EY調査、企業のグローバルビジネスサービスやシェアードサービスの高度化に向けたノウハウ不足が明らかに
回答企業の約9割がグローバル・ビジネス・サービスやシェアードサービス高度化を希望するも、約半数が高度化施策立案に対するノウハウ不足に直面
高度化の推進ドライバーは、①検討・推進体制の整備、②高度化推進責任者の配置、③自社/自社グループからのリソース/投資面におけるサポートと判明
RPA、ワークフローなど効率化ツールの普及が進み、さらに今後レポーティング・ダッシュボード、アナリティクス(AI含む)など高度化を目的とするソリューションの導入を検討
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:近藤 聡、以下EYSC)は、国内で企業活動を行っている日系・外資系企業で、グローバル・ビジネス・サービス(以下GBS*1)やシェアードサービスセンター(以下SSC*2)を運用する40社を超える企業を対象にサーベイを行い、国内や海外のGBSやSSCの特性や高度化へのニーズ、取り組み実態および傾向を明らかにしました。本サーベイは、2022年6月から11月までインターネットによるアンケート調査で行われました。
<実施の背景>
労働人口の減少およびコロナ禍に対する業務継続性の確保に向け、また、テクノロジーの進化に伴う業務効率化ソリューションの導入障壁の低下から、GBS/SSCの機能強化に対する関心が高まっています。プロセス効率改善や費用削減を目的とするSSCから、データ分析による将来予測の提示など付加価値業務をグローバルで提供するGBSへの進化を図る先進的な企業もある中、各企業がGBS/SSCの特性や運用実態を正確に把握し、今後に向けどのような対応を行うべきか把握するため調査、分析を行いました。
<サーベイ結果からの見解>
本サーベイ結果から、GBSの高度化に向けた推進ドライバーは、「①検討・推進体制の整備」、「②高度化推進責任者の配置*3」、「③自社/自社グループからのリソース/投資面におけるサポート」の3項目であることが判明しました。いずれも投資が必要なため、マネジメントのコミットメントが重要な成功要因となります。GBSの進化を加速させるためには、GBS構築により何を実現するかをトップマネジメント層も含め検討し、早期もしくは適切な段階でグローバル経営アジェンダやリージョナル経営アジェンダといった高いレベルの経営目標へ組み込む必要があります。
EYSC Global Business Services パートナー 永井 康幸のコメント:
労働人口の減少による影響が現場に顕著に表れ始めている中、日系企業の間接部門業務を中心とした業務の効率化、品質・継続性の担保に対するニーズはますます高まっており、同時にさらなる付加価値を提供すべく高度化の取り組みが求められています。また、今後のビジネス展開へ向けた海外グループ企業のガバナンス強化、業務集約化へ向けた取り組みも加速しています。本サーベイは在日本企業のGBS/SSCの実態を幅広く調査した、ユニークな分析結果であり、多くの示唆を得ることができました。これらの実態をベースに、弊社は引き続きEYのGBS Global Networkを活用し、国内外における先進的なGBS/SSC導入を支援してまいります。
<サーベイ結果抜粋>
回答企業の約9割においてGBS/SSC高度化に対するニーズが高い一方、約半数のGBS/SSCは高度化施策立案に対するノウハウ不足に直面し、対応が進んでいない
図1 回答企業全社の高度化ニーズ有無
9割を超える企業で高度化へのニーズが明らかとなりましたが、一方で高度化ニーズがあると回答した企業が「高度化施策を立案するノウハウなどがなく、施策立案を行えていない」とした比率は53.1%であり、半数以上がノウハウ不足に直面している実態が明らかになりました。
高度化が推進できている要因として、①検討・推進体制の整備、②高度化推進責任者の配置、③自社/自社グループからのリソース/投資面のサポートが挙げられる
図2 「高度化施策を計画通りに実行している」と回答した企業と、
「高度化施策を未検討/検討中/実行ができていない」と回答した企業の差
「高度化施策を計画通りに実行している」と回答した企業について、本サーベイ回答を詳細に確認したところ、図2の3項目について取り組みを進めていることが明らかとなりました。それらは高度化施策を推進する上でのドライバーと考えられます。
GBS/SSCにおけるテクノロジーの導入状況として、RPA、ワークフローなど効率化ツールの普及が進んでおり、今後レポーティング・ダッシュボード、アナリティクス(AI含む)など高度化を目的とするソリューションの導入が検討されている
図3 今後導入が検討されているテクノロジー(複数選択可)
ローカル*4では「RPA」や「OCR/AI-OCR」のような業務効率化を目的とした比較的導入が容易なテクノロジーに加え、「レポーティング・ダッシュボード」(28.6%)や「アナリティクス」(14.3%)といった付加価値業務の提供が視野に入るテクノロジーと、決算高度化に向けた「決算支援ツール」(23.8%)の導入が検討されていることが分かりました。一方、グローバル*5では「RPA」や「OCR/AI-OCR」と同等の割合で「アナリティクス」(27.3%)の導入が検討されています。
*1 GBSは、プロセスの効率改善と費用削減に焦点を合わせたSSCによるサービス、ならびにビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を、付加価値業務の提供やテクノロジー導入により進化させた組織
*2 SSCは、自社もしくはグループの業務集約によるスケールメリットを生かし、プロセスの効率改善と費用削減、統一的な品質管理による業務品質の向上を図る組織
*3 専任のGBS/SSC運用責任者(GBS長/SSC長)/標準化など、プロセスコントロール責任者/サービスマネジメント(KPI、課題・インシデント、委託料・スコープ変更管理など)責任者/テクノロジー導入含む業務効率化責任者
*4 日本国内のみでSSCを運用している企業について、日本国内の状況に関する質問事項に対する回答
*5 日本を含むグローバルでGBS/SSCを運用している企業について、海外の状況に関する質問事項に対する回答(国内の状況はサーベイ結果の対象外とした)
本サーベイの詳細は、以下をご覧ください。
Global Business Servicesについては、以下をご覧ください。
〈EYについて〉
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150カ国以上に展開するEYのチームは、データとテクノロジーの実現により信頼を提供し、クライアントの成長、変革および事業を支援します。
アシュアランス、コンサルティング、法務、ストラテジー、税務およびトランザクションの全サービスを通して、世界が直面する複雑な問題に対し優れた課題提起(better question)をすることで、新たな解決策を導きます。
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