コミックマーケット108がきょう8月15日、東京ビッグサイトで始まった。会期はあす16日まで。前回のコミックマーケット107は、1975年12月の第1回からちょうど50年にあたる。準備会の年表に残る第1回の参加者数は推定700人、直近のコミックマーケット107は参加者総数30万人である。
規模だけを見れば、別の催事のようだ。それでも公式文書には、同じ考え方が残り続ける。準備会が2014年にまとめた資料では「コミックマーケットに『お客様』はいません」と記す。同人誌を出すサークル、一般来場者、コスプレや企業で参加する人、運営スタッフまで、全員を「参加者」と位置づけている。

1975年12月、32サークルと推定700人
第1回は1975年12月21日、東京・虎ノ門の日本消防会館会議室で開かれた。参加したサークルは32。準備会は後年の公式ページで、創作者、その活動を支える一般参加者、運営するボランティアの三者が、それぞれのできる範囲で互いを助ける基本形は、この時点ですでにそろっていたと説明している。その姿勢は40年以上を経ても受け継がれている、とも記した。
ここでの「一般来場者」は、作品を受け取るだけの人ではない。会場の秩序を守り、ほかの人の表現や行動に配慮する役割を持つ。スタッフもサービスを一方的に提供する側ではなく、同じ場に加わる一員である。現在の「全員が参加者」という言葉は、第1回の相互協力を言い直したものと読める。
晴海、幕張、東京ビッグサイトへ
開催会場は初回から変遷した。虎ノ門から板橋、大田区産業会館へ移り、1980年代は東京国際見本市会場(晴海)を主に使用した。その後は東京流通センター、再び晴海、幕張メッセを経て、1991年から晴海へ戻り、1996年のコミックマーケット50から東京ビッグサイトを使用している。開催を続けるため、その時々で収容できる会場を探してきた50年でもあった。
参加者数の数え方や入場方式は時代によって異なるため、推定700人と参加者総数30万人から増減を単純には論じられない。第1回は会議室、現在は大規模展示場で開く。一方で、2014年の資料も、2025年のコミックマーケット107の案内も、参加する人を「お客様」ではなく「参加者」と記している。
「お客様はいません」が公式資料に
コミックマーケット準備会が2014年にまとめた「コミックマーケットとは何か?」は、一般、サークル・コスプレ・企業、スタッフを対等な参加者として図示した。図の中では、サークル・コスプレ・企業が表現を担い、一般参加者は読み手・受け手、スタッフは場の用意と運営を担う。役割が異なっても、誰か一方だけで催事を完成させる形にはなっていない。公式サイトの「コミックマーケットの理念と実相」は、2026年5月29日の更新後も、この2014年資料を掲載し続けている。
呼び名には、求める行動が併記されている。2014年の資料は、参加者にカタログを読み、考え方とルールを理解し、自らを律して互いの立場に配慮するよう求める。50周年のコミックマーケット107の案内も、一般・サークル参加者を「お客様」ではなく準備会とともに催事をとり行う「参加者」とし、ルールをよく読み、守って参加するよう記した。呼称だけを掲げるのではなく、何を読み、どう動いてほしいかまで併せて示している。
C108も「参加者の皆さん」へ伝える
今回の開催概要も、参加者に諸注意のPDFをよく読み、各回の変更事項を確かめるよう求める。入場方法や熱中症対策は別のページに分けて、開催前から案内している。
企業イベントが、来場者を一律に「参加者」と呼べばよいわけではない。商品やサービスを受け取る人なら「お客様」が自然な場合もある。先に定めておくべきは、主催者が何を担い、集まる人に何を頼み、どこまで一緒に場をつくるのかだ。コミックマーケットの50年は、その関係を「参加者」という一つの呼び名で示してきた。2014年の資料からコミックマーケット108の開催概要まで、その呼び名には、読んでほしい資料と守ってほしい行動が添えられている。
広報TIPS — コミックマーケット準備会は、来場する人を「客」ではなく「参加者」と呼び、カタログを読むこと、周囲へ配慮すること、運営に協力することを同じ立場から伝えています。イベント告知で呼び名が揺れると、主催者が相手に何を求めているのかも曖昧になります。このように、自社イベントで相手を何と呼ぶかは、集まる人との関係の言語化そのものです。呼称を決めてから告知文を書くと、受付案内からお願い事項まで、同じ関係を前提に書けます。
この記事の著者:金光
出典:コミックマーケット準備会「コミックマーケット108(及び今後の開催)のご案内」(2026年8月5日更新、8月15日閲覧)/同「コミックマーケット年表」(2026年1月13日更新、8月15日閲覧)/同「コミックマーケットとは何か?」(2014年1月)/同「コミックマーケットの理念と実相」(2026年5月29日更新)/同「海外参加者向けページ(コミックマーケット97)」(2019年)/同「コミックマーケット107企業ブースパンフレット」(2025年12月)/同「コミックマーケット107アフターレポート」(2026年6月22日本文公開)

