“喉のイガイガ”に備える機能性喉飴と血糖値の急激な上昇を抑制するスローカロリーどら焼きの開発に成功
早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構の研究チームは、株式会社榮太樓總本鋪と共同で、喉の不快感改善効果を有する紅茶ポリフェノール(主にテアフラビン類)を配合した「テアフラビン喉飴」と血糖値の急激な上昇抑制効果を有するパラチノースを配合した「スローカロリーどら焼き」の開発に成功しました。
2018年8月29日
早稲田大学
“喉のイガイガ”に備える紅茶ポリフェノール配合の機能性喉飴と
血糖値の急激な上昇を抑制するスローカロリーどら焼きの開発に成功
早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構の高見澤菜穂子(たかみざわなおこ)次席研究員(研究院講師)、矢澤一良(やざわかずなが)上級研究員(研究院教授)らの研究チームは、株式会社榮太樓總本鋪と共同で、喉の不快感改善効果を有する紅茶ポリフェノール(主にテアフラビン類)を配合した「テアフラビン喉飴」と血糖値の急激な上昇抑制効果を有するパラチノースを配合した「スローカロリー(※1)どら焼き」の開発に成功しました。
本研究グループは、従来の「喉の調子が悪くなってから舐める喉飴」ではなく、「喉のイガイガに備えるための喉飴」をコンセプトに機能性喉飴の開発にあたりました。これまでも、紅茶ポリフェノールのインフルエンザ感染予防効果が論文(※2)上知られており、「紅茶うがい」という習慣にヒントを得て、製品化を行いました。紅茶ポリフェノールは一般的に渋味がありますが、味と機能性の確保(※3)に成功し、「紅茶博士のテアフラビン喉飴」として2018年9月10日に株式会社榮太樓總本鋪から発売の予定です。
また、「からだにえいたろう」という株式会社榮太樓總本鋪の新ブランドの製品として、従来のどら焼きの味を変えることなく、通常使用される砂糖の代わりに糖質の吸収を緩やかにするパラチノースを用いた「スローカロリーどら焼き」を開発し、2017年6月から販売を開始しています。早稲田大学内倫理委員会にて承認を受けてヒト臨床試験を行った結果、解析により血糖値上昇が有意に抑制されることが分かりました。本どら焼きは「機能性おやつ(※4)」として、肥満や糖の摂取量が制限される糖尿病などの生活習慣病の予防・改善に貢献することが期待されます。
【用語解説】
※1 スローカロリー
「食べ物(エネルギー源:カロリー)をゆっくり消化吸収する」という考え方。特に、食後の急激な血糖値の上昇が、糖尿病を誘発させる1つの要因だといわれています。パラチノース®(三井製糖株式会社の登録商標)は砂糖から作られる甘味料で、ぶどう糖と果糖が砂糖と異なる位置でつながった構造をしているため、消化吸収速度が緩やかであるとされています。
※2 紅茶ポリフェノールのインフルエンザ感染予防効果を証明した論文
被験者を2つのグループに分け、一方のグループだけ紅茶うがいを毎日させたところ、紅茶うがいをしたグループはうがいをしなかったグループと比較してインフルエンザ感染率が低くなったという報告があります(文献1)。また、細胞を使った研究で、ウイルスが細胞表面にくっつくのを紅茶が邪魔する作用があることが報告されています(文献2)。
●文献1:紅茶エキスのうがいによるインフルエンザ予防効果
岩田 雅史, 戸田 眞佐子, 中山 幹男, 辻山 博之, 遠藤 済, 高橋 雄彦, 原 征彦, 島村 忠勝.感染症学雑誌,1997 年 71 巻 6 号 p. 487-494
●文献2:Inhibition of the infectivity of influenza virus by tea polyphenols.
Nakayama M, Suzuki K, Toda M, Okubo S, Hara Y, Shimamura T. Antiviral Res. 1993;21(4):289-99
※3 機能性の確保
市販紅茶飲料100mLのポリフェノール含有量がおよそ30mg~40mgであるのに対し、「紅茶博士のテアフラビン喉飴」は、9.9g(3粒分)に39.6mg(測定値)のポリフェノールが含有されています。
※4 機能性おやつ
美味しく楽しく食べられる「おやつ」に機能性を付加したもの。
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