きょう26日は土用の丑の日。天然の稚魚を使わずに卵から育てた「完全養殖」のうなぎが、今年から店頭に並んでいる。山田水産(大分県佐伯市)は築地の直営店で、完全養殖うなぎを使った「山田のうなぎ完全養鰻重」を22日から26日まで、1日10食限定・税込6,000円で出している。

完全養殖は、親ウナギから卵を採り、人工ふ化から稚魚の育成、出荷までを人の手で行う方式を指す。これまでのウナギ養殖は、海で捕れた天然の稚魚(シラスウナギ)を仕入れて育てるもので、資源量の変動や環境の変化に左右されやすいことが長年の課題とされてきた。
蒲焼としての販売は、5月20日に山田水産と国立研究開発法人水産研究・教育機構、一般社団法人マリノフォーラム21の3者が連名で発表した。水産庁の委託事業でシラスウナギの量産技術を開発してきたもので、リリースは「完全養殖ウナギ蒲焼の試験販売は世界初の事例」としている。山田水産は令和6年以降、2年連続で年間1万尾以上の完全養殖シラスウナギの生産に成功したという。
売り場も広がった。イオンは5月29日から7月20日までの予定で、ネットスーパー「Green Beans」と「イオンショップ」で数量限定の試験販売を実施。無頭1尾131グラムの税込4,860円から、2尾入りギフトボックスの同12,960円まで5規格をそろえた。買った人にはアンケートへの協力を求め、集めた意見を今後の取り組みに反映するとしていた。
稚魚の池入れは平年並み、価格は2漁期連続で下落
一方、天然の稚魚に頼る従来の養殖の側は、今年は落ち着いている。水産庁の資料「ウナギをめぐる状況と対策について」(令和8年7月)によると、令和8年漁期(令和7年11月〜翌年5月)の池入数量は平年並みの16.6トンで、前年の18.7トンからは減った。
種苗の取引価格は2漁期連続で下落しているが、資料ではその理由を、前の漁期に池入れした成鰻の在庫が多く、池入れの需要が弱かったためと説明している。今年たくさん獲れたから下がった、という話ではない。
資源の位置づけをめぐる議論も動いた。EUとパナマは2025年6月、ニホンウナギを含むウナギ属すべての種をワシントン条約(CITES)附属書IIに掲載する提案を提出したが、同年11〜12月の第20回締約国会議で、賛成35、反対100、棄権8の反対多数により否決された。
掲載提案とは別に、各国にウナギ属の保存管理を促す決議は異議なく採択されている。一方、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは、ニホンウナギは平成26年から絶滅危惧IB類に掲載されたままだ。
うなぎを使わない側の丑の日
うなぎそのものを使わない商品も、今年の丑の日に合わせて動いている。白身魚のすり身でうなぎの蒲焼を再現した一正蒲鉾(新潟市)の「うな次郎」は、2016年の発売から10年になる。同社が制定した「うな次郎の日」は語呂合わせで7月26日。今年は土用の丑の日と日付が重なる。
日清食品は7月13日、大豆たん白加工品でうなぎ風の具材をつくったカップ飯「日清謎うなぎ丼」を発売した。
広報TIPS — 業界を挙げての話題に自社が乗るとき、「世界初」「業界初」という言葉はそのまま見出しに使いたくなります。ただ、その一番乗りの根拠を尋ねられて答えられないと、優良誤認を疑われることにもなりかねません。イオンは今回のリリースで、見出しの「世界初」に注釈をつけ、「出典:国立研究開発法人水産研究・教育機構、一般社団法人マリノフォーラム21、山田水産株式会社による、2026年5月20日のリリース」と、誰のどの発表を根拠にしたのかを書き添えています。出所を先に示しておくと、読み手はその主張が誰のものかを取り違えずに済みます。報道する側も裏取りの手間が減るぶん、引用しやすくなります。
