エステルからエステルをつくる?!COガスを用いないエステル合成法

世界初・独自の金属触媒を用いたエステル転移反応の開発

早稲田大学

2020年2月26日

早稲田大学

エステルからエステルをつくる?COガスを用いないエステル合成法 世界初・独自の金属触媒を用いたエステル転移反応の開発

発表のポイント

エステル骨格を他の化合物に移動させるエステル転移反応の開発に世界で初めて成功。

独自に開発した金属触媒を用いて効率的なエステル転移を実現。

有毒ガスを用いない新たなエステル合成の標準手法を提供。

 

早稲田大学理工学術院の山口潤一郎(やまぐちじゅんいちろう)教授らの研究グループは、独自に開発した脱一酸化炭素金属触媒により、芳香族エステルのエステル骨格を異なる芳香族化合物へと移動させるエステル転移反応の開発に世界で初めて成功しました。

 

これまで遷移金属触媒を用いて芳香族ハロゲン化物から芳香族エステルをつくる場合、過剰量のCOガス(一酸化炭素ガス)を使用する手法が一般的でした。しかし、その毒性と煩雑な操作を必要とする点から一酸化炭素ガスに代わる試薬の開発が望まれており、精力的に研究されています。

 

今回の研究では、独自で開発したニッケル触媒を用いて、芳香族エステル  (Ar3–COOAr2)からエステル骨格(COOAr2)を取り除いて、別の芳香族化合物(Ar1–X)へと移動させるエステル転移反応の開発に成功しました。芳香族エステルのエステル部位(COOAr2)をそのままエステル化剤として用いることのできるユニークでシンプルな反応です。

 

今回の研究により、20種類以上の芳香族化合物をエステルへと変換できることがわかっており、有毒ガスを用いない新たな芳香族エステル合成の標準手法を提供することとなります。

 

本研究成果は、アメリカ化学会誌『ACSCatalysis』のオンライン版に2020年2月25日(現地時間)に掲載されました。

 

 

論文情報】

掲載雑誌:ACSCatalysis(アメリカ化学会誌)

論文名:EsterTransfer Reaction of Aromatic Esters with Haloarenes and Arenols by aNickel Catalyst(ニッケル触媒を用いた芳香族ハロゲン化物またはフェノール類と芳香族エステルとのエステル転移反応)

著者:RyotaIsshiki, Naomi Inayama, Kei Muto, and JunichiroYamaguchi(一色遼大、稲山奈保実、武藤慶、山口潤一郎)

論文公開日:2020年2月25日 (現地時間)(JustAccepted Manuscripts)

DOI:10.1021/acscatal.0c00291

掲載URLhttps://pubs.acs.org/doi/10.1021/acscatal.0c00291

 

詳細は、早稲田大学ウェブサイトでもご確認いただけます。

https://www.waseda.jp/top/news/68362

 

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