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インナーブランディング

インナーブランディングとは

インナーブランディングとは、企業の理念・ビジョン・価値観(ブランド)を、従業員が理解・納得し、日々の判断や行動に反映できる状態をつくる取り組みです。社内広報に限らず、経営メッセージ、人材育成、制度・評価、マネジメント、現場運用まで横断して設計します。
広報の役割整理の観点は、関連記事「広報とPRの違いは?」も参考になります。

インナーブランディングが求められる背景と課題

求められる背景

働き方の多様化(リモート/ハイブリッド等)や人材の流動化、情報流通の加速により、企業内で情報や判断基準が部門・拠点ごとに分かれやすくなっています。社外への発信機会が増えるほど、説明や対応の一貫性が問われ、社内の理解不足は信頼低下につながるリスクになります。
BtoB領域での広報の位置づけは、関連記事「なぜ、BtoB企業に広報PRが必要なのか?」も参考になります。

企業内で起きやすい課題

  • 部門・拠点によって、事実関係や表現が異なり説明が一致しない
  • 顧客対応や危機対応で、判断基準が統一されない
  • 取り組みの背景や意義が共有されず、社外での評価(掲載・受賞等)が社内に還流しない
  • 施策が点在し、「何を優先する会社か」が伝わりにくい

取り組みの目的

目的は大きく次の3点に整理できます。

  1. 共通言語の整備:理念や方針、優先順位を、誰もが同じ言葉で説明できる状態にする
  2. 一貫した判断・行動の増加:現場判断や顧客対応の基準を揃える
  3. 主体性・誇りの形成:従業員が自社の価値を自分の言葉で説明できるようにする

インナーブランディングの関連知識

社内広報

社内向けに、会社の方針や活動を伝える仕事です。社内報・イントラ・社内SNS・全社説明会などを使い、情報の行き違いを減らします。インナーブランディングの「浸透」を支える基本の仕組みといえます。
社内報などの具体例は、関連記事「広報のやることとその方法」も参考になります。

アウターブランディング

顧客・投資家・地域・求職者など、社外に向けて会社の価値を伝える活動です。社内の理解が揃っていないと、社外発信の言い回しや説明が揺れやすくなります。内(社内)と外(社外)は別々ではなく、相互に影響します。

アーンドメディア

新聞・Webメディアなど、第三者が取材・編集して発信する情報を指します。広告と違い、第三者の視点が入るため「客観性がある」と受け止められやすい特徴があります。記事化や掲載は、社外だけでなく社内の理解・誇りの材料にもなります。
基本的な考え方は、関連記事「メディアリレーションズで大切なこととは?」も参考になります。

PESO/トリプルメディア

情報発信の「届け方」を整理する考え方です(オウンド、アーンドなど)。何を自社で伝えるか/第三者に伝わる形にするかを分けて考えられます。広報計画を立てる際に、媒体の役割を整理しやすくなります。

広報・PRにおける実務ポイント

発信前に整えるべき事項

インナーブランディングは、社外発信と切り離せません。発信品質を担保するうえで、次の“前工程”が重要です。

1. 一次情報の確認

  • 数字は「どの資料の、いつ時点の数字か」を確認する(最新版かどうかも含む)
  • 事実(日時・名称・内容)に誤りがないか、担当部署に確認する
  • 問い合わせが来たときに答えられるよう、責任部署(監修元)と更新日を明確にする

2. メッセージの統一:キーメッセージと補足説明(背景・意義)を整理する
3. 承認・運用:決裁者、修正ルール、公開後の問い合わせ導線を決める
4. 想定問答:誤解が起きやすい論点を先回りし、Q&Aを準備する

記事化・第三者評価を社内に還流する

社外で取り上げられた事実(掲載・取材・受賞等)は、社内の理解と誇りを強める材料になります。還流は「掲載された」だけで終わらせず、背景(なぜ注目されたか)/論点(何が評価されたか)/次に使える説明の型(採用・営業・IRにも転用できる短い説明文)まで整理して共有すると、共通言語が更新され、説明の揺れを抑えやすくなります。
メディア接点の整理は、関連記事「メディアリレーションズで大切なこととは?」が参考になります。

効果測定(理解・反応・行動)

インナーブランディングの効果は、露出量だけでは捉えにくい領域です。次の3つに分けて見ると、説明責任と改善がしやすくなります。

  • 理解:理念や方針の理解度、説明の統一度
  • 反応:社内施策への参加率、閲覧、質疑、フィードバック
  • 行動:現場判断の揃い方、顧客対応品質、問い合わせ対応の安定 など

KPI設計の考え方は、関連記事「広報の目標とKPIを立てるためのポイント」も参考になります。

一次情報の整備と第三者評価の還流が信頼をつくる

インナーブランディングはスローガン作りではなく、正確な一次情報と共通言語が、社内の判断と社外の説明に一貫して表れる状態をつくる取り組みです。その実行には、社内向け施策だけでなく、社外発信の設計も欠かせません。

例えばプレスリリースは、社外に向けた情報発信であると同時に、社内の共通言語を整える手段にもなります。発信前に「事実」「根拠」「背景」「想定問答」を揃えるプロセス自体が、部門間の説明のブレを減らし、判断基準を合わせることにつながります。さらに、記事化などの第三者評価が得られた場合は、それを社内に共有・再整理することで、理解と納得を深めやすくなります。

配信設計や「記事化を前提にした情報の整え方」を整理したい場合は、PRwireの資料も参考になります。

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