「里山:SATOYAMA」を問い直す「台湾SATOYAMAイニシアティブ絵本」日本語版出版記念イベントレポート

「台湾SATOYAMAイニシアティブ絵本」シリーズ出版記念イベントを開催。絵本を制作「種籽設計」が来日・登壇

株式会社トゥーヴァージンズ(東京都千代田区)は 2026 年 2 月、台湾の里山ストーリーを描いた「台湾SATOYAMAイニシアティブ絵本」シリーズ第2弾の日本語版を4作品発売いたします。

 

『白い石は陸に上がり 黒い石は海へ潜る』『小さな台湾白魚は大波を生む』『カタグロトビの歌』『百分橋を越えて』

これにあわせて、絵本制作を担当した台湾を代表するデザイン会社・種籽設計有限公司(SEED DESIGN)の陳献棋総経理(CEO)が来日し、先行発売・出版記念イベントを開催いたしました。

本イベントには、絵本制作を手がけた台湾のデザイン会社「種籽設計(SEED DESIGN)」の陳献棋総経理、日本の里山ライフを発信するカルチャーマガジン「Soil mag.」の曽田夕紀子編集長が登壇。

気候変動や生物多様性の損失といった現代的な課題に直面する今、人と自然の共生を目指す『里山』の価値をいかに問い直し、その理念を次世代へ継承していくか、日本と台湾の視点から改めて見つめ直すイベントとなりました。

 

SATOYAMAイニシアティブについて

生物多様性の保全と人間の福利向上のために、里山のような人間が周囲の自然と寄り添いながら農林漁業などを通じて形成されてきた二次的自然地域の持続可能な維持・再構築を通じて「自然共生社会の実現」を目指す国際的な取組です。日本では里山や里海と呼ばれるこれらの地域では、人間と周囲の自然が調和し、その相互作用により生物多様性が維持されると共に、人々の暮らしや福利に必要なモノやサービスが持続的に供給されています。このような地域を世界で認識できるように、「社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)」と呼んでいます。本イニシアティブは日本国環境省と国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)が共同で提唱しました。

公式サイト: https://satoyamainitiative.org/ja/

 

種籽設計(SEED DESIGN)について

文字を書くこと、絵を描くこと、手仕事を愛するデザインスタジオ。「物語を語ること」を創作の核に据え、イラストレーションを通して博物学的な視点や自然と人文の関係性を表現する。自然への関心を起点に、知識の抽出や伝統の精練を行い、土地や歴史、文化を丁寧に読み解きながら、新たな解釈や実践を提案している。2011年にドイツ「iF Award」、2014年に台湾「Golden Design Award」および香港「DFAアジアデザイン賞」を受賞するなど、国際的な評価を多数獲得。展示のキュレーションも数多く手がけ、各地の物語がもつ美しさと価値を社会へ伝える活動を続けている。

公式Facebook: https://www.facebook.com/seeddesign

 

曽田 夕紀子

編集者。東京・奥多摩町の山間集落を拠点に、編集プロダクション「miguel.」を運営。アウトドア、旅、農のある暮らしなどを主なテーマに、取材・執筆・撮影を行う。2021年に創刊した里山ライフのカルチャーマガジン「Soil mag.」編集長。パーマカルチャーデザイナー・四井真治氏の著書「地球再生型生活記」(アノニマ・スタジオ)の企画・編集を担当。

公式サイト: https://soilsoil.jeez.jp/index.htm

公式Instagram: https://www.instagram.com/soilmag/

 

開催概要

日 時: 2025 年 12 月 22 日(月)14:00〜15:30

会 場: 誠品生活日本橋内 イベントスペース「FORUM」(東京都中央区日本橋室町3丁目2−1 COREDO室町テラス 2F)

 

撮影:Satoshi Kaneko

【プログラム】

①開会あいさつ:   出版社トゥーヴァージンズ 取締役 後藤佑介 

②ビデオメッセージ: 農業部農村発展及水土保持署 署長 陳俊言(チン・ジェイン)

           SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)事務局長 渡辺綱男 

③絵本紹介:     種籽設計(SEED DESIGN)総経理 陳献棋(チン・シエンチー) 

           4つの農村コミュニティを紹介したアニメーション映像

④トークセッション: 種籽設計(SEED DESIGN)総経理 陳献棋 

           里山ライフのカルチャーマガジン「Soil mag.」編集長 曽田夕紀子

⑤フォトセッション・閉会

 

「台湾SATOYAMAイニシアティブ絵本」シリーズ制作と出版に至るまでの背景

イベントではまず、日本での出版にあたり、弊社の取締役 後藤佑介より年末の多忙な時期に集まった来場者へ感謝の言葉が述べられました。

そして、今回の絵本が制作され日本で出版されるまでに至った背景と、2026年2月の全国発売に先駆けて、会場となった誠品生活日本橋など一部書店にて先行発売がされる旨が報告されました。


