視覚障害児とその家族を支援する 夏の一大イベント「ワン!ぱくっ子サマースクール」開催
2022年9月28日
公益財団法人 日本盲導犬協会
公益財団法人 日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は盲導犬の育成だけではなく、視覚障害リハビリテーション事業にも注力し、目の見えない、見えにくい人の生活の質(QOL)向上と充実を目指しています。視覚障害リハビリテーションとは、目の見えない、見えにくい状態になっても、さまざまな機器や用具を活用する、視覚以外の感覚などを生かした身体の使い方に変える、社会サービスを利用するなどして、視覚に障害があることで「できにくくなったこと」を「できる」ようサポートをすることです。盲導犬や白杖での歩行訓練、音声パソコンなどIT機器訓練、調理や裁縫ほか日常生活訓練などが挙げられます。
協会では視覚障害リハビリテーションの一環として、2003年から夏休みの特別企画「ワン!ぱくっ子サマースクール」を開催しています。視覚に障害のある小学生とその家族が数組合同で行う活動で、2泊3日の期間中、親から離れて子供同士でさまざまなプログラムを経験することで、自立心を養い、自分の可能性を再発見することを目的としています。これまでに延べ145人の児童とその家族が参加しており、買い物や料理など日常に役立つ生活体験から、カヌーやキャンプ、乗馬など普段はなかなか挑戦できないようなことまで、毎年工夫を凝らしたプログラムを用意しています。
新型コロナウイルス感染防止のため、2020年、2021年は中止を余儀なくされましたが、今年は感染対策を講じたうえで、7月29日から仙台訓練センターで実施しました。このたびはその様子をお届けします。
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「ワン!ぱくっ子サマースクール in 仙台」 (2022年度)
開催レポート
■イベント概要
開催日程:2022年7月29日(金)~31日(日)
開催場所:公益財団法人日本盲導犬協会 仙台訓練センター
参加者:12人(視覚障害児6人、障害児の家族6人)
■開催レポート
◎1日目(7月29日)
13:00~ 開会式(オリエンテーション/仙台訓練センターの館内探索)
オリエンテーションでは、参加者と協会職員が一人ずつ自己紹介を行いました。 初対面の人を前に緊張して話せず、同行した母親に代わりに挨拶をしてもらう子供もいました。しかし、最終日にはみんなの前でしっかりと感想を述べるなど、子供たちは著しい成長を見せました。 |
15:00~ 犬のブラッシング体験
参加した障害児6人が2チームに分かれ、犬のブラッシングを体験。ブラッシングをして、犬の抜けた毛の量が多いチームが勝利というゲーム対抗戦を行いました。まずは、6頭の中から1頭を選定するところから勝負スタート。「おとなしい犬はブラッシングしやすい」と黒色のラブラドール・レトリーバーを選択したチームと、「たくさんの量が取れるのは、毛の長いゴールデン・レトリーバーだ」とそれぞれ推測し、犬を選びました。 犬が苦手で触れるのが怖い子供もいましたが、職員にアドバイスをもらいながらチームメイトへブラッシング方法の指示や意見を出すなど、チームみんなで協力し合いながら対決に参加、盛り上がりました。 |
18:30~ 夕食・入浴・就寝
◎2日目(7月30日)
6:15~ 朝食
8:30~ SUP(サップ)体験
今年は、専用のボードに乗ってパドルを漕いで水面を進むアクティビティー「SUP(サップ)」にもチャレンジ。 職員が後ろに付き添いながらボードに乗って大海原へ。海の広さやボードの大きさなどが把握できず、当初は怖がっていた子供もいましたが、前日行ったレクチャーの成果もあり、全員がボードに立って乗ることができました。波に揺られながらボードに寝転がったり、思い思いに楽しむ様子もみられました。 |
13:30~ 昼食
昼食後、親同士の交流会
「ワン!ぱくっ子サマースクール」は、視覚障害児だけでなく、その家族同士の交流も図ることで、生活に役立つ情報の共有、精神的な面においても支えられるような関係を築くことも目的としています。またアイマスクを装着して料理するなどの体験も行い、家族が視覚障害についてより理解する機会も創出しています。 当日は、職員から子供の成長過程にあったサポート方法などを聞いたり、参加した親同士で子供たちの普段の様子などについて語り合いました。 |
