相次ぐ新発見!富山県立大学の研究成果をご紹介します!

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相次ぐ新発見!富山県立大学の研究成果をご紹介します!

 富山県立大学では、学生教育や人材育成に加え、最先端の研究を積極的に推進して、常に研究力・技術力の向上を図って日々研究に取り組んでいます。この度、注目すべき2つの新しい研究成果が得られましたのでご紹介します。

1.医薬品生産に応用が期待される酸化酵素とその活用手法の開発

 浅野泰久教授、安川和志(かずゆき)研究員らは、ブタ腎臓由来の酵素を改変し、自然界に存在しない新たな酸化酵素の開発に世界で初めて成功しました。この酵素は、医薬品などの生産において重要なR型、S型の鏡像異性体(※)を持つα‐メチルベンジルアミン(以下α‐MBA)という有機化合物のうち、R型のみに作用する特性を有しており、浅野教授らは、その特性を利用し、従来よりも安価で効率よいS型のα‐MBAを生産する新手法の開発にも成功しました。(これまで、S型にのみ作用する酵素は発見されていたが、R型にのみ作用する酵素は見つかっていませんでした)

 今回の成果は、α‐MBA以外の鏡像異性体を持つ有機化合物にも応用可能であることから、医薬品や有用化合物の安価で効率的な生産に役立つことが期待されています。この研究内容は、ドイツの権威ある化学誌Angewante Chemie International Editionに掲載されます。

※鏡像異性体とは

化学的構造や組織は同じだが、右手と左手のように、立体的に対称の構造を持つ有機化合物をいい、二つの鏡像異性体をそれぞれR、Sと表記する。R型とS型それぞれの働きが全く異なる場合があり、妊婦が服用することによって、胎児に奇形を生じたサリドマイド事件は、催奇性のある一方の鏡像異性体が混在した薬剤を使用したため引き起こされた。そのため、医薬品の開発には、鏡像異性体のうち、目的にあったものだけを用いることが極めて重要になる。

2.アリが営む集団生活維持に不可欠な新タンパク質の発見

 富山県立大学の石田裕幸(ゆうこう)嘱託研究員は、農業生物資源研究所、東京大学、筑波大学と共同で、働きアリの触角から様々な情報伝達物質(敵に対する警告フェロモンやアリの行列をつくる道しるべフェロモンなど)を運搬する新たなタンパク質を発見するとともに、このタンパク質の立体構造を明らかにしました。この新規なタンパク質は、これまで発見されているタンパク質と異なり、多様なアリの情報伝達とコロニー(集団生活)維持に関わっていると考えられています。

 今回の研究成果により、近年、世界中に生息域を拡大中の侵入アリに対する、誘引剤や忌避剤などアリの行動制御剤の開発研究に大きく貢献することが期待されています。この成果は米国科学アカデミー紀要に掲載されました。

■富山県立大学

 日本海側初の工学系公立大学として、平成2年4月に開学。工学部5学科、大学院工学研究科5専攻体制で「工学心」を培った実践力のある学生の育成に取り組む。就職率は全国トップクラス。

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