CEP(カテゴリーエントリーポイント)とは
CEP(Category Entry Point/カテゴリーエントリーポイント)とは、商品・サービスを思い出す「きっかけ」になる状況や目的のことです。たとえば、次のような場面がCEPにあたります。
- 朝、出社前にスイッチを入れたい時に「コーヒーが飲みたい」と感じる
- 仕事で失敗したときに「ビジネス書やノウハウ記事で立て直したい」と考える
こうした場面と特定のカテゴリーや企業が結びついているほど、その企業は選ばれやすくなります。従来のブランド想起が「◯◯といえばどの企業か」という“名前”を問うのに対し、CEPは「どんなときにその企業を思い出すか」という“場面”に注目します。広報では、「どのような状況や目的で、自社が想起されると良いか」を整理するための考え方として活用できます。
なぜ広報戦略でCEPが重要なのか
メッセージやテーマが一貫しやすくなる
「どの場面で」「誰に」「どんな役割で」情報提供するかが共有しやすくなり、プレスリリースや調査リリース、オウンドメディアの方向性を揃えやすくなります。結果として、一貫した印象を積み上げやすくなります。
メディアリレーションが強化され、結果としてアーンドメディア掲載や口コミにつながりやすくなる
記者・編集者はテーマごとに取材先を探します。特定のテーマについて分かりやすい情報や事例を継続的に発信していると、そのテーマのコメント先・事例先として想起されやすくなり、メディアリレーションが強化されます。その結果、メディア掲載や口コミのきっかけも生まれやすくなります。
社内の合意形成・優先順位づけがしやすくなる
「自社はどんな場面で必要とされるブランドを目指すのか」を一文で共有できるため、経営層との方針すり合わせや、営業・人事・マーケティングとの連携に役立ちます。どのテーマに注力するか、判断しやすくなります。
中長期の関係性づくり(LTV)の視点を入れやすくなる
CEPを整理すると、初回接点だけでなく、「困ったとき」「見直したいとき」「新しいことに挑戦したいとき」など、その後の接点も含めて設計しやすくなります。単発ではなく、長く頼られる関係をつくる広報を考えやすくなります。
CEPを活用する際の注意点
狙う場面を増やしすぎないこと
何でも狙おうとすると、メッセージが散らばりがちです。自社の強みや事業戦略と合う場面に絞ることが大切です。
実態を伴わないポジションを取らないこと
実績や一次情報が薄い領域を強く打ち出すと、発信内容と実態のギャップから信頼を損なうおそれがあります。提供できる価値やデータに基づいてCEPを設定することが重要です。
短期の結果だけで成否を決めないこと
「特定の場面で思い出される状態」をつくるには時間がかかります。数本のリリースだけで判断せず、中長期の露出傾向や問い合わせ内容の変化も見ながら調整していく視点が必要です。
関連用語・あわせて押さえておきたい考え方
アーンドメディア
報道記事や口コミ、レビュー、SNS投稿など、企業が広告費を払わずに得る第三者発信のことです。企業発信よりも、比較的信頼されやすい情報として扱われます。
プレスリリース
企業や団体がニュース価値のある情報をメディアに伝えるための公式文書です。アーンドメディアに取り上げられるきっかけとなる一次情報であり、CEPを意識したテーマや見出しが重要になります。
ブランド想起
「◯◯といえばどの企業か」と聞いたときにどれだけ名前が挙がるか、という考え方です。ブランド想起が“名前”、CEPが“場面”を扱うものであり、両方を見ることで「誰に知られ、どんなときに選ばれるか」を立体的に捉えられます。
CEPとアーンドメディアの関係
アーンドメディアがCEPを強化する
特定の場面で、同じ企業がポジティブに紹介され続けると、「この状況ならこの企業」というイメージが定着しやすくなります。
CEPがアーンドメディアを生むきっかけになる
「どのような状況や目的で想起されたいか」を意識して情報発信を続け、その場面で良い体験が生まれると、その体験がSNSや口コミとして共有されることがあります。これが新たなアーンドメディアとなり、同じCEPでの想起をさらに後押しします。
情報拡散を通じてCEPが広がる
「○○なときに使ってほしい」と利用シーンを明確にしたコンテンツやキャンペーンが記事やSNSで広がると、その場面と企業の結びつきが多くの人に共有され、同じCEPで思い出される人の裾野が広がっていく可能性があります。
アーンドメディアの多くは、その前段にあるプレスリリースや取材提案をきっかけに生まれます。広報担当者がCEPを意識してプレスリリースを設計することは、「どのメディアで、どんな切り口の報道や口コミが生まれるか」を左右します。アーンドメディアに取り上げられやすい情報設計を行ううえで、CEPは欠かせない視点です。
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CEPを踏まえたプレスリリース設計と資料活用
CEPの視点を広報に取り入れるときは、まず「どのような状況や目的で、自社が思い出されると良いか」を言葉にしておくことが出発点になります。そのうえで、その場面にいる人がよく目にするメディアを想定し、アーンドメディアに取り上げられやすいテーマや切り口をプレスリリースに落とし込んでいくことが重要です。
共同通信PRワイヤーのサービス資料では、サービス内容や特徴、配信イメージなどをコンパクトに紹介しています。CEPの視点から「どのような場面で思い出される存在を目指すのか」を整理し、それに合ったメディア戦略やプレスリリース設計を検討したい広報担当者の方は、参考資料としてご覧ください。