絵本シリーズの背景として、2010年に日本が世界に向けて提唱した「SATOYAMAイニシアティブ」という理念があります。台湾の農業部農村発展及水土保持署がこの理念に賛同し、2017年から「里山イニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)」に加入したことで、2022年2月、台湾の地域のモデルチェンジに成功した4つの農村の事例を描いた『農村事業無限会社』『銀色に輝く香草山村』『海の段々畑、家族へ送る青い手紙』『高台の上の水源地』が出版され、そして今回第2弾の4冊が制作されるに至りました。

 

ビデオメッセージ

ビデオを通じて台湾農業部農村発展及水土保持署の陳俊言署長、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)の渡辺綱男事務局長より、人と自然が共通する知恵や経験を共有し、国際社会が協力してきた背景や、絵本発売へのお祝いのメッセージをいただきました。

絵本紹介

絵本制作を担当した種籽設計有限公司(SEED DESIGN)の陳総経理より、4作品それぞれの内容や背景について紹介いただきました。絵本に登場する台湾の農村における問題や伝統について、詳しくご説明いただきました。

また、会場ではそれぞれ4作品の美しいイラストを使用したアニメーションが上映されました。

トークセッション

トークセッションでは、ゲストに日本の里山ライフを発信するカルチャーマガジン「Soil mag.」の曽田夕紀子編集長が登壇。

まず、曽田編集長より、2025年に日本で大きな社会問題となった「熊と人との関係」について提起されました。自身の居住地である東京都奥多摩町で、自宅至近に熊が出没したニュースを例に挙げ、全国的に「自然と人とがいかに共生していくか」を改めて問われた年であったと振り返りました。

これに対し、陳総経理は、台湾における現状を共有。日本と同じく台湾でも、本来は高標高地に生息する熊たちが、環境変化による餌不足や生息地の喪失から人里へ降りてくる事例を紹介し、人と自然が交差する「里山」のようなエリアにおいて、いかに適切な距離を保つかが共通の大きな課題であると述べました。

また、次世代へ暮らしの知恵や文化を継承する媒体として「絵本」を選んだ理由について、陳総経理は「世代を問わないメディアであり、『里山イニシアティブ』の理念を直感的に伝えることができる」と説明。温かみのあるイラストと、心に響くシンプルな言葉にこだわった制作背景を語りました。

 

最後に、陳総経理は「私たちはメディアを通して世界を見ており、メディアが語る物語が、人々の世界観や価値観を形作る」とその社会的責任に触れ、曽田編集長は「受け継ぐべき知恵や歴史を、自身が刊行するライフスタイル誌『Soil mag.』等を通じて未来へ残していきたい」と、メディアとしての決意を表明しました。

 

質疑応答

トークセッション後の質疑応答では、制作を担った種籽設計有限公司(SEED DESIGN)の活動内容や、台湾における絵本の位置付けについて質問が寄せられました。

これに対し陳総経理は、同社が「里山」以外にも台湾の伝統行事や食文化をテーマにした作品を数多く手掛けている実績を紹介。「絵本は子どもだけのものではない」という信念に基づき、大人の鑑賞にもたえうるよう、細部(ディテール)まで緻密に描き込んだイラストを採用した制作の舞台裏を明かしました。

また、「海外から見た台湾の里山の魅力」を問われると、「外国人観光客の嗜好や流行を追うのではなく、『自分たちが今、何を表現したいか』というローカルな視点に深く集中すること。それこそが結果として、海外の方にとっても唯一無二の魅力として映るのです」と回答。外国人観光客を意識して流行を追うのではなく、「自分たちが今何をしたいか」というローカルな視点に集中することこそが、結果として海外の人にとっても最大の魅力になりますと述べました。

 

おわりに

今回のイベントでは、特に未来を担う若い世代へどのように知恵や文化を継承していくか触れられました。陳総経理は「持続可能性は、若い世代の支持があってこそ実現する」と力説。そして、社会の価値観が大きく変化している点を指摘しました。「かつて、若者が都市から故郷の農村へ戻ることは『失敗』の証と見なされがちでした。しかし今は、外の世界で多様な経験を積んだ若者が故郷に戻り、新たな視点や技術で挑戦することが、コミュニティの未来にとって不可欠な力として期待されています」。里山の未来は、伝統を守るだけでなく、若い世代が新たな価値を創造するプラットフォームとなることにかかっています。

今回の出版記念イベントと「台湾SATOYAMAイニシアティブ絵本」シリーズは、単なる書籍のプロモーション活動に留まらず、より広範な社会的意義を持つものとなっています。日本発祥の「里山」という理念が、国境を越えて台湾の地で豊かに実践され、気候変動や生物多様性の損失といった地球規模の課題に対し、地域コミュニティが主導する創造的な解決策がいかに有効であるかを絵本を通してわかりやすく語られています。

これらの絵本が伝える4つの物語は、単なるインスピレーションを与えるだけでなく、他の地域でも応用可能なモデルであり、「実践的な希望の設計図」となるでしょう。メディアがこれらの「希望の物語」を社会に広く伝えることで、私たちは自らの足元にある自然との関係を見つめ直し、持続可能な未来への具体的な一歩を踏み出すことができるはずです。


