じぶんの街の未来を、じぶんで考える「洋上風力と唐津の未来を考えるワークショップ」を開催

九州大学松前あかね研究室指導の下、佐賀県唐津市の未来像を住民自身がビジュアル化

全国に洋上風力発電など再生可能エネルギーのインフラ構築事業を展開するINFLUX OFFSHORE WIND POWER HD株式会社(東京都港区、代表取締役社長 星野 敦、以下「インフラックス」)と、多様なステークホルダーとの社会共創を専門とする九州大学の松前あかね研究室(福岡市南区、九州大学芸術工学研究院 准教授 松前あかね)は、唐津市内でさまざまな住民の方を対象に計8回の「洋上風力と唐津の未来を考えるワークショップ」を現在までに2回開催し、合わせて26名の方々が参加されています。第3回は11月16日(水)に唐津ライオンズクラブメンバーの皆様を対象に開催を予定しています。

第2回ワークショップ参加者(佐賀県立唐津南高等学校)

 

ワークショップ実施の背景には、従来の洋上風力に関する説明会への課題がありました。従来型の説明会では、理解促進にはつながるものの、当事者でなければ他人事で、具体的な話まで進まなければ、真剣に考えることはないという感想をよくお聞きします。一方、建設着工という具体的なところまで進んでしまうと、そこから地元の想いを反映させることは難しくなってしまいます。

 

日本のエネルギー問題は喫緊かつ最重要課題の一つですが、新しいエネルギー源のインフラを構築する際の当事者である各地域社会の未来を描くビジョン作りが等しく重要であるとインフラックスでは考えています。その上で、住民の皆様が他者から与えられるものではなく、自らの考えやアイデアで地域社会の未来をどのように描いてゆくかを思考する当事者意識の醸成が最も大切であり、できるだけ早い時期から住民の方々に洋上風力のことをもっと主体的に考えていただく必要があると考えています。

 

インフラックスではその施策の一つとして、洋上風力導入を促進するための法律である再エネ海域利用法に基づく「一定の準備段階に進んでいる区域」(※1)でもある佐賀県唐津市において、九州大学の松前あかね研究室と共同で、対象地域の漁協、経営者、学生などさまざまなお立場にある住民の皆様に向けて全8回の「洋上風力と唐津の未来を考えるワークショップ」を開催します。環境保全や地域経済の活性化などについて洋上風力のある地域でどのような未来が描けるのか住民視点によるアイデアを出し合い、ビジュアル化(見える化)していただくことで、住民主導による地域の未来を考えていただくワークショップを予定しています。

ワークショップでファシリテーションを行う松前あかね准教授

 

「洋上風力と唐津の未来を考えるワークショップ」について

当ワークショップでは、ファシリテーターに多様なステークホルダーとの社会共創を専門とする九州大学の松前あかね准教授をお迎えし、唐津市の皆様が洋上風力のある地域社会の未来をどのように描くかを、デザイン思考(※2)という手法を用いて参加者自身が主体的にアイデアを出し合い、考えを取りまとめて視覚的にアウトプットしてゆくことで、参加者の皆様に自分の街の未来を自分で考えていただくことを最大の目的としています。

 

全8回開催される当ワークショップは、現在までに第2回まで実施済み(10月18日現在)で、ワークショップで得られた参加者の意見や意識、アイデアや未来像は全ての回の開催終了後に分かりやすくビジュアル化し、最終的にはインフラックスと松前あかね研究室の共同で住民へのフィードバックと佐賀県および唐津市への報告を予定しています。

 

<現在までの開催状況>

第1回 8月26日(金)佐賀玄海漁業協同組合馬渡島支所の皆様(参加者:9名)

第2回 9月10日(土)佐賀県立唐津南高等学校の生徒の皆様(参加者:17名)

 

今後は、第3回のワークショップを 11月16日(水)に唐津ライオンズクラブメンバーの皆様を対象に開催を予定しています。また、第4回以降は一般社団法人唐津観光協会会員の皆様、小川島漁業協同組合の皆様を対象に開催を計画しており、各開催概要は決定次第適時ご案内する予定でおります。

「洋上風力と唐津の未来を考えるワークショップ」第1回(左)と第2回(右)の様子

 

