共同通信PRワイヤーを活用した広報戦略の要について、企画情報課の中村隆宏様と齋藤恭子様にお話をうかがいました。
小さい町にとっては夢のような情報発信サービス
情報へのアンテナは常に高く
-2014年より以前の広報はどのような体制でしたか?
中村 ホームページと市報とケーブルテレビ、この3つで情報発信し、それにあわせて新聞やテレビなどへニュースリリースを出していました。
-2015年にPRワイヤーとご契約いただいたきっかけはなんですか?
中村 リリースは、必ずしもメディアに取り上げてもらえるわけではありません。何本かに一本取り上げてもらえたり、それをきっかけにもう一本取材いただいたりと、確実性がありませんでした。そういう中でPRワイヤーを知り、幅広いメディアを対象にしていることや提携サイトには確実に転載される点が非常に魅力的だなと思って契約しました。小さい町にとっては夢のようなサービスです。
-導入に際して庁内に反対あるいは慎重な意見はありましたか?
中村 リリース後の結果報告や分析も含めてしていただけるので説明しやすかったですし、費用対効果もちゃんと取れています。反対の意見はなかったです。
-現在の広報は何名ぐらいで?
中村 私を含めた広報係4名で紙媒体の市報、FacebookとInstagramのSNSやホームページ、そしてケーブルテレビ、それらの媒体を使ってやっています。
-取材、聞き取り、執筆、調整と、ひとつのリリースを出すだけでもいろんな段階がありますね。
中村 事業の実施と情報発信の両立は、とても大変です。そういった場合の調整役として担当課と協議します。事業の途中段階でも発信すればメディアに取り上げられるチャンスもあると思っていますので、広報としては庁内へのアンテナも常に高くして、情報をキャッチできるようにしています。
齋藤 PRワイヤーは年12回コースを利用していますが、それ以外にも、例年、メディアの皆様にFAXする情報は、小さなものから定例行事のようなものまで含めて300件から350件ぐらい。1日に何本も出す時もありますよ。
PRワイヤーは情報発信のスペシャルバージョン
荘園領主募集リリースには過去最高の応募も
-契約当初のニュースレター方式を昨年からプレスリリースに転換していますね。
齋藤 契約時は前の担当者で、当時は主に一般の方をターゲットに、本市についてより知ってもらいたいという想いから「全力すぎる豊後高田市」という統一したシリーズで、市内の話題や行事などを発信するタイミングにあわせて、幅広く紹介するニュースレター方式で作っていました。後任となった私は、はじめにPRワイヤーさんにご相談することから始めました。PRワイヤーご担当者からも「とにかく最初に結論を書きましょう。それで目に留まりやすくなります」と効果的なプレスリリースの書き方からご指導いただきながら、基本的には、1回につき、1記事を重点的に配信する方法に変えました。1回の配信で約4万円ぐらいですが、これだけの数のメディアにリリースができて、場合によっては取り上げてもらえて何百万円、何千万円かけた広告に近い露出があるというのは、本当に驚きでした。
中村 PRワイヤーは、新聞やテレビなどのメディアへ情報発信する際の「スペシャルバージョン」のような位置づけですね。
-大きな手ごたえを感じたプレスリリースは何ですか?
齋藤 2020年の3月に配信した田染小崎(たしぶおさき)地区で水田オーナーになる方を「荘園領主」として募集したリリースです。同地区は、国の重要文化的景観にも選定された美しい中世の荘園景観が残るエリアで、荘園領主の募集リリースも農業系のメディアに記事掲載された上に、あるミュージシャンの方がTwitterでつぶやいてくださいました。するとホームページのアクセスが急増。「週刊文春」にも「そうだ、領主になろう」というタイトルで記事を載せていただきました。今までも募集はしていたんですが、今回は過去最高の140人を超える応募がありました。結果につながったことがうれしかったですね。これまでと違う層の方々にも見ていただけたんだなと感じました。
中村 PRワイヤーだけにスピード感や反響の大きさのスケールが違いました。情報の広がりも一瞬ですからね。普通はこんなにたくさんの方と知り合えないですから(笑)。
-リリース発信時に心掛けていることはありますか?
中村 関連するページを再チェックして充実させ、あわせて情報発信するようにしています。PRワイヤーでリリースを配信し始めてから、そういう事前の準備をしたり、動画を作って合わせてみたりするなど、広報の仕方に新しい流れできてきました。文化財の外郭団体はオンラインショップも立ち上げたりしているので、そうした関連情報もたくさん見てもらえる。そこまでつなげられるというところまで来ています。
住みたい田舎ベストランキングで上位をキープ
子育て環境充実のアピールが大きな効果
-豊後高田市は「住みたい田舎ベストランキング」(宝島社)の人口10万人未満の「小さなまち」カテゴリーで9年連続ベスト3入りしていますね。
中村 はい、今年は3年連続総合1位にもなっています。そういう発信の効果もあって、いま転入者が増えて7年連続「社会増」(転入が転出を上回ること)になっています。今の市長は「全国トップレベルの子育て支援にしたい」という強い気持ちで思い切った施策を打ち出しています。そういった施策の発信も社会増につながっていると思っています。
-映画のロケ地としても知名度を上げました。
中村 はい、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『坂道のアポロン』『旅猫リポート』と3つ続きましたからね。特に『ナミヤ雑貨店の奇蹟』はすごかったです。撮影の時にはこの街に若い方々があふれていました(笑)。
-どんな戦略があったんですか?
中村 広報係は(ロケ地の誘致活動や撮影時のケアをする)フィルムコミッションの担当でもあるので、ロケ地マップを出したり、映画館で上映前に市のCMを流したり、いろいろとやったようです。
-リリースで存在感を示してきたことがランキングの上位につながっていると?
中村 はい。大分県の北端の小さな町なので、普通なら知ってもらうのも難しいですからね。
-そういう流れは戦略的にお考えだったのですか?
中村 市長は「地域の活力は人」と言っています。高齢化が進む中で人口を増やそうと思ったら外から誘致しないといけないので、移住定住の促進には力を入れています。そのためには子育ての環境を充実させることが大事。そこは戦略的にやっていますね。
-移住してくる方の傾向は?
中村 これまでの取り組みもあって、子育て世代の家族連れの皆さんも増えています。なにしろ、幼稚園も保育園も無料で給食費もかかりませんし、高校生までは医療費も無料。また、誕生祝い金制度があり、4人目の以降のお子さんには総額で100万円支給されます。移住者向けの無償宅地を造成して家を建ててもらうケースもあります。豊後高田市が栄えていた昭和30年代の活気をよみがえらせようと2001年に立ち上げた「昭和の町」には、県外から来て起業される若い方もいらっしゃいます。
-今後広報していきたいことは何ですか?
中村 豊後高田はバラエティー豊か。海も山も温泉もあって、災害には強い。土地も人もとってもいいところなので、それをどう知ってもらうかを考えています。
齋藤 荘園領主への反響の大きさで痛感したのですが、私たちが当たり前だと思っていることでも、地域外の遠くの皆様から見ると、「すごいじゃん」って思ってもらえることがあるんだなと。そんなところにも目を向けていきたいですね。
豊後高田市
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