
AI OverviewsやChatGPTなど、AIの回答が検索行動の入口になりつつある中で、「広報として何をしたら良いのか」と悩む方もいるのではないでしょうか。本記事では、LLMO/AEO専門メディア「AEOラボ」を運営する株式会社bonに、AIによる「引用」の意味とメリット、引用を増やすためのコンテンツ設計のポイント、プレスリリース活用の実例まで解説いただきました。
はじめに
近年、AI検索の普及が加速しています。サイバーエージェントの調査では、AI Overviews上に表示されるリンクをクリックしたことが「時々ある」「よくある」と答えたユーザーは全体の54.2%にのぼり、AI Overviewsが新たな検索行動の入口として機能し始めていることがわかります(※)
AI Overviewsは従来の検索結果より上に表示されるため、ユーザーが最初に目にするのはAIの回答です。そこに引用されるリンクはクリックされやすく、自社の情報がAI Overviewsに載るかどうかが、重要なポイントになってきます。
「AIに検索トラフィックを奪われる」と不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、AIの回答の中で自社が引用・言及されれば、むしろサイトへの新たな流入経路になり得ます。実際に、bonの支援企業でも、AI引用の増加後にセッション数が1.83倍になった事例もあります。
では、どうすれば自社の情報がAIに引用されるのでしょうか。まずは、AIによる「引用」と「メンション」の違いから確認していきましょう。
※ サイバーエージェント「サイバーエージェント GEOラボ、AI Overviewの利用率に関するユーザー調査を実施」
この記事の要点
広報・PR担当者向け
- AIの「引用」とは
AIの「引用」とは、AIが回答の根拠としてページを参照し、リンク付きで情報源として示すこと。引用はアクセスに直結しやすい。 - 引用されるメリット
AIに自社ページが引用されると、検索順位に依存しない新しい流入経路になり、信頼・専門性の裏付けにもなる。さらに「おすすめ/比較」など検討クエリでは、引用元をクリックして深掘りするユーザーも出やすい。 - 引用を増やすためのコンテンツ設計ポイント
①検索ボリュームが大きいクエリを狙う
②結論ファーストで答えを先に書く
③具体的な数値・一次情報を入れる
④断定する箇所は根拠を明示し、事実と意見を分ける
※忙しい方向けに要点を先にまとめています。事例や詳細は本文で根拠とともに解説します。
AIによる「引用」と「メンション」の違い
AIの回答で注目すべき点は、自社の情報の表示形式に「メンション」と「引用」の2種類があり、それぞれ役割が異なることです。

上の画像は、実際にGoogleで「プレスリリース配信 おすすめ」と検索した際のAI Overviewsの回答です。この画像を使って、それぞれの違いを見ていきましょう。
| 項目 | メンション(画像左) | 引用(画像右) |
|---|---|---|
| 定義 | AIの回答文の中で、社名やサービス名が「おすすめ」として名前が出ること | 記事やページの内容がAIの回答の根拠として使われること(URLが表示されることも多い) |
| 役割 | ブランド認知のきっかけ。AIに「おすすめ」として認識されるには、中長期的なブランド構築が必要 | 信頼の根拠となる情報の提供。ページ単位の工夫で対応できるため、比較的取り組みやすい |
| アクセス経路 | 名前を覚えてもらい、後から検索される(間接的) | URLが表示され、直接クリックされる可能性がある(直接的) |
メンション ── AIの回答で「自社の名前/サービス名が出る」こと
メンションとは、AIの回答文の中に「共同通信PRワイヤー」などの会社名やサービス名が出ることです。比較・おすすめ・選び方といった文脈で名前が出るため、ユーザーの検討リストに入りやすく、ブランドを覚えてもらうきっかけになります。
引用 ── AIの回答に「根拠として使われる」こと
AIからの引用とは、AIが回答の根拠として特定のWebページの内容を参照し、情報源として表示している状態です。AIの回答の根拠として自社ページが使われることで、その分野における専門性や信頼性を示すことにつながります。また、引用元のリンクからサイトへの流入も期待できます。
本記事では、アクセスにつながりやすく広報が比較的取り組みやすい、「引用」を中心に解説していきます。
AIに「引用」されるメリット
AIに引用されることは、単に「自社の名前が載る」以上の価値を自社サイトにもたらします。主なメリットは以下の2点です。
検索順位に依存しない、新しい流入経路ができる
ゼロクリック検索が増えている中でも、すべてのユーザーがAIの回答だけで満足するわけではありません。AIの回答を読んだうえで「もっと詳しく知りたい」と感じ、引用元のリンクをクリックするユーザーも一定数存在します。
実際に、弊社が2025年12月に実施した調査(※)では、AIの回答に製品名・メーカー名が出てきた場合、半数以上のユーザーが前向きな印象を持っていることがわかりました(下図)。

