AIに引用されるチャンスは業界で10倍違う──広報担当者のためのAI検索コンテンツ戦略

広報PR活動をする中で、「AI検索の影響でアクセスが減っている気がする」「AIに引用されると聞くけれど、自社の業界でどれくらい影響があるのかわからない」と悩む方もいるのではないでしょうか。本記事では、LLMO/AEO専門メディア「AEOラボ」を運営する株式会社bonに、業界ごとにAIの回答に表示される頻度が大きく異なるという前提を踏まえた、AI検索時代のコンテンツ戦略について執筆いただきました。

はじめに

GoogleのAI Overviews(検索結果の上部にAIが生成する回答)やChatGPTなど、AI検索の普及により「ゼロクリック検索」が増え、アクセス減少を感じる企業も出てきています。

ただし、このアクセス減少はすべての業界に同じように起きているわけではありません。海外の大規模調査を見ると、AIが回答を表示する頻度は業界によって10倍以上の差があり、AI検索の影響を受けやすい業界とそうでない業界がはっきり分かれてきています。

本記事では、海外の調査レポートや国内の分析データをもとに、「業界ごとの違い」を整理しながら、AI検索時代のコンテンツ戦略を考えていきます。筆者自身がAI検索対策(LLMO/AEO)の支援に携わる中で得た知見なども、一部交えながらご紹介します。

この記事の要点

広報・PR担当者向け

  1. AIに引用されるチャンスは、業界で10倍以上違う
    AI Overviewsの表示頻度は業界・テーマで差が大きい。まずは自社業界で「AIが答えやすい情報収集型クエリ」を見極める。
  2. 引用されやすいコンテンツは「結論先出し×関連する問いの網羅」
    「〇〇とは?」に対して冒頭で結論を提示し、特徴・違い・選び方まで1ページで拾える構造が引用されやすい。
  3. 自社サイトだけでなく、情報が掲載される「面」を増やす
    自社サイトだけでなく、プレスリリースの転載先や業界メディア、動画・SNSなど「同じ情報が載っている場所」を増やすほど、AIに見つけられ、引用される確率が上がります。

※忙しい方向けに要点を先にまとめています。事例や詳細は本文で根拠とともに解説します。

AI検索で何が起きているのか

アクセス減少の背景には、検索体験そのものの変化があります。Googleの検索結果にAI Overviewsが表示されるケースは増えており、ChatGPTやGeminiなどで直接調べものをする人も増えています。これらに共通するのは、AIがその場で回答をまとめてくれる点です。複数のサイトを開いて情報を比較する必要がなくなるため、リンクをクリックせずに検索を終えるユーザーが増えています。(ゼロクリック検索)

ただし、すべてのユーザーがAIの回答だけで満足するわけではありません。「〇〇 おすすめ」「〇〇 比較」のような検討段階のクエリでは、AIの回答を読んだうえで引用元のリンクをクリックする傾向があります。

米Conductor社が10業種・約13,800ドメインを対象に行った調査(※)によると、Webサイト全体のトラフィックのうちAI経由流入は、平均1.08%とまだ小さい一方、前月比で増加傾向にあります。

検索結果画面からのクリックは減る傾向にありますが、AIの回答に自社の情報が引用されれば、それが新たな認知やアクセスにつながります。次のセクションからは、この「AIに引用される」ための具体的な考え方を見ていきます。

業界によって「AIとの相性」は大きく異なる

AIに引用される機会は、どの業界にも等しくあるわけではありません。GoogleのAI Overviewsがどれくらいの検索クエリに対して表示されるかを業界別に見ると、その差は10倍以上にもなります。

▲カテゴリごとに、検索結果にAI Overviewsが表示される割合を示したグラフ。
出典:Ahrefs「AI による概要を生むクエリの特徴とは? 86 の要因と 1 億 4,600 万の SERP から判明」(https://ahrefs.com/blog/ja/ai-overview-triggers/ ※画像は同記事より引用

