【注意喚起】真夏の“油”断が火を招く!~高温環境で起こりやすくなる油の発火事故~

 独立行政法人製品評価技術基盤機構[NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、 本所:東京都渋谷区西原]は、夏を迎えるにあたり高温環境で起こりやすくなる油の自然発火事故について、事故を起こさないための正しい取扱方法について注意喚起します。

  夏は気温が高くなることで、身近な製品がいつもより熱を持ちやすくなります。特に油(※1)が浸みた布類や紙類は、空気中の酸素と反応して発熱しやすく、また、高温環境(※2)下では熱が逃げにくくなり、思わぬ事故につながることがあります。

 例えば、エステ店等でオイルマッサージを行い、アロマオイルやマッサージオイルが浸み込んだタオルを洗濯後に乾燥機で加熱したり、そのまま重ねて置いたりした場合、内部に熱が蓄積し、自然発火に至ることがあります。

 また、床用ワックスや塗料などが付着した大量の布類や紙類を何日も放置した場合、自然発火に至る可能性があります。揮発性の高い成分が含まれている場合、換気が不十分な状態で火気が近くにあると引火する危険性もあります。

 これらの事故は、製品の特性を理解し、使い方や保管方法に少し注意を払うことで防ぐことができます。夏の暮らしを安全に過ごすために、身近な製品の扱い方を今一度見直してみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【 気を付けるポイント 】

・油分が付着した布類は洗濯後でも乾燥機で加熱しない。

・油分が付着した布類や紙類を水に浸さずに袋や容器などに入れて放置しない。

・購入後、「高温注意」「火気厳禁」などの注意書きやラベル表示内容をよく確認する。

 

 

(※) 本資料中の全ての画像は再現イメージであり、実際の事故とは関係ありません。

(※1)例えば、エステ店等でオイルマッサージの際に使用されるようなアロマオイルやマッサージオイル、清掃時に使用される床用ワックス、塗料等に油が含まれています。

(※2)油が空気中の酸素と反応する速度は、温度が10℃上昇するごとに2~3倍になるとされています。

 

 

 

 

 

 

 

油の自然発火はどうして起こるのか?

 

  油は脂肪酸を含む化合物であり、脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。油の自然発火は、油に含まれる不飽和脂肪酸が酸化して発熱することで起こります。

 

 

 飽和脂肪酸は分子構造の中に炭素―炭素間の二重結合や三重結合(以下、不飽和結合)を含まない脂肪酸、不飽和脂肪酸は不飽和結合を含む脂肪酸を指します。

 以下に飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の分子構造の例を示します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 身近な製品でいえば、オイルマッサージに使用されるアロマオイルの一種であるホホバオイルにはオレイン酸、グレープシードオイルやひまわり油にはリノール酸が豊富に含まれます。また、アロマオイルや塗料の成分として使用される亜麻仁油にはα-リノレン酸が豊富に含まれます。さらに、床用ワックスにはオレイン酸が含まれるものもあります。

 

 

 不飽和脂肪酸を含む油は外部の火種がなくても油自らが発熱し、最終的に発火に至ることがあります。これは、空気中の酸素と不飽和脂肪酸が持つ不飽和結合が反応して酸化反応が起こり、発熱し、この発熱反応が繰り返されることで熱が蓄積し、やがて発火点(※3)に至るためです。

 

 

 不飽和脂肪酸を含む油が布類や紙類などに浸みている場合、油が空気に触れる面積が大きくなり酸化反応が起こりやすく、発火に至りやすくなります。また、酸素が不飽和結合と反応しやすいため、不飽和結合を多く持つ不飽和脂肪酸ほど酸化反応が起こりやすく、発火に至りやすくなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 夏の高温環境では、酸化反応によって発生した熱(①)が外に逃げにくく、内部に蓄積しやすくなります(②)。その結果、他の季節に比べて発火に至りやすくなる(③)ため、特に注意が必要です。

 

 

(※3)発火点とは、物質が外部の点火源(火や火花など)なしで自然に発火する最低温度のことです。

 

 

 

 

 

 

油を含む製品の取扱いで気を付けること

油分が付着した布類は洗濯後でも乾燥機で加熱しない

 

 アロマオイルやマッサージオイルが浸み込んだタオルや衣類は、条件が重なると自然発火に至るおそれがあります。こうした事故を防ぐためには、油汚れが落ちやすい洗剤を使用してしっかりともみ洗いをし、できるだけ油分を落とすことが大切です。そのうえで洗濯し(可能であれば二度洗いが望ましいです)、乾燥機能は使用せず、風通しのよい場所に干して乾かすようにしましょう。また、油分が付着した布類を洗濯かごなどに重ねて放置することも避けてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

油分が付着した布類や紙類を水に浸さずに袋や容器などに入れて放置しない

 

 床用ワックスや塗料などを拭き取った布類や紙類は、何日かかけて自然発火に至るおそれがあります。これらは水に浸してから廃棄するなどの安全な処理を行うことが大切です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

購入後、「高温注意」「火気厳禁」などの注意書きやラベル表示内容をよく確認する

 

 床用ワックスや塗料などの中には揮発性が高く、成分が空気中に広がりやすいものもあります。製品に記載されている「高温注意」や「火気厳禁」などの表示は、安全に使用・保管するための重要な情報です。使用前に必ず注意書きやラベル表示内容をよく確認し、直射日光や高温になる場所を避け、火気の近くでは使用しないなど、表示に従った行動を徹底しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NITE SAFE-Lite(ナイト セーフ・ライト)のご紹介

 

 NITEはホームページで製品事故に特化したウェブ検索ツール「NITE SAFE-Lite(ナイト セーフ・ライト)」のサービスを行っています。製品の利用者が慣れ親しんだ名称で製品名を入力すると、その名称(製品)に関連する事故の情報やリコール情報を検索することができます。

 

 

 

https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/safe-lite.html

 

 

 

 

 

 

今回の注意喚起動画はこちら

 

>>アロマオイル「1.オイルが付着したタオルが自然発火」

 

 

 

 

 

 

 

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE) 製品安全センターの概要

 

 NITE 製品安全センターには、消費生活用製品安全法などの法律に基づき、一般消費者が購入する消費生活用製品(家庭用電気製品やガス・石油機器、身の回り品など)を対象に毎年1千件以上の事故情報が寄せられます。製品安全センターでは、こうして収集した事故情報を公平かつ中立な立場で調査・分析して原因究明やリスク評価を行っています。原因究明調査の結果を公表することで、製品事故の再発・未然防止に役立てています。

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