大和ハウス工業株式会社（本社：大阪市、社長：芳井敬一、以下「大和ハウス工業」）と株式会社イシモク・コーポレーション（本社：福岡県大川市、社長：石井康博、以下「イシモク・コーポレーション」）は、植栽ユニットを搭載した独自の個室型ワークブース「ハコノワ」を開発し、2023年7月14日より販売を開始します。

　新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、社内外のコミュニケーションにWeb会議を利用する頻度が増えたことで、騒音対策やスピーチプライバシー（※1）の観点から、個室型ワークブースの需要が堅調に推移しています。ワークブースの市場規模は2020年度の2,850台から2026年度には17,000台に拡大すると推計されており、今後も底堅いニーズが見込まれています（※2）。その一方で、個室型ワークブースの狭小空間は、閉塞感から生じるストレスにより、集中力の低下や疲労蓄積などの要因となっていました。

　そこで、大和ハウス工業とイシモク・コーポレーションは、リラックス効果と快適性・遮音性を高めた個室型ワークブース「ハコノワ」を開発しました。「ハコノワ」は、木目調のボックス型ブースに、リラックス効果を生む植栽ユニット「バイオフィリックウィンドウ」を搭載。さらに独自の換気システムを採用することで、高い遮音性能を確保しながら、ブース内の温熱環境の快適性を高めます。

　「ハコノワ」は、大和ハウスグループがオフィスビルを建築・リノベーションする際に、お客さまのニーズに合わせて提案します。

※1. 第三者に対し会話が漏れ聞こえてしまうことで発生する機密情報や個人情報の漏えいを防ぐこと。

※2．2021年日本能率協会総合研究所 マーケティング・データ・バンク｢MDB有望市場予測レポート｣より。　

１．植栽ユニット「バイオフィリックウィンドウ」でストレスを軽減

　「ハコノワ」は、リラックス効果を追求したウェルネスタイプとコストを抑えたシンプルタイプの2タイプを展開します。ウェルネスタイプは、デスクの正面にバイオフィリックデザイン（※3）を取り入れた奥行30cmの植栽ユニット「バイオフィリックウィンドウ（※4）」を設置しており、利用者は作業中に植物が視界に入ることで、ストレスを軽減できます。

　また、最大5段階に調光調色が可能なLED照明を採用しており、植栽生育の光源としてのスケジュール運転や時間帯に合わせた自動調光調色運転、利用者の好みに応じて光や色を都度調整する手動運転が可能です。

※3. 「人間は本能的に自然とのつながりを求める」という概念に基づき、人工環境内に自然を直接的・間接的に取り入れようとするデザインのこと。

※4. 人工観葉植物への代替も可能です。また、シンプルタイプには「バイオフィリックウィンドウ」は含まれません。

２．独自の換気システムによる快適な温熱環境と遮音性能

　「ハコノワ」は、独自の換気システム（特許出願済）によって高い遮音性を維持しつつ、十分な換気量を確保することで、ブース内の温熱環境を改善します。

　一般的なワークブースは、換気量が足りずブース内の温度が上昇しやすいことが問題として挙げられます。一方で温度上昇を抑えるため大風量のファンを使用したりブースの上部を開放したりすると、ファンの稼働音が大きくなったり、音漏れしやすくなる、などの問題が生じます。

　そこで、「ハコノワ」の換気システムでは、大風量（250㎥/h）かつ静穏性の高いエアパス用ファン（※5）を採用し、床上給気・天井排気の換気ルートによって換気効率を向上しました。室温に関するアンケート調査（※6）では、「ハコノワ」の利用者の約9割が「室温がちょうどよい・快適だ」と回答しました。

　また、給気口と排気口に防音ボックスを設けることで、換気口からの音漏れを軽減し、遮音性能も向上させます。

※5. 空調のある空間から、空調のない空間へ空気を送り、温度差を緩和するための換気扇。

※6. 大和ハウス工業総合技術研究所に試作機を設置。2022年7月に、利用者21名を対象とし、1時間のWeb会議後のアンケート調査を実施。なお、ワークブース内の温度はブース外部の周辺温度に依存する。本調査はブース外部の平均温度24.5℃の環境下で実施したもの。

３．「ハコノワ」のリラックス効果を確認

　「ハコノワ」は、他社製品（スチール製）と比較して、高いリラックス効果があることを利用者への調査で確認しました。今回は、リラックス効果を検証するため、ワークブース利用者を対象に、アンケート調査と心拍測定を実施しました。

　アンケート調査（※7）では、他社製品（スチール製）と比較して、「ハコノワ」の方がリラックスできた利用者の割合が増え、さらにシンプルタイプよりもウェルネスタイプの方がその傾向が強くなることを確認しました。また、心拍測定（※8）では、ウェルネスタイプに設置される「バイオフィリックウィンドウ」により、交感神経と副交感神経の全体のバランスを表すLF／HF※9の低下量が増え、リラックス効果が高まる傾向を確認しました。

※7. 大和ハウス工業本社に試作機を設置。2022年6月に、利用者44名を対象として、既設の他社製品（スチール製）のワークブースと比較するアンケート調査を実施。

※8. 大和ハウス工業総合技術研究所に試作機を設置。2022年5月から7月にかけて、利用者21名を対象として、15分間のタイピング作業時と10分間の休憩時に心拍測定を実施。

※9. 交感神経と副交感神経の全体のバランスを表し、数値が高いと交感神経優位（ストレス状態や覚醒状態）、低いと副交感神経優位（リラックス状態）を示していると考えられている。今回はタイピング作業直後と休憩後のLF/HFの相対値を取り、休憩後にどの程度LF/HFが増減したかでリラックス効果を評価した。なお、試験結果はリラックス効果を保証するものではない。

●「ハコノワ」の概要