出版

農業部農村発展及水土保持署(発行元)

農業部農村発展及水土保持署(ARDSWC)は、2017年より「SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)」に参与し、長期にわたり「里山イニシアティブ」の普及に取り組んでいます。「自然共生、農村共栄」の核心的な精神を重視し、地域の知や多様な活動を通じて、人と自然が調和するライフスタイルの実現を目指しています。

公式サイト: https://www.ardswc.gov.tw/Home/

 

株式会社トゥーヴァージンズ(発売元)

トゥーヴァージンズは、生活に息づく文化や風景、そこで育まれる多様な視点を“本”という形にして記録し、発信してきました。私たちの本が、皆様の日々のささやかな「答え合わせ」となり、少しでも生活に混ぜてもらえるような存在でありたいと願っています。これからも広く世界に視野を向け、「消費されない何か」を伝えていきたいと考えています。

公式サイト: https://www.twovirgins.jp

 

書籍情報

『白い石は陸に上がり、黒い石は海へ潜る きっとできるはず SATOYAMAイニシアティブ』


著者:種籽設計有限公司(SEED DESIGN)

定価:本体1,650円(+税)仕様:B4変/上製/43ページISBN:978-4-86791-083-2

発行:農業部農村発展及水土保持署

発売:株式会社トゥーヴァージンズ

澎湖・奎壁澳の風景が舞台です。ここでは、サンゴ石で築かれた農作物を守る石垣や、玄武岩で組まれたシーフー(伝統的な石積み漁法)を見ることができます。白い石と黒い石が、海と陸のあいだに独特の社会的・生態的な景観を形づくる様子を、白髪(高齢者)の知恵と黒髪(若者)の創造力になぞらえて紹介します。

 

『小さな台湾白魚は大波を生む きっとできるはず SATOYAMAイニシアティブ』

 

著者:種籽設計有限公司(SEED DESIGN)

定価:本体1,650円(+税)仕様:B4変/上製/43ページISBN:978-4-86791-082-5

発行:農業部農村発展及水土保持署

発売:株式会社トゥーヴァージンズ

南投県の埔里鎮にある一新コミュニティが舞台です。あるとき、住民が絶滅危惧種の台湾白魚の存在に気づき、環境に優しい農作で河川生態系を守りながら、産業の転換や教育体験の機会を創り出す様子を描いています。

 

『カタグロトビの歌 きっとできるはず SATOYAMAイニシアティブ』


著者:種籽設計有限公司(SEED DESIGN)

定価:本体1,650円(+税)

仕様:B4変/上製/43ページ

ISBN:978-4-86791-080-1

発行:農業部農村発展及水土保持署

発売:株式会社トゥーヴァージンズ

台中市霧峰区が舞台です。霧峰は台湾のお米「益全香米」の生産地として知られ、五福コミュニティでは、農民と行政が協力して環境に配慮した農法の実験的な取り組みを進めてきました。自然に優しい田んぼには、やがてカタグロトビが飛来するようになり、田んぼの“親善大使”として地域の象徴とされる様子を描きます。

 

『百分橋を越えて きっとできるはず SATOYAMAイニシアティブ』

 

著者:種籽設計有限公司(SEED DESIGN)

定価:本体1,650円(+税)

仕様:B4変/上製/43ページ

ISBN:978-4-86791-081-8

発行:農業部農村発展及水土保持署

発売:株式会社トゥーヴァージンズ

新竹県北埔郷の南埔コミュニティが舞台です。ここでは、青年と年長者が協力して行政区分を越えた農村の生態系づくりに取り組み、「共によくなる、共に栄える」という理念を中心に、自主的で持続可能なエネルギーと生命力を発揮しています。

 

会社情報

株式会社トゥーヴァージンズ:https://www.twovirgins.jp/

トゥーヴァージンズ公式オンラインストア「OTONARI」では、書籍や関連グッズを販売中!

 

トゥーヴァージンズグループ:https://twovirgins-group.com/

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

プレスリリース添付画像

白い石は陸に上がり 黒い石は海へ潜る

小さな台湾白魚は大波を生む

カタグロトビの歌

百分橋を越えて

251222_SK00016

251222_SK00047

251222_SK00100 (2)

251222_SK00083

251222_SK00304 (2)

251222_SK00272 (2)

251222_SK00072

251222_SK00018

251222_SK00533

251222_SK00518 (2)

251222_SK00001

251222_SK00039

251222_SK00080

251222_SK00188

251222_SK00225 (1)

このプレスリリースには、報道機関向けの情報があります。

プレス会員登録を行うと、広報担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など、報道機関だけに公開する情報が閲覧できるようになります。

プレスリリース受信に関するご案内

このプレスリリースを配信した企業・団体

  • 名称 株式会社トゥーヴァージンズ
  • 所在地 東京都
  • 業種 新聞・放送・出版
  • URL https://www.twovirgins.jp/
  • ※購読している企業の確認や削除はWebプッシュ通知設定画面で行なってください
  • SNSでも最新のプレスリリース情報をいち早く配信中

    過去に配信したプレスリリース