Ahrefsが1億4,600万件の検索結果を分析した調査によると、AI Overviewsが表示されやすいのは科学(43.6%)、健康(43.0%)、人々と社会(35.3%)、などといった領域です。YMYL(お金や健康に関わる領域)のクエリでは34.3%の検索にAI Overviewsが表示され、それ以外の17.2%を大きく上回りました。国内でもLANYの15万キーワード調査で同様の傾向が確認されており、医療系(病名・悩み)は73.9%に達しています(※2)。

これらの業界に共通するのは、ユーザーが比較検討をしっかり行ったうえで判断したいテーマであるという点です。こうしたテーマは信頼できる情報源がWeb上に多く、AIにとっても回答を組み立てやすいため、AI Overviewsの表示頻度が高くなっていると考えられます。

一方、ショッピング(3.2%)、不動産(5.8%)、スポーツ(14.8%)と低い領域もあります。これらは「この商品を買いたい」「近くの物件を見たい」のように、実物を見る・体験するといった行動が検索の目的になっていて、AIが情報をまとめて答えるような場面が少ないためです。

ただし、出にくい業界でもチャンスはあります。たとえばアパレルでも「骨格タイプ別の似合う服の選び方」、不動産でも「住宅ローン控除の仕組み」のように、ユーザーが「知識として知りたい」と感じるテーマであれば、AIが回答を出す余地は十分にあります。

このように、業界全体の傾向を把握したうえで、ターゲットの悩みやニーズから逆算し、「AIが回答を出しそうな検索クエリ」を見つけることが重要になってきます。では、そうしたクエリに対して、どのようなコンテンツを作れば引用されやすくなるのでしょうか。

AIに引用されやすいページの特徴

前章でも触れたように、AIが回答を出しやすいクエリには「情報収集型」が多い傾向があります。では、こうしたクエリに対してAIはどのようなページを引用するのでしょうか。

引用されやすいページに共通するのは、大きく2つの特徴です。

1つ目は、見出しと結論がセットになっていること。たとえば「〇〇とは?」という見出しに対して、冒頭で結論を端的に述べている。こうした構造は、AIが回答としてそのまま抜き出しやすくなります。

2つ目は、関連するテーマの問いをページ内で網羅していること。「〇〇の特徴」「〇〇との違い」「〇〇の選び方」のように、ユーザーが合わせて調べそうなテーマまでカバーしていると、AIが一つのページから複数の問いに対する回答を見つけられるため、情報源として採用されやすくなります。

実際に、こうしたポイントを踏まえて共同通信PRワイヤーの用語集ページの構造を見直したところ、AI引用数が施策前の80件から187件へ約2.3倍に増加し、用語集全体のセッション数も1.83倍に伸長しました。ページの構造を見直すだけでも、AIからの引用は増やせると考えています。

▲共同通信PRワイヤーの用語集のAI引用数変遷

一方、AIに引用されにくいのは、情報の出どころや根拠が曖昧なページです。「〜と言われています」「〜かもしれません」のような表現が多い記事は、誰が・どのような根拠で述べているのかが不明確なため、AIが回答の裏付けとして採用しにくいと考えられます。

自社のページを振り返って、「AIが回答として引用しやすい形になっているか」という視点でチェックしてみると、整理しやすいです。

引用元の「面」を広げるチャネル戦略

AIの引用元は、自社サイトだけではありません。日本のAI Overviewsで引用されている上位ドメインを見ると、YouTubeやWikipediaなど第三者のプラットフォームが多く並んでいます。

▲日本のAI Overviewsで引用されている上位ドメインの推移(調査時点:2026年2月)

こうした上位ドメインで自社の情報を発信していくことも一つの手です。たとえばYouTubeで解説動画を出す、noteで専門的な記事を書くといった取り組みが考えられます。

ただし、これらはあくまで上位の一部で、実際には業界メディアやプレスリリースの転載先なども、信頼できる情報源としてAIに引用されています。

当社の観測では自社の情報が掲載されている場所=「面」が多いほど、AIに引用される確率は高くなると考えています。

第三者メディアへの露出が「信頼の裏付け」になる

一方で、これらのチャネルを一つひとつ運用するにはリソースが必要です。そこで広報・PR担当者にとって取り組みやすいのが、プレスリリースを活用した方法です。その背景には、次の3つのステップがあります。