「参考になる(候補に入れやすい)」が29.5%、「気になるが根拠を確認したくなる」が23.8%と、合わせて半数以上がAIの回答をきっかけに次のアクションを起こす可能性があることを示しています。
つまり、AIに引用されることは、従来のSEOとは別の新しい流入経路になり得るのです。
※調査概要:株式会社bon「建材メーカーの認知度に関する調査」(2025年12月実施、インターネット調査、日本全国の22歳〜60歳の男女が対象、n=2,000)
CVRが高いユーザーを獲得できる
特に「〇〇 おすすめ」「〇〇 比較」といった検討度合いの高いクエリでは、ユーザーはAIの回答を読んだうえで「もっと詳しく知りたい」と感じ、引用元のリンクをクリックする傾向があります。
つまり、AI経由で訪れるユーザーは、すでに比較・検討段階にあり、態度変容が進んだ状態と言えます。 実際に、bonの支援企業では、ChatGPT経由のアクセスのCVRが、通常流入の約3倍になった事例があります。AI経由のアクセスは量だけでなく、質の面でも期待できます。

「AIからの引用に繋げる方法」
AIに引用されやすい記事の特徴
ここまで、AIに引用されることが新しい流入経路やCVRの高いユーザーの獲得につながることを解説してきました。では、具体的にどのような情報を発信すればAIに選ばれるのか、引用されやすい記事の共通点を整理します。
①検索ボリュームの多いクエリを狙っている
AIはユーザーの質問(検索クエリ)に応じて回答を作ります。その中から、まずは、自社のターゲットがどんな悩みや課題を抱えているかを考え、その中から検索ボリュームの大きいクエリを見つけることが重要です。引用される回数が増えれば、アクセスの母数も増えていきます。
②「結論ファースト」で構成されている
AIは膨大な情報の中から、ユーザーに提示する「回答」を効率よく探しています。そのため、記事の冒頭や各見出しの直後に結論が書かれていると、AIが「このページにはこの問いの答えがある」と判断しやすくなります。
良い例: 下記画像のように、「Q. プレスリリースとは、どのようなものですか?」という見出しに対して、「プレスリリース(Press Release)とは、新商品の発売や新サービス、新規事業の開始、あるいは経営・人事などの企業情報を、ニュース素材としてメディアの記者が利用しやすいように文書や資料としてまとめたものです。」と冒頭で定義する。 背景から長々と説明するのではなく、タイトルや見出しに対する答えをすぐさま提示する構成にすることで、AIが根拠として抜き出しやすくなります。

③具体的な数値・一次情報を入れる
AIは、根拠のある情報を優先的に参照する傾向があります。特に、独自の調査データや実績数値といった一次情報は、他のサイトにはない情報であるため、AIが引用元として選びやすくなります。しかし、単に数字を並べるだけでは、AIに「信頼できる情報源」とは認めてもらえません。
悪い例: 「弊社サービスはお客様満足度が高いです」
良い例: 「弊社サービスは2025年の利用者アンケート(回答数1,200件)で、満足度92%を獲得しました」
このように、数値に加えて「期間、母数、定義、計測方法」といった前提条件を添えることが重要です。AIは「その数字がどのようなプロセスで導き出されたか」までをセットで理解することで、初めてその情報を「引用に値する信頼できる一次情報」として扱います。
④断定的な表現とその根拠が明示されている
bonがこれまでAI引用の解析・支援をしてきた中で、曖昧な表現が多い記事はAIに引用されにくい傾向がありました。
AIが使いにくい表現: 「〜と言われています」「〜かもしれません」 こうした表現は、情報の出どころや責任の所在が曖昧です。AIは正確な回答を返す必要がある以上、「誰が、どのような根拠で述べているのか」が不明確な情報は、回答の根拠として採用しにくいと考えられます。
AIが引用しやすい表現: 「〇〇は△△です。その根拠は、弊社の調査による……」 このように「事実は何か」を明確に述べ、その裏付けをセットにしている記事は、AIにとって非常に引用しやすい情報になります。
もちろん、すべてを断定する必要はありません。大切なのは、断定する箇所にはきちんと根拠を添え、不確かな部分は「〇〇の調査では△△という結果が出ている」のように、事実と意見を明確に分けて書くことです。
【実例①】用語集の引用数が2.3倍に
ここでは、先ほど挙げた特徴の中でも、特に「結論ファースト」や「検索ボリュームの多いクエリを狙う」を徹底することで、AI引用数を伸ばした事例をご紹介します。
施策
- ある企業の「用語集」について、毎月5本程度の改修・新規作成を実施
結果
- AI引用数: 施策実施前の80件から187件と、約2.3倍に増加
- アクセス数: 引用数の増加と同時期に、用語集全体で1.83倍に増加
- 再訪率: 14.44%から19.82%に向上