16:00~ 白杖・盲導犬歩行体験
初めて白杖歩行を体験した子供は、白杖を使うことで障害物の高さなどが分かるのだと、便利さを実感していました。普段は周りの目が気になり、白杖歩行を躊躇してしまうこともある子供たちですが、みんなで一緒に楽しく体験をすることで、抵抗感を無くし、新たな歩行手段の一つとして考える大きなきっかけにつながります。また犬が怖くて触ることができなかった子供も、歩行体験では犬と一緒に歩くことができ、苦手を克服していました。 |
18:00~ 夕食
19:30~ 花火
花火に点火をした後、どのように火が広がっていくのか、実際に手で火を触り、確認をすることはできません。そのため、点火前、職員が作成した模型をもとに、真っすぐ火が出る、丸く広がるものなど花火の種類や形状についてみんなで確認をしました。 花火を知らない、音などから怖いと感じていた子供もいましたが、花火の構造を理解できたことで、子供たちは花火を思う存分に楽しむことができ、ひと夏の思い出となりました。 |
20:30~ 入浴・就寝
◎3日目(7月31日)
7:00~ 野菜収穫体験
仙台訓練センター近くの畑に行き、みんなで夏野菜を収穫。毎年恒例のプログラムです。 野菜がどんな風に育っているのか、ハサミを用いて実った野菜を収穫する方法など、職員が手引きしながら教えていきました。子供たちは、野菜の葉、茎などの大きさや高さ、においなど感じ取っていました。 また収穫した野菜は、この日の朝食で食べました。子供たちは「おいしかった」と言って、食べきれなかった野菜をうれしそうに持って帰っていました。 |
8:00~ 朝食
9:30~ お菓子(クッキー)づくり
例年は家族全員での参加も受け付けていましたが、今年度は障害児1人につき家族1人のみとしました。参加できなかった家族へのお土産にココアクッキーを作り、プレゼント用のラッピングにも挑戦。 ココアクッキーは、一工程ずつ作業を確認しながら作っていき、参加した障害児全員が上手に焼き上げることができました。トレイ(おぼん)の上で作業をすれば、小麦粉や砂糖がこぼれても確認できる、処理がしやすいなどのアドバイスも受け、子供たちは「家でも作ってみたい」「お父さんに食べて欲しい」と胸を膨らませていました。 |
12:30~ 閉会式・解散
■参加者の声
事後のアンケートでは、参加した障害児全員が「楽しかった」と回答しました。
以下、感想を抜粋して紹介します。
・1か月やりたいくらい楽しかった
・盲導犬ともっといろいろなことをやってみたかった。犬のお世話をする方法などもっと知りたい
・妹やお父さんにもアイマスクで盲導犬体験して欲しい。見えない怖さをいろんな人に知ってほしい
また後日、「ワン!ぱくっ子サマースクール」での思い出をポスターに描いてくれた子供もいました。
家族からは「普段は友達から教えてもらったり手伝ってもらうことが多いですが、今回は(自分から)教えてあげたい!手伝いたい!と積極的な子供の姿が見れてうれしかった」「親と離れて過ごす経験は、子供にとって精神的にも強くなるのだと感じた」「視覚障害者は、世の中の当たり前の存在であるものの、なかなか理解が得られず、親としてどのようにしたらいいのか悩む日々だった。こんなにも愛情を注いでくれる人たちがいることを知り、子供の将来がより楽しみになった」などの声が寄せられました。
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私たち日本盲導犬協会は、これからも視覚障害者の自立と社会参加のために、視覚障害リハビリテーションの拡充を図り、誰ひとり取り残さない社会を目指していきます。
協会では、他にもさまざまな視覚障害リハビリテーションを提供しています。
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(日本盲導犬総合センター)0544-29-1010
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- 業種 各種団体
- URL https://www.moudouken.net/
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