<参加者の声>

・佐賀玄海漁業協同組合馬渡島支所の参加者

島の今後を考えたくて参加した。学生(松前研究室)や事業者など、住民とは目線の違う方の話を聞けて良かった。これまで洋上風力発電は漁獲量が減るなどネガティブな印象しかなかったが、利点もあることが分かり、これからの島の在り方を考えるいい機会になった。生まれ育った町で事業が実施されるにあたっては、事業と町や住民が対立することなく、お互いにメリットが生まれ共存できる形を望んでいる。また、原発が近くにあるが、安全性を考えるとそれに頼るだけではない未来が洋上風力によって考えられるのではと思った。(30代男性)

 

・佐賀県立唐津南高等学校の参加者

初めてデザイン思考に触れ、これまでとは違った角度で唐津の街を考えることができた。学校で今取り組んでいる商品開発についても、違った方向からたくさんの人に知っていただく方法を学べたので今後に役立てたい。洋上風力に関しては、実際に建設されることになるのであれば風車が環境と調和するような色にするとか、風車の下での漁礁の効果などを期待したい。(3年生女子)

 

<九州大学松前あかね准教授のコメント>

2回のワークショップを終えた松前あかね准教授は「ワークショップでは、数人のグループに分かれ、研究室の学生達と一緒にゆっくり時間をかけて、島での生活や想いを丁寧に伺いました。初めて個人的な想いを口にしたとおっしゃる参加者の方々も多く、島の中でも多様な想い、さまざまな課題や可能性の芽があることを共有できたことは、部外者である私たちはもちろん、島の方々にとっても新鮮でした。ヒアリングや説明会といった従来の形式では互いに公的な立場からの意見交換に終始しがちですが、洋上風力に関係する企業は、地域と心の通った関係性を築き、地域の方々の単純に賛成・反対ではないさまざまな想いを捉え、関わる人たちがより幸せに感じる地域の未来を、洋上風力によりどのように実現できるのか、地域の方々と共に描き提示してほしいと思います。一連のワークショップが終了したら、ワークショップの成果を広く共有できるとおもしろいと思っています。」とコメントしています。

 

松前あかね研究室について

九州大学大学院芸術工学研究院 松前あかね 准教授

(人間生活デザイン部門 ソーシャル・イノベーションデザイン)

 

松前あかね研究室では、社会を「関係性」の織り重なりと捉え、人やデザインプロセスに着目した関係性の動的メカニズムの探求に取り組み、当メカニズムの工学的アプローチによる可視化・定量評価にも挑戦しています。教育・共同研究・受託研究を通じてwell-beingな社会を志向する多様な実践的プロジェクトを展開し、「関係性の動的デザイン」に関わる方法論の開発・検証にも取り組んでいます。

 

松前あかね研究室HP:http://www.design.kyushu-u.ac.jp/~matsumae/matsumaelab/top/ 

 

INFLUX OFFSHORE WIND POWER HD株式会社について

<企業概要>

法人名  :INFLUX OFFSHORE WIND POWER HD株式会社

      (インフラックス オフショア ウインド パワー ホールディングス)

代表者名 :代表取締役社長  星野 敦

本社所在地:東京都港区新橋6-17-21 住友不動産御成門駅前ビル10F

設立年月 :2020年2月

従業員数 :約70人 ※関連会社含む

URL   :https://www.iowph.com/ 

事業内容 :日本における洋上風力発電事業のプロジェクト開発・設計・施工・運営管理

      洋上風力発電事業に伴う地域創生モデルの構築

 

(※1)再エネ海域利用法に基づく「一定の準備段階に進んでいる区域」

再エネ海域利用法(正式名「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」)において、経済産業大臣および国土交通大臣は、再エネ海域の促進区域(正式名:海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域)を指定するとともに、早期に促進区域に指定できる見込みがある区域を「有望な区域」、将来的に有望な区域となり得ることが期待される区域を「一定の準備段階に進んでいる区域」として整理しています。

 

(※2)デザイン思考

デザイン思考とは、日頃見過ごされている事実を拾い上げ、それらの背景を当事者の視点で自分ごとにしながら探ってゆくことで真の課題を顕在化し、多様なステークホルダーと共に課題解決の実現に向けたアイデアを繰り返し創出することに優れた手法です。

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