アクセス増加に繋がったポイント
この事例で重要なのは、単にAIに引用されて終わりではなく、訪れたユーザーが「用語の理解」だけで離脱しない記事構成になっていたことです。実際に、引用数の増加と同時期に、再訪率が14.44%から19.82%に向上し、用語集全体でアクセスが1.83倍に増加しました。
意識したのは、ユーザーが一番知りたい「用語の定義」にまず答え、関連して気になるであろう情報を網羅することです。そして、読み進めながら自然と自社のサービス名や強みに触れる構成にしました。その結果、AI経由で訪れたユーザーが、サイト内の他のページも閲覧したり、後日再訪したりする行動につながりました。
【実例②】プレスリリースの活用で、配信翌日にAIからの引用を確認
AIからの引用を獲得する手段としてはプレスリリースの配信も有効です。ここでは、なぜプレスリリースが「引用」に強いのかを説明した上で、弊社が実際にプレスリリースを活用して引用を獲得した事例をご紹介します。
プレスリリースがAI引用の獲得に有効な理由は、大きく2つあります。
①プレスリリース自体が信頼性の高い情報形式である
プレスリリースは企業が公式に発表する報道向けの文書であり、事実に基づいた一次情報です。配信サービスによっては掲載前に審査もあるため、AIにとって「信頼できる情報源」として認識されやすい特性があります。
②複数の信頼性の高いドメインに掲載・転載されやすい
配信サービスを利用すると、提携先のニュースサイトなどに転載されたり、記者の目に留まり記事として取り上げられる場合があります。ニュースサイトなどの信頼性の高いメディアに複数掲載されると、AIがその情報の信頼性を評価し引用される可能性が高まります。
【事例】配信翌日にAI引用、55件のメディア転載

弊社が実際にPRワイヤーを活用してプレスリリースを配信した際の実例をご紹介します。
施策
- PRワイヤーを通じて、「LLMO/AEO」に関するプレスリリースを配信
結果
- 配信の翌日、GoogleのAI Overviewsにおける「AEOに強い制作会社」といった検索クエリの回答内に、弊社のリリース転載記事が引用された
- 配信から約5日間で、転載数は55件にのぼった
信頼性の高い配信サービスを利用することで、リリース1本(数万円〜)からでもAIの回答欄に自社情報を届けられる可能性があります。
プレスリリースで引用されやすくするための工夫
この事例で工夫したのは、大きく2つです。
①リリース内に企業情報を詳細に記載した
事業内容、強み、運営メディアなどを明確に書くことで、AIが「この会社はどんな会社か」を正確に理解できるようにしました。
②リリースの内容に独自の調査データ(一次情報)を盛り込んだ
今回は4,000名を対象に実施した「LLMO/AEO対策の実態調査」の結果を含めることで、発信元としての専門性と信頼性を高めました。
AIは引用する情報を選ぶ際、内容だけでなく「誰が発信しているか」も見ています。独自の調査データがあっても、発信元がどんな会社かわからなければ、信頼できる情報源として判断しにくくなります。だからこそ、企業情報と一次情報はセットで記載することが重要です。
AI引用は、SEOに依存しない新たなアクセス流入経路になる
本記事では、AIに「引用」されることのメリットと、引用を獲得するための具体的な方法を事例とともに解説してきました。
AIに引用されると、検索順位に依存しない新しい流入経路をつくることができるだけでなく、態度変容を見込めるユーザーのアクセスを獲得できます。
ただし、引用を獲得するには、AIが「根拠として使いたい」と判断できるコンテンツを地道に整備していく必要があります。結論ファーストの構成、具体的な数値や一次情報、断定とその根拠の明示。こうした積み重ねが、AIからの引用という成果につながっていきます。
その中でもプレスリリースは、広報が日々の業務の中で取り組みやすい施策です。実例②でご紹介したように、配信翌日にAI引用を獲得したケースもあります。
まずは、既存ページを「結論が先にあるか」「根拠(一次情報)があるか」で見直し、プレスリリースでも同じ設計で情報を揃えるところから着手するのがおすすめです。

企業の魅力を「伝わる形」に整え、社外露出を通じて“選ばれる状態”をつくる「企業のパブリック化」を支援する会社。AI検索時代に企業情報が正しく理解・参照されることを目指し、LLMO/AEOなどAI検索最適化の設計・実装や、専門メディア「AEOラボ」での情報発信を行う。



