433. ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03345823. Accessed on January 11, 2022.
7.Pipeline – Our Science | AbbVie. AbbVie. 2022. Available at: https://www.abbvie.com/our-science/pipeline.html. Accessed on January 11, 2022.
8.A Study to Evaluate Efficacy and Safety of Upadacitinib in Adult Participants With Axial Spondyloarthritis (SELECT AXIS 2). ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04169373. Accessed on January 11, 2022.
9.A Study to Evaluate the Safety and Efficacy of ABT-494 for Induction and Maintenance Therapy in Subjects With Moderately to Severely Active Ulcerative Colitis. ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02819635. Accessed on January 11, 2022.
10.A Study to Compare Safety and Efficacy of Upadacitinib to Dupilumab in Adult Participants With Moderate to Severe Atopic Dermatitis (Heads Up). ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03738397. Accessed on January 11, 2022.
11.A Study of the Efficacy and Safety of Upadacitinib (ABT-494) in Participants With Moderately to Severely Active Ulcerative Colitis (U-ACCOMPLISH). ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03653026. Accessed on January 11, 2022.
12.A Study to Evaluate the Safety and Efficacy of Upadacitinib in Participants With Giant Cell Arteritis (SELECT-GCA). ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03725202. Accessed on January 11, 2022.
13.A Study to Evaluate the Efficacy and Safety of Upadacitinib in Subjects With Takayasu Arteritis (TAK) (SELECT-TAK). ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04161898. Accessed on January 11, 2022.
14.RINVOQ(R) (upadacitinib) [Package Insert]. North Chicago, Ill.: AbbVie Inc.
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