積水ハウス 疫学エビデンスに基づく「ゼロ次予防」健康住宅を

ゼロ次予防の観点での住まいの研究にて、換気量増加により疲労感や頭痛等の軽減の可能性が明らかに

積水ハウス

2025年3月28日

積水ハウス株式会社

 積水ハウス株式会社は、2022年4月から住環境と健康の因果を疫学の観点から研究し、健康を意識しなくても健康的な生活習慣が実行できるような環境づくり、いわゆる「ゼロ次予防住環境」の創造を目指しています。

 この度、研究結果第二弾として、住まいにおいて人数に応じた換気量増加が疲労感や頭痛などの症状を抑制できる可能性が明らかになりました。住まいにおける換気と健康の関係性についてのエビデンスは極めて珍しく、新型コロナウイルスの世界的な流行後、換気の重要性が高まっている中で、注目すべき新たな成果と言えます。

 今後も、研究成果が出次第、随時配信いたしますので、乞うご期待ください。

 

住まいにおける換気と健康の関係性とは

住まいの換気は、建材から放散される化学物質、人の呼吸により生成されるCO2、生活上の臭いなど様々な汚染物質を外に排出し、室内空気をキレイに保つ役割があります。2003年7月より建築基準法では、室内の汚染された空気により引き起こされる体調不良「シックハウス症候群」を予防するため、住宅の換気設備に関して、人数に関係なく1時間に部屋の半分の空気が入れ替わる換気量が義務づけられています。

 

【調査結果1】

1人当たりの換気量による疲労感や頭痛などの軽減可能性」※1、2

 これまで、実験施設やオフィス空間で、CO2濃度が高まると頭が重くなる、集中力が低下するといった報告があげられていたものの、実際の住宅環境における換気量との関係を調査した研究はほとんどなく、その影響は十分には分かっていませんでした。本調査では、研究参加者が居住している住まいの換気設備の仕様書からリビングの換気量を特定し、居住人数との関係性についてシックハウス症状に関する質問票※3を用いて評価いたしました。その結果、1人当たりの換気量が10m3/h以上の住まいでは疲労感や頭痛などの症状の訴えが少なくなることが示唆されました。ただし、冬期の過度な換気は、乾燥症状を引き起こすリスクがあるため、加湿などを行う必要があります。

 

* 本グラフは、※2梗概上の表1、第1種換気設備の有意(5%水準)な結果を分かりやすくグラフ化したものです。

* 低換気(Low):10m3/h未満、中換気(Middle):10~20m3/h、高換気(High):20m3/h以上

 

 

【調査結果2】

1人当たりの換気量による感染症予防の可能性」※4

 次の結果は、新型コロナウイルスの世界的な流行後、厚生労働省が商業施設において「換気の悪い密閉空間」改善のために推奨する1人当たりの換気量30m3/h以上※5を満たしていた住宅と30m3/h未満の換気量の住宅で、新型コロナウイルスおよび季節性インフルエンザの罹患率について解析したものです。1人当たりの換気量が30m3/h以上ある住まいでは、罹患率が有意に低いことが示されました。

 勿論、換気だけでなく、自宅での手洗いやうがい、消毒などの予防についての取り組みも重要です※6が、これらの研究結果は、換気設備が人の健康に貢献できる可能性を広げ、住宅設計において換気量の設定がより重要な要素となり得ることを示しています。

 

 

* 本グラフは、※4梗概上の表1、表2の結果(有意水準5%)を分かりやすくグラフ化したものです。

* 罹患はアンケートによる確認であり、病院の診断結果に基づいたものではありません。

 

 

【以前の調査結果】※7

「女性、若い世代、鼻炎・花粉症等の方はシックハウス高リスク」

 今までの調査で、女性や若い世代、鼻炎・花粉症をはじめとした既往歴がある人は、シックハウスに関わる症状を経験しやすいことが分かっています。また、呼吸器系の疾患があると感染症の症状が重たくなりやすいと言われています。