  1. 一次情報の発信
    まずはプレスリリースで、公式な一次情報を世に出す。
  2. 情報の拡散(面の広がり)
    それが複数のニュースサイトや業界メディアに転載・掲載される。
  3. AIが「信頼できる情報」として認識
    同じ情報が複数の信頼できるサイトに存在することで、AIは裏付けのある情報と判断し、引用の優先度を上げる。

自社サイトだけでは、情報の発信元が1つに限られます。プレスリリースなら一度の配信で複数のメディアに情報が広がり、第三者メディアという「面」を効率的に増やすことができます。

プレスリリース配信サービスによっては、Yahoo!ニュースなどの大手ポータルサイトに転載されるケースもあります。実際にPRwireから配信したプレスリリースがYahoo!ニュースに掲載された例もあり、先ほどのグラフでYahoo!ニュースが上位に入っていることを踏まえると、こうした転載先がAIの引用元になっている可能性は十分にあります。

「どこで語られるか」を見極める

ただし、闇雲に広げればいいわけではありません。業界やAIの種類(ChatGPT、Gemini、Google AI Overviewsなど)によって、AIが好んで引用するサイトの傾向は異なります。

すべてのチャネルを網羅する必要はなく、自社のリソースに合わせて、AIがよく参照している場所に狙いを定めて情報を届けていくことが重要です。

AI検索対策の効果をどう測るか

ここまで、AIに引用されるためのコンテンツ戦略を見てきました。では、その成果はどう測ればよいのでしょうか。

Pewの分析では、AI overviewsが表示される検索で、参照リンクがクリックされたのは全体の1%にとどまりました。(※1)AIの回答内に表示されたリンクがクリックされる割合はまだ低く、この数字だけを見ると「やる意味があるのか」と感じるかもしれません。

しかし、注目すべきデータがあります。AI Overviewsにブランドが引用されると、通常のオーガニック検索結果でのCTRが35%高くなるという調査結果です(※2)。AIの回答欄でクリックされなくても、ブランド名を目にしたユーザーが通常の検索結果からクリックする、という間接的な効果が生まれています。

さらに、Ahrefsのデータでは、AI経由でサイトを訪れたユーザーのコンバージョン率(CVR)が、従来のオーガニック検索経由より高い結果がでています。(※3)数は少なくても、質の高い流入につながっているということです。

もちろん、AI経由の流入はアクセス解析ツールで正確に捕捉しづらいという計測上の課題はあります。それでも、クリックの量ではなく、クリック後の成果で評価する。この視点の切り替えが、AI検索の効果を正しく捉える第一歩になるはずです。

自社に合ったAI検索コンテンツ戦略を

AI検索の普及により、サイトへのアクセスが減る一方で、AIの回答に引用されるという新しいユーザーとの接点が生まれています。

本記事で見てきたように、この変化の影響度は業界ごとに異なり、有効な打ち手も一律ではありません。自社の業界特性を把握し、AIに引用されやすいページの構造を整え、第三者メディアへの露出で「面」を広げる。こうした取り組みは、特別な予算や深い専門知識がなくても始められるものです。

まずは自社の情報発信が「AIにも届く形か」を点検するところから始めましょう。

企業のブランディングを図りながら、メディアに取り上げられるコツを知りたい方はこちら。

3分でできる!資料請求はこちら

広報・PR担当者がAI検索時代にLLMOを気にすべき理由と課題

詳しく見る>

生成AIの登場でサイトのアクセスが急減!AI時代に勝つデジタル施策の解決策とは?

詳しく見る>

生成AIの回答はアーンドメディアを引用!?アーンドメディアに強い、プレスリリース配信サービスとは?

詳しく見る>

PRwire編集部

「汐留PR塾」は、プレスリリース配信サービス「PRwire」を運営する株式会社共同通信PRワイヤーが、広報・PR担当者の皆さまをサポートする情報メディアです。PRwireのサービス内容については、こちらからご覧ください。

  • facebook
  • Instagram
  • X

資料をダウンロードする