日本GIFオンラインセミナー 「世界の高速鉄道、そのリアルと未来図―現場から読み解く日本の活路」を開催

グローバルインフラとしての高速鉄道の未来と日本の役割

日本GIF

2026年1月7日

 

セミナーで使用されたスライドより(C)大坂直樹

 

 公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(所在地:東京都港区、理事長:中山幹康、略称:日本GIF)は、2025年11月28日(金)午後2時から、Zoomを利用したオンライン形式にて、東洋経済新報社記者・経済ジャーナリストの大坂直樹氏を講師に、「世界の高速鉄道、そのリアルと未来図 ―現場から読み解く日本の活路―」と題したセミナーを開催しました。

 

開催趣旨

 国と国とを結ぶグローバルインフラである高速鉄道は、新たな時代を迎えています。日本の新幹線は、かつて技術の頂点にありましたが、現在は中国が規模・性能ともに日本を上回り、積極的に海外展開を進めています。本セミナーでは、実際に世界各国の高速鉄道の現場を長年取材されてきた、東洋経済新報社記者・経済ジャーナリストの大坂直樹氏を講師にお招きし、今後の高速鉄道の拡大や有望地域、在来線の高速化、各国の技術思想や安全観の違いなど、グローバルインフラとしての高速鉄道の未来と、その中で日本がどのような役割を果たしうるのかを考察しました。

 

講演要旨

1.高速鉄道の定義と日本の高速鉄道の現状

・日本では全国新幹線鉄道整備法により、時速200km以上を高速鉄道と定義。欧州では、専用線(新設された線路)で時速250km以上、在来線(既存の線路)の改良で時速200km以上が基準

・日本の整備新幹線(新青森―新函館北斗間、高崎―敦賀間、博多―鹿児島中央間など)は、法律による最高時速260km制限のほか、インフラや線形の制約がある

 

2.中国の高速鉄道と東南アジアへの影響(インドネシア、ラオス、タイ、ベトナム)

・中国は当初、日本やドイツなどの技術を参考にしたが、現在は独自発展を遂げ、時速450km対応の車両も開発済み

・中国の高速鉄道網は2025年夏時点で約48,000kmと世界最大で(日本は約3,000km)、路線長の目標を前倒しで達成

・東南アジアでは中国の影響力が拡大

-インドネシア(ジャカルタ―バンドン間):日本が先行していた案件を中国が逆転受注

-ラオス・中国(ビエンチャン―昆明間):中国国内では高速運行しているが、ラオス国内では時速100kmどまり

-タイ(バンコク―ノンカイ間):ラオス経由で中国と結ばれる計画で、中国と共同で計画が進行

-ベトナム(ハノイ―ホーチミン間):計画に日本・中国・韓国が関心を示す

 

3.その他の主要地域の高速鉄道計画(台湾、インド、オーストラリア、アメリカ)

・台湾:当初は欧州方式の導入が予定されていたが、1999年の大地震後に日本の新幹線方式の耐震性が評価され、逆転受注

・インド(ムンバイ―アーメダバード間):日本の新幹線方式で建設中

・オーストラリア(東海岸の高速鉄道):構想が再始動し、日本方式に近いとされる

・アメリカ(北東回廊 ワシントンDC―ボストン):インフラの老朽化により平均時速は150km程度。その他の計画においても、連邦政府による補助金の打ち切りなどの影響多数

 

4.欧州市場の動向と世界のサプライヤー競争

・イギリス:日立がHS1(ドーバー海峡トンネル線)で実績を得て、在来線の高速化計画であるIEPを受注、HS2(ロンドン―バーミンガム間、時速360km、2029年開業目標)でもフランス企業と連合で受注

・フランス:TGVのブランド刷新と格安版「Ouigo」の運行を開始

・ドイツ:新型ICE4は汎用性や経済性を重視した設計

・欧州委員会:在来線改良による高速化や、国境越え規格の統一を進め、欧州基準の国際規格化の動き。日本はこれに対し、新幹線の基準も国際規格に含めるよう交渉

・サプライヤー競争:欧州の巨大サプライヤーはレディメイド方式で各国向けに仕様を調整。日本企業はオーダーメイド方式が主流だが、日立はレディメイド方式を取り入れて欧州企業に追随

 

5.日本国内の高速鉄道等の計画と今後の方向性

・世界の多くの高速鉄道計画と同様に、日本国内においても工期・費用の増大や計画の遅延が多い

・リニア中央新幹線は開業延期と費用倍増、北海道新幹線の札幌延伸も遅延の可能性、北陸新幹線はルート未定区間が残る

・計画の遅延は、環境調査や安全に工事を行うための調査、地元住民との調整を行うことによるもの

・高速鉄道建設における工期・費用の増大への対応策として、日本でも在来線改良と新型車両導入による「中速鉄道」整備を検討

 

 講演後の質疑応答では、アメリカの高速鉄道計画における問題点や、海外での運営破綻時における政府保証・担保権の設定、今後日本が成功しうる案件等、多様な視点から議論が行われました。

 セミナー終了後のアンケートによると、「その他の主要地域の高速鉄道計画」や「欧州市場の動向と世界のサプライヤー競争」のパートへの関心が高かったことがわかりました。この他にも多くの質問や意見が寄せられ、世界の高速鉄道の未来への高い関心が見て取れました。

 

セミナー概要

主  催: 公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(日本GIF)

日  時: 2025年11月28日(金)14:00~15:30

名  称: オンラインセミナー「世界の高速鉄道、そのリアルと未来図―現場から読み解く日本の活路―」

開催形式: Zoomを利用したオンライン形式(ウェビナー)

講  演  者: 大坂 直樹(東洋経済新報社記者・経済ジャーナリスト)

司  会  者: 坂本 晶子(日本GIF事務局長)

参  加  費: 無料

動  画: https://gif.or.jp/seminar_youtube/high_speed_rail-2/

 

講師略歴

大坂直樹

 

東洋経済新報社記者・経済ジャーナリスト。

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。


セミナーで使用されたスライドより(C)大坂直樹

 

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大坂直樹

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