  国内の約半数の人が花粉症の症状があり、3月から4月がピークです※8。花粉症と感染症は、一部症状が類似しており、マスクや空気清浄機など同様の対策が有効になるものもあります。気軽にできるところから試してみてはいかがでしょうか。

 

* 本グラフは、※7論文上のTable3のSBSに有意な関連(有意水準5%)を分かりやすくグラフ化したものです。

* 本調査結果は、千葉大学予防医学センター寄附研究部門第1期によるものです。

 

 

 

 


 

今後に向けて 総合住宅研究所

 以上の研究結果から、一人当たりの換気量も考慮した上での住まいづくりや換気設備の設置の重要性が分かりました。積水ハウスでは、1人当たりの換気量30m3/h以上の考え方を取り入れた『SMART-ECS』や、化学物質配慮仕様の『Airkis』などの商品を販売しています。人が体内に取り入れる物質のうち、一生涯で最も多く摂取するのは「空気」です。きれいで新鮮な空気の中で過ごすことは、健康面においてとても重要だと言えます。ただ世の中の基準を満たした住まいを提供するだけでなく、より良い環境を探求し、またそれが与える影響を明らかにしていくことが当社の使命だと考えます。今後も研究を重ねて、「住まい手が自然に健康になれるゼロ次予防住宅」の在り方を追究してまいります。

 

※1~5 調査対象:「健康と住まいに関する全国調査(J-hohec)」第1回、第2回参加者、計9,710名

※1 参考文献:岩山遼太郎 他、住環境における1人当たりの換気量と建物関連症状に関する横断研究、2023年度室内環境学会学術大会、2023年11月30日-12月1日

(本研究成果は、2023年度室内環境学会学術大会において、大会長奨励賞を受賞いたしました。)

※2 参考文献:岩山遼太郎 他、住宅における1人当たりの換気量および換気種別と建物関連症状の関連に関する研究、2023年度日本建築学会大会、2024年9月13日-15日

※3 シックハウス症状に関する質問票:MM040EAの日本語翻訳版

※4 参考文献:山崎佑基 他、住宅の換気量とCOVID-19および季節性インフルエンザ有病に関する調査報告、2023年度日本建築学会大会、2024年9月13日-15日

※5 厚生労働省ホームページ

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000618969.pdf

※6 コロナ禍で風邪をひかなくなったと6割実感。今年のコロナとインフル同時流行の対策は

https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/20221027/

※7 参考文献:Norimichi Suzuki, et al. , Risk factors for the onset of sick building syndrome: A cross-sectional survey of housing and health in Japan, Building and Environment, 2021

DOI:https://doi.org/10.1016/j.buildenv.2021.107976

※8 外出時のマスク着用は約9割が効果を実感 住まいの花粉対策で効果が高いのは?

https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/20240216/

 

本プレスリリースは、当社が係わった研究成果を基に発信するものであり、内容については当社が責任を負うものです。

 

【参考情報】

■積水ハウス 総合住宅研究所

https://www.sekisuihouse.co.jp/company/rd/institute/

■スマートイクス(次世代室内環境システム)

https://www.sekisuihouse.co.jp/kodate/spec/technology/comfortability/smart-ecs/

■エアキス(化学物質配慮仕様)

品確法の住宅性能表示制度で定められた5つの化学物質の室内濃度を、国(厚生労働省)の指針値の1/2以下の実現を目指す

https://www.sekisuihouse.co.jp/kodate/spec/technology/comfortability/airkis/

■2023年7月27日プレスリリース

千葉大学予防医学センターと積水ハウスが寄附研究部門設立

https://www.sekisuihouse.co.jp/company/topics/topics_2023/20230727_2/

■2025年2月7日プレスリリース

積水ハウス 疫学エビデンスに基づく「ゼロ次予防」健康住宅を

ゼロ次予防の観点からの住まいに関する研究にて

住まいの広さ・天井の高さが居住者のWell-beingに寄与の可能性が明らかに

https://www.sekisuihouse.co.jp/company/topics/topics_2025/20250207/

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